2017
02.28

うにゅほとの生活1916

2017年2月28日(火)

「──ぱーいーなーつーぷーる!」
とん、とん、とん。
うにゅほが軽やかに階段を上がっていく。
「じゃーんけーん」
「じゃーんけーん」
「しょ!」
「しょ!」
俺は、グー。
うにゅほは、チョキ。
「グ、リ、コ」
三段上がる。
「××」
「?」
「まだやるの?」
「うん」
「そうか……」
三十絡みの男のする遊びではないと思うのだが。
「じゃーんけーん」
「じゃーんけーん」
「しょ!」
「しょ!」
俺は、グー。
うにゅほは、パー。
「ぱーいーなーつーぷー……」
最上段を踏んだうにゅほが、
「る!」
そこで折り返し、一段下がった。
「××」
「?」
「ピッタリじゃないと駄目なの?」
「うん」
「そうか……」
これは長丁場になりそうだ。
途中、部屋から出てきた弟に冷ややかな目で見られながら、階段を一往復半してようやく二階へと辿り着いた。
「たのしかった」
「そっか」
「◯◯、たのしくなかった?」
「……いや、まあ、懐かしくはあったかな」
「そか」
××が楽しかったのなら、付き合った甲斐があるというものだ。
少々気恥ずかしいので、二度はやりたくないけれど。

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2017
02.27

うにゅほとの生活1915

2017年2月27日(月)

「ふー……」
購入したてのエアロバイクで10kmほど走行し、汗で濡れた首筋を手の甲で拭う。
「はい、タオル」
「ありがとな」
「うへー」
「……うわ、作務衣びしょびしょだ」
「ほんと?」
うにゅほが腕に触れる。
「しっとりしてる」
「汗臭いかな」
すんすん。
「あせくさい!」
何故満面の笑みなのか。
「シャワー浴びてくっかー」
「うん」
「××、そのあいだ使ってみる?」
「いいの?」
「いいよ」
「じゃあ、やってみる」
「サドル下げるから、ちょっと待ってな」
「うん」
サドルの高さを調節し、
「おっけー」
「うと、またげばいいの?」
「自転車乗るのと変わらないよ」
「わたし、じてんしゃのれない……」
そうだった。
「まあ、うん。とりあえず跨いでみて」
「はい」
「ペダルに足を掛けて、漕ぐ」
「こう?」
「そうそう」
「♪」
エアロバイクを漕ぐうにゅほを横目に、バスタオルや着替えを用意する。
「──…………」
「?」
漕ぐ音が、止まった。
「どしたー?」
「──はッ、は、ふう、ふう……」
たった二、三分で、うにゅほの息がめっちゃ上がっていた。
「はっ、も、だめ、あし、ぱんぱん……」
「大丈夫か?」
「……おりて、ふう、いい?」
「いいけど……」
うにゅほの運動不足のほうが、俺より深刻なのではあるまいか。

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2017
02.26

うにゅほとの生活1914

2017年2月26日(日)

Amazonで注文してあった折りたたみ式エアロバイクが、今日になってようやく届いた。
電車の脱線事故で配送が遅れていたらしい。
バラバラのパーツを手早く組み上げ、ボルトやナットの締め忘れを確認する。
「──よし、完成!」
「おー!」
うにゅほがぺちぺち拍手する。
「これ、おりたためるの?」
「折りたためるとも」
パーツの交点にあるストッパーピンを抜き、縦に伸ばす。
「これで、ストーブの後ろに置けるだろ」
「すごい……」
「それだけじゃないぞ」
「?」
「密かに画策はしていたんだが、現物を見て可能だと確信した」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「まあ、見ててくれ」
「うん」
「まず、パソコンチェアを移動させる」
「てつだう」
「ありがとう」
「つぎは?」
「チェアのあった位置に、エアロバイクを置く」
「うん」
「うちのデスクは、L字型だな」
「そだね」
「マウスは無線式だ」
「あ」
気づいたらしい。
エアロバイクにまたがり、マウスを手に取る。
「なんと、ネットをしながらエアロバイクを漕げるのだ!」
「──…………」
あ、呆れてる。
「……エアロバイクって、長時間運動するためのものだから、暇を潰す手段って重要なんだぞ?」
「でも、あぶないきーする」
「試してみようか」
ペダルの負荷を調節し、漕ぎ始める。
体勢が僅かに傾いだところで、安定性に問題はなさそうだった。
「ほらほら」
「だいじょぶなら、いいけど……」
「このまま30分くらいテスト走行してみよう」
「タオル、よういしとくね」
「ありがとな」
「うん」
30分程度の運動でも、かなり汗ばむ。
運動不足解消に向けて、新たな一歩を踏み出す俺だった。

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2017
02.25

うにゅほとの生活1913

2017年2月25日(土)

