2017
07.29

うにゅほとの生活2066

2017年7月29日(土)

「──…………」
「××、緊張してる?」
「──……」
うにゅほが、うんうんと無言で頷く。
「大きな声を出してもいい場所なんですが……」
「だって」
「うん」
「カラオケ、ひさしぶりだから……」
「何年ぶりだっけ」
「わかんない」
ふるふると首を横に振る。
あとで調べたところ、実に四年半ぶりのカラオケであるらしい。
なんとしても楽しませてあげなければ。
「××、そっち向いて」
「……?」
画面の方へ体を向けたうにゅほの肩をそっと揉む。
「ほー……」
「はい、リラックスリラックス」
「──…………」
「俺しか聞いてないんだから、恥ずかしくないだろ」
「……はずかしい」
恥ずかしいらしい。
「ともあれ、最初は俺な」
「なにうたうの?」
「まずは、喉慣らしから」
「のどならし」
「最初にこれを歌わないと、声が出ないんだ」
端末を操作し、平原綾香の「Jupiter」を予約する。
「しらないきょく」
「たぶん、聞いたことはあるぞ」
左手を腹部に添えながら、そう自慢でもない喉を披露する。
曲が終わったことを確認したあと、うにゅほがぱちぱちと両手を打ち鳴らした。
「すごいねえ! うまいねえ!」
そうでもない。
褒め過ぎである。
「次は、××──」
「──…………」
あ、固まった。
「……一緒に歌う?」
「うん!」
ひとりで歌うのは恥ずかしくても、ふたりで歌うなら問題ないらしい。
気持ちはわかる。
「じゃあ、君をのせてとか、どうかな」
「きみをのせて?」
「ラピュタのエンディングテーマ」
「あ、しってる!」
「入れるぞー」
「おねがいします」
うにゅほの歌声は、とても細い。
音痴でこそないものの、調子外れな部分もあって、決して上手とは言い難い。
でも、一緒に歌っていて、とても楽しかった。
「また来ようか」
帰途の車中でうにゅほに尋ねると、
「うん」
と、満足そうに頷いた。
楽しかったのは、うにゅほも同じようだ。
よかったよかった。
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