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2013
07.22

うにゅほとの生活604

2013年7月22日(月)

「──……おあー……っふ」
大あくびをかましながら自室を出ると、うにゅほが耳を塞いでいた。
「どうかした?」
「なんか、ぴーっておとする……」
「ぴー?」
うにゅほに言われて耳を澄ますと、限りなく高音で単調な音が響いていた。
「なんだ、うるさいな……」
「きこえる?」
「そりゃま、聞こえるだろう」
決して大きくはないが、不快に分類される音である。
「おかあさん、きこえないって」
「あー……」
なるほど、モスキート音みたいなものか。
「人間が音を聴き分ける能力は、年齢と共に衰えていくらしい」
「?」
「あんまり高い音だと、俺たちには聞こえても母さんには聞こえないってことがあるのさ」
「おとうさんは?」
「聞こえないんじゃないかな」
「おばあちゃんは?」
「ふつうに呼んでもたまに聞こえてないじゃん」
「なるほど」
うにゅほがうんうんと頷く。
しかし、問題が解決したわけではない。
「で、なんの音だこれ……」
「わかんない」
「電化製品とか、携帯とか、とにかく通電してるなにかが発信源ってことは間違いないけど」
「そなの?」
「そうでなけりゃ声の低いコウモリとかだろ」
「えー」
テレビ、ではない。
PCでもない。
スピーカーやアンプが怪しいかと睨んだが、違った。
冷蔵庫ではない。
電子レンジでもない。
掃除機も、ドライヤーも、電位治療器も、コンセントに刺さっていない。
「なんの音なんだこれは……」
「でも、なんかこのへんなきーする」
母親用のPCデスク周辺を、うにゅほがぼんやりとなんとなく示す。
リビングのなかでもごちゃごちゃした場所である。
「そんな気するけど、ここ母さんのパソコンしかないよなあ」
「パソコン、でんきついてない?」
「ついてない」
一旦諦め、家族が揃ったときに改めて家探しをした。
「──……これだ!」
うにゅほがぼんやりと示したあたりを浚ってみたところ、デジタル式の小さな腕時計が見つかった。
発信源は、それだった。
「これ、誰の?」
「あ、俺が拾ってきたやつだわ」
父親が手を挙げた。
「なんでもかんでも拾ってくるから……」
「でも、これ拾ったのって去年とか一昨年だぞ」
「──……?」
妙である。
「××、この音っていつから鳴ってたんだ?」
「あさおきたら」
「──…………」
物陰に落ちていた時計が、なにをきっかけにして鳴り始めたのだろう。
謎だ。
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