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2015
07.26

うにゅほとの生活1336

2015年7月26日(日)

ベランダから運び入れられた新しいソファは、ワインレッドのおしゃれな一品だった。
「あしながいねえ」
「長いなあ」
「ものおちたとき、とりやすそう」
「便利だなあ」
「お前ら、もうちょっとこう、ないのか……」
父親が、呆れたようにそう言った。
「いや、カッコいいと思うよ」
「うん」
「硬くて座りやすいし」
「ね」
「弟はさっき、寝にくくなったって嘆いてたけど」
「……まあ、あいつはな」
弟だから仕方ない。
しばし新しいソファと戯れたあと、自室へ戻った。
「あのソファ、ふたつセットで18万円だってさ」
「たか!……い、の?」
「さあ……」
ソファの相場がわからない。
「まえのソファ、いくらしたの?」
「覚えてない」
「きのううったソファは?」
「あれは、お隣さんがくれたんだよ」
「へえー」
「でも、18万円はけっこう高いほうじゃないかな、たぶん」
「◯◯のぱそこんとおんなじくらい」
「そうだな」
ちょっとだけ新しいパソコンが欲しかったりするのだが、口には出さない。
「ね、◯◯」
「うん?」
「きのう、よくねれた?」
「──…………」
窓際に折り畳まれた敷布団に視線を送り、力強く頷く。
「ああ、よく眠れた」
「よかったー」
うにゅほが胸を撫で下ろす。
ソファを犠牲にして得た安眠である。
「やっぱり、ちょっと寂しいけどな……」
「でも、ねむれたほういいよ」
「……ありがとな」
髪の毛を手櫛で梳いてやる。
「うへー……」
うにゅほは物への執着が強い。
自分のほうが寂しいだろうに、優しい子だ、と思った。
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