「──……う」
コンビニのプラスチックスプーンをくわえたまま、唸る。
「このプリン、カラメル苦いやつだ……」
「はずれ?」
「生地は美味しいけど、ハズレだなあ」
「ひとくち」
「苦いところでいいの?」
「うん」
容器の底の変色したあたりをすくい、うにゅほの口元に差し出す。
「あーん」
「あー」
ぱく。
「ちょっとにがいねえ」
「苦いカラメルに限って、なんでサラサラなんだろうな……」
「さらさら?」
「ドロドロしてない、液状というか」
「あー」
「サラサラのカラメルって、生地の底を破ると噴出して、プリン全体を苦く染め上げるじゃん」
「わかる」
「××も、破らないよう気をつけて食べてるもんな」
「うん」
「苦いなら苦いで、せめて、プッチンプリンみたいにカラメルぷるんぷるんにすればいいのに……」
「そしたら、ふんしゅつしないもんね」
「そうそう」
残りのプリンを一気に掻っ込み、空の容器をゴミ箱に捨てる。
「……苦いプリン食べたあとって、別の甘いもの食べたくならない?」
「そかな」
「甘いもの食べたいからプリンを食べたのに、食べたあとに残るのって苦味じゃん」
「あー……」
「そのあたり、なんか不完全燃焼感ある」
「なるほどー」
はあ、と溜め息。
「でもさ」
「?」
「プリン、美味いんだよなあ」
「うん、うまい」
「苦いカラメル差っ引いても美味いから困る」
「そだねえ……」
カラメルソースのない、卵をたっぷり使った固めの生地のプリンが食べたいのです。

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2017
02.24

うにゅほとの生活1912

2017年2月24日(金)

Steamの年末セールで購入したダークソウル3をようやくプレイし始めた。
「──……!」
敵に襲われるたび、敵を斬り伏せるたび、チェアの背もたれが軋みを上げる。
うにゅほが背もたれに抱きついているのだ。
「あ、死んだ」
「◯◯、しんだ……」
痒くもない後頭部を掻きながら、誤魔化すように呟く。
「ダクソ、やっぱ難しいなあ」
「むずかしいの?」
「死にまくってるのはわかるだろ」
「うん」
「そういうこと」
「たくさんしんで、たいへんだねえ……」
「死んで覚えるゲームだからな」
「そうなんだ」
「まあ、マリオなんかもそうだけどさ」
「うん」
「マリオ、何面まで行けたんだっけ」
「さんめん……」
一時期、初代スーパーマリオブラザーズにハマっていたうにゅほである。※1
「頑張ったな」
「がんばった!」
「三面って、夜の面だっけ」
「うん」
「だいたい飛ばしちゃうから、あんまり覚えてないな……」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「とばす?」
「ああ、ほら、1-2のワープで──」
「わーぷ」
「──…………」
「──……」
「あれ、教えなかったっけ」
「しらない」
「1-2にワープ土管があって、一気に四面に行けるんだけど」
「えー!」
うにゅほが身を乗り出す。
「ずるい!」
「まあ、ずるいかも……」
「わーぷどかんって、どこ?」
「あー、3DS持ってきて」
「うん!」
こうして、うにゅほの初代マリオ熱が再発するのだった。

※1 2015年4月4日(土)参照

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2017
02.23

うにゅほとの生活1911

2017年2月23日(木)

「××ちゃん」
「!」
眠そうな目で漫画を読みふけっていたうにゅほが、はっと顔を上げた。
「いま」
「どうかした?」
「なんか、へんなよびかたした……」
変な呼び方って。
「してないよ」
「──…………」
「したよ」
「うん」
「××ちゃん」
「う」
うにゅほが両手でほっぺたを包む。
「なんか、はずかしい……」
「××ちゃん、××ちゃん、××ちゃん!」
「うへえー」
本当に照れているらしい。
「××」
「はい」
「××ちゃん」
「……はい」
「××りん」
「?」
「××っち」
「うーん……」
ピンと来ないようだ。
「××さん──は、たまに呼んでるもんな」
「うん」
「××ちゃん」
「う」
「××ちゃん」
「──…………」
あ、慣れてきた。
「××」
「はい」
「寒いから、こっち来て」
「はーい」
うにゅほは、ちゃん付けで呼ぶと、照れる。
面白いことを発見した。

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2017
02.22

うにゅほとの生活1910

2017年2月22日(水)

「──てッ」
靴下の穴を繕っていたところ、親指の先に針をぶっ刺してしまった。
「だいじょぶ!?」
傍で見ていたうにゅほが、慌てて俺の手を取る。
「ちーでてきた……」
「あー、皮膚で止まらなかったか」
「てぃっしゅ、ティッシュ」
「待ちたまえ」
「?」
「そこは、こう、指をぱくっとするところでしょう」
「こうないのざっきんはいるから、きず、なめないほうがいいんだって」
「──…………」
誰だ、余計な知識を吹き込んだのは。
「そこをなんとか」
「でも」
「痛い思いしたんだから、いい思いだってしたいじゃん」
「……ゆびぱくってしたら、◯◯うれしい?」
「嬉しい」
「うへー……」
うにゅほが照れ笑いを浮かべる。
「ああ、ほら、血が垂れてきた」
「わ!」
ぱく。
うにゅほが俺の親指をくわえる。
「う」
熱い。
にゅるにゅるとした柔らかな舌が傷口を遠慮がちにつつき、血液を舐め取っていく。
「──…………」
「──……」
なんとなく見つめ合う。
「ほういー?」
「ああ、もういいよ」
ちゅぽん。
「おろないんぬるね」
「お願いします」
「さびお、いる?」
「絆創膏はいいんじゃないかな」
「そか」
うん。
満足であります。

