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2015
09.20

うにゅほとの生活1392

2015年9月20日(日)

祖母のお見舞いへ行った帰り、コンビニでビーフジャーキーを買った。
自室でがじがじとビーフジャーキーを噛んでいると、
「……どくたーぺっぱーのみたいねえ」
と、うにゅほが言った。
「ハマったか」
「うん」
以前コストコで同時に購入して以来、うにゅほのなかでは、ビーフジャーキーと言えばドクターペッパーであるらしい。※1
「ドクペ、北海道ではなかなか売ってないからなあ」
「そなの?」
「コンビニで見たことないだろ」
「うん」
「まあ、一般受けする味じゃないってことなんだろうなあ」
「どくぺ、おいしいよ?」
「××も最初は駄目だったろ」
うにゅほが小首をかしげる。
「……そだっけ?」
「最初というか、最初の一口だけだけど」
「あー」
うんうんと頷く。
思い出したようだ。
「なんか、もっと、しょっぱいのかとおもった」
ペッパー=香辛料というイメージだったのだろう。
気持ちはわかる。
「ペッパーさんは人の名前だけどな」
「そなんだ」
「なんか由来とか調べたことあった気がするけど、あんまり覚えてない」
「そか」
興味なさそうだ。
「はー、どくたーぺっぱーのみたいねえ……」
あにあに。
「今度コストコ行ったときな」
「うん……」
かみかみ。
「──……あごいたい」
「一気に食べすぎ」
「いたいー」
「ほら、お茶で流し込みなさい」
「はい」
セブンイレブンのビーフジャーキーは、ちょっと硬い。
美味しいけど。

※1 2015年8月30日(日)参照
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2015
09.19

うにゅほとの生活1391

2015年9月19日(土)

「……はあ」
溜め息をつきながら上着を羽織る。
中学時代の友人と飲みに行くことになってしまった。
はっきり言って行きたくないのだが、付き合いというものがある。
「──…………」
「なるべく早く帰ってくるから……」
「うん……」
不安げなうにゅほの頬に手を添える。
「──おい、弟!」
「はいよ」
「俺が出てるあいだ、××が寂しくないようにしてくれ」
「寂しくないようにって……」
「リビングでスマホいじりながらテレビ見てるだけでいいから」
「そんなんでいいの?」
「ああ」
うにゅほを背後から抱きしめる。
「むしろ、変にコミュニケーション取ろうとしてセクハラされるほうが問題だ」
「……それはセクハラじゃないの?」
「ハラスメントじゃないだろ」
「まあ、そうか……」
「お前はやっちゃ駄目だぞ」
「するか!」
「××、弟にいたずらされたら言うんだぞ」
「せんわ!」
「まあ、冗談だけど」
「……半分くらい本気に聞こえたんだけど」
半分くらい本気だからな。
「──じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい……」
「さっさと行け」
ふたりに見送られながら家を出た。

午後十一時半──
「ただいまー……」
玄関の扉を開くと、階上から足音が鳴り響いた。
「──おかえり!」
「おわ」
俺の胸に飛び込んできたうにゅほを、ぎゅーっと抱きしめる。
「寂しくなかったかー?」
「さびしくなかった!」
「……本当に?」
「ちょっとさびしかった」
弟は、しっかりと自分の仕事を果たしたらしい。
やれやれと部屋へと戻る弟に、不二家のポップキャンディを手渡す。
「なにこれ」
「おみやげだ」
「はあ……」
溜め息をつかれてしまった。
「……なんか、妙に疲れたよ」
「スマホいじりながらテレビ見てただけだろ」
「そうだけど、なんか疲れた……」
まあ、そんなものかもしれない。
ともあれ、無事に留守番が済んで、よかった。
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2015
09.18

うにゅほとの生活1390

2015年9月18日(金)

