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2019
12.30

うにゅほとの生活2943

2019年12月30日(月)

「よし」
意を決し、立ち上がる。
「──大掃除だ!」
「おー!」
大掃除。
それは、ぐうたらな俺が部屋の掃除をする数少ない機会のひとつだ。
「でも、あんまり汚れてないよなあ……」
うにゅほが小さく胸を張る。
「わたし、まいにちそうじしてる」
「感謝してます」
「うへー」
「……しなくていいんじゃないか、大掃除」
「するの」
「はい」
仕方ない。
しようとさえ思えば、掃除すべき場所は無数にある。
「とりあえず、本棚全段カラ拭きかな」
「わたし、ゆかとか、ぞうきんかけるね」
「エアコンも掃除したい」
「まくらもとのほん、かたづけないと」
「まずそれからだな」
「うん」
手分けして大掃除を進めていく。
自分たちの過ごす部屋が自分たちの手で綺麗になっていくのは、とても気持ちがいいものだ。
もっとも、普段は"めんどくさい"が勝るのだけど。
大掃除をなかばほど進めたころ、ふと気が付いた。
「この空気清浄機、最後に掃除したのっていつだっけ」
「こないだ、トレイあらったよ」
「それは加湿機能の部分だろ」
「あー」
「フィルターとか、軽く掃除しておくか」
「うん」
フローリングに膝をつき、加湿空気清浄機の前面パネルを外す。
「──…………」
「……!」
ふたり並んで絶句する。
プレフィルターの網目が見えないくらい、ホコリが層を成していた。
「……これ、もしかして、綺麗な空気吸って汚い空気出してたんじゃ……」
「どうしよう……」
「手で粗く剥いで、水洗いかな……」
後ほど取扱説明書を確認したところ、二週間に一度はお手入れすべきものだったらしい。
かように不測の事態はありつつも、午後五時過ぎには大掃除の工程すべて完了したのだった。
「これで安心して年越せるな」
「ねー」
大掃除さえ済ませてしまえば、年末年始はだらだらできる。
さあ、寝正月を楽しもう。

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2019
12.30

うにゅほとの生活2942

2019年12月29日(日)

「──…………」
ディスプレイに向かって渋い顔をしていると、たまたま俺の顔を覗き込んできたうにゅほと目が合った。
「どしたの?」
「……聞いてくれるか」
「うん」
姿勢を正し、うにゅほへと向き直る。
「ネットには、広告というものがある。いわゆるスポンサードリンクってやつだ」
「のみもの?」
「スポンサード・リンク。これを表示させることで、サイト運営者に広告収入が入る」
「しーえむみたいの」
「その通り」
「うへー」
「特に、通販サイト。通販サイトの広告は、そのまま商品だ。クリックするとすぐ買えるようになってる」
「そうなんだ」
「でも、ランダムに商品を表示させても意味はない。俺に口紅勧めても、買うわけないだろ」
「たしかに」
「そこで、彼らはどうしていると思う?」
「うと……」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「ほしいの、アンケートとる?」
「惜しい」
「おしいんだ」
「アンケートは取らないけど、ユーザーの行動を分析する。以前に何を買ったかとか、どの商品のリンクを踏んだかとか」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「これらはAIによって自動的に行われる。スポンサードリンクに表示されるということは、AIが"こいつはこれが欲しいに違いない"と判断したということだ」
「なるほど……」
「そこで、これを見てほしい」
某ブログに表示された楽天の広告をマウスカーソルで示す。
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「このしろいの、なに?」
「ハチノス」
「はちのす……」
「ハチノスと言っても、虫のほうじゃない。牛の何番目かの胃のやつ」
「あ、きもちわるいやつ!」
「それそれ」
「◯◯、ほしいの?」
「見たくもない」
「だよね……」
「にも関わらず、楽天は、このハチノスを常に最上段で勧めてくるんだ……」
「なんでだろ……」
「わからない」
「えーあい、あたまわるいのかな」
「好きの反対は無関心だから、嫌いとは言え意識してるのは確かだけど」
「じゃあ、あたまいい?」
「ハチノスまるまる一個なんて、絶対買わないぞ」
「やっぱしあたまわるい……」
ハチノスが嫌いな俺にとっては、ちょっとしたグロ画像を見せつけられているのと変わらない。
もう勘弁してくれないだろうか。

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2019
12.28

うにゅほとの生活2941

2019年12月28日(土)

