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2019
01.31

うにゅほとの生活2612

2019年1月31日(木)

ふとカレンダーに目を向ける。
「2019年も、なんだかんだで一ヶ月か……」
「いろいろあったねえ」
「……いろいろあったか?」
「うん」
「そうだっけ……」
言われてパッと思いつく出来事がないのだけれど。
「スイッチかった」
「買ったな」
「マリオカート、むずかしいねえ……」
「(弟)、なんであんなに速いんだろうな。意味わからん」
「みにたーぼ?」
「ミニターボの成否より明らかな差がある気がするんだけど……」
「うん……」
弟を見返すためには、うにゅほとふたりで特訓するしかないだろう。
もっとも、最近はまた仕事が忙しくなってきていて、ゲームをする時間もなかなか取れないのだが。
「一ヶ月、一ヶ月──」
今月あった出来事を思い返そうとして、ふと気づく。
「そう言えば、大掃除してからちょうど一ヶ月でもあるな」
「そだね」
自室をぐるりと見渡してみる。
「──うん、わりと綺麗に使えてると思う」
「せいりせいとん、できてますね」
「本を読み終わったら、ちゃんと元の場所に戻すようにしてるからな」
「えらいマンだ」
「えらいマン……」
意味はわかるがよくわからんことを言い始めた。
「その、えらいマンとはいったい」
「えらいマンは、えらい」
「偉いんだ」
「だから、◯◯はえらいマン」
「××はえらいウーマン?」
「うーん……」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「ごろが、へん」
「まあ……」
わからんでもない。
「えらいマンは、えらいマン」
「概念かな」
「がいねん」
まあ、素直に褒められたと思っておこう。

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2019
01.30

うにゅほとの生活2611

2019年1月30日(水)

仕事が一段落して自室へ戻ると、うにゅほが滂沱の涙を流していた。
「──…………」
理由はすぐにわかった。
うにゅほの膝の上に、iPadがあったからだ。
「××」
「ふい……」
ずひ、と鼻を啜るうにゅほに、ティッシュを箱ごと手渡す。
「むてん丸、面白かった?」
「おもじろがった……」
回転むてん丸。
くら寿司の販促用Web漫画である。
「七章の過去編あたりから、涙腺ヤバいよな……」
「わがる……」
目元を拭い、幾度も鼻をかみながら、うにゅほがうんうんと頷く。
「目、赤いぞ。目薬をさしてあげましょう」
「おねがいしまう」
天井を見上げて待ちの姿勢に入ったうにゅほの両目に、ぽたりぽたりと目薬をさしてやる。
「う」
「はい、ぱちぱちして」
うにゅほが目をしばたたかせる。
「で、最後まで読み終わったのか?」
「うん、さっき」
上着の袖に視線を向ける。
濡れていた。
「袖で拭いたら、バイキン入るぞ」
「うへー……」
「……まさか、鼻水も拭いてないよな」
「ふいてないですー」
「本当に?」
「こどもじゃない……」
微妙に心外そうな表情を浮かべる。
「まあまあ、むてん丸の話をしよう。××は誰が好きだった?」
「うーと、うみみかなあ」
「海美か。シセラの話、王道で切なくてよかったよな……」
「◯◯は?」
「普通にシャムかな。あと、シックも好き」
「おー」
そんな具合に、しばし回転むてん丸の話で盛り上がった。
面白い作品は、人と共有することで、さらに楽しむことができる。
物語は終わっても、コンテンツは終わらないのだ。

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2019
01.29

うにゅほとの生活2610

2019年1月29日(火)

「××ー」
「?」
「握手」
そう言って、右手を差し出す。
「はい」
うにゅほが俺の手を握る。
「つめた!」
「冷たいだろ」
「てー、だいじょぶ?」
うにゅほの小さな両手のひらが、俺の右手を優しく包む。
温かい。
すこし熱いくらいだ。
「××の体温が染み渡る……」
「すりすりするね」
「お願いします」
「おわったら、ひだりてね」
「はい」
「あしは?」
「靴下履いてるから大丈夫」
「そか」
足も冷たいと言えば、温めてくれたのだろうか。
「──…………」
たぶん、してくれただろうな。
うにゅほだもの。
しばしして、左手が汗ばんできたころ、ふとあることに思い至った。
「そう言えば、××も冷え性じゃなかったっけ」
「うん」
「手、あったかいけど……」
「てーもつめたいときあるけど、つめたいの、あし」
「足か」
「うん」
「──…………」
「──……」
「靴下は?」
「……うへー」
あ、笑顔で誤魔化しにかかった。
「はいはい、靴下履きましょうねー」
「はーい……」
「履かせてあげるから」
「うん」
靴下嫌いなのは俺も同じだから気持ちはわかるが、心を鬼にして履かせなければ。

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2019
01.28

うにゅほとの生活2609

2019年1月28日(月)

