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2019
10.31

うにゅほとの生活2882

2019年10月30日(水)

「うー……んむ」
ディスプレイを睨みつけながら、つるりと顎を撫でる。
「どしたの?」
「ガラス製のキーボードが発売されたらしい」
「ガラスせい……」
「凹凸のないフラットなキーボードで、スマホみたいな原理っぽい」
ページをスクロールし、うにゅほにキーボードの画像を見せる。
「あ、かっこいい」
「未来っぽい感じするよな」
「うと、またかうの……?」
恐る恐る尋ねたうにゅほに、あっさりと首を横に振る。
「いや、買わないよ」
「かわないんだ」
うにゅほが、ほっと息をつく。
メルカリの売り上げがあるからと言って、そうそう無駄遣いはしていられない。
「ノートパソコンもそうだけど、そもそも薄いキーボードって苦手なんだよな。打ちにくい」
「うちにくいんだ」
「俺はね。要は、慣れの問題でもあるから」
「なるほど」
「それに、凹凸がまったくないと、相当ブラインドタッチしにくいと思う」
「てもとみないでうつやつだっけ」
「そう」
「いちおなじなら、うてそうだけど……」
「普通のキーボードだって誤入力するのに、凹凸すらないとどうなると思う?」
「ゆび、すべる?」
「キーとキーのあいだを打ってしまう」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「このたぐいのタイプミスは、普通のキーボードでは起こりにくいものだ。キーとキーが独立してるからね」
「それが、おこりやすい」
「構造的に」
「じゃあ、かわない?」
「買わないって。店頭にあったらタイピングしてみたいけど」
「……ちなみに、おいくら?」
「32,500円だってさ」
「よかったー……」
「……そんなにキーボードばっか買ってるかな」
「かってる」
即答されてしまった。
しばらくは、いまあるキーボードで満足しよう。

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2019
10.29

うにゅほとの生活2881

2019年10月29日(火)

「ぐ」
下腹を押さえながら、猫背でトイレへ向かう。
用を足して自室に戻ると、うにゅほが心配そうに俺の腹部に手を当てた。
「◯◯、だいじょぶ……?」
「大丈夫、大丈夫」
「ほんと?」
「痛いことは痛いし下ってはいるけど、そこまでひどくはないから」
「そか……」
強がりではない。
本当にそんな感じなのだ。
「ただ、薬は飲んでおきたいな。赤玉取ってきてくれないか」
「わかった!」
うにゅほが階下へ駆け出していく。
腹痛は今朝からだが、下痢自体はもう一週間ほど続いている。
よくない傾向だ。
うにゅほが持ってきてくれた赤玉はら薬を水で流し込んだあと、呟くように口を開いた。
「……やっぱ、大腸内視鏡検査、受けてこないとなあ」
「!」
うにゅほが、反射的に、自分のおしりを押さえる。
「おしりからいれるやつだ……」
「××が隠すことないだろ」
「つい……」
「……俺も憂鬱だけどな」
俺は、ポリープのできやすい体質らしい。
よって、医師から、二年に一度の大腸内視鏡検査を義務づけられている。
「この腹痛も、ポリープのせいかもしれないって考えるとさ……」
「こわいね……」
「まあ、大丈夫とは思うけど」
「ぽりーぷみつかったら、またにゅういん?」
「一泊二日な」
「うん……」
「一泊くらいなら、さすがに慣れたろ」
「にゅういん、しんぱいどがちがう」
「あー」
わからなくもない。
「ぽりーぷないように、がんばってね」
「うーん……」
いまから頑張って、どうにかなるかなあ。
「がんばってね……」
「あ、はい」
請うような目に、思わず頷いてしまった。
何事もないことを祈る。

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2019
10.28

うにゅほとの生活2880

2019年10月28日(月)

