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2018
06.30

うにゅほとの生活2399

2018年6月30日(土)

「ただいまー」
「──……んが」
昼もはよから昼寝と洒落込んでいた俺の目を、帰宅の挨拶が覚まさせた。
「ただいま、◯◯」
「おかえり……」
よだれをすすりながら、上体を起こす。
「えいが、おもしろかった!」
「映画?」
「うん」
そう言えば、母親と映画を見に行くだのと話していたような。
「◯◯も、きたらよかったのに……」
「なんて映画だっけ」
「まんびきかぞく」
「あー」
タイトルからして興味ないやつだ。
「おもしろかったよ?」
「よかったな」
「うん」
うにゅほが楽しめたなら、何よりである。
「◯◯も、きたらよかったのになあ……」
「何回言うねん」
「えいが、きらい?」
「嫌いじゃない」
「すき?」
「好きか嫌いで言えば、好きなほうじゃないかな」
「んー……」
難しい顔をしながら、うにゅほが小首をかしげる。
「なんて説明すればいいかわからんけど、映画を観に行くってことは、俺にとって、けっこう大きなイベントなんだよ」
「おっきなイベント……」
「観に行く映画を決めて、何日も前から予定を組んで、その日までわくわくして過ごすのがワンセットなのだな」
「あ、わかる」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「だから、前日とか当日に"映画行こうぜ"ってなると、つい反射的に断ってしまうというか……」
「そかー」
「まあ、今度また行こう。次は、何日か前から予定組んでさ」
「うん!」
何か、面白そうな映画を探しておこう。
うにゅほと一緒に観るのだから、エンタメ寄りの作品がいいだろうか。

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2018
06.29

うにゅほとの生活2398

2018年6月29日(金)

「あぢー……」
室温より、湿度が高い。
蒸し暑さが服の内側をダイレクトに蝕んでいく。
そろそろ扇風機でも出そうかしらんと、思案を巡らせていたときのことだ。
「◯◯、たいやきたべるー?」
紙袋を持ったうにゅほが、廊下から顔を出した。
「食べる食べる」
「クリームしかないけど、いい?」
「あんこもチョコもクリームも好きだから、なんでもいいよ」
「そか」
冷蔵庫から取り出した烏龍茶をタンブラーに注ぎ、うにゅほに手渡す。
「◯◯のおちゃは?」
「回し飲みでいいかと思って」
「いいよ」
紙袋から、たい焼きをひとつ取り出す。
「あ、粉砂糖まぶしてあるやつじゃん」
「ほんとだ」
「これ、ちょっと好き」
「わたしも」
小さな幸せに微笑みあって、たい焼きを口に運ぶ。
「──…………」
じー。
「?」
うにゅほが、俺をじっと見つめている。
微妙に食べにくい。
「どした」
「◯◯、あたまからたべるは?」
「頭から……」
たしかに、いま口をつけようとしていたのは、たい焼きの頭側だ。
「いや、どっち派とかないけど」
「ないの?」
「しっぽから食べるときもあるし……」
そのときの気分次第である。
「おかあさんは、しっぽはだって」
「××は?」
「うーと……」
うにゅほが、自分の手元に目を落とす。
「……しっぽは、かなあ」
「常に?」
「わかんない……」
「そんなもんだよな」
「そだねえ」
たい焼きの食べ方に、さほどのこだわりもない。
どちらから食べたとしても、美味しいものは美味しいのだから。

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2018
06.28

うにゅほとの生活2397

2018年6月28日(木)

ふと、カレンダーを見やる。
「──6月28日、か」
「どしたの?」
「夏だなあと思って」
「そだねえ」
「夏だなあ……」
「なつだねえ……」
「夏だなあ……」
「なつだねえ……」
ふたり、しみじみと、「夏だなあ」「なつだねえ」を繰り返す。
「夏だなあ……」
「なつだねえ……」
「──…………」
「──……」
「ナッツだなあ……」
「なっつ?」
「××は、どのナッツが好き?」
「うと、マカダミアナッツ」
「美味しいよな」
「うん、おいしい」
「──…………」
「──……」
「茄子だなあ……」
「なす?」
「××は、どの茄子が好き?」
「どのなす……」
「昔から、秋茄子は嫁に食わすな、などということを申しましてな」
うにゅほが小首をかしげる。
「なんで?」
「いや、知らん」
「そか……」
「××、賀茂茄子って知ってる?」
「かもなす」
「まーるい茄子」
「まるいの?」
「丸い。××が思ってるより、倍は丸い」
「そんなに」
キーボードを叩き、"賀茂茄子"で画像検索をする。
「ほら」
「まるい!」
「思ってたより丸いだろ」
「ばいはまるい……」
「ヘタ取ったら野球できそうだよな」
「よくまがりそう」
「たしかに」
どんなに内容がなくとも、うにゅほと話しているだけで楽しい。
そんな相手がいつも傍にいることを、感謝すべきなのかもしれない。
誰にかは、よくわからないが。

