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2018
05.31

うにゅほとの生活2369

2018年5月31日(木)

「あ」
カレンダーを見ていて、ふと、くだらないことを思いついた。
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……なんでもない」
「きになる」
「いや、本当、大したことじゃないから」
「──…………」
じ。
「──……」
見つめ合う。
「……はい、わかりました」
「やた」
不用意に声を漏らした時点で、こうなることは確定していたのだ。
仕方あるまい。
「今日、何の日かなって思ったんだよ」
「なんのひ?」
「わからんけど、とりあえず語呂合わせしてみたんだ」
「ごがつ、さんじゅういちにち」
「五歳の日だなーと」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「で、31日は隔月だから、一歳、三歳、五歳、七歳、八歳、十歳、十二歳の日が毎年あるんだなあって」
「それだけ?」
「それだけ……」
「──…………」
「──……」
沈黙。
「だから言ったじゃん……」
「うーとね」
「?」
「はちがつさんじゅういちにちは、はっさいより、やさいってきーする」
「野菜の日だからなあ」
「そなんだ」
「ああ」
「くがつ、さんじゅういちにちなくて、よかったね」
「どうして?」
「くさいのひになるから」
「あー……」
その後、日付の語呂合わせの話題で意外と盛り上がった。
大したことなくても、言ってみるものだ。

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2018
05.30

うにゅほとの生活2368

2018年5月30日(水)

作務衣の襟元をパタパタさせて、内側に空気を送り込む。
「あつ……」
「あついねえ……」
見れば、うにゅほも同様にしている。
「暑い上に、蒸すなあ」
「うん、むす……」
パタパタ。
「……窓、開いてるよな。開けた記憶がある」
「あいてる、はず」
「確認」
「うん」
南東と南西の窓を、手分けして確認する。
「あいてた」
「こっちもだ」
風通しは良いはずなのに、自室の空気が滞留している。
単純に、風が吹いていないのだ。
「……エアコン案件かな」
「うーん」
「どうしようなあ」
「うーん……」
なるべくなら、使わずに済ませたい。
エアコンは快適だが、電気代の問題もあるし。
そんなことを考えていたときのことだ。

──ピシャッ! ゴゴ……ゴ……

「わ」
怯えたうにゅほが、俺の腕を取る。
遠雷だ。
そして、数瞬ののち、スコールじみた雨音が窓の外から響き始めた。
「××! 窓!」
「はい!」
たったいま開いていることを確認したばかりの窓を、慌てて閉める。
「──…………」
「──……」
「あつ……」
「あついねえ……」
「……これは、もう、仕方ないな」
「うん、しかたない」
手頃な言い訳を手に入れた俺たちは、大手を振ってエアコンで涼むのだった。

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2018
05.29

うにゅほとの生活2367

2018年5月29日(火)

「……んー」
目蓋を強く閉じ、薄く見開く。
目が痛い、ような。
目薬でもさそうかと眼鏡を外し、デスクの上にあるはずの容器を手探りで探し始める。
だが、一向に見つからない。
仕方がないので眼鏡を掛け直すと、こちらをじーと見つめるうにゅほと目が合った。
「──…………」
「──……」
恥ずかしいところを目撃されてしまった。
「……なんか、こう、癖なんだよな」
「くせ?」
「眼鏡を外してから、目薬探すの……」
「あ、めぐすりさがしてたの」
「……はい」
「なにしてるのかなって」
まあ、眼鏡外してごそごそしてたら、何事かと思うよな。
改めて目視で探すと、目薬の容器はあっという間に見つかった。
「……目って、大切だな」
「そだねえ」
「××も、視力下がらないように気をつけないとな」
「うん」
素直に頷いたあと、うにゅほが俺に尋ねる。
「◯◯、なんで、めーわるいの?」
「子供のとき、本ばっか読んでたからかな」
「ほんばっか……」
うにゅほが手元に視線を落とす。
漫画。
「……よまないほう、いい?」
「暗いところで読んだりしない限り、大丈夫じゃないかな」
「◯◯、くらいところでよんでたの?」
「覚えてないけど、起きてるときはずっと読んでたらしいから」
「そなんだ……」
変わった子供だった、らしい。
「わたしも、めぐすりさそうかな」
「俺がさそうか?」
「おねがいします……」
目を酷使したら、ちゃんと休ませる。
当たり前だが、大切なことである。

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2018
05.28

うにゅほとの生活2366

2018年5月28日(月)

