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2019
08.31

うにゅほとの生活2824

2019年8月31日(土)

「あ、やさいのひだ」
言われて思わずカレンダーを見やる。
「本当だ、野菜の日だ」
「うへー」
うにゅほが、得意げに胸を張る。
「それはそれとして、冷蔵庫見に行かない?」
「いく!」
「よし、出掛ける準備だ」
「はーい」
身支度を整え、家を出る。
「よどばしいくの?」
「ヨドバシ行く。ポイントつくし」
「ひさしぶりなきーする」
「そうだっけか」
「うん」
年齢の違いから、俺とうにゅほでは時間の感覚が異なる。
うにゅほからすれば、ほんの一ヶ月前でも、"ひさしぶり"に相当するのだろう。
ヨドバシカメラ三階の家電コーナーへと赴く。
「……うーん、小型冷蔵庫少ないな」
「そだねえ……」
冷蔵庫売り場は思ったより狭く、立ち並んでいるのは大容量のものばかりだった。
自室に置くための小さな冷蔵庫を求めている俺達からすれば、少々肩透かしを食った感がある。
「あ、これかわいい」
うにゅほが、ミントグリーンの2ドア冷蔵庫を優しく撫でる。
「2ドアか。霜がつかないのはいいよな」
「うん」
「でも、ちょっと高いな……」
「にまんえん、たかい?」
「二万円は安いけど、背が高い。ディスプレイ傾いちゃうよ」
「あー……」
Switch用の43インチディスプレイは、冷蔵庫と小箪笥を跨ぐ形で設置してある。
今でさえ、高さを調節するために高校時代の卒業アルバムを噛ませているのに、さらに差が広がるとなれば、小六法と類語大辞典を追加しなければならなくなるだろう。
「なるべくなら、高さ70cmから74cmの範囲内に収めたい」
「そのたかさの、ないねえ……」
「ケーズ行ってみるか」
「だいどこのれいぞうこ、かったとこ?」
「そうそう」
「あそこ、れいぞうこ、たくさんあったよね」
「ケーズになければヤマダ、ヤマダになければネット通販だ」
「うん」
ヨドバシカメラを早々と後にし、ケーズデンキを訪れたところ、展示品限りではあるものの、条件を満たす冷蔵庫を発見した。
「これでいいか」
「うん、かわいいとおもう」
可愛さは追求していないのだけど。
ともあれ、9月3日に届くらしいので、楽しみである。
古い冷蔵庫、どうしようかなあ。

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2019
08.30

うにゅほとの生活2823

2019年8月30日(金)

「──…………」
すう、はあ。
胸に手を当てて、呼吸を整える。
言わなければならない。
伝えておかねばならないのだ。
「……××さん」
「?」
一足早く読書の秋に勤しんでいたうにゅほが、顔を上げてこちらを見やる。
「どしたの?」
「うッ」
言いにくい。
この純真な瞳を、悲しみで濁らせたくはない。
だが、後回しにすればするほど、彼女からの信頼を損なう結果となる。
言うなら今しかないのだ。
「××さん」
「はい」
「ちょっと、東京行ってくるから」
「!」
うにゅほが目をまるくする。
「いまから……?」
「今からではないけど」
「いつから?」
「9月7日から」
「わたしは?」
「お留守番……」
「──…………」
「──……」
うにゅほが、悲しげに目を伏せる。
心が痛い。
「……ごめんな、また置いてく」
「ううん」
気丈にも、小さく首を振る。
「ようじ、あるんだもんね」
「はい……」
「しかたない、しかたない」
自分に言い聞かせるように、うにゅほが頷く。
「本当、ごめん」
「すぐ、かえってくるもんね」
「……それが、その」
「?」
「二泊でして」
「──…………」
うにゅほの顔から、表情が抜け落ちる。
「えー、その、なんだ」
「──…………」
「旅行、旅行行こう! 泊まりがけ! ふたりで!」
「……ほんと?」
「本当。約束する。東京行きでお金使うから、ちょっと貯めないといけないけど……」
「わかった……」
うにゅほが、そっと口角を上げる。
「うへー。いっしょに、りょこう……」
よかった。
機嫌が戻ったようだ。
「お土産、買ってくるから」
「うん」
「電話するから」
「うん」
「だから、待っててくれな」
「うん」
良い土産話ができるよう、頑張ろう。

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2019
08.29

うにゅほとの生活2822

2019年8月29日(木)

