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2016
01.26

うにゅほとの生活1518

2016年1月25日(月)
2016年1月26日(火)

祖母の葬儀は、終始、和やかに執り行われた。
涙する者は少なかった。
一年間に及ぶ入院生活は、誰しもの心に、覚悟の種を植え付けていたのだろう。
「どうして死んでしまったのか」
ではなく、
「よくここまで頑張った」
と、讃える声の多さこそが、祖母の人徳を詳らかにしていると思う。
「──…………」
告別式を終え、帰宅するなり、喪服も脱がずマットレスに倒れ込んだ。
頭が痛かった。
理由はわかっている。
感情に負荷が掛かり過ぎたのだ。
「◯◯、だいじょぶ?」
「……××こそ、大丈夫か?」
うにゅほは、まだ、泣いていない。
あれほど祖母に懐いていたのに。
祖母が弱音を漏らすたび、頬をしとどに濡らしていたのに。
「おばあちゃん、らくになったって」
「ああ」
「しにたいって、いってたから」
「……ああ」
「よかったのかなって」
「そうだな」
実際、その通りだったのだと思う。
祖母が退院できる見込みはなかった。
先のない退屈には、死しか望みがない。
祖母は賢明な人物だ。
それがわかっていたからこそ、死にたい、死にたいと、漏らしていたのだろう。
「◯◯」
うにゅほが自分の膝を叩く。
「すこし、ねたほういいよ」
「……ああ」
うにゅほの膝に頭を預け、横になる。
すべすべとした喪服の生地が、頬に心地よい。
「──…………」
うにゅほの手が、俺の前髪を掻き上げる。
頭痛。
熱っぽさ。
溢れ出したもの。
戻らないこと。
それらが、すべて、溶けていく。
「◯◯」
「うん」
「おばあちゃん、しんじゃったねえ」
「──…………」
「……しんじゃったねえ」
「──…………」
ぽた。
水滴が、目蓋を濡らす。
ぽた。
頬を濡らす。
「──…………」
俺は、目を開けなかった。
これは、俺の涙だ。
泣くことができなかった俺の代わりに、うにゅほが流してくれた涙だ。
悲しいのに。
つらいのに。
そのはずなのに。
泣けなかったから。

泣けなかったから。
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コメント
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dot 2016.01.27 00:03 | 編集
ありがとうございます
うにゅほが泣いてくれたことで、気が楽になった気がします
よろしければ、これからも読んでやってください
八白dot 2016.01.27 00:14 | 編集
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