「──…………」
液晶タブレットに向かい、黙々とペンを走らせる。
「◯◯、えーかいてるの?」
「んー」
「なにかいてるの?」
「見る?」
「みる」
上半身を左に傾けると、うにゅほが液晶タブレットを覗き込んだ。
「あ、ゆかりさんだ」
「そうそう、結月ゆかり」
「ぼかろ」
「ボイロな」
「ぼいろ」
「……いや、ボカロでもあったっけ」
「どっち?」
「たぶん、どっちも」
「へえー」
うんうんと頷く。
わかっているやら、いないやら。
「えーかくの、ひさしぶりだね」
「久し振りでもないけどな」
「そなの?」
「××が寝たあととか、たまに描いてる」
「えー……」
うにゅほが、不満そうに眉をひそめる。
「わたしおきてるとき、かいてほしい……」
「──…………」
ふう、とひとつ息を吐いて、答える。
「……恥ずかしいじゃん」
「◯◯、えーうまいのに」
「まあ、うん」
下手ではないと思うけど。
「でも、いま、はずかしくなさそう」
「今は、ほとんど完成して、表情差分を作ってるだけだから」
「?」
「完成したのはいいんだ。でも、ラフ描くとこ見られるのが恥ずかしいんだよな……」
「どうして?」
「……苦手だから」
「うまいのに」
「ラフは下手」
「へたとかあるの?」
「あるの」
「そなんだ……」
線画に起こすときにボディバランスを取るので、ラフは見られたものではないのだ。
「はずかしいの、ひとによって、ちがうんだね」
「そういうこと」
このとき描いた結月ゆかりは、フリー素材の立ち絵として各所に投稿した。
誰かが動画に使ってくれるといいな。

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2018
05.27

うにゅほとの生活2365

2018年5月27日(日)

「◯◯ー」
うにゅほが、俺の名を呼びながら自室を覗き込む。
「アイスあるよ」
「具体的には?」
「ゆきみだいふく」
「一個ずつにしていい? ダイエット中だし」
「いいよ」
階下へ向かい、冷蔵庫からキュウリを取り出す。
ボリ、ボリ。
塩のみで食べるまるごと一本のキュウリは、この上もなく青臭い。
痩せるために、自分で決めたことだ。※1
そのはずなのだが、
「……なんか、慣れてきた」
「きゅうり、すきになってきた?」
「嫌い」
「そか」
「でも、耐えられないほどではなくなってきた……」
「あー」
予想された事態ではある。
俺は、大嫌いなキュウリを、間食をするための関門として設定した。
こんな辛い思いをするくらいなら、間食などしなくとも構わない。
そう感じるための自主的な艱難辛苦だ。
だが、こうは考えられないだろうか。
「──キュウリを食べると、褒美に間食ができる」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「俺の無意識がそう解釈して、キュウリを食べられるようにしてしまったんじゃないかなって」
「そうかも……」
「仕方ない、プランBだ」
「ぷらんびー?」
「キュウリをやめて、トマトジュースにする!」
「トマト、すきになったりしない?」
「うん……」
可能性はあるが、他に手はない。
しばらくのあいだ、トマトジュースで頑張ってみよう。

※1 2018年5月9日(水)参照

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2018
05.26

うにゅほとの生活2364

2018年5月26日(土)

今日は、母親の誕生日だった。
「ただいま」
「ただいまー!」
階下へ向かい、母親とうにゅほを出迎える
「おかえり。いい服あった?」
「あった!」
「うん、いろいろ買えた。ありがとうね」
「いえいえ」
家族全員からの誕生日プレゼントとして、好きな服を好きなように買ってもらうことにしたのだった。
うにゅほは、その付き添いである。
「わたしもね、いっちゃく、かってもらった」
「よかったな」
「うん!」
うにゅほの頭を撫でる。
「◯◯、いっしょにきたらよかったのに」
「……あー」
母親のファッションショーに興味がなかったから──なんて、口が裂けても言えない。
「ほら、女同士のほうが、ほら、あれだろ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
ものすごくぼんやりした言い訳になってしまった。
「えーと、夕飯は、何時ごろに出掛けるんだっけ?」
「なんじだっけ」
母親が答える。
「六時か六時半かな。混むと嫌だし」
「わかった」
「ステーキ、ひさしぶりだね」
「たしか、父さんの誕生日以来だったか」
「うん」
「てことは、二ヶ月だな」
「あのステーキやさん、おいしい」
「ほんとな」
「××はいいけど、◯◯、食べ過ぎないように」
「わかってます」
ダイエット中だし。
結局、脂身を避けてヒレステーキを注文する俺だった。
美味しかったです。

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2018
05.25

うにゅほとの生活2363

2018年5月25日(金)

「──ぎゃ!」
どたどたどた。
色気のない悲鳴と共に、階段を駆け上がる音が聞こえてきた。
「◯◯! げじ! げじ!」
「マジか……」
今年もまた、奴と対峙せねばならぬ季節が来てしまったか。
げんなりしながら、うにゅほに尋ねる。
「どこに出た?」
「げんかんとこ……」
「わかった」
ともすれば重くなりがちな腰に胸中で鞭を入れつつ、立ち上がる。
逃げられるのが、いちばんマズい。
見えないところにゲジがいる。
そんな恐怖には、耐えられない。
覚悟を決めて階下へ向かうと、

──ぶおー!

