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2018
05.21

うにゅほとの生活2359

2018年5月21日(月)

「犬を撫でたい」
「いきなり……」
「××も、これを見れば、同じ結論に至るはず」
「?」
うにゅほを手招きし、膝に乗せる。
そして、犬のおもしろGIF画像集を開いてみせた。
数分後、
「いぬなでたい……」
「な?」
「うん」
「猫もいいけどなー」
「いぬがいいな」
「柴かな」
「しばすき」
「コーギーもいいよな」
「あしみじかいの?」
「そうそう」
「かわいい」
「柴犬とコーギーのミックスもいるぞ」
「ほう」
「シバーギーというらしい」
「あんちょく……」
「俺もそう思う」
「でも、みてみたいな」
「検索してみるか」
「うん」
Googleを開き、「シバーギー」で画像検索を行う。
「──…………」
「──……」
「かわいい、けど」
「可愛いけど、なんか違う……」
「うん……」
「アップルパイとロールケーキを足して2で割ってみました、みたいな」
「あー」
「美味しいけど、混ぜなくてもよかったよねって感じ」
「わかる」
愛犬を亡くしてから、早五年。
ペットが欲しい今日このごろである。

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2018
05.20

うにゅほとの生活2358

2018年5月20日(日)

──びき!

「ゔッ……」

──びき!

「おフ!」

──びき!

「ぎッ……!」
唐突な痛みに、思わず背筋が反り返る。
「だいじょぶ……?」
「大丈夫、大丈夫……」
日常生活の至るところで、前触れなしに腰が痛む。
痛み自体は大したことないのだが、急に襲い来るのが面倒だ。
「腰に悪いこと、した覚えないんだけどなあ」
「こしにわるいこと……」
「重いもの持ったり」
「あー」
「急に走ったり、急に捻ったり」
「してないよねえ」
「……もしかして、寝過ぎかな」
「ねすぎ?」
低気圧のためか、ここしばらく、ベッドから抜け出せない日々が続いていた。
それで腰を痛めたのかもしれない。
「あんせいにしてたのに、こし、いたくなるの?」
「そういうときもある」
「こしいたいとき、あんせいにするのに?」
「まあ、うん……」
なんと説明してよいやら。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し、と言いましてな」
「はい」
「度が過ぎると、なんでもよくない」
「ねすぎはよくない?」
「そうなりますね」
「そか……」
寒暖差、気圧差が激しいと、睡眠時間がどんどん長くなってしまう。
俺の腰のためにも、さっさと安定してほしいものだ。

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2018
05.19

うにゅほとの生活2357

2018年5月19日(土)

「おっと」
足元に落としたペットボトルの蓋を拾い上げようとしたとき、

──びき!

「はう!」
腰のあたりに一筋の電流が走った。
「わ」
膝の上のうにゅほが、目をまるくして振り返る。
「どしたの?」
「腰が……」
「いたいの?」
「痛いというか……」
「わたし、おりたほういい?」
「乗ってて。寒いし」
「はい」
うにゅほを左手で抱き締めながら、ゆっくりと背筋を伸ばしていく。
「──……んー」
「だいじょぶ……?」
「次は、回してみる」
「うん」
デスクを両手で掴み、チェアを徐々に捻っていく。
まずは、左。
「ぐー……」
次は、右。
「んいー……」
最後に、もう一度左。
「ん゙ッ……」
問題はない。
再度、ペットボトルの蓋を拾う動作をしてみる。
「……んー……?」
「いたい?」
「痛くはない」
「さっき、どしたんだろうね」
「さあー……」
再現性はないが、そこはかとない腰痛の予感がする。
気をつけておこう。

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2018
05.18

うにゅほとの生活2356

2018年5月18日(金)

『──しやー……もー……』

どこか遠くから、ノイズ混じりの声が聞こえてくる。
「あ、いしやきいもだ」
「……五月に?」
さすがに季節外れではあるまいか。

『──いしやー……いもー……』

「本当だ……」
「ね」
うにゅほが小さく胸を張る。
「石焼き芋って、秋と冬しかやってないんだと思ってた」
「わたしも」
「年中やってるのかな。知らないだけで」
「そうかも」
「……でも、真夏に石焼き芋は、さすがに売れないだろうなあ」
「うん……」
SNS隆盛のこの時代、逆に話題になりそうではあるけれど。
「ふと思ったんだけど」
「?」
「焼き芋屋さんって、シーズンオフのときは何やってるんだろうな」
「あー」
「売り上げで一年食っていけるのかな」
「いも、つくってるのかも」
「農家のひとの副業ってこと?」
「うん」
「ありそうだな……」
と言うか、それが答えのような気がする。
「なかなかやるな、××」
「うへー」
うにゅほが得意げに笑う。
「……それにしても、今日は冷えるな。寒いから焼き芋売ってるのかも」
「かも」
「××、こっちゃ来い」
「はーい」
うにゅほを膝に乗せて、暖を取る。
焼き芋も温まるが、やはり人肌がいちばんである。

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2018
05.17

うにゅほとの生活2355

2018年5月17日(木)

