2015
08.31

うにゅほとの生活1372

2015年8月31日(月)

うにゅほが、袖はあるけど肩が出る服を着ていた。
「あ、袖はあるけど肩が出る服だ」
「うん」
「可愛いよな、これ」
「うへー……」
照れ笑いを浮かべる。
「こういう服って、なんて呼ぶんだろうな」
「うと、そであるけど、かたがでるふく……」
「さすがに正式名称じゃないだろ」
「そか」
〈肩が出る服〉で検索すると、オフショルダーと呼ばれるたぐいのファッションであることがわかった。
「おふ、しょるだー」
「オフショルダー」
「なんていみ?」
「ショルダーが肩だから、肩の部分に布がない服──みたいな意味じゃないかな」
「ほー」
「──…………」
「──……」
す。
指で肩紐をずらしてみた。
「おー……」
「?」
「なんかセクシーだぞ」
「せくしー」
「ああ」
「こっちもずらしたら、もっとせくしー?」
す。
うにゅほが両方の肩紐をずらす。
「うーん……」
「どう?」
「いや、なんだろう、片方のほうがセクシーだったな」
「そなの?」
「ああ」
「へんなの」
どうしてかわからないが、そういうものらしい。
「よし、肩を揉んであげよう」
「わー」
もみもみ。
「お客さん、凝ってませんねえ」
「こってませんかー」
「終わったら、俺もマッサージしてくれな」
「うん」
意味もなく肩を揉み合った月曜日の午後だった。
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2015
08.30

うにゅほとの生活1371

2015年8月30日(日)

友人と連れ立ってコストコへ行った。
日曜日のコストコは死ぬほど混雑していたが、めぼしいものもなかったので、30缶入りのドクターペッパーとビーフジャーキーのみを購入して帰宅した。
「どくたーぺっぱー」
「××、飲んだことなかったっけ」
「うん」
うにゅほがこくりと頷いた。
北海道ではまず見かけないからなあ。
「すこし癖あるけど、慣れたら美味しいぞ」
「そなんだ」
「まだぬるいけど、飲んでみるか?」
「うん」
カシュ!
爽やかな音を立ててプルタブが開く。
「──…………」
すんすん。
「……?」
すんすん。
「なんか、かいだことあるにおい」
「杏仁豆腐の匂いじゃないか」
「とうふ」
「ちなみに、味も杏仁豆腐だ」
「とうふ……」
うにゅほが恐る恐る缶を傾けていき、
くぴ。
「うぶ!」
慌てて顔から遠ざけた。
「うべえ……」
「駄目か」
まあ、合う合わないはあるからなあ。
「なにこれー……」
「ドクターペッパー」
「こしょうのあじしない……」
「あー、うん」
よくある勘違いである。
「……◯◯、これすきなの?」
「大好きってほどじゃないけど、好きなほうではある」
「ふうん……」
「飲めないなら俺が──」
「まって、まって」
くぴ。
「ぶ」
こくん。
「うー……」
くぴ。
「──…………」
こくん。
「……?」
くぴ。
「──…………」
こくん。
「……あれ、おいしい」
「マジか」
一回飲んで顔をしかめ、二回飲んで味が変わり、三回飲めば癖になる。
ドクターペッパーにまつわる言い伝えのようなものだが、これを地で行く人間を初めて見た。
くぴ。
「はー」
くぴくぴ。
「……けぷ」
うにゅほがちいさくげっぷをする。
「──…………」
俺も飲みたくなってきた。
幸い、ドクターペッパーはまだまだある。
ビーフジャーキーを開封し、ふたりでアメリカンな宴を開くのだった。
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2015
08.29

うにゅほとの生活1370

2015年8月29日(土)

「──…………」
部屋の中央で大の字になって天井を見上げていると、
「んしょ」
うにゅほが俺の腕を枕にしてきた。
「うへー……」
嬉しそうだ。
「なにかんがえてたの?」
「……んー、いや、ぼーっとしてた」
「ふうん」
「天井を床だと思って、想像のなかでぺたぺた歩いてた」
「あ、おもしろそう」
面白いかどうかは知らないが、たまにする妄想だ。
「──…………」
「──……」
「ゆかに、えるいーでぃーあるね」
「丸いな」
「まるい」
「──…………」
「──……」
「ライトに気を取られてたら、ディスプレイに頭ぶつけるぞ」
「あぶない」
「……あ、でも、××の身長なら大丈夫かな」
「あたるとおもう」
「当たるか」
「うん」
「──…………」
「──……」
「……ゴミ箱の真下に来ると、帽子みたいだな」
「ふふ」
「××は髪長いから、扇風機の傍に行っちゃ駄目だぞ」
「……?」
「ほら、巻き込まれると大変だろ」
「とどかないとおもう」
「あれ?」
「あれー……」
「もしかして、××の想像のなかで、髪の毛って逆立ってない?」
「うん」
「なるほど」
「うん?」
「俺は、天井からぶら下がってるイメージだったけど、××は、自分だけ重力が逆になってるイメージなのかもな」
「そうかも」
「同じ想像でも、微妙に違うんだなあ」
「……おなじがいいな」
「じゃあ、俺も、重力逆転で想像しなおそう」
「うん」
そんなことを淡々と話していると、いつの間にかふたりとも寝入ってしまっていた。
腕は痺れたが、悪くない気分だった。
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2015
08.29

