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2018
08.31

うにゅほとの生活2461

2018年8月31日(金)

「──ピーマンの肉詰め」
「?」
うにゅほが顔を上げる。
「ピーマンの肉詰めって、報われない料理だよな」
「ピーマンのにくづめ、たべたいの?」
「いや特に……」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「ピーマンの肉詰めの材料って、ピーマン抜いたらほぼハンバーグじゃん」
「そだね」
「ハンバーグは、大人も子供も大好き。俺も大好き」
「わたしもすき」
「でも、ピーマンの肉詰めは、好みが分かれる。好きな料理ランキングを集計したら、確実にランクは落ちるだろう」
「そうかも……」
「ハンバーグに材料を足して、詰める手間まで掛けたのに、結果はこれだ。報われない」
「◯◯、ピーマンのにくづめ、きらい?」
「嫌いじゃないけど……」
「ハンバーグのほう、すき?」
「好き」
「むくわれないね……」
「報われない」
ふと思う。
「……もしかして、ピーマンありきの料理なのかな」
「ピーマンありき?」
「野菜嫌いの子供がピーマンを食べられるように、ハンバーグの要素を足した──とかなのかなって」
「あー」
いかにもありそうな話だ。
「いずれにしても、ピーマンの肉詰めを手間暇掛けて作るくらいなら、いっそハンバーグが食べたいなって話」
「ピーマンのにくづめ、さいごにつくったの、いつだっけ」
「一年は食べてない気がする」
「なんで、いきなり?」
「さあ……」
思いついてしまったのだから、仕方がない。
平和な午後のことだった。

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2018
08.30

うにゅほとの生活2460

2018年8月30日(木)

夕食後のことである。
「──……眠い」
「ねむいの」
「眠い……」
「ねる?」
「……仮眠取るか。三十分くらい」
「じゃあ、さんじゅっぷんたったらおこすね」
「頼むー……」
ベッドの上に這い上がり、アイマスクを着けて横になる。
「──…………」
丸い意識が、傾斜の緩い坂道を、ゆっくりと転がり落ちていく。

三十分後──
「──◯◯、◯◯」
肩を揺すられ、目を覚ます。
「おきた?」
「起きた……」
「ねれた?」
「そこそこ」
アイマスクを外し、眼鏡を掛ける。
「なんか、変な夢見たな」
「どんなゆめ?」
「えーと──」
こぼれ落ちていく砂のような記憶を、なんとかして掻き集める。
「……夢の中で、俺は、自分が夢を見てるって気づいてたんだ」
「めいせきむ?」
「よく知ってるな。そんな感じ」
「うへー」
「で、その夢の中で、更に夢を見た」
「ゆめのなかで……」
「でも、とっくに夢の中だから、それ以上の奥はなくて、"夢の中の夢の世界"には入れなかったんだ」
「どうなったの?」
「夢の中で、俺が増えた」
「ふえた!」
「で、なるほど、こうなるのかって納得する夢」
「へえー」
「起きてから考えたら変な話だけど、夢の中では辻褄が合ってるんだよな……」
「ゆめのはなし、おもしろい」
「わかる」
つげ義春とか大好きである。
夢を忠実に漫画化した作品が、もっと増えればいいのに。

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2018
08.29

うにゅほとの生活2459

2018年8月29日(水)

