2016
04.30

うにゅほとの生活1613

2016年4月30日(土)

「ぐへー……」
ぼす。
羽毛布団に倒れ込み、バタバタと泳ぐ。
「疲れたー! つかれたー!」
「つかれたの?」
「疲れた……」
「そか」
うにゅほが傍に腰を下ろし、膝をぽんぽんと叩く。
「ひざまくら、する?」
「頼むう」
「はい」
布団の上を這って動き、うにゅほのふとももに頭を預ける。
「おつかれさま」
なでなで。
「はー……」
気持ちいい。
うにゅほが触れた場所から疲れが溶け出していくような錯覚すら覚える。
「このままねる?」
「……いや、すこし頭を休めるだけで大丈夫そうだ」
「そか」
「遊んでただけだしな」
「ごーるでんうぃーく、だもんね」
「行きたいとこ、あるか?」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「こんでそう」
「まあ、混んでるだろうなあ」
「ドラえもん、みたし」
「映画、また行こうな」
「うん」
「観たいのあったら、言ってくれな」
「いう」
「平日に行こうな」
「かしきり?」
「貸し切りになるかはわからないけど……」
「かしきりなったら、いいね」
「そうだな」
膝枕をしてもらいながら、取り留めのない会話を交わす。
ただそれだけの時間が、たまらなく愛おしい。
「……腹減ったなあ」
「カレーあっためる?」
「後でいいよ」
「そか」
カレーより、いましばらく、この時間を。

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2016
04.29

うにゅほとの生活1612

2016年4月29日(金)

「……寒い」
「さむいねえ……」
「マジ寒い」
「まじ、さむいねえ……」
四月も末だというのに、この冷え込みはちょっと異常である。
雪でも降るのではあるまいか。
「××、ちょっとこっち来て」
「うん」
「膝、座って」
「うん」
うにゅほが俺の上に腰掛ける。
「うへー……」
ちいさなおしりから伝わる体温が、とても心地いい。
「寒いから、あれやるか」
「あれ?」
「つながりごっこ」
「やる!」
つながりごっことは、なにをするにもずっと相手の素肌に触れていなければならないという実にハイブローな遊びである。
「せっかくだから、タイムを計測しよう」
「たいむ?」
「どれくらい繋がっていられたかを計測して、記録を伸ばしていくのだ」
「おもしろそう」
iPhoneのストップウォッチ機能を呼び出し、うにゅほと手を繋ぐ。
「始めていいか?」
「あ、といれ」
「先に行っといたほうがいいな」
「うん」
互いに小用を済ませ、手を洗い、再び同じ体勢を取る。
「行きます」
「はい」
「よーい、スタート!」
開始ボタンを押すと、ストップウォッチが時を刻み始めた。
「どれくらい行けると思う」
「うーと、いちじかんくらい……」
「今日は寒いし、二、三時間は行けるんじゃないか?」

結果:四時間三十二分
中断理由は、俺が尿意を催したから、だった。

「……いきなり大記録を出してしまった」
「おちゃのまなかったら、もっといけるとおもう」
「確かに」
「またやろうね」
「寒い日にな」
夏場はちょっと勘弁してほしい。

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2016
04.28

うにゅほとの生活1611

2016年4月28日(木)

例年通り、映画「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」を観に行ってきた。
「わ、だれもいない」
「貸し切りだな」
「ね!」
旬を逃している上に、ゴールデンウィークの前日である。
人がいないのも当然だ。
「来年も、いまくらいの時期に来ようか」
「◯◯、きーはやい」
たしかに。
「ね、ね、どこすわる?」
「どこでもいいぞ」
「うと……」
しばしの逡巡ののち、うにゅほが恐る恐る口を開いた。
「……◯◯、どこいい?」
「──…………」
ぽん。
うにゅほの頭に手を乗せる。
「う?」
「なら、ちょうど真ん中にしような」
「うん、そうしよう」
貸し切りのシアタールームで、ふたりきりで映画を観る。
ロマンチックな気がしないでもないが、上映されるのはドラえもんである。
「♪」
うにゅほがとても上機嫌だから、なんだっていいけれど。