うにゅほとの生活1369

2015年8月28日(金)

友人と飲みに行き、終電で帰宅すると、午前一時に近かった。
玄関を開き、真っ暗な階段を手探りで上がっていく。
「──……?」
自室の扉から明かりが漏れていた。
待たずに寝てろといつも言っているのだが、ちゃんと寝ていた試しがない。
嬉しいような、申し訳ないような。
「ただいまー……」
「あ、おかえり!」
寝落ちしているかと思いきや、意外に元気だった。
「ごめんな、遅くなった」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「おとうさんより、はやい」
「……そう言えば、今日は父さんも飲みだっけ」
飲みに行っては決まって朝方に帰ってくる父親と比べられたくはないが。
「それにしても、眠くないのか?」
「うん」
「珍しいな」
「うとね、◯◯でかけてからね、ちょっとねたの]
「……寝たの?」
「うん」
道理で元気なわけだ。
「じゃあ、なんかして遊ぶか」
「あたまとり!」
「またか……」
あれ以来、うにゅほはあたまとりがお気に入りである。※1
「でも、ちょっと待ってな。日記書いちゃうから」
「はい」
というわけで、さっさと今日のぶんの日記を完成させなければならない。
ちょっとうとうとしてるみたいだけど、大丈夫かな。
いま挑戦したら勝てるだろうか。
それもなあ。

※1 2015年8月25日(火)参照
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2015
08.27

うにゅほとの生活1368

2015年8月27日(木)

思うさま歯を削られて帰宅すると、うにゅほが塩サイダー飴の個包装を開けるところだった。
「何個目?」
「にこめー」
うへーと笑う。
「歯医者で嫌なこと聞いちゃった……」
「いやなこと?」
ぱく。
「んー!」
いままさに口のなかがシュワシュワしているであろううにゅほに、そっと告げる。
「……飴なめると、虫歯になりやすいんだって」
「──…………」
うにゅほが小首をかしげた。
「しってる」
「いや俺も知ってたけど、もっと具体的に聞いてしまったというか」
「ぐたいてき」
「砂糖を摂取すると虫歯ができやすい、というのは常識だよな」
「うん」
虫歯の原因であるミュータンス菌は、ショ糖、ブドウ糖、果糖などを栄養源として活動する。
「でも、同じ量の砂糖であっても、摂取の仕方によってなりやすさが異なる」
「なりやすさ……」
「10グラムの砂糖を摂取するとして、ジュースとして飲むのと、飴として舐めるのとでは、明らかに後者のほうが虫歯になりやすいらしいんだ」
「へえー」
「どうしてかわかるか?」
「──…………」
ふるふると首を横に振る。
「……砂糖が口のなかにある時間」
「あ」
「わかったか」
「わかった」
うんうんと頷く。
「ジュースは一瞬だけど、飴やガムは、下手すりゃ十分以上も口内にあるからな」
「むしばなるね……」
口のなかでコロコロと飴玉を転がしながら、うにゅほが同意する。
あんまり実感していないようだ。
「……ともかく、飴を舐めたあとは、うがいするなり歯を磨くなりしたほうがいいらしい」
「うん」
「そうでないと、金属製のドリルを口に突っ込まれて、ギャルギャル歯を削られる羽目になるぞ」
俺みたいに。
「う」
うにゅほが両手でほっぺたを包む。
想像してしまったようだ。
「……なめおわったら、はーみがく」
「それがいい」
不安げなうにゅほの頭を撫でる。
せっかく虫歯ゼロなのだから、そのままの君でいてほしい。
「あ、でも、むしばなったら、ぎんばになる?」
「場合による」
「そかー……」
何故か銀歯に憧れているうにゅほだった。
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2015
08.26

うにゅほとの生活1367

2015年8月26日(水)

