2017
04.25

うにゅほとの生活1972

2017年4月25日(火)

帰途の車中のことである。
「くれじっとかーど、ほんやさんでもつかえるんだねえ」
「便利だよな、ほんと」
「べんり」
小銭の数が最小になるよういちいち計算したりせずに済むし。
「くれじっとかーどだしたとき、◯◯なにしてたの?」
「うん?」
「てんいんさんが、なんかだして、◯◯、ぴっぴっ、て」
「あー……」
ようやく思い至った。
「暗証番号を入力してたんだよ」
「あんしょうばんごう」
「本人確認のためだろうな」
「コンビニはいいの?」
「コンビニより高額を扱うところだから、そこんとこ厳しくしてるんじゃないかな」
「なるほど」
うにゅほがうんうんと頷くのを横目に、ウインカーを出して右折する。
「──あ、にじ!」
「おー」
七色の光の束が、視界の端で弧を描いていた。
「久し振りに見たなあ」
「きれい」
「せっかくだから、写真に撮っとくか」
「──…………」
道路脇に停車し、ジーンズのポケットからiPhoneを取り出す。
「ね」
「?」
「にじのそと、もうひとつ、うすいにじない?」
「──…………」
目を凝らす。
「……本当だ、二重に掛かってる」
「そんなことあるんだ……」
「珍しいもの見たなあ」
「◯◯、しゃしんしゃしん!」
「おっけー」
ふたつめの虹は薄すぎて、上手く写真に収めることができなかった。
だが、どうやら縁起はいいらしい。
なにかいいことありますように。

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2017
04.24

うにゅほとの生活1971

2017年4月24日(月)

マットレスに顔から突っ伏したまま、呟く。
「はぶは、へうい……」
「ぼくは、ねむい?」
「惜しい……」
「もっかい」
マットレスに突っ伏しなおし、再び口を開く。
「あぶは、えむい……」
「はるは、ねむい」
「正解」
「やた」
「やー、眠いっす……」
目蓋がぴくぴくしているのが自分でもわかる。
「なんじにねたの?」
「三時くらい」
「いつもくらいだね」
「春は、ほんと、寝ても寝ても寝足りない……」
「まいとしそんなかんじだねえ」
「──春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山際、すこし明かりてうんぬんかんぬん」
「あ、きいたことある」
「枕草子」
「まくらのそうし」
「こっちゃ明け方なんてぐーすかぴーですけどね」
「ひるも、ぐーすかぴー」
「そうならないように頑張って起きてるじゃないですか……」
「ねむいなら、ぐーすかぴーしたほういいよ」
「気に入ったの?」
「うん」
「……まあ、わりと毎年抵抗虚しく昼間っからぐーすかぴーしてる気はする」
「むりしない」
「はい」
「ひざまくら、する?」
「してほしいけど、この感じだと、どうも数時間単位の睡眠が必要な気がする……」
「ちょっとつらい……」
「トイレも行けないしな」
「うん」
「膝枕は、仮眠のときにお願いします」
「はーい」
布団に潜り込み、目を閉じる。
意識を取り戻したのは、午後三時を回ったころだった。
昼食を取り損ねるほど眠ったにも関わらず、眠気が完全に取れないのだから、春の魔力は恐ろしい。
今日は早めに寝ることにしよう。

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2017
04.23

うにゅほとの生活1970

2017年4月23日(日)

「──…………」
すう、はあ。
小さく呼吸を整える。
「……だいじょぶかな」
「大丈夫、のはず」
「つかえるかな」
「使えるはず」
「……いく?」
「行きましょう」
調整豆乳と黒豆大福をふたつずつ手にし、レジへと向かう。
そして、
「カードでお願いします」
届いたばかりのクレジットカードを店員に差し出した。