「うあー……」
ごろごろ。
だらだら。
冬休みに突入し、だらしなさに拍車が掛かる俺だった。
「◯◯、おおそうじは?」
「明日……」
「そか」
「年末で仕事忙しかったし、今日は全力でだらだらするぞー」
うにゅほを抱き締め、ベッドに寝転がる。
「わ」
「××も一緒にだらだらしよう」
「おー」
取り立てて何もせずに過ごす。
それは、もっとも贅沢な時間の使い方に違いない。

──小一時間後、
「……飽きた」
ベッドから半ばほどずり落ちながら、そう呟いた。
「はやい」
「眠気はないし、読書って気分でもないし、ソシャゲするのはなんか違うし……」
「あいぱっどでどうがみる?」
「それじゃ、いつもと変わらないよなあ……」
わざわざPCから離れているのだから、もうすこし別のことをしたい。
「あ、そうだ」
ぽん、と両手を合わせる。
「水曜どうでしょうの新作、始まったんだった」
「ほんと?」
「六年ぶりだって」
「みたい!」
「じゃ、リビング下りて──」
そこまで口にして、ふと致命的なことを思い出した。
「……ブルーレイディスクレコーダー、壊れたんだった」
「あ」
昨日、唐突に電源が落ちて以来、うんともすんとも言わなくなってしまったのだ。
「みれない……?」
「いや、見れないことはない。いくらか払えばネット配信してるはず」
「よかったー」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「……結局、パソコンからは離れられないのか」
人間は、PCを操っているようでいて、PCに操られているのかもしれない。
特に俺は。

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2019
12.28

うにゅほとの生活2940

2019年12月27日(金)

「年末だからか、道路工事が多いなあ」
「ね」
工事のため一車線になった車道を、徐行しながら走っていく。
「ねんまつ、なんで、こうじおおいの?」
「予算を使い切るため──ってのは、たまに聞くなあ」
「そなんだ」
「予算が余ると、翌年の予算を減らされるとかなんとか……」
「へらさなくてもいいのにね」
「日本の行政は渋いから、予算と言えば必要最小限で組みたがるんだよな」
「へえー」
あまり興味はなさそうだ。
「──っ、と」
前の車が減速するのに合わせ、ブレーキを踏み込んでいく。
片側交互通行だ。
「これ、行きと同じ道にしたほうがよかったな……」
「そだねえ……」
飲みに行くという父親を駅前まで送っていった帰りなのだった。
ギアをパーキングに合わせ、車内で小さく伸びをする。
「暇だ……」
「おしゃべりしよ」
「してるぞ」
「もっとしよ」
「じゃあ、何話す?」
「──…………」
「ノープランか」
「うへー……」
あ、笑って誤魔化した。
「では、今年を振り返りましょう」
「ことし……」
「××にとって、今年は、どんな年でしたか?」
「うーと、いいとし」
「良い年でしたか」
「うん」
「主に、どんなところが?」
「──…………」
「──……」
「そういわれるとこまるけど、いいとし……」
「そっか」
「◯◯は、いいとしだった?」
「あんまり良くなかった気がする……」
「そなの?」
「災害も多かったし、喘息も再発したし、腰もやったし、試験も落ちたし、ついさっきブルーレイディスクレコーダー壊れたし」
「あー……」
うにゅほが目を逸らす。
「ことし、よくなかったのかな……」
「……いや、××が正しいよ」
「?」
「××は、今年、楽しかったんだろ?」
「うん」
「じゃあ、良い年だったんだよ」
「……◯◯、ことし、たのしくなかった?」
「楽しかった」
「じゃあ、いいとし」
「そういうことにしておきましょう」
悪い点を抜き出して、ただ嘆くことに意味はない。
そんなことをうにゅほに教えられた気がするのだった。

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2019
12.27

うにゅほとの生活2939

2019年12月26日(木)