「◯◯、したいたい」
「舌?」
「いたいー……」
「見せてみな」
「ん」
うにゅほが、んべーと舌を出す。
たしかに、すこしだけ赤くなっている──ような。
「原因わかるか?」
「あめ……」
「飴?」
「しおサイダーあめ、ごこなめたら、いたくなった」
「シュワシュワするやつか」
「うん」
「舐めすぎるなとしか……」
「いはいー……」
つん。
「いひ」
指先でつつくと、うにゅほの舌が引っ込んだ。
「痛い?」
「──…………」
ふるふると首を横に振る。
痛みは一時的なもので、舌が傷ついているわけではなさそうだ。
「冷やしたらいいんじゃないかな」
「ひやす?」
「アイスを食べるなり、氷を舐めるなり」
「おー」
「アイス、もうないけどな」
「こおり!」
リビングへと姿を消したうにゅほが、ほんの一分ほどで戻ってきた。
「ひゅめはい」
冷たい、と言いたいのだろう。
「はい!」
差し出された右手に、ちいさめの氷が乗っかっていた。
「……俺の?」
「うん」
俺べつに舌とか痛くないんだけど。
まあいいか。
「あーんひて」
「はいはい」
口のなかに氷が入ってくる。
「あー、冷たい」
「つめふぁいねえ」
「あいうえお」
「ひゃいふえお」
うにゅほの口がちいさいのか、大きな氷を選んだのか。
両方かもしれない。
「舌、大丈夫か?」
「うん」
こくりと頷く。
「これに懲りたら、塩サイダー飴はなめすぎないように」
「ひちにち、なんほ?」
「……そんなに気に入ってるのか」
「おいふぃ」
「美味しいけどさあ」
だからって、舌が痛くなるほど舐めなくても。
「じゃ、一日一個な」
「えー」
「二個」
「……うーん」
「三個」
「ふぁい……」
「一気に舐めたら、また痛くするからな」
「──…………」
こくりと頷く。
うにゅほは約束を守れる子だから、これで大丈夫だろう。
お気に入りのようだし、買い足しておかねば。
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2015
08.25

うにゅほとの生活1366

2015年8月25日(火)

「アジト」
「とら」
「ライオンキング」
「ぐー、ぐー、ぐみ」
「みたらし団子」
「ごまだんご」
きっかけは思い出せないが、なんとなくしりとりが始まってしまった。
「ゴミ」
「みそ」
「……そろそろやめない?」
「いいよ」
十分以上も続けていれば、さすがに飽きる。
「──…………」
「──……」
「むいー」
「スネ毛を引っ張るな」
「はい」
「……暇なの?」
「ひまなの」
「うーん……」
しばし思案し、
「しりとりならぬ、あたまとりでもやってみるか」
「あたまとり?」
「言葉の最初の一文字を取って、その文字が最後に来る言葉を探す」
「しりとりのぎゃくだ」
「だから、あたまとり」
「おもしろそう」
新たな遊びの予感に、うにゅほがわくわくしている。
「──じゃ、しりとりの〈し〉」
「しー、しー、うし!」
「魔法」
「うま!」
「……う、う、家宝?」
「しか!」
「──……歌詞」
「きんか」
「──…………」
つるりと顎を撫でる。
「吐息……」
「かろりーめいと」
「イカ」
「かい」
「豪華」
「たまご」
「──…………」
た?
「──……」
腕を組み、思案に暮れる。
「……板」
「たんい」
「た!」
やばい、あたまとり難しい。
「××、よく即答できるな……」
「?」
小首をかしげる。
「しりとりとかわんない」
「えっ」
絶句する。
「明らかにしりとりより難しいと思うんですが」
「そかな」
うにゅほの意外な才能が明らかになった。
「下駄!」
「きんぽうげ」
そんなん一瞬で出るか?
「駅!」
「ころもがえ」
二文字でしのぐ俺をあざ笑うかのように、普通の単語を返してくる。
完敗だった。
「……××、あたまとり強い」
「うへー」
うにゅほが照れ笑いを浮かべる。
「またやろうね」
「はいはい」
あたまとりの秘密特訓って、どうしたらいいんだろう。
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2015
08.24

うにゅほとの生活1365

2015年8月24日(月)

