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2020
02.29

うにゅほとの生活3002

2020年2月28日(金)

「──◯◯!」
うにゅほが自室に駆け込み、言った。
「きんきゅうじたいせんげん……!」
「緊急事態宣言?」
「きんきゅうじたいせんげん」
「……?」
「コロナ!」
「コロナで、緊急事態宣言……」
「うん」
「マジか」
「うん……」
情報が断片的過ぎて具体性に欠けるので、検索をかけてみた。
「北海道知事が緊急事態宣言、週末は外出を控えるように……」
「ね」
「これは、また」
本当に緊急事態だ。
「もともと外出する予定はなかったけど……」
「でかけたらだめだよ」
「出掛けないって」
「かいものもだめだよ」
「買い物くらいは……」
「だめだよ!」
「はい」
「きんきゅうじたいせんげんなんだから」
「コンビニは?」
「だめ!」
「散歩」
「いくの?」
「行かないけど」
「なんでいうの?」
「なんとなく……」
「もー」
ぷりぷりしている。
「きんきゅうじたいなんだから、ちゃんとして!」
「はい……」
怒られてしまった。
「とりあえず、土日はどこへも行かないよ」
「よろしい」
「灯油が切れても汲みに行かない」
「それはいいとおもう……」
「玄関フードは外じゃない?」
「ぎりぎり」
「じゃあ、汲みに行く」
「うん」
「雪が降っても雪かきしない」
「しないと……」
「だって外だぞ」
「ひといなかったらいいよ」
「じゃあ、雪かきする」
「うん」
「コンビニは?」
「だめ!」
基準が案外しっかりしている。
週末は家で楽しく過ごそう。

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2020
02.27

うにゅほとの生活3001

2020年2月27日(木)

「ただいまー」
母親と買い物に行っていたうにゅほが、紙袋を手に帰宅した。
「おかえり」
「たいやきかってきた!」
「お」
思わず身を乗り出す。
「あんこ? クリーム?」
「両方!」
「さすが」
わかっている。
「あったかいうちにたべよ」
「待った」
紙袋に手を入れようとしたうにゅほを制する。
「?」
「手は洗ったか?」
「!」
「うがいは?」
「してない……」
「帰ってきたら、手洗い、うがい。徹底しないとダメだぞ」
「はーい」
うにゅほが小走りで洗面所へ向かう。
紙袋を手に取ると、まだほのかに温かかった。
「してきた!」
「よろしい」
「たいやき、たべよ」
「では、いただきましょう」
「いただきます」
クリーム入りのたい焼きに、頭からかぶりつく。
「美味い、美味い」
「おいしいね」
「久し振りに、薄皮たい焼きも食べたいなあ……」
「うすかわたいやき?」
「ほら、駅前にあったじゃん。潰れたけど」
「……?」
「行ったことなかったっけ?」
「おぼえてない……」
「豆乳クリームとか……」
「しらない」
「あれ?」
八年分の日記を開き、"たい焼き"で検索する。
「2012年12月18日に記載がある」※1
「ななねんまえ……」
「……薄皮たい焼きのお店に行こうとして、潰れてたみたい」
「やっぱし」
「一緒に行った気になってたわ」
「いきたかったなあ……」
うにゅほの口元に、俺のたい焼きを差し出す。
「いま一緒に食べてるから、いいじゃん」
「──…………」
はむり。
「おいしい」
「な」
「うへー」
うにゅほが笑う。
コロナの騒動が治まったら、またいろいろ食べ歩きをしようと思った。

※1 2012年12月18日(火)参照

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2020
02.27

うにゅほとの生活3000

2020年2月26日(水)