父親が、ダイソンのハンディクリーナーで廊下の掃除をしていた。
「父さん、××が、玄関にゲジ出たって」
「ゲジ?」
「うん」
「吸ったぞ」
「──……え゙ッ」
ダイソンの、ハンディクリーナーで?
「見るか?」
「見ない!」
「全部の足が取れて、棒みたいになってたぞ。ほら」
「見ねえー!」
慌てて自室へ逃げ帰る。
「どしたの……?」
「ええと──」
思案し、答える。
「父さんが、なんとかしたって」
「そか……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
足のすべて取れたゲジの話なんて、うにゅほの耳に入れたくない。
田舎育ちのせいか、父親は虫に耐性がある。
心強いが、それ故の無神経さと、年甲斐のない悪戯心を併せ持つ厄介な男なのであった。

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2018
05.24

うにゅほとの生活2362

2018年5月24日(木)

ぱちん、ぱちん。
左手の爪を切る。
「──…………」
「──……」
ぱちん、ぱちん。
うにゅほが、そのさまを、じっと覗き込んでいた。
「××」
「はい」
「危ないぞ。爪が飛んだら、顔に当たるかも」
「あ、そか……」
「珍しくもないだろうに」
手の爪なんて、週に一度は切っているのだし。
「うーとね」
「?」
「◯◯のつめ、わたし、きりたいなって」
「いいけど……」
「やた」
「じゃあ、右手の爪は頼むな」
「うん」
爪切りを渡し、右手を預ける。
「おおきいてですねー」
「××よりはな」
「つめきりますね」
「深爪だけは気をつけて」
「はい」
真剣な瞳で指先を睨みつけ、
「──…………」
ぱちん。
「──…………」
ぱちん。
すこしずつ、丁寧に、爪の先を切り落としていく。
まるで職人のようだ。
しばしして、
「ふー……」
深い溜め息と共に、うにゅほが顔を上げた。
「おしまい!」
「ありがとな」
「うへー」
爪を切ったばかりの俺の手に、うにゅほが指を絡ませる。
「かんぺき」
「次は、俺が××の爪を切ってあげよう」
「まだのびてないよ?」
「じゃあ、爪やすり」
「おねがいします」
「お願いされます」
特に理由もなく、なんとなく、互いに互いの爪の手入れをした。
ちょっと楽しかった。

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2018
05.23

うにゅほとの生活2361

2018年5月23日(水)

「──…………」
むくり。
時計を見ると、午前八時。
珍しく早起きし、階下へ向かう。
「おはよ……」
キッチンで洗い物をしていたうにゅほが、こちらを振り返った。
「あ、おは──」
うにゅほが、目をまるくする。
「どした」
「◯◯、ほっぺた……」
「?」
洗面所へ向かい、鏡を覗き込む。
「うわ」
左の頬が見事に赤くなっていた。
「どしたの、それ……」
「──…………」
ふと、左手を軽く振る。
痺れている。
「たぶん、ほっぺたの下に左手敷いて寝てたんだと思う……」
「あー」
「そーいや、変な夢見たもんなあ……」
「どんなゆめ?」
「──…………」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
自分の頬にナイフを刺して口の端を裂く夢、とは言いにくい。
「まあ、うん。嫌な夢」
「いやなゆめ……」
「グロい夢」
「ぐろ……」
「聞きたい?」
「……やめとく」
「それがいい」
変な姿勢で寝ると、変な夢を見る。
寝相は大事だなあ。

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2018
05.22

うにゅほとの生活2360

2018年5月22日(火)

「──…………」
「──……」
暑い。
クソ暑い。
なかばとろけながら温湿度計に目をやると、30℃の大台に届きそうな勢いだった。
「暑かったり寒かったり、寒かったり暑かったり、体壊すって……」
「うん……」
既に壊れかけている気がしないでもない。
「──…………」
震える手が、エアコンのリモコンへと伸びていく。
「……早いかな」
「はやい、きーする……」
「昨日の夜、暖房つけたばっかだもんな。寒くて」
「うん……」
「──…………」
「──……」
こほん、と咳払いをする。
「時期が早いとか、遅いとか、果たして意味はあるのだろうか」
「……?」
「僕たちは、純粋に、暑いか寒いかのみを判断基準としてエアコンを利用すべきではないでしょうか」
「いちりある」
「よし、××。窓を閉めるぞ!」
「はい!」
窓を閉め切り、扉を塞ぎ、エアコンの電源を入れる。
しばしして、
「ほあー……」
エアコンの真下に陣取った俺たちの頬を、冷涼な風が撫でていった。
「すぶふぃー……」
「嗚呼、人類の叡智……」
ごろんごろん。
「信じられるか、××。これで26℃設定なんだぞ」
「?」
「冷房暖房の違いはあれど、昨夜も26℃設定」
「……そなんだ」
「気候、おかしいって」
「うん……」
本格的に体を壊す前に、気温が安定してくれればいいのだが。

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