2017
08.31

うにゅほとの生活2099

2017年8月31日(木)

「──…………」
もっち、もっち、もっち、もっち。
ダイエットのため、小腹が空いたらガムを噛んでいる。
「ひとつぶあたり、にきろかろりー、だって」
「ガムって、カロリー表示あるんだ」
「ここ」
うにゅほがボトルガムの下部を指差す。
「ほんとだ」
「ね」
「ま、誤差だよ誤差」
「これ、ぜんぶかんだら、なんきろかろりーになるんだろ……」
「1粒2kcalだから、仮に100粒あれば200kcalになるな」
「アイスくらい?」
「ものによる。スーパーカップだと、400kcal近くになるし」
「わー……」
美味しいものは、たいていカロリーも高い。
「──数えてみるか」
「?」
「ボトルガムの中身、数えてみるか。俺もちょっと気になるし」
「うん、きになる!」
「えーと──」
ボトルガムの蓋を開き、充填率を確かめる。
「まんぱいだ」
「たぶん、まだ10粒くらいしか食べてないと思う」
「たくさんたべるまえにおもいついて、よかったね」
「そうだな」
ティッシュを敷いたデスクの上にボトルガムを開け、10粒のまとまりを作っていく。
「……これ、けっこう大変だな」
「そかな」
せっせ、せっせ。
ふたりでガムを数えていく。
最終的に、10粒のまとまりが18、あまりが9粒となった。
「てことは、189粒あるのか」
「じゅっつぶたして……」
「199粒。たぶん、元々は200粒入ってたのかな」
「おー……」
「100粒くらいかと思ってたけど、けっこう入ってるもんだなあ」
「にひゃくつぶで、よんひゃくきろかろりー」
「……これ全部で、スーパーカップと同じくらいなのか」
「すごいね」
恐るべし、スーパーカップ超バニラ。
ダイエットが成功したら、暴れ食いしてやるからな。

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2017
08.30

うにゅほとの生活2098

2017年8月30日(水)

「──おい、◯◯」
「んー?」
夕食後、父親に呼び止められた。
「こんなん貰ったんだけど、これ、いいものか?」
「まーたなんか貰ってきたん……」
「いいじゃん」
「いいけどさあ」
父親は貧乏性だ。
よく物を貰ってくるし、時には拾ってくることさえある。
それは、たいてい、どうしようもないものだ。
「今度はなにさ」
「こいつ」
差し出されたものは、5cm四方程度の白いケースだった。
受け取り、開いてみる。
「──…………」
隣にいたうにゅほが、中身を覗き込んだ。
「なんだこれ」
「……待て、見覚えがある」
「◯◯、しってるの?」
「──…………」
中身をそっと取り出してみる。
四分音符を白く染めたような物体が、ふたつ。
「AirPodsだ」
「えあぽっど?」
「Apple製の、Bluetoothイヤホン」
「……?」
うにゅほと父親が、同時に首をかしげる。
「簡単に言えば、ワイヤレスイヤホン。コードがなくても聞けるやつ」
「へえー」
「で、使えんの?」
「壊れてなければね」
「んじゃ、お前にやる。俺イヤホン使わねえし」
「……ありがたいけど、こんなもんどこで貰ってきたのさ。純正品なら二万はするよ」
「にまん!」
びっくりするうにゅほを満足そうに見つめたあと、父親が答える。
「秘密」
「えー」
「秘密って、あんた……」
子供じゃあるまいし。
「まあいいじゃん。使え使え」
「使うけど……」
父親の伝手や人脈には、いまだに謎が多い。

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2017
08.29

うにゅほとの生活2097

2017年8月29日(火)