「ただいまー……」
歯医者で新しい銀歯を被せてもらい、帰宅した。
「おかえりなさい。どこかよってたの?」
「寄ってないよ」
「でも、おそかったねえ」
「予約してたのに、一時間以上待たされた……」
「おつかれさまです……」
「予約順だから仕方ないけど、簡単な施術は先にしてほしいよな。銀歯つけるの、十分で終わったもん」
「ほんとだね」
「でも、よかった。これでようやくガムが噛める」
「◯◯、ガムすき」
「嫌いじゃないけど、大好物でもないぞ。口寂しいだけで」
「くち、そんなにさみしい?」
「わりと」
「わたし、あんましさみしくない」
「いいことだ」
「いいの、なんかないかな」
「ガム以外に?」
「うん」
「飴はダメだぞ。虫歯になるから」
「なんかたべるのは?」
「ナッツ類なら延々食べ続けられると思うけど、太るからなあ」
「そだね」
「食べても太らないものって考えると、結局ガムに行き着くわけで……」
「あ、あれは?」
「どれ?」
「あかちゃんくわえてるやつ」
「……おしゃぶり?」
「おしゃぶり」
「──…………」
最悪の絵面だ。
「ないわー」
「ないかー……」
赤ちゃんプレイに興味はない。
「素直にガム噛むから、いいです」
「はい」
ガムの消費が激しい今日このごろである。

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2018
08.28

うにゅほとの生活2458

2018年8月28日(火)

「花火だ!」
「はなびだー!」
コンビニで、安くなっていた花火セットを購入した。
暗くなるまで待って、庭先に出る。
「××、バケツに水汲んできて」
「はーい」
うにゅほがバケツを取りに行くのを横目に、あらかじめ入手しておいた仏壇用のロウソクに火をつける。
だが、
「……風があるな」
つけてもつけても火が消えてしまう。
仕方がない。
電子ライターでは風情が削がれるような気もするが、目的を果たせないよりましだ。
「くんできたよ」
「さんきゅー」
「ね、どれからやる?」
「選んでいいぞ」
いちばん小さなセットだから、どれも大差ない気がするけれど。
「じゃあねー、これ!」
うにゅほが手に取ったのは、線香花火によく似た手持ち花火だった。
ただし、大きさが線香花火の倍はある。
「ひーつけて!」
「はいはい」
紫色の放電が、花火の先に火を灯す。
しばしして、
「わあー……!」
緑色の火花が、持ち手の先で花開いた。
「◯◯! ◯◯! ひーきえるまえに、◯◯のもつけて!」
「了解」
ふたり、花火を継いでいく。
消えたら、また、ライターでつけ直す。
すべての花火が燃え尽きるのに、十分とかからなかったように思う。
「……おわっちゃった」
「そうだな」
「なつ、おわりだね」
「あんまり終わり終わり言ってると、秋が怒るかもな。俺の始まりだぞーって」
「あはは」
2018年の夏が終わる。
できたことも、できなかったこともある。
楽しかったことは思い出にして、やり残したことはまた来年だ。
夏はまた来るのだから。

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2018
08.27

うにゅほとの生活2457

2018年8月27日(月)

「……口寂しい」
「ガムあるよ」
「ガム、噛みたいんだけどさ」
「?」
「噛んだら、歯の詰め物が取れる。仮のやつだから」
「あー……」
「おかげで水ばっか飲んでる」
「◯◯、といれ、すーごいいってるもんね」
「三十分に一回くらい行ってる気がする」
「そんなきーする」
「右側の歯を使わなきゃいいんだけど、左側だけで延々ガム噛み続けるとか、ちょっとした苦行だし」
「あご、いたくなりそう」
「こんなとき、飴があったらなあ……」
「◯◯、あめ、かわなくなった」
「そうだな」
「まえ、おおきいかんかんに、いっぱいあめいれてたのに」
「歯医者に止められたんだよ。虫歯になるって」
「そなの?」
「飴なんて舐めてなくても虫歯になってるから、関係ない気もするけど」
「そだねえ……」
「××、歯医者にかかったことないんだっけ」
「ないよ」
「虫歯もない?」
「ない」
「すごいなあ」
「うへー」
「同じもの食べて、一緒に歯磨きしてるのに、どうして俺だけ虫歯になるんだろう」
「わたし、はーみがく?」
「ん?」
「◯◯の、は」
「……膝枕で?」
「うん」
「それは──うん。さすがに絵面がひどい」
「だれもみないよ?」
「俺が見てるんだよ」
「ふうん……」
「気持ちだけありがたく受け取っとくな」
「うん」
「じゃあ、トイレ行ってくる」
「また?」
「飲み過ぎかなあ」
「のみすぎとおもう……」
しかし、やはり口寂しく、延々と水ばかり飲んでまう俺だった。

