2016
02.29

うにゅほとの生活1552

2016年2月29日(月)

PCを二台、同時起動して、環境の移行を行っている。
「こういうとき、トリプルディスプレイにしといてよかったって思うな」
「したふたつ、あたらしいぱそこん?」
「そうだよ」
「うえが、ふるいぱそこん」
「そうそう」
うにゅほが小首をかしげる。
「なにちがうの?」
「うーん……」
壁紙まで同じにしてしまったので、当然と言えば当然の疑問である。
「できることは基本的に同じなんだ」
「そうなんだ」
「iPhoneを買い換えたとき、動作が軽くなったろ」
「うん」
「つまり、そういうこと」
「なるほど……」
うんうんと頷く。
「それに、古いほうのパソコンは、動作が不安定になってたからな……」
「なおせなかったの?」
「直せたよ」
「なおせたの!」
「悪いところはわかってたから、そこを取り換えれば済む」
「え、なんで……」
「その悪いところっていうのが、HDDっていう、データの入ってるところでさ」
「うん」
「新しくしたら、どうなると思う?」
「……うと、データなくなる?」
「実際には、外付けHDDにデータをバックアップするんだけど、こうして二台並べて作業できないから、けっこう手間なんだ」
「ふうん……」
「あと、壊れるときって、他のパーツも連動して故障することが多くてさ」
「うん」
「そう考えると、新しく買ったほうがいいかなって」
「そだねえ……」
納得していただけたようだ。
「あと、完全に壊れたら、売値が安くなるってのもある」
「ふるいぱそこん、うるの?」
「ああ」
「うれるの?」
「四、五万にはなると思う」
たぶん。
「やた!」
「貯金の足しにしましょう」
「はーい」
俺専用の会計士は、とても頼りになるのだ。
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2016
02.28

うにゅほとの生活1551

2016年2月28日(日)

「はー……」
うにゅほが感嘆の息を漏らす。
「あたらしいぱそこん、おおきいねえ」
「そうだな」
「まえのぱそこんより、おおきい?」
「すこしだけな」
「はこ、もっとおおきい!」
「××、入れるんじゃないか?」
「はいれるかな」
「ほら、体育座りしたら──」
すっぽり。
「おお、入った」
「ふたとじてー」
「はいはい」
ダンボール箱のフタを閉じる。
「くふ、ふふふ……」
箱が笑っている。
怖い。
「よし、クロネコヤマトを呼ぼう」
「やめてー!」
「──…………」
ふ、と既視感。
「……前にパソコン買い換えたときも、同じことやらなかったっけ」
ダンボール箱から顔だけ覗かせたうにゅほが、小首をかしげる。
「そだっけ」
やった。※1
「まえ、まえ──」
歌うように呟いていたうにゅほの表情が、
「……あっ」
不意に、曇った。
「◯◯、データいこう、するの?」
「しないと使えないからな」
「……まえみたいに、てつや、するの?」
「──…………」
遠慮がちにこちらを見上げるうにゅほの頭に手を乗せる。
「しない」
「……ほんと?」
「しないと言うか、できない。作業が立て込み過ぎてて、丸一日なんて、とても割けない」
「──…………」
「だから、最低限の体裁を整えたら、あとは一週間くらいかけてゆっくり移行していくつもりだよ」
「……それ、だいじょぶなの?」
「徹夜よりはいいだろ」
「そだけど……」
「疲れたら休むし、無理はしないよ」
「ほんと?」
「俺は、嘘はつかない」
「たまにつく」
「たまにしかつかない」
「いま、たまにじゃない?」
「たまにじゃない」
「わかった」
「心配してくれて、ありがとうな」
「うん」
うにゅほのために、無理はしない。
泣き顔なんて見たくない。
俺にとって、ずっと笑顔でいてほしい子なのだから。

※1 2013年4月27日(土)参照
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2016
02.27

うにゅほとの生活1550

2016年2月27日(土)