ぽり、ぽり。
「んー……」
座椅子で読書に勤しむうにゅほの手が、腹部とふくらはぎとを頻繁に往復している。
「××、痒いの?」
「かゆい……」
「見せてみ」
「ん」
うにゅほがネグリジェの裾を上げ、ふくらはぎを見せてくれる。
「あー、赤くなってる」
「かいたから……」
「俺も、太ももとかスネとか痒いんだよな」
「◯◯も?」
「たぶんだけど、空気が乾燥してるんじゃないかなって」
「あー」
うにゅほがうんうんと頷き、温湿度計を覗き見る。
「よんじゅっぱーせんとって、かんそうしてる?」
「50%がベストだった気がする」
「じゃあ、かんそうしてる」
「加湿するか」
「うん」
「まず、掃除からかな……」
加湿空気清浄機からタンクを抜き取り、側面下部のトレイを取り外す。
「やっぱ汚れてるな」
「きたない」
「浸け置き洗いをしましょう」
「そうしましょう」
洗剤を垂らしたぬるま湯にトレイを浸け置き、小一時間ほど待つことにする。
「ひとまず加湿器はこれでいいとして、痒みのほうをなんとかしないと」
「ほしつクリームあったきーする」
「ユースキンな」
「それ」
「痒みが乾燥のせいなら、ちゃんと効くはず」
引き出しからユースキンAを取り出し、うにゅほの前に膝をつく。
「ほら、足出して」
「はい」
うにゅほが、ネグリジェをつまみ、軽く持ち上げる。
白いふくらはぎが露わとなる。
「──…………」
ちょっとエロい。
「ぬってー」
「はいはい」
クリームを指に取り、赤くなったふくらはぎに擦り込んでやる。
「お腹は自分でやること」
「うん」
加湿空気清浄機のおかげで、現在、部屋の湿度は48%まで上がっている。
痒みが治まってくれればいいのだが。

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2019
12.25

うにゅほとの生活2938

2019年12月25日(水)

「──……あー」
昨夜いささか飲み過ぎたせいか、普段より遅めに起床した。
のそのそと自室の書斎側へ向かうと、
「あ、めりーす!」
元気いっぱいのうにゅほが、謎の挨拶をかましてきた。
「……めりーす?」
「?」
互いに同じ方向に首をかしげる。
「◯◯、メリークリスマスのりゃくだって……」
「言ったっけ」
「いった」
「そうだっけ……」
たぶん、いつも通り適当に発言したのだろう。
「ま、いいや。めりーす」
「めりーす!」
「案の定、プレゼントがあるぞ」
「やた!」
本棚の奥から、包装された小箱を取り出し、うにゅほに手渡す。
「はい」
「あけていい?」
「いいよ」
うにゅほが丁寧に包装を剥がしていく。
「あ、まかろんだ!」
「クリスマスカラーのものを選んでみました」
「ぴすたちおといちごかな」
「たぶん」
「ありがと!」
「消え物で申し訳ないけど、今年は何も思いつかなくて……」
「うれしいよ?」
「なら、よかった」
「まかろん、いっしょにたべよ」
「プレゼントなのに?」
「プレゼント、いっしょにたべたらだめなの?」
「××にあげたものだから、好きにしていいと思うけど」
「いっしょにたべたいな……」
「では、ありがたく」
ちょっとお高めのマカロンは、値段相応の味がした。
気に入ってくれたようで、よかった。

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2019
12.24

うにゅほとの生活2937

2019年12月24日(火)

「ただいまー」
「ただいま!」
パーティへ向かう両親を駅まで送り届け、帰宅した。
「まだしごと?」
「仕事」
「おわったら、ぎんがてつどうのよる」
「その通り」
「うへー」
クリスマスイヴの夜、ふたりで劇場版・銀河鉄道の夜のDVDを観賞する。
行事とも儀式ともつかない行為だが、今年で九回目だ。
取り急ぎ仕事を終わらせ、自室へ戻る。
「じゃーん」
「あ、ワイン」
「こないだ友達からもらったスペイン産のスパークリングワインだぞ」
「おー」
慎重に開封し、ワイングラスに注ぐ。
「わ、きれい。さくらいろ」
「ロゼだな」
「どんなあじするのかな……」
「飲んでみる?」
「いいの?」
「いいけど、口には合わないと思う」
「あまいのかな……」
うにゅほがグラスを手に取り、舐めるようにワインを飲む。
「──…………」
そして、この渋い顔である。
「あまくない……」
「ワインは概ね甘くないよ」
「そだった……」
「色に惑わされたな」
「あまいワイン、ないの?」
「小樽の赤玉スイートワインとかなら甘いけど……」
「のんでみたいな」
「じゃあ、今度買ってみるか」
「やった」
「お酒飲みたがるなんて、××は大人だなー」
「うへー……」
てれりと笑ううにゅほを膝に乗せ、トレイにDVDをセットする。
「じゃ、再生するぞ」
「おー!」
開始早々寝落ちしたうにゅほを抱き締めながら、クリスマスイヴの夜は過ぎていくのだった。

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2019
12.24

うにゅほとの生活2936

2019年12月23日(月)

