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2014
06.21

うにゅほとの生活937

2014年6月21日(土)

「──……ん」
熱い。
布団からのそのそと抜け出ると、僅かに開いた窓から流れ込む外気に思わず溜め息が漏れた。
「あ、おきた」
うつ伏せで読書をしていたうにゅほが、背筋を反らすように上体を起こした。
「ぐあいわるい?」
「だるい……」
いつものに加え、すこし風邪っぽいかんじもする。
本格的に夏が来る前に、なんとか治してしまわなくては。
「すなっくぱいんあるよ」
「スナックパイン?」
「すなっくぱいん」
「なんだそれ」
「ぱいなっぷる」
「それはわかる」
「うーと……」
小首をかしげながら、うにゅほが思案する。
「パイナップルのお菓子?」
「ちがう」
違うのか。
「さくさくしててね、あまい」
「ドライフルーツ?」
「どらいふるーつ?」
「干し椎茸の果物版」
「ちがう」
「……じゃあ、パイナップルの品種なのか?」
「そう、ひんしゅ」
ああ、ようやく答えが見えてきた。
「メロンのあじがするんだよ」
「──…………」
遠くなった。
「……なに、メロンなの?」
「すなっくぱいん」
「パイナップルなんだよな?」
「ぱいなっぷる」
「──…………」
メロンっぽい味がするパイナップルって、パイナップルなのか?
「でね、かわのね、でこぼこしたのを、ちぎってたべるの」
「……皮を食べるのか?」
「かわはたべない」
「皮ごともぎって食べるのか」
「うん」
なんとなく正体が掴めてきた。
果肉が脆く、手で簡単に千切ることのできるパイナップルなのだろう。
「ちょっと食べてみたいかな」
「とってくるね」
小走りでリビングへ向かったうにゅほが、肩を落として帰ってきた。
「……ぜんぶたべちゃったって」
「あー……」
スナックパイン。
ちょっと気になるが、買ってまで食べたいとは思わない。
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