「──よし、セットアップ終わり!」
座椅子の背もたれに体重を預け、思いきり伸びをする。
「ブラウザ入れた、メーラー入れた、ウィルス対策も万全だ」
「うん……」
「さて、電源落とすか」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「わたし、ぱそこん、つかわなくていいの?」
「使いたいの?」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「このノートパソコンは××用にするって言ったけど、使えとは言ってないぞ」
「……?」
反対側に首をかしげる。
「使っても、使わなくても、どっちでもいいってこと」
「いいの?」
「だって、興味ないだろう?」
「うん……」
「興味ないのに、無理やり使わせないよ」
「──…………」
「そもそもこれは、緊急時のために買ったもので──」
ぎゅ。
俺の右手に、手のひらが重ねられた。
右手の下には、マウスがある。
「ちょ、ちょっとだけ、つかってみる……」
「? いいけど」
気が変わったらしい。
「じゃ、パソコンつけてから、Yahoo!ゲームまで行く方法を教えましょう」
「はい」
座椅子を譲ろうと腰を上げかけたとき、
「うしょ」
と、うにゅほが膝に乗ってきた。
「うへー……」
「画面見にくいから、ちょっとだけ左にずれてくれるか」
「はーい」
そんなこんなで、すこしだけ、パソコンの使い方を教えることになった。
キーボード打てるようになるかなあ。
先に心が折れる気がする。
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2016
02.26

うにゅほとの生活1549

2016年2月26日(金)

買いそびれていたノートパソコン用のマウスを購入するため、近場のヤマダ電機を訪れた。
「わー……」
ずらりと並べられた見本品の数に、うにゅほが感嘆の声を上げる。
「たくさんあるねえ」
「八割くらいBUFFALOとELECOMだけどな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××は、どれがいいと思う?」
「わたし?」
「ああ」
「うーと……」
しばし真剣に悩んだのち、
「これ」
赤と黒を基調とした大きめのマウスを指さした。
「カッコいいけど、ちょっとでかくないか?」
「◯◯のまうす、こんなかんじだった」
「そうだな」
「うん」
「──…………」
「──……」
「あれ、言ってなかったっけ」
「なにー?」
「新しく買ったノートパソコン、××用にしようかって」
「え!」
ぱちくり。
「俺は緊急時に使えればいいし、普段から腐らせとくのはもったいないだろ」
「うーん……」
あ、困ってる。
「好きな動画とか、好きなときに見れるぞ」
「ひとりでみてもおもしくない……」
「母さんがやってるパズルゲームとか、自由にできるぞ」
「おかあさんのぱそこんでやる……」
「だよなー」
実を言うと、この反応は予想済みである。
良きにつけ悪しきにつけ、うにゅほは変化を好まない。
「まあ、するしないは別にして、いつでもできるようにはしておくよ」
「うん……」
「マウスも、小さめのにしておこう」
「うん」
うにゅほがノートパソコンを使いこなす姿は、どうにも想像できないけれど。
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2016
02.25

うにゅほとの生活1548

2016年2月25日(木)

行きつけの喫茶店まで足を伸ばし、窯焼きスフレとフレンチトーストを注文した。
「悪いな、付き合わせちゃって」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「わるくないよ?」
「いや、いまからちょっと作業するからさ」
そう言って、カバンの中からあるものを取り出した。
「あ、ぽめら」
「そう、ポメラ」
誕生日プレゼントとしてうにゅほに買ってもらったデジタルメモである。
「こういうのを喫茶店で開くの、やってみたかったんだよ」
「かっこういいもんね」
「MacBookとかだともっとカッコいいと思うけど、そこまで行くと意識高いとか言われそうだしな」
「いしきたかい?」
「気にしなくていいよ」
「うん」
ポメラを開き、意味もなくエンターキーを連打する。
「さて、なにを書こうかな……」
「なにかくの?」
「企画書の草案とか、今後の戦略とか、シナリオの調整とか、書くべきことはいろいろある」
「おー」
「すこし集中したいから、フレンチトースト食べててくれな」
「うん」
「スフレも、届いたら味見してていいから」
「うん」
アイスコーヒーを飲みながら三十分ほどポメラとにらめっこしていると、うにゅほが隣の席に移動してきた。
「ごめん、暇だったか」
「よんでいい?」
「いいけど、メモ書き程度だし、面白くないと思うぞ」
ポメラの画面をうにゅほに譲り、すっかり冷えてしまったスフレを口に運ぶ。
「冷めても美味いなあ」
甘すぎて、すぐ飽きるけど。
「スフレ食べたら、ヨドバシ行こうか」
「かうものあるの?」
「ないけど、電器屋さん好きだろ?」
「すき」
うへーと笑う。
短時間だが、それなりに集中することができた。
喫茶店の雰囲気って、偉大だ。
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2016
02.24