「──あれ?」
普段通りに仕事をこなしていたところ、うにゅほが不意に小首をかしげた。
「きょう、にじゅうさんにち……」
「23日だな」
「しごとあるの?」
「あー」
なるほど。
「12月23日って、何の日だったか覚えてる?」
「うと、てんのうたんじょうび」
「天皇変わったじゃん」
「あ、そか」
うんうんと頷く。
「じゃあ、てんのうたんじょうび、いつになるの?」
「いつだろう……」
考えもしなかった。
「調べてみるか」
「うん」
仕事はいったん休憩として、スマホで検索をかけてみる。
「令和の天皇誕生日は2月23日だってさ」
「やっぱし、にじゅうさんにちなんだ」
「それは偶然だろ」
「じゃあ、しょうわは?」
「昭和の天皇誕生日は、と」
検索。
「4月29日、昭和の日」
「にじゅうさんにちじゃない……」
「それ、ギャンブラーの誤謬ってやつだぞ」
「ぎゃんぶらーのごびゅう?」
「サンプルの少ない事柄に法則を見出して、誤った結論を出してしまうこと」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××は、令和天皇と平成天皇というふたつのサンプルで、"天皇誕生日は23日なのではないか"と考えたんだろ」
「うん」
「でも、それは偶然だ。偶然に意味を当て始めると、オカルトに傾倒していく。気をつけるように」
「はーい」
オカルトは好きだが、基本的には信じない。
嗜む程度が良い距離感だろう。

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2019
12.23

うにゅほとの生活2935

2019年12月22日(日)

冬と言えば、暖かい自室でアイスを頬張るのが至高である。
「スーパーカップと雪見だいふく、どっちがいい?」
「うーと、ゆきみだいふく」
「はい」
うにゅほに雪見だいふくを渡し、チェアに深く腰掛ける。
「スーパーカップって、本当は、スーパーカップって名前じゃないんだって」
「えっ」
うにゅほが目をまるくする。
「スーパーカップ、スーパーカップじゃないの?」
「うん」
「なにカップ?」
スーパーカップのフタを指差す。
「エッセル」
「えっせる……」
「"明治エッセルスーパーカップ"が正式名称らしい」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「そういえば、えっせる、かいてた」
「なんだと思ってた?」
「なにもおもってなかった……」
「俺も」
「だよね」
凍りついたアイスの表面をスプーンで削り取りながら、ふとあることを思い出す。
それは、"一個ちょうだい"の許容範囲についてだ。
38本入りのポッキーを一本ちょうだいと言われて、断る人はあまりいないだろう。
だが、五個入りのからあげクンであれば、迷う人も多いはずだ。
というわけで、
「××」
「んー?」
「雪見だいふく、一個ちょうだい」
と、尋ねてみた。
「?」
雪見だいふくをはむはむしながら、うにゅほが小首をかしげる。
「もともと、いっこずつ……」
くれるくれない以前の問題だった。
「じゃあ、スーパーカップもはんぶんこ?」
「あー」
うにゅほが、あーんと口を開く。
なんとか削り取ったアイスをひとかけらスプーンに乗せ、うにゅほの口元へ運ぶ。
「ほいひい」
「そっか」
やはり、冬場に屋内で食べるアイスは格別である。

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2019
12.22

うにゅほとの生活2934

2019年12月21日(土)

「──よし、と」
外出の準備を整えたあと、姿見の前に立つ。
まあ、大丈夫だろう。
「のみいくの?」
「うん、行ってくる」
「わすれもの、ない?」
「財布とスマホがあれば事足りるし……」
「ティッシュとか」
「あー、いちおう持ってくか」
ポケットティッシュを取り出し、コートのポケットに突っ込む。
「うでどけいは?」
「してるよ」
「マフラーしないの?」
「するほど寒くないかな」
「はなしゅー」
「さっきしたから大丈夫」
「あとはー……」
「無理に探さなくても……」
苦笑する。
まるで、小さな母親だ。
「帰ってくるの、いつになるかわからないし、先に寝てていいから」
「うん」
とは言うものの、
「……でも、起きてるだろ」
「うん、おきてる」
素直である。
「起きてるなら起きてるで、あったかくしてること」
「はい」
「袢纏羽織るんだぞ」
「うん」
「靴下も履く」
「……うん」
「あとは、そうだな」
「◯◯、おかあさんみたい」
それはこっちの台詞である。
「じゃあ、行ってくるから」
「はやくかえってきてね」
「……努力します」
そう告げ、自宅を出る。
友人と別れ、帰宅したのは、日付を跨いだころだった。
「ただいまー」
「おかえり!」
うにゅほを軽く抱き締め、離す。
「早かったろ」
「はやかった!」
「終電に間に合ったからな」
「いつも、これくらいがいいな」
「はい……」
うにゅほの言葉に、思わず過去の自分を省みてしまうのだった。

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