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2018
08.26

うにゅほとの生活2456

2018年8月26日(日)

「……なんか、ちょっと肌寒いな」
「そだね……」
新しい温湿度計を覗き込む。
26℃。
快適な室温のはずなのに、これまでがこれまで過ぎて寒く感じてしまう。
「××」
ぽんぽんと膝を叩く。
「はーい」
以心伝心。
うにゅほが俺の膝に腰を下ろす。
「あたらしいチェア、ちょっとせまいね」
「肘掛けがな」
「うん」
「でもこれ、開くんだぞ」
カチッ。
肘掛けが、ハの字に開く。
「おー」
「ちょっと広くなったかな」
「うん」
右手にマウスを持ったまま、左腕でうにゅほを掻き抱く。
暖かい。
「やっぱ、人肌だなあ……」
「ねー」
「あ、でも、窓──」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……窓は、閉めなくていいか。蒸し暑くなりそうだし」
「そだね」
「夏も終わりが近いなあ」
「うん……」
「締めに、なんか夏らしいことしたいな」
「なつらしいこと?」
「花火とか」
「はなび!」
「見かけたら、買ってみるか。小さいやつな」
「うん!」
目を輝かせるうにゅほを見て、去年も、一昨年も、花火くらい買えばよかったと後悔する。
明日、ホームセンターにでも行ってみよう。

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2018
08.25

うにゅほとの生活2455

2018年8月25日(土)

「──あれ?」
ふと、読書にふけるうにゅほの手の甲が気になった。
「××、手ー出して」
「て?」
うにゅほがこちらに両手を差し伸べる。
「手のひらじゃなくて、手の甲」
「はい」
ひっくり返す。
「……やっぱり」
「?」
「××、怪我してるぞ」
「あ、ほんとだ」
どこかに引っ掛けたのだろうか。
右手の甲の端に、1cmほどの赤黒い線が走っていた。
「痛くない?」
「うん」
「血は出てないみたいだけど、いちおう絆創膏貼っとくか」
デスクの引き出しから、絆創膏のあまりを取り出す。
「さびおだ」
「サビオって言うの、北海道だけらしいぞ」
「そなの?」
うにゅほの手の甲に絆創膏を貼りながら、記憶を漁る。
「絆創膏が正式名称で、サビオが商品名。日本全国で、いろいろ呼び名が違うみたい」
「へえー」
うんうんと頷く。
「どんなよびかたあるの?」
「たしか、カットバンとか、バンドエイドとか」
「ばんどえいど、きいたことある」
「九州のほうではリバテープって言うらしい」
「りばてーぷ、きいたことない……」
「本州でサビオって言ったら、首かしげられるかもな」
「あれみたいだね」
「どれ?」
「おやき」
「あー、おやきな。あれも全国津々浦々、呼び方違うらしいから」
今川焼き、回転焼き、御座候なんて呼び方もあるらしい。
「にほん、ひろいねえ……」
「そうだなあ」
うにゅほの怪我から派生して日本の広さに思いを馳せる俺たちなのだった。

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2018
08.24

うにゅほとの生活2454

2018年8月24日(金)