うにゅほとの生活1547

2016年2月24日(水)

「××、ストーブつけて」
「わん!」
ぴ。
「わんわん!」
「よしよし」
なでなで。
「わふー……」
手を止める。
「わん!」
「もっと撫でろと」
「わふ」
なでなで。
「くーん……」
何故だかよくわからないが、犬ごっこがたいそうお気に召したらしく、昨夜からずっとこんな調子である。
「お手」
「わん」
「おかわり」
「わん」
「よしよし」
「わふー……」
うにゅほの顎の下を掻いてやっていたとき、不意に視線を感じた。
「──…………」
弟が、扉の隙間からこちらを窺っていた。
「……兄ちゃん、とうとう」
「ご、誤解だ!」
「俺、ジャンプ置きに来ただけだから……」
「頼む、聞いてくれ!」
「わん?」
ここ数日の流れを弟に説明する。
「犬ごっこ、ねえ」
「そうそう」
「……それは、楽しいの?」
「××は楽しいらしい」
「わん」
頷く。
「せっかくなら、逆をやればいいのに」
「逆?」
「兄ちゃんが犬で、××が飼い主」
「──…………」
「──……」
うにゅほと顔を見合わせる。
「うと、おて……」
「わん」
うにゅほの手のひらに右手を乗せる。
「おかわり」
「わん」
左手に乗せ替える。
「──…………」
「──……」
「どう?」
「「しっくりこない」」
ハモった。
「──…………」
あ、弟が呆れてる。
「……まあ、楽しいならそれでいいんじゃないですかね」
「敬語やめて」
「わふー」
うにゅほが飽きるまで犬ごっこに付き合わされそうである。
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2016
02.23

うにゅほとの生活1546

2016年2月23日(火)

「──よし、仕事終わり!」
ぱん、と両手を打ち鳴らし、座椅子から立ち上がる。
「はやい!」
「先週頑張ったからな」
「がんばったかい、あったね」
「そうだな」
うにゅほの頭をぐりぐりと撫でる。
「うへー……」
幸せそうな笑顔に、こちらの頬まで緩んでしまう。
「ね、あそべる?」
「遊ぼうか」
「やた!」
「なにして遊びたい?」
「うと……」
困ったように小首をかしげる。
まあ、いきなり言われても困るよな。
「昨日は猫になったから、今日は犬にでもなってみるか?」
「いぬのひじゃないよ?」
「おすわり」
「!」
うにゅほが反射的に腰を下ろす。
「お手」
「わん」
「おかわり」
「わん」
「ノリノリじゃないか」
「わふん」
とくいげである。
「それにしても、違和感がないと言うか」
うにゅほの頬に手を添える。
「くーん」
「むにー」
「わふ、わふ」
「××、もともと犬っぽいからな」
「わふー」
「よし、おなかを撫でてやろう」
「わん!」
「うりうり」
「くふ、わふふふ……」
犬ごっこもたいへん楽しかった。
またやろう。
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2016
02.22

うにゅほとの生活1545

2016年2月22日(月)