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2017
02.21

うにゅほとの生活1909

2017年2月21日(火)

「んー……」
PCの前で腕を組み、唸る。
「どしたの?」
「買うべきか買わざるべきか、迷ってるものがあって」
「なにー?」
「エアロバイク」
「えあろ……」
「部屋のなかで自転車こぐやつな」
「うん、わかるけど……」
うにゅほが自室をぐるりと見渡す。
「どこおくの?」
「まあ、そのへんに……」
「……おけるの?」
「××の想像してるエアロバイクって、ジムとかにある、すごい立派なやつだろ」
「うん」
「俺も調べて知ったんだけど、家庭用のエアロバイクって、思ったより小さいみたい」
「そなんだ」
「ほら、折りたたみ式とかある」
Amazonで検索し、画像をいくつか見せる。
「ほんとだ……」
「価格帯も二、三万程度で、十分手が届くし」
「……まあ、うん」
あ、嫌そう。
俺の財布の紐を握ってるのって、うにゅほだからなあ。
「××さん、買ってもいいですか?」
「──…………」
「だめ?」
「……ちゃんと、うんどうする?」
「します!」
「うんどうしたら、かたづける?」
「片付けます!」
「じゃあ、かっていいよ」
「よし!」
思わずガッツポーズを取る。
「今度ヨドバシ行って、実物見てから買おうか」
「うん」
運動不足解消、なるか。

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2017
02.20

うにゅほとの生活1908

2017年2月20日(月)

誕生日に知人から貰ったMA-1風ジャケットのボタンが取れかかっていたので、付け直すことにした。
デスクの引き出しから裁縫セットを取り出すと、
「なにするの?」
興味を持ったのか、うにゅほが四つん這いで近づいてきた。
「ボタン、付け直そうと思って」
「あ、わたしやる!」
「布地厚いけど大丈夫?」
「だいじょぶ!」
「なら、頼もうかな」
「うん!」
ジャケットと裁縫セットをうにゅほに手渡す。
「おさいほう、ひさしぶり」
「どれくらいぶり?」
「うーと、いちねんくらい……」
「……大丈夫?」
「だいじょぶ!」
自信満々である。
大丈夫かなあ。
そんな胸中の心配が杞憂であることに気づくまで、さして時間は掛からなかった。
「♪~」
うにゅほの手つきは淀みなく、迷いなく、ボタンと布地とを手際よく繋いでいく。
ボタン付けなら俺もできるが、たぶん俺よりずっと上手い。
「でーきた」
「おー」
ぱちぱちぱち。
「すごいな、××」
「うへー……」
「仕上がりもバッチリじゃんか」
「まえね、おかあさんとれんしゅうしたから」
「けっこう練習したんだな」
「ひゃっこくらい」
「……マジで?」
「うん」
思った以上に頑張っていた。
なるほど、自信満々なはずである。
「でも、ボタンつけしかできない……」
「それだけできれば十分だろ」
「そかな」
「そうだよ」
ジャケットを受け取り、羽織る。
「うん、頑丈頑丈」
「よかったー」
「むしろ、この上のボタンがぐらぐらして──」
ぷち。
「あ」
「とれた……」
「……××、こっちのボタンもお願いできますか」
「はーい」
掃除、洗濯、料理、裁縫。
家事万能なうにゅほである。

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2017
02.19

うにゅほとの生活1907

2017年2月19日(日)

「◯◯、◯◯」
「んー?」
「これ、まだつかう?」
うにゅほが差し出したのは、OA機器用のクリーニングブラシだった。
「……毛先、こんな爆発してたっけ?」
「わかんない」
「大泉洋みたいになってるじゃん」
「ぶふ!」
うにゅほが吹き出した。
「白髪の大泉洋」
「うふ、くふふ……」
「パイ食わねえか」
「ばふう!」
ウケ過ぎである。
「あ、これ、反対側も細いブラシになってるんだ」
何故いまごろ気づくのか。
「つかう?」
「大泉のほうはいらないけど、こっちはキーボードの掃除するとき使うかな」
「でも、おおいずみのほう、きたないかも」
「毛とか巻き込んでるしな」
「うん……」
しばしの思案ののち、
「……刈る?」
「おおいずみのほう、きるの?」
「邪魔くさいし……」
「そだねえ」
「××、大泉の毛まとめてくれるか」
「うん」
うにゅほがまとめたブラシの毛に、思いきりハサミを入れる。
「はい、これで使いやすくなった」
「おおいずみ、まるぼうずになっちゃったね」
「触り心地いいぞ」
「ほんとだ」
「あと、毛かと思ってたやつ、根本から生えてたんだな」
「ほんとだ……」
見た目より不衛生ではなかったのかもしれない。
「お、立つぞこれ」
「たった!」
どちらにせよ、使い勝手がよくなったのは確かである。

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