「──…………」
「──……」
目を皿のようにして、花壇の周囲をぐるりと回る。
「いた?」
簡潔な俺の質問に対し、うにゅほが首を横に振る。
「……不気味だな」
「うん……」
我が家は、過去に二度、アリの被害に遭っている。
吸蜜性の小さなアリが、屋内に道を作るのだ。
去年は、ダスキンの害虫駆除サービスによって、いちおうの決着を見たのだが──
「……あのあと、また、繁殖してたよな」
「してた……」
プロの手による駆除を経ても、アリは全滅しなかった。
屋内へ再び侵入することこそなかったものの、花壇は相変わらずアリどもの城のままだったのだ。
「そりゃ、いないに越したことないけどさ……」
「もやもやする」
「わかる」
悪魔の証明だ。
アリがいれば、対処すればいい。
そのための道具は既に揃えてある。
だが、アリがいないことを確信するためには、それこそ花壇を掘り返すほどの手間が必要となる。
「……仕方ない、引き上げよう」
「いいの?」
「よくはないけど、どうしようもない」
「そか……」
「まったくいないなら安心してもいいけど、ごくたまに一、二匹だけ見かけるのがな……」
「こわいよね」
たまたま通り掛かった無関係なアリならいいのだが、楽観はできない。
「花壇は定期的に。今後は、家の周囲も捜索範囲に入れよう」
「はい」
今年こそ、アリから家を守るのだ。

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2018
05.16

うにゅほとの生活2354

2018年5月16日(水)

キッチンの冷蔵庫でチューハイを発見した。
銘柄は、既に缶を潰してしまったので、よくわからない。
アルコール度数は高かったように記憶している。
「◯◯、よっぱらった?」
「ほろ酔い」
「ほろよいって、どんなかんじ?」
「××、間違って、俺のお酒飲んだことあったじゃん」※1
「そだっけ……」
覚えていないらしい。
「そうだなあ」
右手をぐーぱーさせながら、全身の感覚を言語化していく。
「まず、頭がすこし重い。ふらふらする」
「ふらふら」
「視覚や聴覚が鈍くなって、世界が遠くなる。現実感が薄くなる感じ」
「げんじつかんが……」
「あとは、若干火照るくらいかな」
「へえー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「なんか、あんましだね」
「そうか?」
「うん」
「酔っ払ったときの××、すげー楽しそうだったけど」
「おぼえてない……」
「覚えてなくていいよ、うん」
あのときのうにゅほ、厄介この上なかったし。
「──…………」
じ。
うにゅほが、飲みかけの缶チューハイを見つめる。
「ダメだぞ」
「うん」
「次の日、二日酔いで死にかけたんだから」
「──あっ」
「思い出した?」
「おもいだした……」
うにゅほの顔が青く染まる。
「おさけはだめだ……」
「そうそう。お酒なんて、飲まないに越したことはない」
そう言いつつ、缶チューハイをあおる。
「◯◯はいいの?」
「一本か二本程度なら、大丈夫」
「そか……」
「ところで××さん」
「はい?」
「嗅がせろー!」
「ひや!」
うにゅほを抱き寄せて、その首筋に鼻を埋める。
笑い上戸、泣き上戸、種々様々な上戸があるが、俺は嗅ぎ上戸なのかもしれない。
ただし、うにゅほの匂いに限る。

※1 2015年4月2日(木)参照

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2018
05.15

うにゅほとの生活2353

2018年5月15日(火)

「あちー……」
「はちーねえ……」
ぐでー。
フローリングの床が、冷たくて気持ちいい。
「いま何度ー……?」
「うと」
隣に寝そべっていたうにゅほが上体を起こし、温湿度計を覗き込んだ。
「にじゅうはってん、ごど……」
「……窓開いてる?」
「あいてる」
「だよなあ」
さっき俺が開けたばかりだもの。
「うーしょ」
「うぐ」
「ほー」
俺の背中に覆いかぶさったうにゅほが、耳元でほっと息を吐く。
くすぐったい。
「××さん、××さん」
「はい」
「暑くない?」
「あついねえ……」
「──…………」
「──……」
下りる気はないらしい。
仕方ない。
体温でぬくまった床に別れを告げ、より涼しい場所を求めてにじにじと匍匐前進を始める。
「おー!」
楽しそうだ。
せっかくなので、更に楽しませてみよう。
「よいしょ、と」
「わ」
うにゅほを背中に乗せたまま、四つん這いになる。
どたどた。
「あはははは! すごい!」
しばし這い回った結果、
「──……あつ……」
「はちーねえ……」
ぐでー。
我ながら、何をやっているのだか。
楽しいからいいけど。

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2018
05.14

うにゅほとの生活2352

2018年5月14日(月)

