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2015
07.21

うにゅほとの生活1331

2015年7月21日(火)

「のわあ!」
「たた、ちべたいちべたいちべたい!」
土砂降りの雨のなか、1.5Lペットボトル8本入りのダンボールを抱えながら、ただひたすらに愛車を目指す。
「××、足元気をつけて!」
「はい!」
こんなスコールじみた豪雨になると知っていれば、すこし待ってでも出入口の傍に駐車したものを。
「はー……」
「ふう」
荷物をすべて積み込むころには、シャツがずぶ濡れになってしまっていた。
「××、濡れ──」
助手席のうにゅほに話し掛けようとして、絶句した。
「?」
本日のうにゅほは、短めのワンピースの下にホットパンツという出で立ちである。
白のワンピースだ。
当然、透ける。
「──…………」
おもむろに前方へと向き直り、ハンドルを握る。
「……さーて、帰るか」
「あれ、ツルハは?」
「ツルハは、うん、今日はいいや」
「はぶらし……」
「つーか、気づきなさい」
胸元を指で示す。
「……?」
うにゅほが俺の胸を覗き込んだ。
「そうじゃなくて、自分のほうを見る」
「あ」
「わかった?」
「すけてる」
「わかったか」
「うん」
「わかったら隠しなさい」
「はい」
うにゅほが両手で胸元を隠す。
まったく、やきもきさせてくれるものだ。
「かわくまでツルハいけないねえ」
「乾くまで待ってたら、風邪引くって」
「いかないの?」
「歯ブラシなら、明日でもいいだろ」
「わたし、くるまでまってる」
「──…………」
それはそれで、なんだか不安なんだよなあ。
「……ま、いいか」
「うん」
ツルハドラッグで歯ブラシを購入し、帰宅するころには、うにゅほの濡れ透けは和らいでいた。
安心したような、そうでもないような、複雑な気分である。
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2015
07.20

うにゅほとの生活1330

2015年7月20日(月)

いびきを録音してくれるアプリを見つけたので、試してみた。
「どういうしくみ?」
「音に反応して録音を開始するみたい」
「へえー」
「んで、これが昨夜のグラフ」
「おだやか、さわがしい、だいおんりょう……」
「上に行くほどうるさいってことだな」
画面に表示されたグラフを指し示し、うにゅほが言う。
「◯◯、おだやか」
「うん……」
芳しくない俺の反応に、うにゅほが小首をかしげた。
「おだやかなの、だめなの?」
「そもそも、アプリが記録を始めた時点で、いびきをかいてると判断されたってことだからな」
「あー」
ちょっぴりショックである。
「聞いてみるか?」
「うん」
グラフの頂点に触れ、再生ボタンを押す。

『──……ごー……、ごー……、ごー……』

「これ、いびき?」
「たぶん……」
「きいたことある」
「あるのか」
「でも、こんなにうるさくないよ?」
「置く場所が口元に近すぎたのかな」
「うん」
ほっと胸を撫で下ろす。
うにゅほの言を信じるのなら、いびきと言うほどのものではないのかもしれない。
「じゃ、今夜は××の番かな」
「えっ」
「俺が気づいてないだけで、××もいびきかいてるかもしれないし」
「──…………」
しばし固まったのち、
「……や」
うにゅほが小さく首を横に振った。
「恥ずかしい?」
「──……」
こくりと頷く。
「なら、やめとこう」
うにゅほの髪を手櫛でくしけずる。
恥ずかしがるかもしれない、とは思っていたのだ。
「……いいの?」
「その程度のデリカシーはあるつもりだぞ」
「ありがと」
なんだかんだで乙女である。
尊重してあげなければ。
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2015
07.19

うにゅほとの生活1329

2015年7月19日(日)