左目のかすみの原因を究明するため、眼科へ行ってきた。
結果、
「左目だけ、乱視が進んでたんだって」
「らんし……」
うにゅほが表情を曇らせる。
「らんしって、だいじょぶ……?」
「乱視は大丈夫だけど、財布が大丈夫じゃない。眼鏡買い替えないと」
「あー」
「レンズ特注になるから、高いぞきっと……」
だが、視覚に関して出費を渋る気はない。
「眼鏡買いに行くとき、付き合ってくれな。どれがいいとかわからないから」
「うん、わかった」
「××のセンスだけが頼りだからな……」
眼鏡を選ぶ際は、店頭に並ぶ眼鏡のフレームを掛けなければならない。
だが、当然ながら、フレームにはレンズが入っていない。
鏡に映った自分の顔すら判然としない俺の裸眼視力では、ひとりで眼鏡を選ぶことが事実上不可能なのである。
「つぎ、どんなめがねにしようかなー」
「あんまり冒険しないでくれよ。俺の眼鏡なんだから」
「にあうのしかえらばないから、だいじょぶ」
うにゅほの笑顔に一抹の不安を感じながら、日記を書くためキーボードへと向かう。
「──あ、今日で3000回じゃん」
「?」
「日記。3000回目」
「おー」
「すごいだろ」
「すごい」
「××、日記続いてる?」※1
「つづいてるよー」
そう言って、うにゅほが胸を張る。
「父さんの大腸内視鏡検査の日からだから、たしか2月10日だろ。それなら今日で17回目か」
「まだ、じゅうななかい……」
「俺は3000回」
「すごい!」
最初の"すごい"より実感が篭もっていた。
「にっき、いつまでかくの?」
「日記って、いつまでとかなくない?」
「しぬまで?」
「そこまでは言わないけど……」
ともあれ、"うにゅほとの生活"はまだ続く。
今後もよろしくお願いいたします。

※1 2020年2月18日(火)参照

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2020
02.26

うにゅほとの生活2999

2020年2月25日(火)

「うう、左目がかすむ……」
「なおってないの?」
「うん……」
ここ一週間ほど、左目の調子がよくない。
油断すると、右目だけで物を見てしまう。
このままでは斜視になってしまいかねない。
「……やっぱ、眼科行こうかなあ」
「いこ」
「今日は行かないけど」
「あしたいこ」
「明日行くか……」
「うん」
「左目だけ視力落ちてたりして」
「しりょくって、ひだりめだけおちるの?」
「落ちることもあるんじゃないか」
「そか……」
「視力落ちてたら、眼鏡買い替えだな」
「おかねかかるね」
「目に関しては出費を渋りたくない」
「め、だいじだもんね……」
「二個あるって言っても予備じゃないからな、これ」
「えんきんかんだっけ」
「その通り。両目が揃ってないと、遠近感が掴みにくい。片目でボールペンのキャップを閉めてみればよくわかる」
「したことない」
「してみる?」
「うん」
「キャップ式のボールペンないから──」
引き出しからマーカーを取り出す。
「これのキャップを片目で閉めてみてくれ」
「はーい」
左手にキャップ、右手にマーカーを持ったうにゅほが、片目を閉じる。
「いきます」
自信満々にキャップを閉めようとして、
「あっ」
うにゅほの指が、インクで赤く染まる。
「ぜんぜんちがう!」
「だろ」
「ついちゃった……」
「洗っといで」
「うん」
うにゅほが洗面所へ向かうのを確認して、俺もやってみた。
指にインクがつくどころか、かすりすらしなかった。
隻眼で生きるのは難しそうである。

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2020
02.25

うにゅほとの生活2998

2020年2月24日(月)

カレンダーを見て、はたと気付く。
「あ、今年は閏年か」
「うるうどし、おとくなきーするね」
「得、かなあ……」
「とくじゃない?」
「場合によるんじゃないか」
「どんなばあいだと、とく?」
「──…………」
しばし思案し、答える。
「やっぱ、得することはないんじゃないか……?」
「えー」
「ちょっと考えてみたんだけど、思いつかなくて」
「もっとかんがえて」
「××も考えてよ」
「わかった」
両手を擦り合わせながら、うにゅほがしばし思案に暮れる。
「にじゅうくにち、にちようびだったら、おとく……?」
「日曜日は週に一度だから、関係ないんじゃないか」
「でも、にちようおおいつき、おとくなきーするし……」
「日曜日の多い月が得なら、31日まである月のほうが平均的には多いと思うぞ」
「!」
うにゅほが目をまるくする。
気付かなかったらしい。
「うと、はやくじかんがすぎてほしいとき、おとく……」
「……あー」
なるほど、そう来たか。
「たしかにそうだ。三月に楽しみな予定があるなら、早く過ぎるぶん得な気がすると思う」
「でしょ!」
「それは思いつかなかったなあ」
うにゅほの頭を撫でる。
「うへー」
「××は頭いいな。さすがだ。可愛い。天才」
「──…………」
うにゅほが半眼でこちらを睨む。
褒め方がぞんざいだったらしい。
そんなことでへそを曲げるうにゅほではないが、次に褒めるときは丁寧にしよう。

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2020
02.24

うにゅほとの生活2997

2020年2月23日(日)