「××」
「はい」
「今日はなんの日でしょう」
「うと……」
「カレンダーには書いていません」
「にがつ、にじゅうに?」
「そう」
「──…………」
「──……」
「……あ、ねこのひ!」
「思い出したか」
「にーにーにーで、にゃん、にゃん、にゃん」
「ストップ!」
「?」
「××は、今日、猫語でしか話してはいけません」
「ねこご」
「はい、スタート」
「……にゃ、にゃー?」
「──…………」
「にゃん、にゃーにゃー」
「あざとい……」
「にゃ?」
「××さん」
「にゃい」
「いまからこの指先を猫じゃらしと仮定します」
「?」
「振ります」
「にゃい」
「はい、じゃれて!」
「にゃ……」
「もっと猫っぽく!」
「にゃん!」
「獲物を狙うように!」
「にゃあ!」
「甘噛みして!」
「がぶ!」
「いてえ!」
「ごめんなさい!」
そんな感じで遊んでいたら、いつの間にか日が暮れていた。
来年もやろう。
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2016
02.21

うにゅほとの生活1544

2016年2月21日(日)

「ぬあー……!」
パソコンチェアの背もたれに体重を預け、天井を仰ぎ見る。
「なんか、久々に、休んでるって感じ……」
「しごと、たくさんだったもんね」
「ほんとな」
「しばらく、しごと、ない?」
「ないこたないけど、少なくはなる」
「よかったー……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「ずっとあのままだったら、◯◯、しんじゃう」
「死なないってば」
「◯◯、かおいろ、すごいわるかった」
「……そうなの?」
「そう」
他ならぬうにゅほが言うのなら、そうなのだろう。
「でも、世の中には、もっと大変でもっと死にそうな人たちがたくさんいるんだぞー」
「ううん」
ふるふると首を横に振りながら、うにゅほが言う。
「そんなの、しらない」
「知らないって」
「◯◯がげんきなら、いい」
「──…………」
「?」
うにゅほを手招きする。
とてとてと近づいてきたうにゅほを軽く抱き締め、膝の上へと導いた。
「わ」
「ここにいなさい」
「はい」
素直である。
「はー……」
うにゅほを抱っこしていると、安らぐ。
「おもくない?」
「重くない」
「あったかい?」
「あったかい」
「わたしも、あったかい」
うへーと笑ううにゅほが愛おしくなって、抱き締める腕に力を込めた。
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2016
02.20

うにゅほとの生活1543

2016年2月20日(土)

「……はふー」
喫茶店でスフレパンケーキをつつきながら、うにゅほが溜め息をついた。
散財にはある種の快感が伴う。
しかし、その快感は、散財した当人のみが得るものだ。
「にじゅう、にまんえん……」
「ちょっと足が出てしまいました……」
ちいさく首を振りながら、うにゅほが口を開く。
「いいの」
「……本当に?」
「あたらしいのかうなら、いいやつのほう、いいもんね」
うへー、と苦笑を浮かべてみせる。
「──…………」
フレンチトーストをフォークで突き刺し、無言でうにゅほの口元へと運ぶ。
「?」
「あーん」
「あー」
ぱく。
「美味しい?」
「おいふい」
なでなで。
「どしたの?」
「なんか、甘やかしたくなって」
「……?」
うにゅほが不思議そうに小首をかしげる。
そういったところがいじらしいのだ。
「──よし、パンケーキもう一枚食うか!」
「そんなにたべれない……」
「なに注文してもいいぞ」
「あ、ここ、わたしはらうから」
「えっ」
「だって、これいじょう、◯◯におかねつかわせたくない……」
「……いえ、その、それはさすがにですね」
「わたしはらう」
「いくらなんでも」
「はらう」
「はい」
弱いぞ、俺。
情けないぞ、俺。
でも、不思議と嫌ではないのだった。
尻に敷かれるのも悪くないと思ってしまうのは、きっと相手がうにゅほだからだろうな。
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