2017
03.18

うにゅほとの生活1934

2017年3月18日(土)

「暑い」
「あついねえ……」
「いよいよ春めいてきたな」
「うん」
窓の外に降り注ぐ陽光が、残雪を優しく焦がしている。
「ゆき、とけるかなあ」
「今日だけで、だいぶ解けると思う」
「あったかいもんね」
「暑いくらいだもんな」
「うん」
「まあ、暑いのは陽射しのせいだけじゃないけど……」
「?」
俺の膝の上に鎮座ましましているうにゅほが、ちいさく小首をかしげた。
「……暑くない?」
「あつい」
「ちょっと汗ばんできた」
「わたしもー」
うへーと笑う。
「──…………」
「──……」
下りる気はないらしい。
俺の戸惑いを察したのか、うにゅほが遠慮がちに尋ねる。
「いや?」
「嫌ではないけど」
夏場だって、くっつくときはくっついているのだし。
「あ、そだ」
「?」
「わたしね、かんがえたの」
うにゅほが、スカートのポケットから紙切れを取り出す。
「はい」
それは、ホワイトデーに渡した「なんでも言うこと聞く券」だった。
「いま使うの?」
「うん」
「なんでも言うこと聞くぞ」
「じゃあ、あついけど、ぎゅーってして」
「──…………」
無言でうにゅほを抱き締める。
「……うへえ」
「こんなことでいいのか」
「うん」
安上がりだなあ。
暑いけれど、ほんのり幸せな、土曜日の午後だった。
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