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2019
09.11

うにゅほとの生活2833

2019年9月11日(水)

「××」
「?」
膝の上で読書をしていたうにゅほが、こちらを振り返る。
「ちょっと歌ってみて」
「えー……」
「お願い」
「はずかしい」
「お願いします」
「……どうしても?」
「どうしても」
「うー」
渋い顔をしていたうにゅほが、やがて、小さく頷いた。
「……なにうたったらいいの?」
「なんでもいい──って言ったら、困るよな」
「こまる」
「じゃあ、トトロ」
「どっち?」
「エンディングで」
「わかった」
こほんと咳払いをし、
「とー、と、とな、とー」
軽く音程を確認したあと、うにゅほが歌い始める。
「……となりの、とっとろー、とーとーろー。とっとろー、とーとーろー……」
囁くような歌声が耳朶を打つ。
「もーりーのー、なーかにー、むかしからすんでるー……」
目を閉じて、うにゅほの歌に聞き入る。
歌声は、やがて、歌詞が曖昧な部分で止まった。
「こっからわかんない」
「じゃ、次はオープニングで」
「まだうたうの……?」
「まだまだ」
「うー」
「嫌だ?」
「いやじゃないけど……」
「恥ずかしい」
「はずかしい」
「じゃあ、今度カラオケ行こうか」
「カラオケなら、うん……」
「よし」
言質は取った。
「なんで、うたわせたの?」
「××の歌が聞きたくなったからだけど……」
「それだけ?」
「それだけ」
「そか……」
嬉しいような、戸惑うような、複雑な表情を浮かべながら、うにゅほが本に視線を戻す。
カラオケ、たまに行きたくなるんだよな。
楽しみにしておこう。
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