「──…………」
無言で体重計から下りる。
「ふとった?」
「!」
「やっぱし」
「……わかる?」
「わかる」
「鏡を見る限りでは、そこまででもないと思ってたんだけどなあ……」
腹肉をつまむ。
つまめることはつまめるが、そこまで厚みがあるわけではない。
「そこじゃないよ」
「?」
「◯◯、ふとるとき、そこからじゃないの」
「じゃあ、どこから?」
「おしりからだよ」
「──…………」
自分の尻に触れてみる。
「……うわ」
なんと揉み甲斐のある肉厚の尻だろう。
そんじょそこらのケツバットであれば、余裕で跳ね返してしまいそうだ。
「こんなところに肉がついてたのか……」
気付かなかった。
腹から肉がついていくよりマシだが、これ以上デカ尻になるわけにも行くまい。
「──××、ダイエットだ! 俺はダイエットをするぞ!」
「うん」
「あ、××は痩せなくていいぞ」
「はーい」
うにゅほの場合、これ以上痩せたら明らかに不健康である。
むしろ、ちょっと肉をつけたほうがいいのではないか。
「……あのね」
「うん?」
うにゅほが、言いづらそうに口を開く。
「わたし、◯◯がなんでふとったのか、わかるかも……」
「……続けて」
自分のことだ。
当たりはついているけれど。
「うとね、チョコボールとね、クロワッサン……」
「××もそう思うか」
「うん……」
おもちゃのカンヅメ入手のためにゲームセンターで荒稼ぎしているチョコボール。
セイコーマートに立ち寄るたびに購入している発酵バターのクロワッサン。
間違いなく、このふたつが原因である。
「チョコボール、ちょっとがまんするね」
「俺も、コンビニへはなるべく寄らないようにする……」
節制しよう。
せめて体型くらいは維持しなければ。

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2017
08.28

うにゅほとの生活2096

2017年8月28日(月)

「んー……」
前髪をつまみ上げながら、呟く。
「髪、伸びたなあ」
「そかな」
「前髪が額に掛かったら、切りどき」
「はやい」
「男なんて、そんなもんだよ」
人によるけれど。
「◯◯の、かみながいの、みてみたいな……」
「高校のときは、いまより長かったぞ。卒業アルバム見せたことあっただろ」
「うん、みた」
「あんな感じになる」
「なるかなあ」
「いや、なるだろ」
「こうこうせいのときの◯◯、いまとかおちがう」
「生きてる以上、多少はな」
「いまよりふけてる」
「……マジで?」
「まじ」
卒業アルバムを引っ張り出し、自分の写真を探す。
「ほら、これ」
「……まあ、老け顔ではある」
「いまのかお」
うにゅほが俺に卓上鏡を向ける。
「──…………」
「ね?」
「鏡と写真じゃ、比べられないって」
「しゃしんとる?」
「勘弁してくれ……」
三十路男の十人並みの顔など、写真に収める価値はない。
「今日──は、もう遅いか。明日は火曜日だし、床屋行くなら明後日かな」
「そか……」
残念そうである。
「──あ。ぼうず、する?」
「坊主もしません」
「うー」
「うーでなく」
「ざんねん……」
中間でいいじゃないか、中間で。
まったくもう。

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2017
08.27

うにゅほとの生活2095

2017年8月27日(日)

「はちー……」
直射日光から身を隠しながら、BLACKアイスにかぶりつく。
「今日も暑いですね、××さん……」
「あついですねえ……」
「どっか行く?」
「いく!」
「今日、けもフレのラッキービーストのぬいぐるみがゲーセンに入荷するってさ」
「ぼす?」
「ボス」
「ほしい」
「俺も欲しい」
「チョコボールもとろうね」
銀のエンゼル、ひいてはおもちゃのカンヅメの入手を確実のものにしようとするうにゅほの意欲がすごい。
「あそこの店員に顔覚えられてるだろうな……」
チョコボールくらい買えよと思われているに違いない。
だって買うよりお得なんだもん。
「それにしても、こう暑いと──」
そこまで口にして、はたと気付く。
「どしたの?」
「……今年、プール行ってないじゃん」
「あ」
「なーんか忘れてるよーな気がしてたんだよ……」
「プール、いきたいねえ」
「行きたいと、思ったときが、行くときだ」
五・七・五で宣言し、アイスの棒をゴミ箱に捨てる。
「××、水着を用意しろ!」
「ゲームセンターは?」
「帰りに寄る!」
「はーい」
箪笥の奥から水着を取り出し、厚手のビニール袋に詰める。
「した、はいてこかな」
「いいけど、パンツは忘れないように」
「わすれないよー」
「一回忘れただろ」※1
「……うへー」
あ、笑って誤魔化した。
アイスを食べて、プールで遊び、ゲームセンターに寄って、ぬいぐるみを抱いて帰る。
絵に描いたような夏の一日だった。

※1 2013年9月11日(水)参照

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2017
08.26

うにゅほとの生活2094

2017年8月26日(土)