「買えた……」
「かえたねえ……」
コンテカスタムに乗り込み、クレジットカードを眼前にかざす。
カード自体は以前から持っていたものの、ネット通販にしか利用したことがなかったのだ。
「しかも、超楽だった」
「うん」
「サインとか必要ないんだ」
「これで、ポイントたまったのかな」
「たぶん……」
今回新しく作ったのは、ヨドバシカメラのゴールドポイントカード・プラスである。
ヨドバシカメラ以外の店舗で使っても、1%のポイントがつく。
「月の出費をクレジットカードに頼れば頼るほど、ヨドバシのポイントが手に入る」
「うん」
「年に百万使うとすれば、一万円ぶんだ」
「すごい……」
「なかなか馬鹿にできないよなあ」
「いちまんえんあったら、なにかえるかな」
「それはもう、よりどりみどりですよ」
「すごいねえ、べんりだねえ」
「一括払いに限れば、デメリットはないからな」
たぶん。
「でも、つかいすぎだめだよ」
「そのときは、××が止めてくれるだろ」
「うん」
「なら、問題ないな」
明細書が届くから、買い物のたびにいちいち家計簿アプリを起動させる手間も減る。
財布を落とさないようにだけ、これまで以上に気をつけねば。

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2017
04.22

うにゅほとの生活1969

2017年4月22日(土)

ぺり。
卓上鏡を覗き込みながら、鼻の絆創膏を剥がす。
「赤みは取れたかな……」
鼻の頭を軽く押す。
「いたい?」
「いや、痛みもない」
「なおった」
「オロナイン、すごいな」
「でしょ」
オロナイン信者のうにゅほが、えへんと胸を張る。
「でも、かさびたみたいなってるから、もっかいさびおはろうね」
「かさびた?」
「?」
「かさぶた」
「かさびた」
「正確には、かさぶた」
「そなの?」
「そのはず」
「おかあさんかおとうさん、かさびたっていってた」
「方言なのかな」
「でも、かさびたのがいいやすい」
「そうか?」
「うん」
「かさぶた、かさびた、かさぶた、かさびた──」
幾度も繰り返し呟いていると、だんだんよくわからなくなってきた。
「ぶた」
「びた」
「びた」
「びた……」
「デカビタCってあったな」
「かさびたしー?」
「みずびたし」
「みずびたしー」
「××、サビオ貼って」
「はーい」
この様子なら、明日には完治しているだろう。
オロナイン、侮れない。
侮れナインというくだらない駄洒落を思いついてしまった人は、先生と一緒に廊下に立ってましょう。

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2017
04.21

うにゅほとの生活1968

2017年4月21日(金)

「ぬー……」
眠い。
眠いときは、何をしても眠い。
「──…………」
うと、うと。
半分寝ながら朝食を口に運んでいると、
「?」
隣に座っていたうにゅほが、唐突に、俺の鼻の頭を押した。
「いて」
「あ、ごめんなさい……」
「鼻、どうかしてる?」
「あかい」
「できものかな」
「ぷち、ってかんじじゃないよ」
「ぷち?」
「にきびみたいかんじ」
「ではないと」
「うん」
よくわからなかったので洗面所へ向かう。
鏡の向こうに、ボサボサ頭の眠そうな男が立っていた。
「あー……」
鏡面に顔を近づけてみると、たしかに鼻の頭が赤い。
指先で触れると、痛い。
「……なんか、奥のほうが腫れてる感じだなあ」
「おく?」
「毛穴の奥……?」
「けあなの」
「ごめん、適当言った」
「オロナインぬろ」
「オロナインって、できものにも効くんだっけ」
「きくよ」
「そうなんだ」
「にきび、ふきでものって、こうのうのとこにかいてる」
「なら効くな」
「きく」
朝食をたいらげたあと、鼻の頭にオロナインを塗って上から絆創膏を貼った。
「似合う?」
「あはは、にあう!」
「それじゃ、二度寝します」
「おやすみなさい」
次に起きたのは、正午近くになってからだった。
いつの間にか枕に顔を突っ込んでいたので、それを見越して絆創膏を貼っておいてよかった。
外出するときは、さすがに剥がすけれど。

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