起床と同時にカーテンを開く。
「晴れたー!」
起き上がることすらしんどかった昨日とは一転、体がとても軽かった。
「あ、おはよー」
「おはよう。良い天気だな」
「◯◯、きょうげんき」
「元気元気」
「よかったー」
うにゅほが、ほにゃりと相好を崩す。
「ご心配をおかけしまして……」
「いえいえ」
実際、うにゅほには、心配ばかり掛けている気がする。
もうすこし体が強ければと思うのだが、こればかりは筋肉を鍛えてもどうにもならないものらしい。
それはそれとして、
「……薄々思ってはいたんだけど、昨日、痛感したことがある」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「部屋の冷蔵庫、効きが悪くなってる」
「……あー」
「××だってお茶入れて飲んでるんだから、なんとなーくは気づいてたろ」
「うん、いわれてみれば」
「冷たい水を求めて冷蔵庫を開けたのに、微妙な冷え具合だったときのガッカリ感よ」
「わかる」
「特に、昨日は体調悪かったからさ……」
「こんどから、いってね。こおりみずつくってくる」
「いや、新しいの買おう」
「あたらしいの……」
「だって、この冷蔵庫、"96年特定フロン規制対応冷蔵庫"ってシール貼ってあるんだぞ」
「はってある」
「てことは、××より確実に年上だぞ」
「たしかに……」
「電化製品としては、とっくに寿命だよ」
「そか……」
うにゅほが、黒い冷蔵庫をさらりと撫でる。
「ちいさいれいぞうこ、おいくらくらいするかなあ」
「二、三万あれば、そこそこのが買えるだろ。霜取りが必要ないやつ」
「しもつかないの、いいね」
「霜がつく時点で、とっくに型落ちなんだけどな……」
「こんど、よどばしいこうね」
「そうしよう」
上にSwitch用のディスプレイを乗せているため、できれば同じくらいの高さのものが欲しい。
あればいいなあ。

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2019
08.29

うにゅほとの生活2821

2019年8月28日(水)

「──…………」
「わ」
起きてきた俺の顔を見て、うにゅほが小さく声を上げた。
「◯◯、ねないと!」
「いや、いま起きたばっか──」
「かがみみて!」
言われて、姿見を覗き込む。
「……うわ」
ひどい顔をしていた。
「──…………」
すんすん。
俺の胸に顔を埋め、うにゅほが鼻を鳴らす。
「かぜのにおい、しない」
「しないか」
「うん」
「てことは、低気圧だな……」
「あめだもんね……」
窓の外から、ざあざあと雨音が響く。
本降りだ。
「きゅうしゅう、あめ、すごいんだって」
「そうなんだ」
「みち、かわみたいだった」
「大変だな……」
「うん」
「──…………」
「──……」
「寝る」
「はい」
きびすを返し、ベッドに戻る。
アイマスクを装着し目を閉じると、気を失うように意識が途切れた。
仕事をこなせるまでに復調したのは、夕刻になってからのことだった。
いまもまだ、体調が悪い。
今日は早めに寝ることにする。

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2019
08.28

うにゅほとの生活2820

2019年8月27日(火)

「──…………」
うと、うと。
「◯◯?」
「!」
「ねてた」
「寝てない寝てない」
「ほんと?」
「うとうとしてただけ」
「ねむいなら、ねたほういいよ」
「まあ、そうなんだけど」
「けど?」
「……寝ちゃダメな理由、あったっけ」
あったような、なかったような。
「ねたほういいよ」
「そうします」
いそいそとベッドへ向かう。
「では、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「三十分したら起こしてください」
「はーい」
うにゅほにそう告げて、アイマスクを装着する。

──三十分後、
「◯◯ー」
「──…………」
「さんじゅっぷん、たったよ」
「あと三十分……」
「はーい」

──更に三十分後、
「◯◯ー」
「──…………」
「もうさんじゅっぷん、たったよ」
「あと十分……」
「はーい」

──更に十分後、
「◯◯ー?」
「あと五分……」
「きょう、びょういんじゃなかったっけ」
「!」
飛び起きる。
時刻は、午後一時十五分。
予約は午後一時半。
「危ない……」
「まにあう?」
「ギリギリ」
時間厳守というわけではないが、なるべく遅れたくはない。
「なんで眠いの我慢してたか、ようやく思い出した……」
「ほら、かおあらって、ねぐせなおして」
「はい……」
五分で身支度を整え、なんとか予約に間に合ったのだった。
病院が近くてよかった。