「行ってらっしゃい」
「いってらっしゃーい」
長野へと旅行に出かける両親を送り出し、うにゅほと顔を見合わせた。
「……いっちゃった」
「ああ」
「さみしくなるねえ……」
「俺はそうでもないけど……」
弟もそうだろう。
「これが高校生くらいだったら、自由だ自由だってはしゃぎ回るんだろうけどなあ」
「おとうさんとおかあさん、いないと、うれしいの?」
「やっぱ、多少の解放感はあるからな」
「いまは?」
「たまにはいいか、くらい」
「ふうん……」
くい。
うにゅほが不安げに俺の袖を引く。
「ちゃんとかえってくるかな……」
「そのレベルの心配は、さすがに過剰だと思うぞ」
ジャングルの奥地や真冬の八甲田山へと向かったわけでもあるまいに。
「それより、いましかできないことを探そう」
「いましか?」
「そう」
「たとえば」
「──…………」
しばし思案し、
「……リビングで、なんかする?」
「なんか」
「あるいは、大音量で音楽を流すとか」
「あー」
「他には──……」
「ほかには?」
「……特にないな」
「えー」
そもそも、日常生活を送るに当たり、不自由を感じることがあまりない。
「多少、だらしない生活を送れる、とか……」
「うーん」
「ピンと来ないな」
「こない」
「いつでも遠慮なく車を使える──」
「いま(弟)がつかってる」
「──…………」
「──……」
「……今日の晩飯は?」
「まーぼなす」
「楽しみにしてるわ」
「うん」
特に盛り上がりもなく、比較的自由な日々が始まったのだった。
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2015
09.17

うにゅほとの生活1389

2015年9月17日(木)

注文してあったペンダント用のチェーンが届いた。
「──…………」
「──……」
短かった。
「間違って、40センチの注文しちゃってたみたい……」
「つけれない?」
「どうだろ」
つけてみた。
「……俺の首周りって、ちょうど40センチくらいなんだな」
「うん……」
駄目だった。
「返品できるらしいけど、面倒だし、いいや。別の注文しよう」
「おいくらだったの?」
「二千円ちょっと」
「にせんえん……」
うにゅほが、むう、と唸る。
「にせんえん、おやすいの?」
「チェーンとしては普通くらいじゃないか」
「ふうん……」
「××のペンダントチェーンのほうが、ずっと高いぞ」
「そなの?」
「だって、金だからな」
「──……?」
小首をわずかに傾けたあと、
「……きん!?」
うにゅほの背筋がピンと伸びた。
「あれ、言ってなかったっけ」
「はじめてきいた!」
恐る恐るといった様子で、首筋のチェーンを指先でなぞる。
「……お、おいくら?」
「18Kの50センチだから、一万ちょっとくらいじゃないか」
「いちま!」
反応がいちいち面白い。
「ちぇーんだけでいちまんえん……」
「値段で言えばそうだけど、使ってなかったやつだしな」
俺、ゴールド似合わないし。
「はー……」
「──あ、送料込みで880円のチェーンがある。これにしよう」
「やすい!」
「ステンレスだって」
「◯◯、そのちぇーんでいいの?」
「安っぽくなきゃ、こだわりないよ」
「そうなんだ……」
「……べつに、自分は安物で我慢してるとか、そういうわけじゃないからな」
「うん」
うにゅほがこくりと頷く。
わかっているなら、よろしい。
「ステンレスとプラチナなんて、ほとんど見分けつかないし」
「そうなんだ」
「そんなもんだよ」
ステンレスチェーンをポチり、ページを閉じる。
早めに届いてくれればいいけど。
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2015
09.16

うにゅほとの生活1388

2015年9月16日(水)

「ふー……」
バスタオルを首に掛けたまま、パソコンチェアに腰を下ろす。
窓から吹き込む涼風が、火照った肌に心地いい。
「──…………」
自室に戻ってきたうにゅほが、不意に俺の頭を撫でた。
「……?」
なでなで。
わしわし。
「なにやってんの?」
「ねぐせ……」
頭頂部に触れる。
うにゅほの言うとおり、不自然に髪の逆立っている箇所があった。
「××、これはもう寝癖じゃない」
「ちがうの?」
「言うなれば──、癖だ」
「くせ」
「だってこれもう髪切るまでずっと立ちっぱなしなんだぜ」
「うん」
俺の髪の硬さについては、うにゅほも既に熟知している。
「なにやってもなおんないもんね」
「本当にな……」
ドライヤー、×。
ヘアアイロン、×。
ワックス、×。
蒸しタオル、×。
もう、メタルスライムかよと。
「──…………」
なでなで。
わしわし。
「……いつまでやってんの?」
「いや?」
「嫌じゃないけど」
「ちくちくして、きもちい」
「さいですか……」
俺の頭なんかでよければ、好きなだけ撫でるといい。
あとで俺も、うにゅほの頭を、いいだけ撫でくりまわしてやろう。
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2015
09.15

うにゅほとの生活1387

2015年9月15日(火)

