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2012
04.27

うにゅほとの生活155

2012年4月27日(金)

フリースクール体験入学・最終日。
指導員との面談があるとのことだったので、早めに迎えに行った。
階段の陰から、そっと教室を覗く。
穏やかな昼下がりを絵に描いたようだった。
阿鼻叫喚の一階とは異なり、年長者の威厳すら感じられる。
雑談に興じる生徒たちの向こう。
本棚の隣で一人、読書をするうにゅほの姿があった。
それは決して仲間はずれなどではない。
棲み分けに慣れたフリースクールの子供たちが導き出した、ひとつの答えなのだろう。
面談は、短かった。
女性指導員は、うにゅほの現状を取り繕わずに述べた。
曰く「ゆっくりと慣れて行きましょう」だそうである。
俺は勘違いしていた。
このフリースクールは、箱庭なのだ。
傷を負った子供たちに無条件で居場所を提供する、閉じられた箱庭。
究極的には、ただそれだけの場所。
それを批判するつもりはない。
あの子供たちにとって、必要な場所に違いないのだから。
けれど、うにゅほにとっては、そうではない。
俺たちは既に箱庭を持っていた。
ふたつはいらない。
ひとつで構わない。
「入学は、すこし考えさせてください」
と、女性指導員に告げた。
たぶん、同じ答えしか出ないだろうけれど。
うにゅほにも礼をするように促して、フリースクールを出た。
「じゃ、帰るか」
そう言うと、うにゅほは柔和な笑みを浮かべた。
どんな物語より心を打つ笑みだった。
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