──二時間後、

「……面白かったな」
「うん……」
「俺、ちょっと泣いちゃったよ」
「わたしも……」
大筋は忠実なリメイクで、元映画の尻すぼみ感だけを上手く解消したという印象だ。
ギガゾンビが23世紀の人間であるという設定を活かした緊迫感のある展開も素晴らしかった。
「来てよかったな」
「うん!」
大満足の俺たちは、帰る道すがら、いつものジェラート屋に寄って帰宅した。
新ドラの映画は、年々クオリティが高くなっている気がする。
来年も楽しみだ。

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2016
04.27

うにゅほとの生活1610

2016年4月27日(水)

「いて、いててて……」
臀部を軽く撫でさすりつつ、パソコンチェアから腰を上げる。
「……◯◯、まだいたい?」
「ちょっとだけな」
気遣わしげなうにゅほにそう返し、ぐっと伸びをする。
「せいこついん、いかなくて、だいじょうぶ?」
「この調子なら、たぶん、明日か明後日には完治してると思う」
「ほんと?」
「こんなことで嘘つかないって」
「うん……」
心配してくれるのは嬉しいが、それは杞憂というものだ。
「でもさ、尻を寝違えただけでよかったよ」
「よかったの?」
「腰痛より、よほどまし」
「そなんだ」
「寝違えたのは勝手に治るけど、腰痛はだんだん悪くなるからな……」
「こわいね……」
「××も、腰は大事にしないと駄目だぞ」
「どうしたらいいの?」
「ストレッチとか」
「すとれっち、する」
座椅子からぴょんと立ち上がり、うにゅほが前屈をしてみせる。
「ぬ、う、うー……!」
中指の先が向こう脛で止まっている。
「……相変わらず、前屈苦手なんだな」
「うー」
猫のように体の柔らかいうにゅほだが、どういうわけか前屈だけできない。
「ほら、見てな。こうする──うッ!」
臀部に激痛。
「わああ!」
「ね、寝違えてるの忘れてた……」
「むりしないで!」
「はい……」
一日ゆっくり養生していたら、痛みもだいぶ引いてきた。
これ以上、心配かけずに済みそうである。

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2016
04.26

うにゅほとの生活1609

2016年4月26日(火)

運転免許試験場へと赴き、免許証を再取得してきた。
「ほら、新しい免許証だぞー」
「わー」
「ツヤツヤしてるぞー」
「ほんとだ」
「人相悪いぞー」
「かみ、きりたかったね」
「運転できなかったからな、しゃーない」
「うん」
人相が悪いのはいつものことだし。
「そんなことより、××さん」
「?」
「今日もマッサージしてくれるか」
「こし、まだいたい?」
「ふと気づいたんだけど、痛いの腰じゃないみたい」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「こしじゃないの?」
「腰って、このあたりだろ」
自分の腰に手を当てる。
「うん」
「いま痛いのって、このあたりなんだよ」
手の位置を左下にずらし、患部を中心に撫でてみせる。
「……こしの、した?」
「おしりの上」
「いたいの、おしり?」
その言い方は語弊があります。
「単なる腰痛じゃなくて、尻を寝違えたらしい」
「おしりって、ねちがえるの?」
「わからんけど、他に適当な言い方がない」
「うーん……」
「羽毛布団が暑いからって、足で挟んで寝た記憶があるんだよ」
「してたかなあ」
「なら、××の見てないときかな」
「そか……」
「というわけで、ちょっと揉んでくれるか」
「おしり?」
「左上のあたりを重点的にな」
「はーい」
うにゅほが元気よく手を上げる。
マッサージを頼まれることが、嬉しくて仕方ないらしい。
「うつぶせなってください」
「わかりました」
「いくよー」
もみもみ。
やわやわ。
「──…………」
疲れていたのか、ほんの数分でうとうとしてしまった。
うにゅほ式マッサージのリラックス効果は、相変わらず凄まじい。