ちょいと小腹が空いたときなどに、鳥のささみの燻製を食べることが多い。
低脂肪高タンパクでお馴染みのささみは、いくら食べてもまず太ることがないからだ。
難点があるとすれば、ふたつ。
ひとつは、売っている場所が限られること。
「──……ぶ」
もうひとつは、同じ商品であるにも関わらず、包装ごとの味のバラつきが異常に大きいということである。
「……××、これちょっと一口食べてみ」
「?」
はむ。
うにゅほが食べかけの燻製の端にかぶりつく。
「うぶ……」
そして、慌てて口元を押さえた。
「あじない」
「そう、味ないんだよ……」
これまでも、味が濃すぎたり薄すぎたりすることは多々あったが、まったくないのは初めてだった。
「まずい……」
「不味いんだよ……」
色も微妙に薄いし、本当に燻製液に漬けたのか疑わしいレベルである。
「……××、悪いけど、なんか味持ってきてくれない?」
「あじ」
「なんでもいいから」
「あじ……」
曖昧にもほどがある頼み方をしてしまったと気がついたのは、うにゅほがリビングへと向かったあとのことだった。
飲み込めないまま噛み続けている口のなかのささみが俺の判断力を奪っていたらしい。
しばしして、
「──はい!」
うにゅほが持ってきてくれたのは、マスタード&チョリソー風味のベビーチーズだった。
「おお、ありがとう!」
塩コショウでも十分だったのだが、これはこれで美味しそうだ。
「あぐ」
チーズを千切って口に入れ、ささみの燻製と同時に咀嚼する。
「──…………」
美味い。
美味いが、塩気が足りない。
ささみの物量にチーズが負けてしまっている。
「××、あと二個くらいチーズを……」
「はーい」
結局、低カロリーなんだか高カロリーなんだかよくわからないおやつになってしまった。
おのれ◯ニ食品。
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2015
09.14

うにゅほとの生活1386

2015年9月14日(月)

それは、暇を持て余したいつもどおりの午後のことだった。
「──…………」
ぺら。
ページを繰る音と互いの息遣いだけが、静かな部屋に響いている。
平和だ。
実に平和だ。
「くぁ……」
チェアの背もたれに体重を預け、大あくびをかました瞬間、

── ド ン ッ !

轟音と共に、ディスプレイの映像が乱れた。
「!?」
一瞬にして視界が暗くなり、

──ジャッ!

熱した油に水をぶち撒けたような音と共に、窓の外が白く霞んだ。
「……◯◯、◯◯……」
うにゅほが俺の袖を引き、不安げに見上げる。
「……雷?」
「かみなり……」
近くに雷が落ちた。
それは、たぶん間違いない。
では、この、窓の外はなんだ。
スコール?
違う。
「霰だ」
「あられ……?」
「……はは、九月だぞ」
乾いた笑いが口から漏れる。
異常気象にも程がある。
九月の霰はすぐに解け、驟雨へと移り変わった。
しかし、雷は止まない。
「──…………」
下唇を噛みながら俺の腕にすがりつくうにゅほを膝の上に導き、そっと抱きしめる。
これはさすがにしょうがない。
俺だって、一瞬、世界の終わりかと思ったもの。
「最近の天気は、ほんと、心臓に悪いな……」
「うん……」
五分ほどよしよしとうにゅほを宥めていると、一瞬にして雨が引き、晴れ間がさした。
「……どういうこっちゃ」
竜の巣でも通り掛かったのか?
「××、もう大丈夫みたい」
「……ほんと?」
「たぶん」
「──…………」
ぎゅ。
まだ駄目か。
なんだかんだ言いつつも悪い気はしないので、しばらくそのまま抱き締められていた。
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2015
09.13

うにゅほとの生活1385

2015年9月13日(日)