「ふいー……」
背中からベッドに倒れ込み、膨らんだ腹をぽんぽんと叩く。
「食った、食った」
「おなかぽんぽん」
そう言って、うにゅほが俺の腹部を撫でた。
「ちょっと食べ過ぎたな」
「おいしかったね」
夕刻、家族で焼肉を食べに行ったのだった。
「──…………」
すんすん。
うにゅほが、俺の胸元に鼻を触れ、匂いを嗅ぐ。
「やきにくのにおいする」
「そりゃな」
「いいにおいだけど、ちょっとやだね」
「あとで風呂入らないと」
「うん」
ベッドから身を起こし、うにゅほの髪に鼻を埋める。
「においする?」
「匂いでごはん食べれそう」
「そんなに」
「ちゃんとシャンプーしないとな」
「うん」
うにゅほの髪を持ち上げ、根元から髪先までを順に嗅いでいく。
「根元のほうが焼肉臭い」
「そなの?」
「先のほうはいい匂い」
「よかった」
「匂いでごはん食べれそう」
「えっ」
「××、美味しそう」
「たべないでー」
「食べないから、塩コショウを全身に擦り込んでくれ」
「たべるきだ!」
「そういう美容法かもしれないだろ!」
「きかなそう……」
それにしても、あの牛ホルモンは美味かった。
また行きたいものだ。

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2020
02.22

うにゅほとの生活2996

2020年2月22日(土)

「××」
「?」
「昨日、修学旅行へ行きそうになる夢見たって言ったじゃん」
「うん、いってた」
「今朝、修学旅行から帰ってくる夢見た……」
「すごい!」
「夢が続くなんて、初めてかもしれない」
「しゅうがくりょこうちゅうのゆめは?」
「修学旅行中はダイジェストだった」
「ダイジェスト……」
「ほら、夢って、唐突にそうだったことになるじゃん」
「そうだったこと?」
「なんて言うのかな。実際にそのシーンは夢に見てないんだけど、設定が流れ込んでくる、みたいな……」
「あー」
「わかる?」
「わかるきーする」
「そんな感じで、修学旅行自体は夢に出てきてないんだけど、思い出だけダイジェストでぶち込まれたんだよな」
「どんなおもいで?」
「なんか世界救ってた」
「……しゅうがくりょこう?」
「修学旅行」
「たのしそう」
「昨日の夢は微妙だったけど、今朝は起きたとき満足感あったな」
「いいなあ」
「いいだろ」
「──…………」
「どした」
「そのゆめ、わたしでた?」
「──…………」
「──……」
「……出なかった」
「だしてよー……」
「そんなこと言われても」
「わたしも、いっしょに、しゅうがくりょこういきたかった」
「××側にそういう夢を見てもらうしか……」
「むずかしい」
「××のほうは、今朝見た夢に俺出てたのか?」
「……たぶんでてない」
「出してくれよー」
「じぶんできめれないし……」
おまじないなどではなく、好きな夢を確実に見られる方法があればいいのに。

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2020
02.22

うにゅほとの生活2995

2020年2月21日(金)

「──……眠い」
「ねる?」
「寝ない……」
「ねないの」
「昨夜、ぜんぜん寝付けなくてさ」
「うん」
「いま昼寝すると、また夜眠れなくなるじゃん」
「あー……」
「生活サイクルを崩さぬために、今日は眠気を我慢するのだ」
「えらい」
「偉いだろ」
「でも、むりしないでね」
「本当にヤバくなったら仮眠を取ることにする」
「うん」
「そう言えば、今朝、修学旅行の夢見たよ」
「どこいったの?」
「どこも行ってない。行く前に目が覚めた」
「ざんねん」
「集合場所へ行く途中にぜんぜん準備してないことに気付いて、慌てて帰って用意する夢だった……」
「あ、わかる」
「××も、そんな夢見たことある?」
「うん、ある」
「起きたとき、ほっとするよな」
「◯◯、ほかにどんなゆめみる?」
「あー、よく見る夢あるわ」
「どんなの?」
「足を動かさなくても走れる夢」
「……?」
「なんか、両足を地面につけたままなのに、スイーッて滑って移動できるんだよ」
「ドラえもんの、ぎんがエクスプレスみたいの?」
「ああ、ベアリングロードだっけ」
「そう」
「だいたいそんな感じ。楽しいぞ」
「わたし、そのゆめはみたことない……」
「××はどんな夢よく見るんだ?」
「うーと、ぎゃくに、はしってもぜんぜんすすまないゆめみる」
「俺はそれ見ないなあ……」
「はんたいだね」
「反対だな」
「きょう、いいゆめみれるかな」
「面白い夢見たら、教えてくれな」
「◯◯も」
「わかった」
「わたしでても、おしえてね」
「頻繁に出るけど……」
「わたしも、ひんぱんに◯◯でる」
「それは、ちょっと嬉しいな」
「うん、わたしも」
今日の夢に、うにゅほは登場するだろうか。
出たら教えてあげよう。