「おにいちゃん……」
「!」
は、と顔を上げる。
うにゅほと目が合った。
「──…………」
「──……」
気のせいか?
「おにーちゃん?」
「!!」
気のせいではなかった。
「何故いまさらそんな呼び方を……」
戸籍上は義理の兄妹に当たるのだから、不自然な呼称ではないはずだが、どうにも違和感しかない。
「へん?」
「変……」
「そうよんだら、◯◯、よろこぶって」
「誰が」
「おとうさん」
「クソオヤジ……」
ろくなことを教えやがらない。
「おにーちゃん」
「うっ」
背筋がムズムズする。
「おにーちゃん、うれしくない?」
「いや、まあ、新鮮ではあるんだが……」
うにゅほを妹だと思ったことがないからなあ。
「おにーちゃんて、よんだほういい?」
「──…………」
しばし思案し、
「……今までどおりでお願いします」
「はーい」
さして残念そうでもなく、うにゅほが素直に頷いた。
「あ、弟は喜ぶかもしれないぞ」
「おにーちゃんて?」
「そうそう」
「いってくる」
「行ってらっしゃい」
しばらくして、弟が部屋に駆け込んできた。
「──××に、おにいちゃんって呼ばれたんだけど!」
「よかったな」
「兄ちゃんだろ」
「元は父さんかな」
「あー……」
うんうんと頷く。
「嫌じゃないんだけど、ムズムズして駄目だわ」
同感である。
「所詮俺たちは、おにいちゃんの器ではなかったのだ」
「……兄ちゃんは、俺に、兄ちゃんって呼ばれてるじゃんか」
「一緒にするな」
「ひでえ」
そんなものである。
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2015
08.23

うにゅほとの生活1364

2015年8月23日(日)

「──さんじゅはち、さんじゅきゅ、よーんじゅ!」
「はー……」
肺の空気を絞り出しながら、べたんと床に倒れ込んだ。
二の腕がギリギリと痛む。
「うでたてすごいねえ」
「いや、凄くないから。普通の人はもっとできるから」
「でも、きょうさんかいめ」
「連続でできないぶん、セット数くらいは重ねないと……」
「わたしもできるかな」
「腕立て?」
「そう」
うにゅほが筋トレかあ。
うーん。
「……とりあえず、やってみるだけやってみたら?」
「うん」
タイルカーペットの上にうつ伏せに寝転がったうにゅほが、両手を突いて上体を起こす。
「手の位置は、肩幅より広く」
「はい!」
「ほら、おしり上げて」
「はい」
「上げすぎ」
「は、はい……」
「全身がまっすぐになるよう意識して」
「……は、」
べちゃ。
潰れた。
「──…………」
「──……」
「まだ腕立てしてないんだけど……」
「うん……」
「ちょっと休む?」
「……はい」
二分ほど休憩をとり、再度腕立て伏せに挑む。
「そう、まっすぐの姿勢をキープして」
「ふい……」
「肘を曲げていく」
「……!」
「肘を曲げていく!」
「──……」
「……どうした?」
「まげたらおちちゃう! まげたらおちちゃう!」
「そんなこと言ったって──」
「あ」
べちゃ。
落ちた。
「──…………」
「──……」
「うで、いたいー……」
腕立て伏せをしていないのに、筋肉痛になりそうなうにゅほだった。
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2015
08.22

うにゅほとの生活1363

2015年8月22日(土)

二日連続で仕事が早く終わったので、うにゅほを使った実験を続けることにした。
指を使った実験では敗北を喫してしまったので、
「──…………」
じー。
今度は、読書中のうにゅほを至近距離で見つめてみる。
「──…………」
じー。
「?」
あ、気づいた。
「──…………」
「…………」
見つめ合う。
「なにー?」
「──…………」
じー。
無言で見つめ続ける。
「……?」
うにゅほが背後を振り返るが、当然ながらなにもない。
「うと……」
戸惑いながら視線を逸らす。
「──…………」
じー。
「…………」
前髪をささっと整える。
「──…………」
じー。
「……うー」
据わりが悪そうに、おしりをもじもじし始めた。
「──…………」
じー。
「……!」
は、と顔を上げる。
「きのうとおなじ」
ようやくこちらの意図に気づいたようだ。
ふふふ。
これからどう動く?
「もー……」
うにゅほが、読んでいたダンジョン飯2巻をぱたんと閉じ、それで顔を隠した。
と、思ったら、
「えい」
ぺし。
表紙で額を叩かれた。
「はずかしいから、みないで」
「はい」
見ないでと言われてしまったので、実験は終了である。
当実験は嫌がらせを意図していないのだ。
「──…………」
「…………」
ふと気づくと、うにゅほの人差し指が眼前に突きつけられていた。
ぱく。
「うひや」
無言で指をくわえると、慌てて引き抜かれた。
「勝った」
「まけた……」
なんの勝負かはわからないが、とにかく一勝一敗である。
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