無意識に胸元に手をやって、ペンダントがないことを思い出した。
「──…………」
ペンダントをいじるのが、なかば癖になっていたらしい。
「……なんか落ち着かないなあ」
「ちぇーんかいいく?」
「いや、もうネットで注文した」
「はやい」
「アクセサリー用のチェーンって、経験上、貴金属店行くと高いのしかないし、パワーストーン系の店行くとちゃっちいのしかないんだよな……」
「そうなんだ」
「まあ、店にもよるんだろうけどさ」
右手が胸元で空を切る。
「……落ち着かない」
「ちぇーん、ほかのないの?」
「いや、いちおうあるにはあるんだが──」
デスクの引き出しを開き、乱雑な中身を漁る。
「あった」
「ほそい!」
「スエッジだかなんだかって種類のチェーンだよ」
たしか。
「ほそいからだめなの?」
「いや」
「ちがうの?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……まあ、見せたほうが早いな」
スエッジチェーンにペンダントヘッドを取り付け、装着する。
「あ」
「わかっただろ」
「ながい……」
「そう、長いんだよ」
金具の壊れたチェーンは50センチ。
対して、スエッジチェーンは60センチである。
具体的に言うと、ペンダントヘッドが乳首と乳首を結んだ直線上に来るくらい長い。
「逆に落ち着かない」
「うーん」
「だから、まあ、二、三日くらい素直に待つさ」
「そか……」
ペンダントを外し、チェーンを引き出しに仕舞う。
「どうしてものとき、いってね」
うにゅほが自分の首筋に手を掛ける。
「ちぇーんかすからね」
「……ああ、ありがとうな」
その気持ちだけで、もう、胸元が寂しくないのだった。
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2015
09.12

うにゅほとの生活1384

2015年9月12日(土)

両親が、十年選手だった掃除機をようやく買い換えた。
「わあ!」
「随分と小さいな」
サイクロン式の掃除機を撫でながら、うにゅほが溜め息まじりに言う。
「かわいいねえ……」
「そうか?」
「かわいいよー」
掃除機を可愛いと思ったことがないのでよくわからないが、小さくてまるっこいところがうにゅほの感性に響いたようだ。
「よし、せっかくだから掃除してみるか」
「うん!」
掃除機を手に自室へ戻る。
軽い。
これは取り回しが良さそうだ。
「すう?」
「吸う吸う」
「かしてかして」
「はいはい」
ふたりで順番に掃除機を掛けていると、
ことん、
と音がして何かが落ちた。
「──……?」
掃除機をオフにして、足元のそれを拾い上げる。
「あっ──」
二年前、誕生日プレゼントとしてうにゅほから贈られた、オーロラオーラのペンダントヘッドだった。※1
思わず首筋に手をやると、金具の壊れたチェーンが指先に引っ掛かった。
「──っぶねーッ!」
「すっちゃうとこだったねえ」
「違う違う!」
慌てて首を振る。
「これ、部屋のなかだったからよかったけど、外で壊れてたら完全に失くしてたって!」
「……あっ」
うにゅほが固まる。
事の重大さに気づいたようだ。
「××からの誕生日プレゼント失くしたら、一ヶ月はへこむわ……」
「あぶなかったね……」
「まあ、逆に言えば、いまここで壊れてくれてよかったよ」
チェーンなら、新しいものを買えば済むのだから。
「……わたしの、だいじょぶかな」
胸元を飾る琥珀のペンダントヘッドに触れながら、うにゅほが不安げに呟いた。
「確認しとくか」
「うん」
ペンダントを常に身に着けていると、こういった危険もある。
気をつけよう。

※1 2013年3月2日(土)参照
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2015
09.11

うにゅほとの生活1383

2015年9月11日(金)

脱稿して気分もよかったので、久方ぶりに本屋へ行くことにした。
「なんか新刊出てるといいな」
「うん」
愛車のミラジーノを駆って近所の本屋へ向かうと、平日であるにも関わらず駐車場がほぼ満杯だった。
「混んでるなあ」
「あ、あっこあいてる」
「どこ?」
「あっこ」
「あー……」
うにゅほが指差したのは、駐車場の隅の隅だった。
バックで駐車しなければ非常に出にくいという厄介な場所だ。
「××、人いないか見てて」
「はい」
幸いにして俺は、運転が得意でも下手でもない。
普通に車体を枠線に収め、駐車場の壁との距離をじりじりと詰めていく。
「たしか、みかべるの──」
口を開いた瞬間、

──ガリッ

嫌な音が車内に響いた。
「──…………」
「──……」
互いに顔を見合わせる。
壁まではまだ距離がある。
恐る恐る車を降り、車体の後部を確認すると、車止めの縁石が妙に高かった。
「ああ……」
やってしまった。
削れてしまった。
リアバンパーに白い線が引かれてしまった。
「……ま、いいか」
「いいの?」
「俺はどうでもいいけど、父さんは怒るかもなあ」
車好きだし。
「いいのかなあ……」
「しー」
唇の前に人差し指を立てる。
「しー?」
「そうそう」
「しー……」
あまり納得の行っていないご様子である。
「車洗うとき、父さんが気づいたら自首するから」
「ほんと?」
「ああ」
仕方あるまい。
どうか気づきませんように。
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