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2013
07.23

うにゅほとの生活605

2013年7月23日(火)

「ぅぁー……」
「──…………」
暑くてとろけていた。
真夏日も甚だしい。
「あーづーいー……」
「アイスもうないっけ……」
「ないー」
「……外、出たくないなあ」
日差しが強すぎて、屋内が薄暗い。
「あぉー……」
フローリングの上ででろんとしているうにゅほを眺めながら、思った。
「プール行きたいなあ……」
口に出ていた。
「いく!」
弾かれたような勢いでうにゅほが上体を起こす。
「じゃあ、行くか?」
「うん!」
「婆ちゃんの病院が終わったらな……」
「あー……」
迎えに行かなければならないのである。
それからしばらくして、俺たちは市民プールにいた。
利用料金は、一般で六百円だった。
値上がりしている気がする。
「ぶぶぶぶ」
ビート板を抱えたうにゅほが、バタ足をしながら徐々に沈んでいく。
「浮力を足して、なお沈むか……」
体脂肪率が低いせいだろうか。
「なんでしずむの……」
「そんなこと言われてもなあ」
無精髭の生えた顎を撫でる。
「ちょっと、もっかい泳いでみて」
「はい」
うにゅほが泳ぐさまを、真横から観察する。
秒速5センチメートルくらいでわずかずつ前進し、やがて導かれるように水底へと姿を消していく。
「あー」
わかった。
「ビート板の持ち方が悪い」
「もちかた?」
「××は、ビート板の先を握り込むように掴んでるだろ?」
「うん」
恐らく、ビート板を不慮に離してしまうことへの恐怖心からだろう。
「そう持つと、ビート板の先が下がるんだよな。
 先が下がると、前からの水が上のほうに流れるから、ビート板は自ずから沈んでいく」
「……?」
「ビート板の先を上げれば、沈まないってこと」
「どうやって?」
「持ち方の問題だから──あ、貸して」
「はい」
軽く試行錯誤し、確からしい持ち方を導き出した。
「ビート板の真ん中あたりに両手を置いて、端は掴まない」
「びーとばん、すべる……」
「滑らないから、やってみな」
「うん……」
しぶしぶといった素振りで、うにゅほが実践する。
「──すすんだ!」
「掴まなくても大丈夫だろ?」
「うんぶぶぶぶ」
うにゅほの口元が水没する。
全体的には、沈まなくなった。
一時間ほど遊び、心地よい疲労感と共に市民プールを後にした。
「──…………」
「ぅぁー……」
「あっぢー……」
外に出ると、入る前より暑いのだった。
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