2018
07.17

うにゅほとの生活2416

2018年7月17日(火)

うにゅほを膝に乗せてホロウナイトをプレイしていると、全身が徐々に汗ばんできた。
「……暑くない?」
「あつい……」
チェアを滑らせ、温湿度計を覗き込む。
「──あれ、26℃しかない」
意外だ。
30℃までは行かなくとも、29℃は確実にあると踏んでいたのだが。
「◯◯、ゲームすると、あつくなる」
「そんなに熱くなるほうじゃないと思うけど……」
対戦ゲームじゃあるまいし。
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「◯◯、いま、あつくなってる」
「いま?」
「うん」
ぺた。
うにゅほが俺の腕に触れる。
「あつい」
「……熱いって、物理的に?」
「うん」
なるほど、そういう意味か。
「そんなに熱いですか」
「せなかとおしり、あせかいてきた」
「それは単にくっついているからでは……」
「それもある」
「夏場だから仕方ないよな」
「うん、しかたない」
くっつかないという選択肢は、うにゅほの中にはないらしい。
べつにいいけど。
「たいおんけいもってくる?」
「いや、そこまでは……」
「ななどはあるとおもう」
「それ、風邪じゃない?」
「かぜのにおいしないから、かぜじゃないよ」
「そっか」
うにゅほが言うなら、そうなのだろう。
こと俺の体調に関して、うにゅほの判断が外れたことはない。
「いったん休憩するか」
「うん」
エアコンをつける室温ではないので、数日前に出したばかりの扇風機でしばし涼を取った。
扇風機も悪くないものだ。

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2018
07.16

うにゅほとの生活2415

2018年7月16日(月)

「◯◯ー」
「お」
湯上がりで髪を乾かしたばかりのうにゅほが、俺の座っているパソコンチェアをくるりと反転させる。
そして、
「うへー……」
いそいそと俺の膝に腰掛け、チェアの向きを元に戻した。
シャンプーの芳しい香りが、ふわりと鼻腔をくすぐる。
「ね、あのゲームやらないの?」
「ホロウナイト?」
「うん」
「好きだなあ」
「かわいい」
「まあ、可愛いけど……」
ホロウナイトは、最近俺がハマっている2Dアクションゲームである。
デフォルメされたムシたちの住む広大な地下迷宮を冒険するという内容なのだが、難易度はなかなか骨太だ。
「じゃあ、すこしやるか」
「やた」
「コントローラー取って」
「はーい」
うにゅほを抱き締めるようにしてコントローラーを握り、Steamからホロウナイトを起動する。
「昨日、どこまで行ったっけ」
「なんか、でんしゃみたいののった」
「トラムか」
「とらむ」
しばし"古代の穴"を探索し、貯まったお金を消費するために街へ戻る。
「あ、そうだ」
「?」
「××も、ちょっとだけ操作してみるか?」
「いいよー……」
「敵のいないとこだから」
「……うと、ちょっとだけ」
うにゅほがコントローラーを受け取る。
最初こそ遠慮していたものの、実際に操作してみると、けっこう夢中になっているようだった。
「よし、敵のいるとこ行ってみるか」
「やだ……」
それは嫌らしい。
難易度が低くて可愛らしいゲームでも見繕っておこうかなあ。

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2018
07.15

うにゅほとの生活2414

2018年7月15日(日)

「──……◯◯、◯◯」
肩をぽんぽんと叩かれ、意識を取り戻す。
「あれ……」
すこしばかり痛む首を気にしながら、チェアの上で居住まいを正す。
「……俺、寝てた?」
「ねてた」
マウスを握りながら意識を手放していたらしい。
「いま何時?」
口でうにゅほに尋ねながら、壁掛け時計に視線を投げる。
「さんじはん」
三時半である。
いつから寝落ちしていたのか、まったく思い出せない。
「休日は無限に眠い……」
「ベッドでねたほういいよ」
「そうなんだけどさ」
「◯◯、くび、すごいまがってた」
「あー」
だから痛むのか。
「ほら」
うにゅほが俺の手を取り、引く。
「ベッドでねよ」
「あー、うん……」
導かれるままベッドで横になり、眼鏡を外す。
「はい、あいますく」
「……このアイマスクも、ゴムがびろんびろんになってきたなあ」
「てんぴゅーる」
「そう、テンピュール」
愛用しているテンピュールのアイマスクは、同じ商品の二代目である。
おおよそ一年半ほどでゴムが伸び切ってしまうのは、素材としての宿命なのだろう。
「ゴム部分を張り替えれば、まだ使えるんだけどな」
「はりかえる?」
「めんどい」
「めんどいかー」
「三千円もしないし、それなら新しく買っちゃうよ」
「そだねえ……」
「じゃ、寝る。三十分くらいで起こして」
「はーい」
三十分ほど仮眠すると、驚くほど眠気が取れた。
うたた寝では、睡眠としてカウントされないのかもしれない。

