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2013
09.27

うにゅほとの生活671

2013年9月27日(金)

目を開けると、午後五時だった。
眠っていたわけではない。
灼熱の布団のなかで、なかば強引にまどろんでいただけである。
それでも安静にしていたことに違いはなく、多少なりとも復調しているように思えた。
「──……ずっ」
鼻水は止まらないが。
自室の扉を開くと、リビングのソファに浅く腰掛けていたうにゅほが視線を上げた。
「おはよ、だいじょぶ?」
「昨日よりは」
「びょういんは?」
「えー……」
掛け時計を見上げる。
午後五時変わらず。
「……今日はいいや」
「いかないの?」
「行かない」
「あさ、いくって」
「言ったけど……」
診療時間には間に合うかもしれないが、面倒だった。
この年齢まで病弱を通していれば、風邪の程度は経験則でわかるし、どんな診断を下されてどんな薬を処方されるかもわかる。
それが対症療法薬であり、市販の風邪薬でも十分な効果を得られることも知っている。
「今日は様子を見て、明日──」
そう言いかけて、気がついた。
うにゅほが外出用のポシェットを提げている。
「……もしかして、ずっと待ってたのか?」
「まつ?」
「病院行くから、俺が起きるの待ってたのかって」
「うん」
さも当然のように頷いた。
「うー、あー……」
唐突な罪悪感に、頭を抱える。
いいのか。
いいのか、俺は、それで。
たかだか面倒くさい程度のことで、このいじらしい少女の気遣いを蔑ろにしていいのか。
「……行くか、病院」
「うん」
うにゅほがぴょこんと立ち上がる。
「ちょっと待ってくれ、着替えるから」
「はい」
ぽすんと座る。
その様子を微笑ましく眺め、きびすを返した。
もそもそと着替えを終え、財布をポケットに仕舞う。
「あ、診察券」
かかりつけの病院の診察券を確認し、
「──…………」
おもむろに自室の扉を開けた。
「いく?」
「診療時間、五時までだった」
「ごじ……」
掛け時計を見上げる。
午後五時五分。
「明日だな」
「うん……」
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