「──…………」
ヘッドホンを外し、首をひねる。
「わからん」
「わからんの」
「わからん……」
「なにがわからんの?」
「ハイレゾ音源とCD音源の違いがわからん」
「はいれぞ、きいたことある」
「聞かせたことあったっけ」
「?」
うにゅほが小首をかしげたので、すぐ勘違いに気が付いた。
「あ、ハイレゾって単語を聞いたことがあるって意味か」
「うん」
「だよなあ」
ハイレゾ音源、買ったの最近だし。
「こうおんしつなんでしょ」
「そのはず」
「わからんの?」
「ぜんぜんわからん。聞いてみる?」
「みるみる」
うにゅほにチェアを譲り、ヘッドホンを手渡す。
「じゃ、CD音源からな」
「うん」
今回聞き比べるのは、ヨルシカの「だから僕は音楽を辞めた」だ。
まず、Amazonで購入したmp3ファイルを再生する。
「──…………」
「──……」
「これしーでぃー?」
「CD」
「いろんなおときこえる……」
「DACも、ヘッドホンも、かなり良いもの揃えてるからな」
「はいれぞ、もっとすごいのかな」
「じゃ、次はハイレゾ音源だ」
「はい」
続いて、ハイレゾ配信サイトで購入したflacファイルを再生する。
「──…………」
「──……」
「これ、はいれぞ?」
「ハイレゾ」
「おなじにきこえる……」
「だろ!」
「わ」
思わずうにゅほの手を取る。
「仲間、仲間」
「なかまだね」
「耳のいい人なら聞き分けられるのかなあ」
「たぶん……?」
「少なくとも、俺たちにハイレゾは必要なさそうだな」
「そだねえ」
CD音源で十分楽しめるのだから、お得な耳と言えるかもしれない。
しかし、ハイレゾって本当に意味があるのだろうか。
怪しい。

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2019
10.27

うにゅほとの生活2879

2019年10月27日(日)

メルカリで購入した品物が届いた。
「なにかったの?」
「うっ」
この狭い部屋で隠し事ができようはずもない。
「まあ、まずは聞いてくれ」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いま使ってるキーボードあるだろ」
「せんげつかったやつ」
「あれ、本当はアイボリーじゃなくて、黒が欲しかったんだよ」
「くろ、うりきれだったの?」
「売り切れではないけど、高騰してた。三万円のキーボード、四万円で買いたくないだろ」
「さんまんえんもたかいとおもう……」
ごもっともである。
「そこで、俺は考えた。安価に黒を入手する方法を」
「ほう」
「まず、メルカリで、可能な限り値引き交渉を行い、安値で購入する」
うにゅほが段ボール箱をぽんと叩く。
「これ?」
「その通り」
「おいくらまんえん?」
「23,000円」
「やすい、かなあ……」
「そして!」
畳み掛けるように続ける。
「続いてこのアイボリーを出品し、なるべく高値で売ることにより、ほぼノーコストでの交換が可能となるのだ!」
「あ、なるほど」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「◯◯、あたまいいね」
「だろ?」
「にまんさんぜんえんでうれたら、とんとん?」
「販売手数料が一割と、送料も取られるから、できればもうすこし高く売りたいな」
「うれるかなあ……」
「まあ、そこは俺の腕で」
アイボリーの写真を数点撮影し、三十分かけて商品説明を書き終えると、様子見として27,800円で出品してみた。
「つよき」
「値引き前提だからな」
「うれたらいいねえ」
「まあ、一週間も待てば──あ、コメントついた」
「なんて?」
「26,000円で売ってください……」
「はや!」
「よし、承諾してみよう」
承諾すると、即座に売れた。
「開始十分で売れた……」
「すごい……」
「こんなこともあるんだな」
「ね」
「よし、黒が届いた段ボール箱に梱包して、発送しちゃおう」
「てつだう!」
「ありがとう」
販売手数料と送料をさっ引いて、実質600円で交換できた計算となる。
メルカリ、上手く使えば本当に便利だなあ。

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2019
10.27

うにゅほとの生活2878

2019年10月26日(土)

「いててて……」
昨夜、久方ぶりに筋トレをしたところ、筋肉痛になってしまった。
「いてててて、いてててててて、いてててて……」
「ごーしちごーだ」
「腕と大胸筋が痛い」
「うでずもうのせいかな」
「腕相撲……?」
「あ、ちがう」
うにゅほが、恥ずかしげに目を伏せながら、胸の前で両手を振る。
「うでたてふせ……」
「腕相撲では筋肉痛になりませんね」
「まちがえたの!」
「ごめんごめん」
「もー……」
可愛い。
「年を取ったら筋肉痛が二日後に来るって言うけど、あれ何歳からなんだろうな」
「◯◯、ふつかごにきたことある?」
「まだない」
「じゃあ、わかいのかな」
「かなりギリギリのラインだと思う……」
「そかな」
「ギリギリアウトな気もしてる」
「でも、きんにくつう、ふつかごにこないんでしょ?」
「そうだけど……」
若いか否かの基準としては、いささか偏りすぎてはいまいか。
「老眼とか入れば、さすがに言い訳のしようもない気がする」
「ろうがん、まだだよね」
「さすがにな」
「ろうがんって、ちかいのみえないんだっけ」
「たしか」
「じゃあ、◯◯、とおいのもちかいのもみえなくなるの……?」
俺は、強度の近視だ。
ひとたび眼鏡を外せば、うにゅほの顔すら判然としない。
「見えなく──なる、のかなあ……」
「こわいね……」
「……まあ、遠近両用眼鏡とかあるし、なんとかなるんじゃないか」
「ならいいけど……」
「──…………」
「──……」
思わず未来を憂うふたりだった。