今日は、うにゅほとふたりでゲームセンターめぐりをした。
以下は車中での会話である。
「チョコボール、たくさんとれたねえ」
「五百円で十個以上取れれば、買うよりお得だよな」
「えんぜる、いるかなあ」
「当たればいいな」
「うん!」
「──ところで、××」
「?」
「まったく関係ない話していい?」
「うん」
「ケンタウロスっているじゃん」
「けんたうろす……」
「半人半馬というか、馬の首から上が人間になってるやつ」
「いるの?」
「いや、いないけど、神話とかに出てくるじゃん」
「うん」
「……あれ、ちょっと虫っぽくない?」
「むし……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「手が二本、足が四本で、合わせて六本あるだろ」
「うん」
「昆虫は?」
「あしろっぽん……」
「な」
「……でも、むしっぽいかなあ」
「では次」
「はい」
「ケンタウロスの腹は、どこでしょう」
「おなか……?」
「よーく思い浮かべてみてくれ」
「──…………」
「人間の腹と、馬の腹が繋がって、めっちゃ長いだろ」
「!」
「手足がスラリとしてるから気付かないんだ。もし、半分の長さだったとしたら?」
「むしっぽい、かも……」
「具体的に言うと、芋虫っぽい」
「うん」
「わかった?」
「わかった」
「これ、人に説明しても、あんまり共感してもらえなくてさ」
「けんたうろす、かっこいいもんねえ」
「だからなんだってわけでもないんだけど、ふと思い出したので」
「そか」
こんなどうでもいい話に付き合ってくれる相手がいることは、幸福である。

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2017
08.25

うにゅほとの生活2093

2017年8月25日(金)

Amazonから荷物が届いた。
「なにかったの?」
「秘密」
「えー……」
「嘘だよ」
「うそかー」
「パソコンチェアのケツのあたり、汗臭くなってたじゃん」
「うん、くさくなってた」
「それで、合皮でも大丈夫な消毒液を買ってみたんだ。EMWっていうんだけど」
「ふぁぶりーず、だめなの?」
「ファブリーズは、合皮には効かない。ていうか効かなかった」
「そなんだ……」
「さっそく使ってみよう」
「どうつかうの?」
「えーと──」
EMWのボトルに書かれた使用方法を読み上げる。
「50倍程度に希釈して、スプレーすればいいんだって」
「めんつゆみたい」
「まあ、適当でいいだろ」
スプレーボトルにEMWをすこしだけ注ぎ、水道水で薄めてシェイクする。
「においのきになるところに、うすめえきをスプレーするだけ」
「効けばいいけど」
「うすめたら、ひもちがしないので、そのひのうちにつかいきってください……」
「──…………」
スプレーボトルの容量を確認する。
「……240ml」
「たくさんつくっちゃったね……」
「しゃーない。チェアから床から枕まで、思いつく限り噴霧しまくろう」
「わたしもやっていい?」
「やりまくれ!」
「わかった!」
EMWは発酵液で、独特のにおいがある。
これを部屋中に噴霧するのはいささか不安があったが、うすめ液を大量に作ってしまったものは仕方がない。
窓を全開にして外出すること数時間、
「──あ、汗臭くなくなってる」
「ほんと?」
チェアの座面からは、ほのかに甘い香りが漂っていた。
「ほんとだ!」
「効くなあ、EMW」
「うん」
読者諸兄も、掃除のお供に一本いかがだろうか。
株式会社EM研究所さまへ、宣伝したのでもう一本ください。

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2017
08.24

うにゅほとの生活2092

2017年8月24日(木)

「……あー」
図面が腕に貼り付き、書いた文字が汗で滲む。
「駄目だ、暑くて仕事になんないよ」
「きょう、むすもんねえ……」
首筋をパタパタと手のひらであおぎながら、うにゅほが言う。
「エアコンつける?」
「お願いします」
「はーい」
ぴ。
電子音と共に、エアコンが稼働を始める。
「もすこししたら、すずしくなるからね」
「それまで休憩だ」
「しごと、ぱそこんでできたらいいのにねえ……」
「できるぞ」
「できるの?」
「CADって言って、図面を引く専用のソフトがある」
「きゃど」
「なんの略かは忘れた」
あとで調べたところ、コンピュータ設計支援(Computer-Aided Design)の略称らしい。
「ぱそこんで、しごと、しないの?」
「何度か試してみたんだけど、手描きのほうが早くてさ」
「へえー」
「正確で精密な製図をするならCADがいいんだろうけど、俺の仕事は大雑把に枚数をこなすだけだから」
「そなんだ」
「わかればいいんだよ、わかれば」
「あはは」
「××、タオル取って」
「うん」
手渡されたタオルで腕の汗を拭い取り、再び図面に向かう。
「さっさと終わらせて、散歩がてらアイスでも買いに行くか」
「いく」
「んじゃ、虫除けスプレー出しといて」
「わかった!」
夏も、終わりが近い。
やり残したことはないだろうか。