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2016
04.25

うにゅほとの生活1608

2016年4月25日(月)

「こ、し、い、た、いー……」
タイルカーペットの上にぐでーんと寝転がる。
「……俺、変な寝相してた?」
「ふつうとおもう」
「なら、単に寝過ぎただけか……」
「うん」
なんだか知らんがやたらと眠くて、たっぷり十二時間は寝たからなあ。
「まっさーじするから、うつぶせなって」
「はい」
ごろん。
俺の太腿の上に腰を下ろし、うにゅほが俺の腰を揉む。
「う、しょ、うん、しょ」
「おあー……」
「きもちいい?」
「気持ちいい」
「きく?」
「……あ、うん」
言葉に詰まったのは、なかば嘘だからである。
うにゅほのマッサージは、すこぶる効かない。
気持ちいいのは確かなのだが、根本的に腕力が足りないのだ。
しかし、
「××、マッサージ上手くなった?」
「うへー」
ちいさな手のひらに、普段より体重が乗っている。
「太ったとか」
「ふとってないよ」
「腕立ては?」
「してないよ」
「してないよなあ」
「うん」
しばしのあいだ、うにゅほ式マッサージに身を任せていたところ、ふとあることに気がついた。
「──……!」
うにゅほのおしりが前後に動いている。
「なるほど……」
つまり、いったん後ろに重心をずらすことで、勢いをつけているのだ。
「考えたな、××」
「なにが?」
あ、意識はしてないんだ。
しばらく揉んでもらっていると、痛みもすこし和らいだ。
このまま自然治癒してくれればいいのだけど。

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2016
04.24

うにゅほとの生活1607

2016年4月24日(日)

「──…………」
ぷち。
「あ」
「?」
「ごめんなさい」
「黒いの抜いた?」
「ぬいちゃった……」
「べつにいいよ、それくらい」
仮に問題があるとすれば、そこではない。
「……白髪、まだある?」
「まだある」
「増えたかな」
「ふえてないよ」
ぷち。
「まえからこんくらいあるよ」
「そうか」
ぷち。
「……俺の白髪、どうして、前髪のほうに集中してるんだろうな」
「さあー」
ぷち。
「──…………」
そっと目蓋を開く。
小ぶりな胸のふくらみが、眼前にある。
前から白髪を抜くということは、つまり、そういうことなのだ。
「……白髪、まだある?」
「まだある」
「どんくらいあるんだ……」
「じっぽんくらい」
「十本、とっくに抜いてない?」
「くろいの……」
「ああ、はいはい」
前髪、薄くなったりしないよな。
ハゲない家系だから大丈夫だとは思うが、油断はできない。
「──…………」
ぷち。
「あ」
ああ、どんどん減っていく。
いいけどさ。

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2016
04.23

うにゅほとの生活1606

2016年4月23日(土)

「うう……」
ボリボリ。
へその下あたりが痒くて仕方なかった。
「あんましかかないほう、いいよ?」
「わかってはいるんだけど……」
ボリボリ。
それはもう、耐えがたい痒みなのだ。
「みして」
「はい」
シャツの裾をめくる。
「あかくなってる……」
「なんだろ、これ」
「あせもかなあ」
「こんなとこ、あせもにならないだろ」
「そだねえ……」
まだ春だし、汗をかいた記憶もない。
「蕁麻疹、とか」
「じん、ましん?」
「そう」
「じんましんて、なに?」
「俺もよくわからん」
「わからんの」
「たしか、急に皮膚が痒くなるんだよ。アレルギーかなにかで」
「あ、る、れぎー」
「アレルギー」
「あれるぎー」
「言えたな」
「いえた」
「……ダニにでも噛まれたかな」
「だに?」
「俺、ダニアレルギーだろ」
「うん」
「だから、そうかなって」
「でも、わたし、そうじしてるよ?」
「毎日してるな」
「だに、まだいるのかな」
「うーん……」
うにゅほが一所懸命掃除してくれている部屋に、ダニがいるとは思いたくない。
「……とりあえず、オロナインでも塗るか」
「あ、わたしぬる」
「えー……」
場所が場所だけに、いささか気が引ける。
「だめ?」
気は引けるが、まあ、変な場所ではないのだし。
「頼むー」
「はい」
ぬりぬり。
痒みは治まったが、根本的な解決には至っていない。
皮膚科を受診するべきだろうか。