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2019
08.27

うにゅほとの生活2819

2019年8月26日(月)

仕事中、ふと手を止める。
「すげーどうでもいいこと思い出した」
「?」
仕事部屋を片付けていたうにゅほが、小首をかしげた。
「なにおもいだしたの?」
「……あまりにどうでもよすぎて、口にすることすら憚られる」
「えー……」
「忘れてくれ」
「きになる」
「本当にどうでもいいことだぞ」
「うん」
「話も膨らまないぞ」
「うん」
「仕方ない……」
居住まいを正し、口を開く。
「父さんと母さんの結婚記念日、覚えてるか?」
「うーと、さんがつの、にじゅういちにち」
「父さんの誕生日の翌日だよな」
「うん」
「子供のころ、結婚記念日の話題になったとき、適当に答えたら当たったことがある」
「しらなかったの?」
「誓って知らなかった」
「へえー」
「──…………」
「──……」
「ほら」
予想通りの反応だ。
「あ、でも、すごいとおもう。さんびゃくろくじゅうろくぶんのいち、だもんね」
「まあ、うん」
「れーてんさんぱーせんと、くらい?」
うにゅほが、頑張って、話を膨らませようとしてくれている。
いじらしい。
「ところで、40人のクラスに誕生日が同じ人がいる確率ってどのくらいか知ってる?」
「……さんびゃくろくじゅうろくぶんの、よんじゅうくらい?」
「正解は、90%」
「えー!」
話題を誕生日のパラドクスに逸らして、ほんのすこしだけ盛り上がったのだった。

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2019
08.26

うにゅほとの生活2818

2019年8月25日(日)

ふと、温湿度計を覗き込む。
「だいぶ涼しくなってきたなあ」
と言っても、27℃はあるのだけれど。
「なつ、おわりだね」
「夏が終わると、冬が来るな」
「あき……」
「秋の印象、薄くてさ」
「みじかいもんね」
「えーと、八月末までが夏だろ」
「うん」
「雪が降ったら冬」
「うん」
「初雪って十一月の半ばくらいだから、北海道の秋は二ヶ月半……」
「あれ、あんましみじかくない?」
「本当だ」
北海道の秋は短いという先入観があったため、意外だった。
「うーと、ふゆ、さんがつまでだから──」
うにゅほが指折り数えていく。
「よんかげつはん、かな」
「さすがに長いな」
「ながい……」
「春は、四月、五月、六月で三ヶ月だろ。梅雨ないし」
「うん」
「で、夏は、七月と八月……」
「みじかい!」
「夏のほうが短かったのか」
そう感じないのは、際立った暑さや多くのイベントなどで、密度の濃い日々を送ってきたからだろう。
「秋の印象が薄いのって、特に何もないからかな」
「そうかも……」
「春は、雪解け。待ち望んでいたものだから、記憶に残る」
「あと、さくら!」
「桜もだな」
「なつは、あついし、おまつりあるし」
「お盆の墓参りも、夏のイベントだ」
「ふゆは、ゆきかき!」
「お正月」
「あと、◯◯のたんじょうび」
その言葉に、秋の大イベントをひとつ思い出す。
「秋と言えば、××の誕生日だったな」
「あ、そだね」
「プレゼント、考えておかないと」
「たのしみ」
しかし、秋は本当にイベントが少ない。
読書の秋、食欲の秋などと呼び習わすのは、忙しない夏を越えて、何もない期間が続くからかもしれない。
もっとも、農家は書き入れ時なのだろうけれど。

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2019
08.24

うにゅほとの生活2817

2019年8月24日(土)