「──……はー」
ぐったりとチェアに座り込む。
起床してからたったの数分で、ここまで疲れたことはない。
「どしたの……?」
うにゅほが心配そうに尋ねる。
「ごめんな、バタバタして」
「でんわきてたけど……」
「うん。最初から説明する」
iPhoneを両手で弄びながら、言葉を探す。
「──まず、電話な。母さんからだった」
「おかあさん」
「着信音で叩き起こされて電話に出たんだけど、母さん何も言わなくてな」
「うん」
「時折、くっ、くっ、みたいな感じで、泣き声みたいな音が聞こえてきたんだ」
「え……」
うにゅほの顔が青ざめる。
「あー、心配しなくていい。結果的には何もなかったから」
「……ほんと?」
「あったら、こんなのんびりしてないよ」
「そか……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「何を言っても返答ないから、いったん切って父さんに掛けたんだ。ほら、父さんが事故った夢見たばっかだし」※1
「うん」
「父さんに何事もなかったことを確認して、母さんに掛け直したらさ」
「かけなおしたら?」
「……普通に出た」
「ふつうに……」
「なんか知らんうちに俺に掛けてたらしくて、泣き声みたいのは歩いてるときの物音じゃないかってさ」
「あー」
「無駄に心配して、無駄に疲れた……」
「おつかれさま」
うにゅほが俺の頭を撫でる。
「でも、なにもなくてよかったねえ」
「そうだな……」
電話に出た瞬間、日常の壊れる音を聞いた気がした。
取り越し苦労で、本当によかった。
「……半端に起こされたから、眠い」
「おやすみなさい」
二度寝して起きると、正午だった。
寝過ぎた。

※1 2018年5月10日(木)参照

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2018
05.13

うにゅほとの生活2351

2018年5月13日(日)

母の日である。
今年は、ふたりでお金を出し合って、瓶詰めにしたカーネーションのハーバリウムをプレゼントした。
「はーばりむ」
「ハーバリウム」
「はーばりうむ」
「そう」
うにゅほが小首をかしげて言う。
「はーばりうむ、きれいだけど、なんていみ?」
「植物標本のことらしい」
「ひょうほん……」
「ドライフラワーをオイルに漬け込んで、長持ちさせてるんだってさ」
「へえー」
うんうんと頷く。
「おかあさん、よろこんでたね」
「喜ぶのはいいけど……」
「けど?」
「あそこに飾るのは、どうかな」
「ストーブのうえ?」
「ああ」
「へんかなあ」
「変じゃないけど、危ない。いまはいいけど冬場はマズい」
「あ、そか」
ぽん。
うにゅほが胸元で手を合わせた。
「オイルって、あぶらだもんね」
「しかも、縦長の瓶だからな。地震で倒れてストーブに落ちたら、一発で火事だ」
「あぶない……」
「寝室にでも置いてもらおう」
「うん」
両親の寝室が油まみれになるぶんには、単に清掃が面倒なだけで済む。
「……問題は、母さんの誕生日に何を贈るかだ」
「そだね……」
母親の誕生日は、母の日から二週間と離れていない。
かと言って、ひとまとめにするほど近くもないので、何をプレゼントすべきか毎年悩むのである。
「せめて、一ヶ月くらいあればなあ」
「うん……」
通販を利用するのなら、あと一週間少々で決めなければならない。
喜んでもらえるように頑張ろう。

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2018
05.12

うにゅほとの生活2350

2018年5月12日(土)

「晴れた!」
「はれた!」
「暖かい!」
「あったかい!」
「絶好のバイク日和だ!」
「だ!」
「いえー」
「いえー」
うにゅほとハイタッチを交わす。
「いつもの喫茶店行って、スフレパンケーキ食べるか。考えごと、まとめておきたいし」
「うん!」
「ちょっと待って、キュウリ食ってくる」
「たいへんだねえ……」
だが、自分で決めたことだ。
河童のようにキュウリを貪り食ったのち、久方ぶりにバイクに跨った。
俺の腰にぎゅうと抱き着いたうにゅほを労るように、ゆっくりとアクセルを回していく。
「わあ……!」
二速、三速、四速、五速。
景色が左右に流れていく。
「きもちいねー!」
「そうだなー」
条件さえ整えば、バイクほど爽快な乗り物もそうあるまい。
本当のバイク好きは、冬であろうと悪天候であろうと構わず乗り回すのだろうが、そこまで行くと理解できない。
片道三十分ほどかけて、行きつけの喫茶店へと辿り着く。
いつものように注文を済ませ、さっそくとばかりにカバンからポメラを取り出した。
「ほら、iPhone。イヤホンも」
「ありがと」
「最近、なんの動画見てるんだ?」
「うーとね、まいんくらふとのやつ」
「よゐこの面白かったもんな」
「うん」
時折追加注文をしつつ、頭の中身をポメラに出力していく。
曖昧だったアイディアが、言語という形を得て、広がり、そして、まとまり始める。
「ふー……」
コーヒーカップの底に溜まったグラニュー糖を噛み潰し、小さく伸びをする。
あっと言う間に二時間が経過していた。
「かんがえごと、できた?」
「ああ」
「きっさてん、もっとちかくにあればいいのにねえ」
「わかる」
太りそうだけれど。
バイクの初乗りもできたし、喫茶店にも行けたし、なかなか有意義な一日だった。

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