うにゅほが、膝に乗せたiPadの画面の上で、時折指を滑らせている。
「××」
「んー」
「むてん丸、どこまで読んだ?」
「うーと、いま、かんふーたわーのとこ」
第五弾か。
第三弾から第六弾まではサイドストーリーだから、ちょっと間延びしてるんだよなあ。
「……面白い?」
「うん、おもしろい」
「そっか」
この時点で面白さを感じているのなら、きっと最後まで読み切ってくれることだろう。
「──…………」
ぽりぽり。
むてん丸を読みながら、うにゅほがふとももの裏を掻く。
先程から幾度も同じ場所を掻いているのが気になった。
「××、ふともも痒いの?」
「かゆい……」
温湿度計を覗き込む。
「湿度44%か。ちょっと乾燥してるな」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「かしつするの、ずっとわすれてたね」
「わかりやすく効果が表れるわけじゃないから、つい後回しにしちゃうんだよな……」
「うん……」
思えば最近、目が疲れやすかった気がする。
これでは、なんのために温湿度計を設置しているかわからない。
「タンクに水汲んでこよう」
「おねがいします」
「××、痒み止まらなかったらユースキン塗ろうな」
「ほしつのやつ?」
「そう」
「おろないんと、どっちいいかな」
「用途が違うから……」
うにゅほは、オロナインを万能薬か何かだと思っているらしい。
用途に合わせた使い分けが大切なのだと、ちゃんと教えておかねば。

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2019
01.27

うにゅほとの生活2608

2019年1月27日(日)

「──…………」
カチ、カチ。
左クリックでページをめくり、先へ先へと読み進める。
「◯◯、なによんでるの?」
「回転むてん丸」
「むてんまる」
「くら寿司の販促用Web漫画なんだって」
「へえー」
「面白いって聞いたから読んでみてるけど、まあ、良くも悪くも子供向けだな」
「おもしろくないの?」
「そこそこ」
「そこそこかー」
「最後まで読んだら、感想教えるよ」
「うん」
回転むてん丸は、二部構成だ。
第一部は、一弾から七弾。
第二部は、一章から八章。
「……?」
第二部一章を開いた瞬間、違和感に襲われた。
背景の描き込みが、これまでとは明らかに異なっている。
主人公のむてん丸がいなければ、別の漫画と見紛うほどだ。
小学◯年生からコロコロコミックへと掲載誌が移ったくらいの変化を感じる。
「これ、面白いな……」
思わずそんな呟きが漏れた。
「むてんまる、おもしろいの?」
「だんだん面白くなってきた」
「おー」
第二章。
第三章。
次々と読み進めていく。
第六章。
第七章。
「──…………」
俺は、寿司屋の販促用漫画に泣かされていた。
第八章を読み終え──
「──……××」
「うん」
「すげえ面白かった……」
「◯◯、ないてたもんね」
「××も泣く、絶対」
「よみたい!」
「じゃあ、タブレットでな」
「うん」
うにゅほが、iPadで回転むてん丸を読み始める。
読み終えたら、ふたりで語り合うのだ。

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2019
01.26

うにゅほとの生活2607

2019年1月26日(土)

「ねむみが深い……」
「ねむみが」
「早起きしたからなあ」
「くじ」
「俺にしては早起きなの!」
「そだね」
くすりと笑われてしまった。
「なんじにねたの?」
「普段と変わらないよ。四時くらい」
「ごじかんかー」
「五時間だな」
「わたし、きょう、ろくじかんくらい」
「××って、けっこうショートスリーパーだよな」
「しょーとすりーぱー?」
「睡眠時間が少なくても大丈夫な人」
「そかな」
「寝るのは基本十二時、起きるのはピッタリ六時。たまに一時まで起きてるときもあるし」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「でも、ひる、うとうとするひーある」
「食後とかな」
「うん」
「気持ちよさそうだから、起こさないようにしてる」
「うん、きもちい」
うへーと笑う。
「寒そうだったら半纏掛けてるぞ」
「しってる」
「知ってたか」
「ありがとね」
「どういたしまして」
「ねむみ、まだふかい?」
「深いですね……」
「うとうとする?」
「うとうとって、意識的にできるもんじゃないから」
「うとうとしたら、はんてんかけるね」
「ありがとう」
ちょっと嬉しい。
しかし、そんなときに限ってうとうとしない俺なのだった。

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2019
01.25

うにゅほとの生活2606

2019年1月25日(金)

「──…………」
ずうん。
電源を落とした液晶タブレットに突っ伏しながら、ただ呼吸のみを行う。
落ち込むことがあった。
人から見ればそう大したことでもないのかもしれないが、ちょっと気落ちするくらいは許してほしい。
「◯◯……」
「──…………」
「◯◯?」
「んい」
「だいじょぶ……?」
「だいじょばない」
「だいじょばないかー……」
「ごめん、一時間くらいほっといて」
「わかった……」
しばしして扉の開閉音が響き、自室が無音に包まれる。
「──…………」
無音。
そう思われた自室も、ひとりになってみれば、決して静かではない。
ファンヒーターの駆動音。
風が窓を叩く音。
そして、自身の呼吸音。
「──…………」
落ち着かない。
ひとりでないことに慣れ過ぎた。
「……一時間、か」
時計を見る。
まだ五分ほどしか経っていなかった。
「──…………」
寂しい。
チェアから腰を上げ、階下へ向かう。
ぼんやりテレビを見ていたうにゅほと、目が合った。
「◯◯?」
「あー」
目を逸らしながら、言う。
「……なんか、大丈夫になった」
「ほんと?」
「まあ、うん」
「よかった!」
ストレートな笑顔が、胸にくる。
「……ごめんな」
「なにが?」
「なんでもない」
気落ちしていても仕方ない。
前を向こう。
その手伝いをしてくれる人が、隣にいるのだから。

