2017
07.04

うにゅほとの生活2041

2017年7月4日(火)

近所のセイコーマートでレジを待っていたときのことである。
「──その、すみません」
唐突に、人好きのする笑顔を浮かべた老爺に声を掛けられた。
「え、あ、俺ですか?」
老爺がこくりと頷く。
知らない人に話し掛けられるのなんて、何年ぶりだろう。
思わず声が上ずってしまった。
「市役所へは、どちらへ行けばいいでしょう」
「──……」
「──…………」
うにゅほと顔を見合わせる。
老爺の年齢は、見るからに八十を越えており、もしかすると九十に届いているかもしれない。
「あの、歩いて行かれるんですか?」
「はい、歩いて行くのです」
「歩くには、少々遠いと思いますが……」
「大丈夫です」
老爺が、その場で軽く足踏みしてみせる。
健脚である。
「……◯◯、しやくしょまで、どのくらい?」
「5kmくらいかなあ」
「5kmなら、ほら」
老爺が再び足踏みをする。
やはり、健脚である。
「では、まず、ここを出たら左へ行って──」
市役所までの道のりは、すこし遠いが単純だ。
説明には一分と掛からない。
「とまあ、そうすれば右手に見えてくるはずなので」
「ありがとうございます」
老爺が、深々と頭を下げる。
「あ、いえいえ」
「いえいえー」
俺とうにゅほも、頭を下げ返す。
老爺の背中を見送ったあと、レジを済ませて店を出た。
「おじいさん、しやくしょ、つけるかなあ」
「元気そうな人だったし、大丈夫だろ」
「そだね」
なんとなく心温まる出来事だった。
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