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2018
06.27

うにゅほとの生活2396

2018年6月27日(水)

「ふー……」
エアロバイクを漕ぐ足を止め、右手でパタパタと首筋をあおぐ。
「はい、タオル」
「さんきゅー」
うにゅほが手渡してくれたタオルで、上半身の汗を拭う。
「つぎ、わたしこいでいい?」
「サドル下げるから、ちょっと待ってて」
「ありがと」
サドルの位置を調節しながら、ふと気になったことを尋ねる。
「部屋、汗臭くないかな。大丈夫?」
「──…………」
すんすん。
うにゅほが鼻を鳴らす。
「うーと、まだだいじょぶ」
「部屋でトレーニングしてると、においが気になるよな」
「そだねえ……」
「換気できればいいんだけど……」
窓の外を見やる。
あいにくの雨模様で、風向きも悪い。
窓を開ければ、雨粒が、すぐさま部屋を濡らしてしまうだろう。
「きーつけてれば、くさくならないよ」
「そうかな」
「ゆかにおちたあせ、ちゃんとふいてー」
「うん」
「シャツきがえたら、したもってってー」
「うん」
「まいにちおふろはいったら、だいじょぶとおもう」
「なら問題ないな」
「うん、もんだいない」
うにゅほが、うへーと笑う。
「サドル調節したから、乗っていいぞ」
「はーい」
よじよじとエアロバイクにまたがったうにゅほが、軽くしたペダルを揚々と漕ぎ始める。
「今日も二十分?」
「うーとね、きょうは、ごキロこいでみる」
「距離にしたのか」
「うん」
「頑張れ」
「がんばるー」
なかなかいい調子だ。
このまま一週間、一ヶ月と、続けていければ良いのだが。

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2018
06.26

うにゅほとの生活2395

2018年6月26日(火)

「……んー?」
iPhoneのメモを開きながら、首をかしげる。
「どしたの?」
「話せば長くなるんだけど……」
「うん」
「俺、日記書いてるじゃん」
「かいてる」
「でも、書くことが毎日あるとは限らないから、二、三日ぶんくらいネタをストックすることがあるのよ」
「?」
うにゅほの頭上に疑問符が浮かぶ。
「えーと……」
言葉をまとめ、口を開く。
「すごい充実した一日で、二個も三個も書くことがあったら、日記に書き切れないだろ」
「あー」
「そんなとき、一日で起こった出来事を、二日に分けて書く場合がある」
「にっき……」
「長く続けるためには、ある程度の妥協も必要なの!」
「そか」
「基本的に、二、三日過ぎたらメモから消してるので、大目に見ていただきたい」
「わかりました」
「では、これを見てください」
iPhoneを差し出し、画面を見せる。
「消すとは言ったけど、消し忘れがけっこうあって、何年も前のネタがいくつも残ってるのよ」
「みていいの?」
「いいよ」
うにゅほが、iPhoneの画面をスワイプする。
「うーと、いきなりだんごをたべる……」
「熊本名物、いきなりだんご」
「いものやつ?」
「そうそう」
「おいしかったねえ……」
「こんな感じで、日記に書き損ねたことがズラリと羅列してあるわけだ」
「おもしろいね」
うんうんと頷くうにゅほを横目に、メモのいちばん下までスクロールする。
「で、問題は、いちばん最近に書かれたことなんだけどさ」
うにゅほが、その一行を読み上げる。
「べんざまで、あげてしまう……」
そう。
メモの最下段に、"便座まで上げてしまう"とだけ書かれている。
「自分でメモしたはずなのに、意味がわからないし、書いた記憶もなくて」
「べんざって、といれだよね」
「他にないと思う」
「いつかいたの?」
「履歴によれば、一週間前らしい」
「いっしゅうかんまえのにっきに、なにかかいてるかも」
「書いてなかったんだよなあ……」
「うーん……」
しばしのあいだ、ふたりで頭をひねったが、納得できる答えを導き出すことはできなかった。
迷宮入りである。

