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2013
08.28

うにゅほとの生活641

2013年8月28日(水)

「──……ふ……」
上体を起こし、生あくびを噛み殺す。
蓬髪を掻き乱しながらリビングへ向かうと、うにゅほがぽけらっとテレビを見ていた。
「あ、おはよ」
「おふぁ──……よう」
挨拶の途中にあくびが混じった。
「ねむそう?」
「脳は起きてるけど、体がついてこない」
「ねぶそくだ」
「雷様のおかげさまでな」
「かみなりさま?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……すやすや寝てると思ってたけど、本当になにも気づかなかったのか?」
「なにー?」
不安そうな様子で、口を横に広げる。
「ああ、でも、寝てて正解だったかもなあ」
「──…………」
焦らしてみるが、可哀想なのでやめた。
「昨夜、雷が凄かったんだよ」
「かみなり……?」
うにゅほがそわそわと窓の外を見上げる。
雷が苦手なのだ。
「今は晴れてるから大丈夫だろ」
「うん」
「ただ、昨夜は本当に凄かった。
 今年は雷多いけど、そのなかでも断トツだよ」
「そんなに?」
きょとんとするうにゅほに、身振りを交えて説明する。
「雷って、どうして光ったあとに音が鳴るか知ってるか?」
首を横に振る。
「それは、音よりも光のほうがずっと速いからだ。
 だから、光と音に時間差があればあるほど、雷は遠くに落ちたってことになる」
「ふん」
「逆に言えば、光ってすぐに雷鳴があれば、それだけ近くに落ちたってことだ」
「ふんふん」
「近くに落ちれば、音だって凄い。
 雨でもなく、風でもなく、雷が落ちただけで家が揺れるんだ」
「──…………」
うにゅほの表情に不安の影が落ちる。
「それが、一分間に一度、およそ二時間も続いたんだから、起きなくてよかっただろ」
「おきなくてよかった……」
俺でさえ恐ろしかったのだから、うにゅほなんて布団をかぶってべそをかいていてもおかしくはない。
「……そういえば、近所に落ちたっぽいんだよな」
「え……?」
「雷、近所に落ちたって」
「どうして?」
「理由なんて──……」
質問の意図を取り違えていたことに気づく。
雷が落ちた理由ではなく、それを知ることができた理由が気になったのだろう。
「や、消防車のサイレンが聞こえたんだよ」
「しょうぼうしゃ?」
「落雷に火事はつきものだからな。
 ついでに豪雨だったから、大した被害ではないと思うけど」
「だいじょぶかな……」
「大丈夫だろ」
たぶん。
はらはらしているうにゅほの頭を撫でて、こらえきれずにくすりと笑った。
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