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2018
07.14

うにゅほとの生活2413

2018年7月14日(土)

「──……あつ」
エアコンの効いた自室を出た瞬間、蒸れた空気が全身にまとわりついた。
「あっついねー……」
「暑いのは嫌いじゃないけど、蒸し暑いのはちょっとな」
「わかる」
「ほんと、エアコン様々ですね」
「ですねえ」
「サッと行って、パッと帰ってきちゃおう」
「うん」
最寄りのコンビニへ赴き、月曜祝日のため早売りのジャンプと、アイスを幾つか購入する。
ふたり揃ってクーリッシュを咥えながら帰宅すると、弟がリビングでテレビを見ていた。
「なに見てんの?」
「録画してたやつ。万引きGメン」
「……お前、そういうの好きだよなあ」
「けいさつにじゅうよじとか、いつもみてるもんね」
「わりと好き」
「人気あるから定期的に放送してるんだろうけど、何がいいのかよくわからん」
「そう?」
弟が、不思議そうな表情を浮かべる。
「馬鹿な奴らが馬鹿なことやって自業自得で報い受けてるんだから、面白いじゃん」
「ああ、そういう……」
「なんだよ」
「いえ、文句ありません。ハイ」
「わたし、ちょっとにがてだな……」
「××はそうかもね」
うにゅほは、威圧的な態度を取る人間が苦手である。
得意な人はあまりいないと思うけど。
「でも、兄ちゃんは小説書くんだから、人の汚い部分とか見といたほうがいいんじゃないの」
「サイコパスとかシリアルキラーの出る映画はよく見るけどなあ」
「それはまたジャンルが違わない?」
「違うかもしれない」
「(弟)、アイスたべる?」
「食べる」
しばしのあいだ弟と一緒にその番組を見てみたが、やはり面白さがよくわからなかった。
感性の共有は難しい。

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2018
07.13

うにゅほとの生活2412

2018年7月13日(金)

「──…………」
ふと気がつけば、L字デスクの上が、また雑然とし始めていた。
「……片付けるかー」
「かたづけるの?」
「そうしようかと」
「てつだうね」
そう言って、うにゅほが立ち上がる。
俺が言い出すのを待っていたのかもしれない。
「これ、なんだろ」
うにゅほが、デスクの端にまとめてあった数通の封筒を手に取る。
「よどばし」
「クレジットカードの明細書だな」
「いる?」
「うーん……」
要不要で言えば不要なのだろうが、捨てるのも憚られる。
「小箪笥の上の引き出し、入れといて」
「はーい」
うにゅほに指示し、デスクに向き直る。
デスクの上でいちばん幅を利かせているのは、なんと言っても読み終えた本の山である。
「……二十冊くらいかな」
「よんだら、すぐ、かたづけないと」
「はい……」
わかってはいるのだが、つい積んでしまう。
手分けして本を片付けると、その麓から、幾つもの「いますぐは必要ではないもの」が現れる。
唇が荒れたときに塗る、リップバーム。
プラスチック製のスプーン。
風邪を引いたときに出されたよく知らない薬。
オロナイン軟膏。
全体的に、薬が多い印象だ。
「──…………」
「──……」
「つかったら、すぐ、かたづけないと」
「はい……」
読んだら、すぐ、片付ける。
使ったら、すぐ、片付ける。
結局のところ、それに尽きるのだ。
前向きに善処しようと思った。

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