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2018
06.25

うにゅほとの生活2394

2018年6月25日(月)

「──…………」
うと、うと。
マウスを握りながら、幾度か意識が途切れる。
「……◯◯?」
「!」
うにゅほに名前を呼ばれ、はっと意識を取り戻す。
「ねてた?」
「寝てない、寝てない……」
「ほんと?」
「──…………」
「──……」
「いや、寝てた」
「やっぱし」
「うたた寝してるときに寝てたか聞かれると、なんで反射的に否定しちゃうんだろう……」
「あ、わかる」
「××もか」
「うん」
万人共通のあるあるネタなのだろうか。
「なんか、今日、眠りが浅くてさ……」
「そなんだ」
「毎度のことだけど、変な夢見たし」
「どんなゆめ?」
「母さんが車で川に落ちて、救急車を呼ぼうと思ったんだよ」
「おかあさん、だいじょぶだった?」
「擦り傷くらいだったけど、いちおうな」
「そか」
「その夢の中では、手が携帯電話になっててさ」
「てー?」
「指の付け根がボタンになってて、左手の親指が1、右手の中指が8って感じ」
「おもしろい」
「それで、一所懸命119番に掛けようとするんだけど、なかなか上手く行かないって夢だった」
「へえー」
夢の話を楽しげに聞いていたうにゅほが、ふと尋ねる。
「わたし、でなかった?」
「今日は出なかった」
「そか……」
「普段はよく出るけどな」
「どのくらい?」
「まあ、二日に一度くらい……?」
「そか」
うにゅほの見る夢に、俺は出演しているのだろうか。
すこし気になる俺だった。

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2018
06.24

うにゅほとの生活2393

2018年6月24日(日)

「◯◯、◯◯」
「んー……」
ベッドに寝転がりながらiPhoneをいじっていると、うにゅほが俺の名を呼んだ。
「えあろばいく、こいでいい?」
「お、やる気だな」
「やるき」
ふんす、と鼻息荒く頷く。
「廊下にあるから、自由に漕いで──」
「──…………」
言いかけた途端、うにゅほの眉尻が目に見えて下がる。
わかりやすい。
「部屋で漕ぎたいのか」
「みててほしい……」
「はいはい」
苦笑し、ベッドから下りる。
「待ってて、いま運ぶから」
「おせわかけます」
「いいよ。××が漕ぎ終わったら、俺も使うし」
「うん」
廊下からエアロバイクを運び入れ、自室に設置する。
「きょうはね、にじゅっぷんやる」
サドルにまたがりながら、うにゅほがそう宣言した。
「できるかな」
「できるよ」
「じゃあ、タオル用意しとくな」
「ありがと!」
「暇つぶしはどうする?」
「ひまつぶし……」
「ただ二十分漕ぎ続けるのは、つらいぞ。テレビつけるか、動画見るとか」
「じゃあ、まいんくらふとのやつみたい」
「好きだなあ……」
PCのロックを解除し、動画サイトの視聴履歴から、うにゅほの好きなシリーズを再生する。
「準備万端整った。あとは頑張れ」
「がんばる」
うにゅほが、エアロバイクのペダルを踏み込んだ。

二十分後──
「はー……」
「お疲れさん」
うっすらと汗ばんだうにゅほに、タオルを手渡す。
「ありがと」
「記録更新だな」
「うーとね、まだいけそう」
「××さん」
「?」
「俺と同じ病気だぞ、それ」
「!」
うにゅほが目をまるくする。
「まだ行けそうは、もう危険。筋肉痛になりたくなければ、頑張りすぎないこと」
「はい……」
「では、交代しましょう」
「うん」
うにゅほが率先してエアロバイクを漕いでくれれば、俺もやる気が出るというものだ。
ふたり一緒に運動不足から抜け出そう。

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2018
06.23

うにゅほとの生活2392

2018年6月23日(土)

「よし、今日もエアロバイク乗るぞ!」
「がんばりすぎないでね」
「はい」
運動不足はよろしくないが、運動のしすぎもよろしくない。
「きんにくつう、だいじょぶ?」
「思ったよりは痛くない」
「そか」
「××にマッサージしてもらったおかげかも」
「うへー……」
てれりと微笑むうにゅほを横目に、エアロバイクを漕ぎ始める。
「いちじかん?」
「時間じゃなくて、距離で決めてる」
「にじゅっきろだっけ」
「そうそう。平均時速が20km少々だから、だいたい一時間弱かな」
「すごいねえ」
「××もやる?」
「いい……」
一度漕いで懲りたらしい。※1
「運動不足はよくないぞ」
「う」
「ペダルの重さを変えれば、××でも漕げると思うんだけど……」
「そかな」
「あとで試してみよう」
「わかった……」
うにゅほが、渋々ながらも了承した。

