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2013
07.27

うにゅほとの生活609

2013年7月27日(土)

引き出しから、未開封のワープロ用感熱紙が出てきた。
いまさらどう活用すればいいのだ。
「かみ?」
うにゅほが手元を覗き込んだ。
「これは、ただの紙じゃないぞ。不思議な紙だ」
「どうふしぎ?」
「指で字が書ける」
開封し、感熱紙を一枚抜き出す。
「なんて書いてほしい?」
「アイス」
それは食べたいものだろ、と思いながら、爪の先でアイスと書く。
「あ、ほんとだ!」
「だろ?」
「でも、アイヌになってる」
「うるさいな」
指で字なんて書き慣れているはずがない。
「わたしもやっていい?」
「いいよ」
「つめでやるの?」
「そう、なるべく強めに書いたほうがいいかもしれない」
うにゅほが大きく俺の名前を書く。
「◯◯!」
「──…………」
なんだか気恥ずかしい。
「なんで、じーかけるの?」
「熱に反応して黒くなる薬品が塗ってあるらしいよ」
「ねつ?」
「熱」
「もやしたらくろくなる?」
「燃やしたら灰になるな」
「ゆびですりすりしたら、くろくなるかな」
「摩擦熱か。試したことないな」
「やってみる」
うにゅほが感熱紙の上に指を置き、激しく前後させる。
「に、い、い、ぃ、い──……」
十秒ほど摩擦した結果、
「ならない……」
「ヤケドしない程度の摩擦熱じゃ、変色しないのか」
「じゃ、ドライヤーは?」
「あー、なるかもな」
試してみた。
「ならない……」
「ならないな」
意外である。
「ドライヤーくらいの熱なら、黒くなると思ったけど」
「もやす?」
「感熱紙関係ないからね」
「あついもの、あついもの……」
うにゅほが思案を巡らせる。
「あ、すなはま!」
「日差しが強い日の焼けた砂なら、黒くなるかもな」
「あめだもんね」
「いや、晴れてても行かないからね」
感熱紙を砂浜に押し付けるために海へ行くってなんだ。
「爪では黒くなるんだから、それでいいじゃないの」
「そだね」
感熱紙を使ってふたりで遊んでみたが、五分と持たなかった。
九十七枚の感熱紙は、引き出しの奥へと再び姿を消した。
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コメント
そう考えると爪の摩擦熱ってすごいですね
どらいやーdot 2013.07.29 15:33 | 編集
接地面積が少ないからでしょうかね
八白dot 2013.07.29 19:40 | 編集
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