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2018
05.25

うにゅほとの生活2363

2018年5月25日(金)

「──ぎゃ!」
どたどたどた。
色気のない悲鳴と共に、階段を駆け上がる音が聞こえてきた。
「◯◯! げじ! げじ!」
「マジか……」
今年もまた、奴と対峙せねばならぬ季節が来てしまったか。
げんなりしながら、うにゅほに尋ねる。
「どこに出た?」
「げんかんとこ……」
「わかった」
ともすれば重くなりがちな腰に胸中で鞭を入れつつ、立ち上がる。
逃げられるのが、いちばんマズい。
見えないところにゲジがいる。
そんな恐怖には、耐えられない。
覚悟を決めて階下へ向かうと、

──ぶおー!

父親が、ダイソンのハンディクリーナーで廊下の掃除をしていた。
「父さん、××が、玄関にゲジ出たって」
「ゲジ?」
「うん」
「吸ったぞ」
「──……え゙ッ」
ダイソンの、ハンディクリーナーで?
「見るか?」
「見ない!」
「全部の足が取れて、棒みたいになってたぞ。ほら」
「見ねえー!」
慌てて自室へ逃げ帰る。
「どしたの……?」
「ええと──」
思案し、答える。
「父さんが、なんとかしたって」
「そか……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
足のすべて取れたゲジの話なんて、うにゅほの耳に入れたくない。
田舎育ちのせいか、父親は虫に耐性がある。
心強いが、それ故の無神経さと、年甲斐のない悪戯心を併せ持つ厄介な男なのであった。
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