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2019
10.26

うにゅほとの生活2877

2019年10月25日(金)

二週間ぶりに呼吸器内科を受診し、帰宅した。
「ね、どうだった?」
「シムビを一ヶ月ぶん処方してもらった」
シムビコートタービュヘイラー。
気管支喘息のための吸入剤である。
「しむび、まだつかうの?」
「ああ」
「せきでなくなったのにねえ……」
「喘息は、基本的に完治しないんだよ」
「えっ」
うにゅほの表情から色が抜け落ちる。
「大丈夫、大丈夫。発作さえなければ、健康な人と変わりないから」
「でも、ほっさでたら」
薬局の袋から、白い容器の吸入剤を取り出す。
「そのためのシムビだ」
「──…………」
「シムビはすごいんだぞ。これを欠かさず吸入する限り、発作が起こる可能性は限りなく低くなる」
うにゅほの頭を、ぽんと撫でる。
「だから、そんなに心配しなくていいよ」
「うん……」
「大人になれば、持病はつきものだ。自分でコントロールできるぶん、喘息はまだましとも言える」
「ましかなあ……」
「糖尿病とか、たいへんだぞ。自分で注射したりするんだから」
「じぶんで!」
「怖いよなあ」
「こわい……」
「それに比べたら、朝晩に吸入するくらい、なんてことないだろ」
「そんなきーしてきた」
「……まあ、本音はちょっと面倒だけどな」
「やっぱし……」
うにゅほが苦笑する。
喘息は、病気ではなく、体質とも言われている。
なってしまったことを嘆くより、上手く付き合っていくことを考えるべきだろう。

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2019
10.24

うにゅほとの生活2876

2019年10月24日(木)

「何の日シリーズ!」
「おー」
「特に書くことがない日に催される本シリーズ、司会の◯◯です」
「かくことないんだ」
「今日、特に何もなかったから」
「しごとがんばってた」
「それは毎日同じだろ」
「おなじだとだめなの?」
「日記は、毎日違うことを書くんだよ。同じこと書いたら面白くないし」
「ばんごはんのことは?」
「晩御飯?」
「きょうのばんごはん、おでんだった」
「美味しかったな」
「うん」
「俺は、はんぺんが好きだな」
「わたし、たまご」
「──…………」
「──……」
「ほら、話題が尽きた」
「あー……」
「晩御飯は毎日違うけど、発展性がな……」
「そうかも」
「毎日違って、そこそこ話の種になる。何の日シリーズはそこが便利なんだよ」
「なるほど、わかりました」
「では、改めて」
こほんと咳払いをし、
「今日は、何の日でしょう!」
「とー、とー、にー、とにし、とにし、とによ……」
しばし口の中で語呂を転がしたあと、うにゅほが自信なさげに口を開いた。
「……たにしのひ?」
「ぶー」
「やっぱし……」
「ヒント、無理があります」
「むりあるパターンかー」
「言ってしまうと、文鳥の日です」
「ぶんちょうのひ」
「"て(10)に(2)し(4)あわせ"の語呂合わせだそうで」
「ふたつくらいむりある……」
「俺もそう思う」
「さいきん、すっきりパターンすくないね」
「あ、昨日はすっきりパターンだったぞ」
「なんのひだったの?」
「モルの日」
「もるのひ」
「1molが6.02×10の23乗個の粒子からなる物質の物質量だから、だって」
「……?」
うにゅほが首をかしげる。
「すっきりパターンだろ」
「わからないパターン……」
高校物理だからなあ。
しばし時を遡り、無理のない語呂合わせの記念日を探す俺たちだった。

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2019
10.23

うにゅほとの生活2875

2019年10月23日(水)