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2019
01.24

うにゅほとの生活2605

2019年1月24日(木)

「◯◯、◯◯」
「んー」
卓上鏡で眉毛を整えながら、うにゅほに生返事を返す。
「◯◯」
「はいはい」
「きょう、なんのひか、おぼえてる?」
「今日……」
1月24日。
何かあっただろうか。
「えーと」
キーボードを叩く。
「……郵便制度執行記念日?」
「──…………」
じ。
うにゅほの双眸が、俺を射抜く。
あ、これ思い出さないとまずいやつだ。
しばし本気で思案し、
「──あ、婆ちゃんの命日か!」
「うん」
危ないところだった。
「◯◯、わすれてた?」
「忘れてないよ、思い出した」
「それ、わすれてた……」
「まあまあ」
うにゅほの手を取り、階下へ向かう。
「命日くらい、ちゃんと手を合わせないとな」
「うん」
「しかし、婆ちゃんが死んでから、もう二年か……」
「さんねんだよ」
「……マジ?」
「うん」
月日が経つのが早すぎる。
「三年、か……」
祖母がいなくなって、三年。
この三年間で、何を成しただろう。
成長はした気がする。
だが、失ったものも大きいはずだ。
「──…………」
なむなむと呟くうにゅほの隣で、同じように手を合わせながら、そんなことを考えていた。

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2019
01.23

うにゅほとの生活2604

2019年1月23日(水)

「うはー……」
窓の外が、白い。
ふっくらとした牡丹雪が、目まぐるしく視界をよぎっていく。
猛吹雪だった。
「これ、夜には雪かきだな。場合によっては明日の朝も」
「ゆきかきかあ……」
「?」
雪かきが好きなはずのうにゅほが、何故だか憂い顔だ。
「どしたー?」
うにゅほの頭を、ぽんと撫でる。
「雪かき、嫌になったか。気持ちはわかるぞ。すごくわかる」
「ちがくて」
やっぱり。
「ゆきかき、すきだけど、ふぶきのときにがて」
「あー」
「かお、つめたい……」
「すごくわかる」
寒いだけならまだしも、顔にビシビシ雪の粒が当たり続けると、やる気ゲージがモリモリ削れていく。
除雪する傍からどんどん積もって行くため、賽の河原にいる気分になるし。
「××は、どんな雪かきがしたい?」
「うーと」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「はれててね、さむくてね」
「うん」
「ゆき、きらきらしてて」
「うん」
「ゆき、ふーってしたらとぶくらいかるくてね」
「うん」
「◯◯と、いっしょにするの」
「──…………」
「これ、さいこう」
「そっか」
うにゅほの髪を手櫛で整える。
「明日、晴れたら、一緒に雪かきしような」
「うん!」
「……まあ、晴れてなくてもするんだけど」
「うん……」
晴れろと贅沢は言わない。
せめて、吹雪はやんでくれ。

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2019
01.22

うにゅほとの生活2603

2019年1月22日(火)

スイッチで、ヒューマンフォールフラットを購入した。
正確に言うと、弟がいつの間にか購入していた。
「あ、これ、よいこのやつ!」
「そうそう」
よゐこが、〈インディーでお宝探し生活〉という動画でプレイしていたゲームである。
「ちょっとやってみようぜ」
「むずかしそう……」
渋るうにゅほにコントローラーを押し付け、ヒューマンフォールフラットを起動する。
二分割された画面に、子供がこねて作ったような白い人形が立ち並んだ。
「わ、わ、これ、わたしどっち?」
「俺が左で、××が右」
「みぎ……」
「これ、視点変えるのどうすんだろ」
「あ、ジャンプした」
うにゅほの操作するキャラクターが、ぼってりと鈍く跳ね回る。
「ジャンプはいいけど、視点回せないぞ……」
もたもた。
しばしして、
「──あ、コントローラー傾ければいいのか!」
「そんなのあるの?」
「スイッチはジャイロセンサー入ってるから」
「じゃいろ……」
「傾けてみ」
「うん」
うにゅほが、上半身を右に大きく傾ける。
「あれ……?」
視点が変わらない。
当然である。
「××さん、手元が傾いてませんよ」
「!」
可愛い。
「……うへー」
笑って誤魔化そうとするさまも、また愛しい。
「ほら、さっさと行くぞー」
うにゅほのキャラクターを引っ掴む。
「わ、かってにうごく!」
「ほれほれ」
「これ、どうなってるの?」
「LとRで掴める」
「つかみたい!」
「いいぞ」
そんな具合で、さっぱり進みやしない。
最初のステージすら覚束ないふたりだったが、これはこれで楽しいのだった。

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