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2016
04.22

うにゅほとの生活1605

2016年4月22日(金)

クレジットカードの利用明細が届いた。
「あ、いちまんえんいってない!」
「ふふふ……」
人差し指と中指でクレジットカードを挟み、不敵に笑ってみせる。
「節制してみました」
「すごいね」
「いや、すごくはない」
一万円近く使っているのだし。
「先々月はパソコンとか買ったし、さすがにな」
「こんげつ、たくさんちょきんできるなあ」
うきうきと微笑みながら、うにゅほがiPhoneの家計簿アプリを立ち上げる。
「うーと……、あ!」
「どうかした?」
「ぱそこんかうまえより、ふえた」
「え、もう補填できたのか」
「ほてん?」
「赤字が無くなったのか、ってこと」
「なくなった」
アプリを見せてもらうと、たしかに二ヶ月前より貯蓄が増えていた。
「ちょっと節制しただけなのに……」
「すごいねえ」
「いや、むしろ、普段どれだけ考えなしに金使ってるかってことだよ」
「あ、そか」
「先月のグラフ見せて」
「はい」
2016年3月分の支出の内訳を表した円グラフが表示される。
「クレジットカードはそれなりだけど……」
グラフの半分を占める緑の領域を指で示す。
「この〈日用品〉四万円って、なに買ったんだろ」
うにゅほがふるふると首を横に振る。
「おぼえてない」
「一気に使ったんじゃなくて、二千円くらいがちょこちょこって感じだな」
「かんてんゼリーは?」
「……それだ」
思い出してきた。
「セブンの寒天ゼリーと一緒にビーフジャーキー買い込んでたから、それが一緒に計上されてるんだ」
「びーふじゃーきー、たかいもんねえ……」
「それにしたって買い過ぎだよ」
もちろん、他にも原因はあるのだろうけど。
「とりあえず、ビーフジャーキー断ちだな」
「そのほういいよ」
必要のない買い物を、できる限り削って行こう。
貯蓄が増えると、うにゅほが喜ぶし。

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2016
04.21

うにゅほとの生活1604

2016年4月21日(木)


「──……暑いー」

羽毛布団を蹴り上げる勢いで上体を起こす。

春眠暁を覚えずとは言うが、この陽気ではおちおち昼寝もできやしない。

「ねれない?」

「寝れないです」

「まどをあけましょう」

「お願いします」

うにゅほが南西側の窓を開けると、酸素をたっぷりと含んだ新鮮な空気が漂ってきた。

「すずしい?」

「涼しいです」

「ねれそう?」

「たぶん」

もぞもぞと布団に潜り込むことしばし、

「──……寒い」

「さむい?」

「肌寒い」

四月も下旬とは言え、窓を開けたまま眠れるほど暖かくはないようだ。

「まど、しめましょう」

「お願いします」

しばしして、

「──……暑い」

「うん」

すべてを許容する瞳で、うにゅほが苦笑する。

「これもう寝るなってことだな」

「でも、あんましねてないんでしょ」

「三時間くらいは寝た」

「それ、あんましねてないっていう」

「まあ……」

八時間寝ないともたない体だ。

パソコンチェアに戻っても、船を漕ぐのが目に見えている。

「もうすこし涼しくなってから寝るよ」

「よる、ねれなくならない?」

「大丈夫、大丈夫」

たぶん。

「しごと、できる?」

「大丈夫、大丈夫」

きっと。

無事に日記を書いているということは、なんとかなったということだ。

ポンコツな体との付き合い方は心得ている。

今日は早めに寝よう。


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