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2020
02.21

うにゅほとの生活2994

2020年2月20日(木)

「うーん……」
右目を隠し、左目だけでディスプレイを凝視する。
「どしたの?」
「左目だけかすんで見える」
「つかれめ?」
「疲れ目、かなあ……」
「ちがうの?」
「いや、最近ずっとかすんでるからさ」
「──…………」
うにゅほの顔がみるみる青くなる。
「がんかいこ」
「前にも似たような症状で病院行って、結果疲れ目だったし……」
「はくないしょうじゃなかったやつ?」
「白内障じゃなかったやつ」
「あのとき、どうしたんだっけ……」
「えーと」
記憶を辿る。
「なんか目薬もらったんだけど、結局使わなくて──」
引き出しのいちばん上を開く。
「あった。未開封の目薬。これさして様子見よう」
「きげんだいじょぶ?」
「2021年9月まで、だって」
「だいじょぶだった」
「未開封だったのが功を奏したな」
"サンコバ点眼液0.02%"と書かれた赤い点眼剤を開封する。
「めぐすり、できる?」
「できないのは××だろ」
「うへー」
「でも、せっかくだからさしてもらおうかな」
「いいの?」
「膝枕したまえ」
「はーい」
フローリングに正座したうにゅほが、ぽんぽんと膝を叩いた。
うにゅほのふとももに、正面から顔を預ける。
「したむいてたら、めぐすりできない」
「お約束かと思って」
「うえむいてー」
「はい」
今度は、顔ではなく頭を預ける。
「めーあけててね」
「──…………」
「さすよー」
ぽた。
「!」
思わず目を閉じる。
目薬が目尻へ垂れていくのがわかった。
「めーとじたらだめだよ……」
「いや、反射的に」
目を開けたまま、というのが、案外難しい。
「……わかった。左手で目見開いとくから、そこに頼む」
「うん」
再び、目薬チャレンジ。
「さすよー」
ぽた。
「!」
眼球が、冷たい。
「はいった!」
幾度かまばたきをすると、点眼剤が馴染んだ。
「ありがとな」
「いえいえ」
人に目薬をさしてもらうのは、思ったよりも難しい。
そう考えると、いつも俺にさしてもらっているうにゅほは、実はすごいのかもしれないと思った。

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2020
02.20

うにゅほとの生活2993

2020年2月19日(水)

今週のジャンプを買いそびれていたことを思い出し、近所のセブンイレブンへと赴く。
「あるかなあ……」
「あったらいいね」
「一冊くらい売れずに残ってる──はず」
「なかったらどうする?」
「なかったら本屋行こう。あそこの本屋なら、次の週まで残ってるから」
「よかったー……」
うにゅほが胸を撫で下ろす。
「きめつのつづき、きになってた」
「クライマックスだよな」
「◯◯、なにきになってた?」
「うーん」
しばし思案し、答える。
「俺も鬼滅かなあ……」
「おそろい」
「お揃いだな」
コンビニの雑誌コーナーを探すと、おあつらえ向きに一冊だけ今週のジャンプが残っていた。
「よし、確保!」
「かくほ!」
「せっかくだし、おやつでも買ってくか」
「◯◯、なにたべる?」
「俺が、何故、セイコーマートでもローソンでもファミマでもなくセブンイレブンを選んだと思う?」
「わからん」
すこしは考える素振りを見せてほしかった。
「答えは──」
スイーツコーナーへ向かい、見慣れた容器を手に取る。
「イタリアンプリンを食べるため、でした」
「ふっかつしたんだ!」
「したみたい」
一時期まったく見なくなっていたのだが、最近になってまたショーケースに並び始めた。
限定商品が定番商品となったのだろうか。
それなら嬉しいのだけど。
「で、飲み物は豆乳と」
「わたしもー」
「……××、昔は豆乳飲めなかった気がするんだけど」
「そだっけ」
「たしか」
「おいしいのに、へんだねえ」
「××のことだからな」
レジで会計を済ませ、車内でイタリアンプリンを食べる。
相変わらず、固めのプリンが好きな俺をピンポイントで狙い撃ちするかのような味だった。
帰宅し、手洗いとうがいを済ませたあと、うにゅほと一緒にジャンプを読んだ。
こうして一緒に読むのは久し振りな気がした。

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