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2013
08.22

うにゅほとの生活635

2013年8月22日(木)

小気味良い足音が階下から響き、自室の扉が開いた。
「◯◯、テレビとどいた」
「テレビ──ああ、そうか」
昨日、狸小路で購入したものが届いたのだろう。
「あれは、テレビじゃなくて、PC用のディスプレイだよ」
「?」
小首をかしげる。
「テレビってかいてたよ?」
「えっ」
嫌な予感がした。
慌てて玄関へ向かうと、平たいダンボール箱が引き戸に立て掛けられていた。
「21.5インチワイド液晶──……テレビ」
いや、ちょっと待て。
店頭では、たしかにディスプレイと表示されていたはずだ。
くらくらしながら表記を読み進めていくと、
「……あ、PC接続も可能なのか」
ひとまず胸を撫で下ろす。
「だいじょぶだったの?」
「ああ、大丈──……」
待て。
11,800円で購入できる21.5インチのテレビが、ディスプレイとして十全の働きをするだろうか。
周囲に機材がなくて面倒だからと画質の確認を怠った昨日の自分が恨めしい。
いや、もしかしたら、この中国製のディスプレイが価格以上の高画質高発色を発揮する可能性も、
「なかった」
接続したディスプレイの画面を見つめながら、呟く。
「可能性なんてなかった」
さて、この使えないディスプレイをどうしてくれよう。
「うる?」
「さすがに、昨日まで一万円札だったものを、ワンコインに替えるのはちょっと」
「むだづかい……」
ぐうの音も出ない。
「ああ、でも、テレビとしては使えるんだったな」
「テレビにする?」
「するとして、置けそうなのは──まあ、そのあたりかな」
俺が生まれる以前から本棚でくすぶってきた、英語教材セット全二十巻を指さした。
「これ、どうするの?」
「売るか、捨てるか、どっちにしろいい機会だと思う」
いくらしたんだろうな、これ。
母親の了解を取ってスペースを作り、テレビを設置した。
「お、テレビとしては悪くないな」
「うん」
うにゅほが目を輝かせ、ローカル番組に見入る。
「……くびいたい」
「そりゃなあ」
ソファに座った状態で、ソファの後ろにあるテレビを見れば、そうなるのは自明である。
「俺のとこから見ればいいだろ」
「そか」
得心のいった様子で、うにゅほが俺の膝の上にちょこなんと腰を下ろした。
「椅子持ってきて、俺の隣で見ればって意味だったんだけど……」
「てすと」
テストなら仕方ない。
五分ほどして、
「あつい」
という呟きを残し、うにゅほは去っていった。
なんだろうこの気持ち。
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