2013
06.22

うにゅほとの生活574

2013年6月22日(土)

昨夜のことである。
風呂上がりにペンダントを着けようとしたとき、
──コトッ
眼下で物音がした。
視線を落とすと、ペンダントヘッドの水晶石が落ちていた。
胸元に手を伸ばす。
水晶石を支えていたシルバーワイヤーの感触があった。
シルバーワイヤーの感触、だけがあった。
「──…………」
さっと背筋が冷えた。
この水晶石のペンダントヘッドは、うにゅほからの誕生日プレゼントである。※1
それを壊したとあっては、うにゅほに顔向けができない。
「待て、待て、えー……」
水晶石を拾い上げる。
幸いなことに、水晶自体が欠けたわけではなかった。
シルバーワイヤーと水晶石との接触面積がもともと少なかったため、接着剤の劣化と共に剥がれて落ちたということらしい。
これなら、アロンアルファでなんとかなるかもしれない。
「焦るな、焦るな……」
それでは根本的な解決にならない。
今回は、脱衣所だったからよかった。
いつか同じ事態に直面したとき、それが屋外ではないと誰が言える?
後顧の憂いは断つべきである。
「──…………」
うにゅほの寝顔を確認し、音を立てないように外へ出た。
行き先は、24時間営業のドン・キホーテである。
「さて、と──」
帰宅し、デスクの上にレジ袋の中身を広げた。
青写真はこうだ。
シルバーワイヤーで形作られた輪をエポキシパテで埋め、水晶との接触面積を広げる。
そこにアロンアルファを流し込むことで、より強固に接着する。
これで再発を防げるはずである。
「……くさっ!」
エポキシパテを練ると、独特の臭気が自室に充満した。
慌てて窓を開ける。
こんなことで起こしてしまっては、これまでのコストが浮かばれない。
「──…………」
パテが硬化するころには、時刻は既に午前三時を回っていた。
水晶石との接着には成功したものの、パテを盛り過ぎたせいで裏面が膨れてしまっている。
「こんなこともあろうかと……」
一緒に紙やすりを買っておいたのだ。
自分の先見が怖い。
見抜いているのは自分の失敗だけだが。
しかし、思っていたよりも目が細かく、一向にパテが磨り減らない。
なんとか想定通りの形状に整えたころには、夜が白々と明けていた。
「はー……」
溜め息をついても、まだ終わらない。
灰色のパテが目立たないよう、薄い塗装を施し、ニスを重ねて仕上げなければならない。
「──…………」
「あれ、◯◯、おはよう……?」
仕上げ塗りをしたニスが乾いたころ、うにゅほが起き出してきた。
「おはよう」
「はやおき?」
「徹夜」
ペンダントを着け、うにゅほの前に立つ。
「なにか変なところ、ある?」
「へんなとこ?」
しばし観察し、
「ない」
と、答えた。
「そうか……」
よかった。
よかったのだが、異様に疲れた。
マイナスをゼロにする努力の、なんと達成感のないことか。
「……寝る」
「おやすみ……?」
うにゅほの寝床に入れ替わりで、そのまま不貞寝を決め込んだ。

※1 2013年3月2日(土)参照
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