普段通りの日常。
俺は、ディスプレイに向かってキーボードを叩き、
うにゅほは、座椅子に腰を下ろして読書の真っ最中。
穏やかな時間が過ぎていく。
だが、心地良い静寂が失われるのは、まさに一瞬だった。
「ぎッ!」
がたッ!
思わず跳ねた右膝が、L字デスクを下から突き上げる。
「わ!」
ばさ!
物音に驚いたうにゅほが、読んでいた本を取り落とした。
「──……!」
無言で痛みに耐える。
「◯◯、どしたの……?」
うにゅほが、心配そうに俺の肩に触れる。
そのあたりで、ようやく、喋ることができるようになった。
「歯が……」
「はが?」
「昨日削ったとこが、痛んで」
「だいじょぶ……?」
「──…………」
スッ、と痛みが消える。
「……なんか、大丈夫になった」
「ほんと?」
「なんだ今の……」
一瞬だけ激痛が走って、一瞬で治まった。
「はいしゃいく?」
「行くけど、29日かな。予約入れてあるし」
「あしたいったほう、いいとおもう」
「まず、様子を見よう。詰め物したあとしばらく痛むのって、よくあるから」
「そか……」
不安げなうにゅほのほっぺたを両手で挟み、こねる。
「うぶぶ」
「過保護だぞ、××くん。ちょっと歯が痛んだだけだって」
「うん……」
痛みが続くようなら、早めの受診を考えよう。

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2018
08.23

うにゅほとの生活2453

2018年8月23日(木)

お盆休みの初日に、銀歯が取れた。※1
十日以上も経った今日になって、ようやく、歯医者へ行くことができたのだが──
「ただいま……」
「ぎんば、なおった?」
「直った」
「よかったー」
「よかったけど、よくないんだよな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「取れたとこは問題なかったんだけど、その手前に虫歯が見つかって……」
「あー」
「……歯磨き下手なのかなあ、俺」
一緒に歯を磨いているうにゅほは、見事に虫歯ゼロである。
「◯◯、ちゃんとみがいてるとおもう」
「そうかな」
「うん」
「じゃあ、単に虫歯になりやすい体質なのか……」
「なりやすいとか、あるの?」
「ある。口腔内細菌の割合とか、唾液の分泌量とかで、個人差があるみたい」
「へえー」
「××は唾液多いもんな」
「そかな」
「あんまり口とか渇かないだろ」
「くち?」
うにゅほが、あーと口を開いてみせる。
「くひかわくって、のどかわくっていみ?」
「違う。口の中が渇くんだ」
「……?」
小首をかしげる。
実感として、よくわからないらしい。
「わからないってことは、唾液がちゃんと出てるってことだよ」
「だえき、でたら、むしばなりにくいの?」
「らしい」
「みずのんだら、でるのかな」
「俺、水分めっちゃ取ってるけど、口渇くときあるぞ」
「むずかしい……」
結局のところ、定期的に歯医者へ通う以外に道はないのかもしれない。
憂鬱である。

※1 2018年8月11日(土)参照

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2018
08.22

うにゅほとの生活2452

2018年8月22日(水)

暇だったので、うにゅほで遊ぶことにした。
「××、××」
「?」
うにゅほが、読んでいた本から顔を上げる。
「じゃーんけーん」
「わ」
右手を軽く振りながらじゃんけんの構えを取ると、うにゅほが慌てふためいた。
「しょ!」
「ほ!」
俺は、グー。
うにゅほは──
「なんだそれ」
チョキに似ているが、指が三本立っていた。
「──…………」
す。
無言で薬指を畳む。
「いまさらチョキにしても、負けだぞ」
「うー……」
「チョキとパーが混ざったのかな」
「たぶん」
「負けた××は、罰ゲームです」
「なんだろ……」
「今回の罰ゲームは、セルフサービスとなっております」
「せるふさーびす?」
うにゅほが小首をかしげる。
「自分で罰だと思うことを考え、実行してください」
「ばつ……」
「開始!」
「わ」
「ごー、よん、さん──」
「まって! まって!」
「にいー……」
「うと」
ぺち!
「た!」
うにゅほが、自分の額にデコピンをしてみせた。
「いーち……」
「いまの、だめなの!」
「いや、いいけど」
「よかったー……」
ほっと胸を撫で下ろす。
面白い。
「──…………」
「──……」
「……◯◯、わたしであそんだしょ」
「はい」
「もー!」
からかいがいのある子だなあ。

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