「ゔー……」
おなかを押さえながら、うにゅほが苦しげにうめく。
「××さん」
「う」
「おなか、撫でます?」
「なでられます……」
うにゅほが、ふらふらと、俺の膝に腰掛ける。
「では、失礼して」
上着の裾をめくり、手を入れる。
触れるのは、しっとりと湿気を帯びた腹巻きだ。
腹巻きの上からおなかをさすっていると、
「ちょくせつなでてー……」
「わかった」
腹巻きをずり上げ、細いおなかに直接触れる。
汗で濡れたおなかが、手のひらに吸い付くようだった。
なで、なで。
「もっとつよく……」
「はい」
なで、なで。
「もすこしゆっくり……」
「はい」
なで、なで。
「はふー……」
ちょうどいい塩梅になったのか、うにゅほが細く長く息を吐いた。
「すこしは楽になった?」
「うん、ありがと……」
「これくらいしかできないからな」
うにゅほが小さく首を横に振る。
「そんなことない」
「じゃあ、何ができる?」
「うと……」
しばし思案し、
「てーつなぐ……」
「はい」
左手で、うにゅほの左手を取り、指を絡ませる。
「あと、あたまなでる」
「手が足りないんですが……」
「えー……」
「わかってて言ってるだろ」
「うん」
すこし余裕が戻ってきたらしい。
女の子は、本当に大変である。

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2019
10.22

うにゅほとの生活2874

2019年10月22日(火)

あまり使っていなかったMacBookをメルカリに出品し、購入されたのが二日前。
即日発送し、本日の18時に先方へ届くはずだった。
だが、
「MacBook、届いてないみたい……」
「えっ」
「ほら、これ見て」
うにゅほを手招きし、スマホの画面を見せる。
「配送状況のとこ、住所不明、調査中になってるだろ」
「ほんとだ……」
「向こうさん、住所の登録間違ったかな」
「がいじんのひとだっけ」
「たぶん」
「どうしよう……」
「幸い、取引画面でやり取りできるから、ヤマトに電話するよう言ってみよう」
「うん」
「外国人ってだけなら気にしないけど、それに加えて取引経験ゼロのアカウントは警戒すべきだったかもなあ」
「さぎ?」
「詐欺ではないと思う。向こうは間違いなく入金してるわけだし」
「じゃあ、うっかり?」
「うっかりじゃないかな……」
「うっかりさんだね」
「うっかりさんで済めばいいけど」
先方が商品を受け取り、評価をしてくれなければ、こちらに売上金が入らないシステムになっている。
商品が届かないことは、どちらにとっても損でしかないのだ。
しばらくして、先方から返信があった。
「なんて?」
うにゅほがスマホを覗き込む。
「配達店に連絡して、明日の午前中に届くことになったらしい」
「おおー」
「まだわからないけど、一安心かな」
「ななまんえんだもんね……」
「ああ……」
ふいにするには惜しい商談だ。
人と人とのやり取りだから、予測がつかないこともある。
だが、それはそれで面白い。
しばらくメルカリを続けてみようと思った。

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2019
10.21

うにゅほとの生活2873

2019年10月21日(月)

「♪~」
鼻歌を歌いながら、機嫌よく仕事をこなしていく。
「明日休みだと思うと、やる気も違うなあ」
「あした、なんのひだっけ」
「なんだっけ……」
営業日確認用のカレンダーしか見ていなかったため、何故祝日かは認識していなかった。
「そもそも、十月のこのくらいの時期に祝日ってあったっけ」
「うーん……」
うにゅほが首をひねる。
「せっかくだし、何の日か当てっこしてみるか」
「たのしそう」
「じゃあ、××からでいいぞ」
「うと……」
しばし思案したあと、うにゅほが口を開く。
「たいくのひーは、ちがうもんね」
「それは先週かな」
「じゃあ、けいろうのひ!」
「あー」
たしかに、秋のイメージがある。
可能性は高い。
「確認してみるか」
「うん」
「自信ある?」
「ある」
胸を張るうにゅほを横目に、スマホで検索をかける。
「敬老の日はー……」
「──…………」
「9月21日でした!」
「あー……」
「一ヶ月違いだから、わりと惜しかったな」
「くやしい」
「じゃあ、俺の番か」
「◯◯、なんのひだとおもう?」
「勤労感謝の日かなあ」
「ありうる……」
「だろ」
再び、スマホで確認する。
「11月23日……」
「いっかげつちがい」
「俺も、××も、惜しいことは惜しいんだよな」
「ね、こたえなんのひ?」
「ちょっと待って」
明日の日付で検索をかけ、読み上げる。
「即位礼正殿の儀……」
「……?」
「天皇陛下の即位をお祝いする、今年だけの祝日だって」
「ことしだけなんだ」
「そりゃ当たらないわな」
「ね」
だが、祝日は祝日だ。
天皇陛下に感謝しながら、ありがたく休日を満喫させていただこう。

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