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2013
12.22

うにゅほとの生活757

2013年12月22日(日)

「はー……」
失意と共に玄関の扉を押し開く。
「ただいまー」
「おかえり!」
ぱたぱたと足音を立ててうにゅほが俺を出迎えた。
「パソコンなおった?」
「う」
言葉に詰まる。
裏に住む兄妹からPC関連の相談を受けたのだが、
「──……駄目でした」
「だめだったの」
「十年落ちのノートパソコンと第三世代のiPod nanoで、認識すらしないんだからそりゃ無理だ……」
一時間ほど粘ったが、どうしようもなかった。
「むりならしかたない」
ぽんぽん。
うにゅほが俺の肩を優しく叩く。
「そうなんだけど……」
溜め息をつき、言葉を継ぐ。
「期待されて、それに応えられないと、なんとなくもやもやするんだ」
「そうなんだ……」
うにゅほが神妙な顔で相槌を打った。
マフラーをゆるめながら階段に足を掛けたとき、
「あ、おしるこたべる?」
「おしるこ?」
「かぼちゃのおしるこ、おばあちゃんとつくった」
「かぼちゃ──ああ、冬至のか」
「そう、とうじ」
冬至という言葉の意味を、うにゅほは知っているのだろうか。
たぶん知らない。
あとで教えればいいや。
「食べる食べる」
「じゃあ、なべもってくる」
「鍋ごとじゃなくていいんだけど」
「じゃあ、おわん」
「あずき多めで」
「はーい」
祖母とうにゅほのおしるこは、素朴な甘みがして美味しかった。
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