「──……おはよう」
「おはよ!」
昼頃になってようやく目を覚ますと、うにゅほが元気よく挨拶を返してくれた。
洗面所で顔を洗い、自室へ戻る。
「きょうね、へんなゆめみたよ」
「おー」
うにゅほから夢の話を振ってくるのは珍しい。
「どんな夢?」
「うーとね、ゆめうらないあるしょ」
「あるな」
「ゆめうらないをね、ゆめのなかでするゆめ」
「……面白い」
「うへー」
俺の反応が期待通りだったのか、うにゅほが満足げに笑みを浮かべる。
「夢の中で夢を見たの?」
「うん」
「詳しく」
「◯◯がね、ゆめうらないするから、ねてっていったの」
「俺が……」
うにゅほの夢に、自分が登場している。
なんとなく嬉しい。
「ねなきゃーとおもってねたら、ゆめみたの」
「ほうほう」
「でも、ゆめのなかのゆめ、あんましおぼえてない……」
「まあ、仕方ないか」
普通の夢ですら、すぐに思い出せなくなるのだ。
こと二重夢となれば、言うに及ばないだろう。
「わたしが、こんなゆめみたーっていったら、◯◯がね、すごくいいゆめですっていったの」
「良い夢だったんだな」
「そんなきーする」
「そうなると、どんな夢だったか気になるな……」
「うん……」
「で、起きたのか」
「まだゆめみたきーするけど、そっちあんましおぼえてない」
「あるある」
「ね、ね、おもしろい?」
「うん、すごく面白い夢ですね」
「やた!」
「俺も、面白い夢見たいなあ」
「みたらおしえてね」
「真っ先に教えましょう」
「うん!」
夢の話は面白い。
もっと、つげ義春みたいな漫画家が増えればいいのに。

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2019
08.23

うにゅほとの生活2816

2019年8月23日(金)

「──…………」
す。
うにゅほの眼前に、人差し指を突きつける。
「?」
うにゅほが目をぱちくりさせる。
「──…………」
くるくる。
トンボを捕まえるときにするように、指先を回してみる。
「めーまわらないよ?」
「知ってる」
「どしたの?」
「どんな反応するのかなって」
「ひまなの?」
「暇」
「なんかしてあそぶ?」
「遊ぼう」
「うん」
「何する?」
「うーと──」
思案ののち、うにゅほが申し訳なさそうに口を開く。
「おもいつかない……」
「なんか対戦する?」
「わたし、よわいもん」
「あー」
「◯◯、ゲームするとこ、みるほうがすき」
「そっか……」
どうしようかな。
俺がゲームをするだけだと、一緒に遊んでる感が薄いのだけど。
「さいきん、あれしないね」
「どれ?」
「おとげー」
「Muse Dashか」
「それ」
「DLC含め全曲プレイしたし、キャラもCGもすべて開放しちゃったからなあ……」
「そなんだ……」
「見たいならやるけど」
「みたい」
うにゅほが、俺の膝に腰掛ける。
特等席だ。
うにゅほを抱きすくめるようにゲームパッドを持ちながら、しばしのあいだゲームに興じるのだった。

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2019
08.22

うにゅほとの生活2815

2019年8月22日(木)

「……あー、まただ」
入力した文章を、バックスペースキーで削除していく。
「?」
俺の独り言を聞きつけたのか、うにゅほがディスプレイを覗き込んだ。
「どしたの?」
「最近──でもないけど、変なタイプミスが多くてさ」
「へんなの?」
「例えば、"ありがとう"って入力するとするだろ」
「うん」
「普通は、"ありあとう"とか、"ありふぁとう"みたいな誤入力が多い」
「そなんだ」
「理由はわかる?」
うにゅほが首を横に振る。
「キーボードは、基本的にローマ字入力なんだよ」
「うん」
「"ありあとう"の場合は、Gを打ち損なって。"ありふぁとう"の場合は、Gの隣にあるFを間違ってタイピングしてる」
「あ、そか!」
実際にキーボードを打ちながら説明すると、うにゅほが深々と頷いた。
「◯◯、どんなたいぷみすするの?」
「"ありがとう"が、"ありかとう"みたいになる。濁点や半濁点が抜けるんだな」
「てんてん、つけわすれ?」
「ノートにペンで書くなら、ありがちなミスだろ」
「うん」
「でも、キーボードはローマ字入力だ。GとKは3キー離れてる。単純な打ち損ないじゃない」
「なんでだろ……」
「いちおう、仮説はある」
「どんなの?」
「意識したことはないけど、頭の中に文章があって、それを読みながらタイピングしていると仮定する」
「うん」
「そのとき、頭の中の文字の濁点を、見落として、る、とか……」
言ってて自信がなくなってきた。
「あたまのなかのもじ……」
「我ながら意味がわからないけど、筋の通る理由が他に思い浮かばなくて」
「うーん」
しばしの思案ののち、うにゅほが口を開いた。
「ありえなくもない」
「そう?」
「◯◯、あたまのなか、もじいっぱいありそう」
なんだそのイメージ。
いずれにしても、タイプミスには気をつけよう。

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