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2017
08.23

うにゅほとの生活2091

2017年8月23日(水)

「……んー?」
風呂上がり、左手の爪を切っていた際に、ふと気がついた。
「爪がでこぼこしている……」
「うん」
うにゅほが、あっけらかんと頷く。
「◯◯の、ひだりての、なかゆびのつめ、でこぼこしてるよ」
「知ってたのか」
「しらなかったの?」
「自分の爪なんて、大して興味ないし」
「しってるとおもってた……」
「いつからか、わかる?」
「まえは、でこぼこしてなかったよ。さいきんだよ」
「調べてみるか」
Googleを開き、適当に検索してみる。
「えーと、爪のでこぼこは三種類。縦線、横線、湾曲──なんか違うな」
「うん、ちがう」
「小さなくぼみが無数にある感じなんだけど……」
検索ワードを追加し、更に調べてみる。
「──あった。爪甲点状陥凹、だって」
「びょうき?」
「病気がどうかはわからないけど、病気のサインかもしれないって」
うにゅほの表情が曇る。
「……なんのびょうき?」
「かもしれない、恐れがあるってだけで、確実にその病気ってわけじゃないから」
「うん……」
「発熱性疾患、栄養不足、糖尿病、腎臓病──」
そこまで読み上げて、止まる。
「?」
うにゅほがディスプレイを覗き込み、続きを読み上げた。
「とうにょうびょう、じんぞうびょう、えんけいだつもうしょう……」
「××」
「はい」
「ハゲがないか、確認してくれ」
「わかった」
俺は、円形脱毛症によくかかる体質である。
最近はそうでもないが、数年ほど前までは、時折小さなハゲができていた。
「はげ、ないよ」
「そっか……」
とりあえず、安心した。
だが、油断はできない。
とは言え、円形脱毛症の予防って、なにをどうすればいいんだか。

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2017
08.22

うにゅほとの生活2090

2017年8月22日(火)

「──お、銀のエンゼル」
「おー!」
「××は?」
「きいろ」
うにゅほが、チョコボールのくちばしを開いてみせる。
「黄色だな、うん」
銀のエンゼルも、金のエンゼルも、九割方は黄色だけれども。
「ともあれ、これで四枚目か」
「うん」
「あと一枚だな」
「──あ!」
うにゅほが立ち上がり、寝室へと向かう。
「どした?」
そして、うにゅ箱から何かを取り出した。
「これ……」
「……銀のエンゼル?」
「はじめてね、あたったやつ……」
「──…………」
思い出した。
三年ほど前、たまたまおやつに食べたチョコボールで、銀のエンゼルを一枚だけ手に入れていたのだ。※1
「いいのか?」
うにゅほが大切に仕舞っておいたものだ。
交換してしまうのは、気が引ける。
「……いいの」
うにゅほが、困ったような笑顔を作る。
「だって、あたらしいおもちゃのかんづめ、なでたらしゃべるもん……」
そこなんだ。
「──…………」
受け取ったエンゼルを、うにゅほの手にそっと握らせる。
「?」
「頑張って、あと一枚当てよう」
「でも──」
「おもちゃのカンヅメはどのエンゼルでも交換できるけど、初めて当てた銀のエンゼルはそれ一枚だから」
「──…………」
「それに、おもちゃのカンヅメは一年くらい変わらない。このペースでチョコボールを食べていれば、すぐだよ」
「……うん」
うにゅほが、エンゼルを握った手を胸元に寄せる。
「ありがと、ね」
「ああ」
会話の内容がおもちゃのカンヅメについてでなければ、もうすこし感動的だったかもしれない。
ともあれ、あと一枚だ。
頑張ろう。

※1 2014年10月10日(金)参照

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