一時間後──
「いまは重さが5だから、ひとまず3にしてみよう」
「にーがいい……」
「はいはい」
ダイヤルを2に合わせ、サドルを適当に下げる。
「どうぞ」
「──…………」
エアロバイクにまたがったうにゅほが、緊張しいしいペダルを踏んだ。
「わ」
ぐるんとペダルが一回転。
「かるい!」
「軽すぎない?」
「うん、だいじょぶ」
「十五分くらい漕いでみようか」
「うん!」

十五分後──
「ふー……」
「どうだった?」
「ちょっとあせかいた」
「悪くないだろ」
「わるくない」
うにゅほが、うへーと笑う。
「じゃあ、明日から××もエアロバイクだな」
「がんばる」
やる気だ。
負けないように、俺も頑張ろう。

※1 2017年2月27日(月)参照

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2018
06.22

うにゅほとの生活2391

2018年6月22日(金)

「だるい……」
ホコリひとつないフローリングの上で、ぐでーと横になる。
「だるいし、暑い……」
「だいじょぶ?」
すんすん。
うにゅほが、俺の首筋で鼻を鳴らす。
「かぜじゃないとおもう」
「原因はわかってるから、大丈夫……」
「げんいん、なに?」
「エアロバイク」
「えあろばいく……」
「さっき、久し振りに漕いだじゃん」
「うん」
「久し振りだから、気合い入れて、たくさん漕いだせいだと思う」
「どのくらいこいだの?」
「二時間で、40km」
「いつもは?」
「一時間で、20km」
「ばいだ」
「倍です」
「◯◯、いつも、きゅうにたくさんする……」
「そうなんだよなあ」
久し振りなら久し振りで、半分くらいから慣らしていけばいいものを、いきなり普段の倍にしてしまう。
こればかりは性格としか言いようがない。
「極端から極端に走るというか、ゼロとイチしか存在しないというか」
「なんぎだねえ……」
「自分でも難儀だと思います」
「あしもむ?」
「お願いします……」
うにゅほのふわふわマッサージなら、既に確定している明日の筋肉痛を、少しは緩和できるかもしれない。
そんなことを考えながら足を揉んでもらっていると、いつの間にか寝落ちしていた。
相変わらずのリラックス効果である。

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2018
06.21

うにゅほとの生活2390

2018年6月21日(木)

久方振りに晩酌をすることにした。
台所からくすねてきた父親の焼酎をタンブラーに注ぎ、ペプシで五倍程度に希釈する。
お手製コークハイの完成だ。
「──あれ、コークハイってウイスキーとコーラだっけ?」
うにゅほが小さく首を横に振る。
「しらない……」
そりゃそうか。
「おさけ、おいしい?」
「美味しいけど、お酒だから美味しいってわけじゃない」
「?」
「この、コロコロ名前の変わるペプシって、安い焼酎と相性がいいんだよな」
「そなんだ」
「普通に飲むより、焼酎を割ったほうが、単純に味がいい」
「へえー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「そもそも、俺、お酒の味嫌いだもん。ビールとか最悪。苦くて酸っぱくて……」
「わかる」
「××、飲んだことあったっけ」
「ちょっとだけ……」
「××が不良になった!」
「ちがうよー」
あわあわするうにゅほの頭を、ぽんと撫でる。
「わかってる。覚えてる。父さんに飲まされたんだろ」
「もー……」
「ははは」
「◯◯、よってる?」
「まだひとくちしか飲んでないんだけど……」
「そんなすぐよわない?」
「スピリタスとかならすぐ酔うかもしれないけど、これたぶん3パーとか4パーくらいだし」
「すぴりたす」
「ウォッカの一種で、度数が95度くらい」
「よくわかんない」
「えーと──」
消毒用エタノールのボトルを手に取る。
「これよりアルコール度数が高い」
「え」
「消毒用エタノールは80度くらいだからな」
「……これのむより、すごいの?」
「単純に言うと、そうなる」
「うへえ……」
うにゅほが軽く引いている。
「消毒用とか無水エタノールは有毒物質が入ってる可能性があるから、飲んじゃダメだぞ」
「のまない」
そりゃそうだ。
読者諸兄も気をつけるように。

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