2017
06.22

うにゅほとの生活2029

2017年6月22日(木)

ベッドの上でうだうだと読書をしていたときのことである。
「◯◯ー」
「んー」
「よんかんしらない?」
「なんの?」
「ゆるめいつ」
枕元を調べる。
「あ、あった」
「よかったー」
うにゅほがとてとてこちらへ歩み寄る。
その途中、
「──ニ゙ゃ!」
踏まれた猫のような悲鳴を上げて、うにゅほがその場にうずくまった。
「どうした!」
慌ててベッドから飛び降り、うにゅほの背中を撫でる。
「ほッ、ゆび……、こゆび……」
「あー……」
クローゼットのカドに小指をぶつけたのだ。
これは痛い。
「──よいッ、しょ!」
「ふい」
よたよたとうにゅほを抱き上げて、ベッドの端に腰掛けさせる。
「小指、見せてみ」
「うん……」
その場にひざまずき、うにゅほの左足を手に取った。
「あー、赤くなってるな」
「とれてない……?」
「取れないって」
「ほんと?」
「爪も割れてないし、折れてもいないと思う」
たぶん。
「……まあでも、痛みが治まらなかったら、病院かな」
「ぶええ」
半泣きである。
「ほら、泣かない泣かない。なでなでしてあげるから」
「……うん」
しばらく患部をさすっていると、痛みも取れたようだった。
家具のカドに小指なんてありがちな笑い話だが、笑い話では済まないこともある。
気をつけましょう。

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2017
06.21

うにゅほとの生活2028

2017年6月21日(水)

父の日にと注文してあったトレーナーが、今日になってようやく届いた。※1
「おとうさん、よろこんでたね」
「よかったな」
「うん!」
「……まあ、還暦迎えたおっさんのファッションショーとか、どうかと思うけど」
「えー」
うにゅほが不満げに声を上げる。
「あげたの、きてみてほしいな」
「わかるけどさ」
「でしょ」
「でも、せっかくなら××のファッションショーのほうがいいなあ」
「……うへー」
うにゅほが照れ笑いを浮かべる。
「××も、そろそろ夏服買わないとな」
「なつふくかー」
「たくさん買って、ファッションショーしてもらおう」
「たくさんはいいよー……」
苦笑する。
「夏用のパジャマは?」
「あ、ほしいな」
「甚平」
「ほしい!」
「××は安上がりだなあ」
「うへー」
まあ、そういうファッションショーがあってもいいだろう。
「◯◯も、ふぁっしょんしょーしようね!」
「えー……」
「えーじゃなくて」
「三十路男のファッションショーなんて、誰が喜ぶんだ」
「わたし」
「……まあ、観客は××だけだけど」
「しようね」
「わかりました」
変な約束を交わしてしまった。
まあ、楽しそうではあるけれど。

※1 2017年6月16日(金)参照

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2017
06.20

うにゅほとの生活2027

2017年6月20日(火)

「──…………」
むくり。
「あ、おきた」
「……あーよーございます」
「おはようございます」
ぺこり。
「◯◯、うーうーいってた」
「寝言?」
「うーうー」
「うなされてたのか……」
「うん、うーうーいってた」
「うーうー」
「うーうー」
うにゅほがここまで言うからには、文字通りうーうー唸っていたのだろう。
「ゆめみたの?」
「見た」
「どんなゆめ?」
「早く起きなくちゃ、学校行かなくちゃ、って夢」
「やなゆめだ」
「悪夢ってほどではないけど、まあ、よく見る嫌な夢だな……」
「だから、うーうーいってたんだねえ」
うんうんと頷く。
「……叩き起こしてくれてもよかったんですぞ?」
「うん……」
うにゅほの表情が翳る。
「おこそうかね、まよったの」
「そうなんだ」
「でも、まだはちじだし……」
「──…………」
壁掛け時計を見やる。
七時五十分。
「……二度寝します」
「おやすみなさい」
次に目が覚めたのは、午前十時過ぎのことだった。
せっかく、朝、時間に追われない生活を手に入れたのだ。
そんなわけのわからん悪夢とは、おさらばしたいものである。

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2017
06.19

うにゅほとの生活2026

2017年6月19日(月)

塞いでも塞いでも別の場所から現れるアリへの対策は、素人には荷が勝ちすぎる。
そこで、ダスキンの害虫駆除サービスを利用することにした。
費用は10,800円。
お手頃である。
その結果、
「──まさか、花壇に巣があるとはなあ」
「うん……」
「縁の下じゃなかったんだな」
「びっくりした」
玄関先の花壇から、経年劣化で割れた基礎を侵入口として、屋内へと入り込んでいたらしい。
台所は家の奥側だ。
かなりの数のアリが、見えないところを這い回っていたのだろう。
「縁石どけたら、すごかったな……」
「ぶわーって」
「……正直、鳥肌立った」
「わたしも……」
体長3ミリ程度の小さなアリとは言え、数百匹がうようよと蠢いているのを見れば、背筋も冷えるというものだ。
「死ぬほど薬剤ぶっかけてたから、死ぬとは思うけど」
「しんだらいいねえ……」
「ほんとな……」
花壇に巣を作るのは構わない。
アリには、蛾やゲジほどの嫌悪感はないからだ。
屋内に迷い込んでくるのも、いい。
気分がよければ、殺さずに、外に逃がしてやることもあるだろう。
だが、一斉に侵入してくるのだけは、駄目だ。
嫌悪からではない。
精密機器──特にPCに入り込んで、壊してしまう可能性があるからだ。
「素直に外で暮らしていれば、長生きできたものを」
外に向かって合掌すると、うにゅほがそれにならった。
「みんなしんでね……」
えらいこと言っとる。
これで全滅しなければ、いよいよもってどうしよう。

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2017
06.18

うにゅほとの生活2025

2017年6月18日(日)

友人から、定山渓みやげの温泉まんじゅうをいただいた。
「美味い」
「おいしいねえ……」
ふかふか、もちもち。
あんこたっぷり、それでいて甘すぎない。
「これは、牛乳が必要な案件ですな」
「そうですな」
ふたり頷き合い、階下の台所へと向かう。
すると、
「ありだ!」
シンクからワークトップ、上下のキャビネットにかけて、十数匹のアリがうようよと這っていた。
「──……はあ」
もう、溜め息しか出ない。
「××。調味料を退避させるから、可能な限り潰しておいて……」
「はい!」
ふんすふんすと鼻息荒く、うにゅほがアリを潰していく。
小さな虫には滅法強い子である。
ひととおり殲滅し終えたあと、侵入口の当たりをつける。
「今回、床には一匹もいなかったよな」
「うん」
「窓際には、いちおう、虫コナーズを噴霧してあるし」
「そだねえ」
「てことは、上か……」
「うえ?」
うにゅほが天井を見上げる。
「もし、キャビネットの奥に穴があって、そこから入ってきたのなら──」
キャビネットの内側に虫コナーズを噴霧し、言葉を継ぐ。
「アリは、既に、壁の裏を通り道にしていることになる」
「うん……」
「このままじゃ、また、俺たちの部屋に侵入されるかもしれない」※1
「どうしよう……」
「ほんッと、毎年毎年……」
和気あいあいと温泉まんじゅうに舌鼓を打っていたのに、そんな気分じゃなくなってしまった。
ほんと、どうすればいいのやら。

※1 2016年5月15日(日)参照

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