手の指の毛を毛抜きで処理していると、うにゅほが覗き込んできた。
ぷち。
「い」
ぷちぷち。
「いたた」
「××は痛くないだろ?」
「いたいきがする……」
ぷち。
「いひ」
ぷち。
「う」
ブチブチブチ!
「いたいいたいいたい!」
人聞きの悪い。
「見なきゃいいのに……」
「なんでぬくの?」
「気分的に、ちょっと暑苦しいかと思って」
「いたくない?」
「痛いけど、細い毛だしな」
「ふうん……」
ぷち。
ぷち。
「……わたし、ぬいてもいい?」
「いいけど」
うにゅほに毛抜きを渡し、右手を預けた。
「い、いくよ」
「はいはい」
ぷち。
「いて!」
「あ、いたかった?」
「人に抜かれると、ちょっと感覚違うな」
「あの、やめる?」
「大丈夫」
「──…………」
ぷち。
「ごめん……」
ぷち。
「ごめんなさい」
ぷち。
「ごめんなさい……」
「謝りながら抜くなよ……」
「だって」
「謝るなら、抜くの禁止な」
「うん……」
うにゅほから毛抜きを受け取り、指の毛の処理を再開する。
ぷち。
ぷち。
「……わたし、むいてないのかな」
「なにが?」
ぷち。
「ひとのけ、ぬくの……」
「──…………」
なんと答えればいいのやら。
「べつにいいんじゃないか?」
「いいのかな」
「人生において、人の毛を抜かなきゃいけない場面って、そうないし」
というか、思いつかないし。
「うーん……」
「気になるなら、あとでヒゲ抜くの手伝ってくれよ」
「あ、うん」
指の毛は駄目でも、ヒゲを抜くのは楽しいらしい。
わかるような、わからないような。
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2015
07.18

うにゅほとの生活1328

2015年7月18日(土)

夏用のショートソックスを購入した。
「……相変わらず、履き心地悪いなあ」
「わるい?」
「だって、くるぶしの下を締め付けられてるんだぜ」
「なれじゃないかな……」
「慣れか」
「うん」
そういえば、うにゅほはショートソックス愛用者だったっけ。
「せめて、靴脱ぐとき、引っ掛かって一緒に脱げるのさえなんとかなれば……」
「?」
うにゅほが小首をかしげた。
「ぬげるかなあ」
「脱げない?」
「うん」
「──…………」
ソファの前に膝を突き、うにゅほの足を取った。
「うひ」
「あ、××の靴下、俺のより長い」
「ほんと?」
「ほら」
「ほんとだ」
短いことは短いが、普通にくるぶしが隠れている。
なるほど、脱げないわけだ。
「俺も、それくらいの長さのがよかったなあ」
五足で千円だったから、色違いのソックスがあと四足もあるのだ。
「うーん、たぶん、ちがうとおもう……」
「違う?」
「くつしたは、ふつう」
「普通」
「◯◯のあしが、おっきい」
「あー……」
その発想はなかった。
「××の足、小さいもんな」
「うん」
「俺の足は、ショートソックス向きじゃないってことか……」
「そこまでは」
うにゅほが苦笑する。
「そもそも、足が大きくて得したことがない」
「そなの?」
「甲高幅広で縦にもでかいから、靴買うときも気を遣うし」
「そなんだ……」
まあ、うにゅほに愚痴を言っても仕方がない。
「××、足の大きさ比べるか」
「うん」
「──うわ、ちっちぇー!」
「◯◯、でっかい!」
メリットがあるとすれば、こうして比べたときに、ちょっと楽しいくらいのものである。
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2015
07.17

うにゅほとの生活1327

2015年7月17日(金)

「あ」
「おはよー」
「おさげだ」
「おさげだよ」
右の三つ編みを指先でくるりと回し、うにゅほが微笑んだ。
「おさげだおさげだ」
ソファに座るうにゅほの背後に移動し、両のおさげを手に取る。
「こしょこしょこしょ」
「やー」
おさげの先で首筋をくすぐると、うにゅほが笑いながら身をよじった。
楽しい。
「あ、言い忘れてた」
「?」
「おはよう」
「うん、おはよう」
おさげ姿のうにゅほを見ると、ついいたずらしてしまう。
「ひげ」
「わたしもひげ」
楽しい。
「◯◯、おさげすきだねえ」
「好きか嫌いかで言えば、好きかな」
「そっか」
「でも、髪の毛に癖がつきそうだよな」
「びんぼうパーマだ」
「貧乏パーマ?」
「みつあみにしてねたら、かみのけがうねうねってなるんだよ」
「うねうね……」
それは、パーマを表現する言葉として適切なのだろうか。
「髪は傷まないのか?」
「いたみそうだから、しないの」
うにゅほが苦笑を浮かべる。
艶やかなロングヘアは、うにゅほの宝物だ。
「だから、おさげはたまーになんだな」
「ううん」
うにゅほが首を横に振る。
「◯◯が、たまにがいいっていったんだよ」
「……俺が?」
「うん」
言ったような、言ってないような、たぶん言ったんだろうけど。
「ずっとおさげがいい?」
「──…………」
しばし思案し、
「……いや、やっぱたまにがいいかな」
「そか」
「いろんな××が見たい」
「……そっか」
うにゅほが三つ編みを口元に当てる。
「ひげ……」
あ、照れてる。
「俺も、ひげ」
良い香りのするおさげで遊んでいると、いつの間にか正午を迎えていた。
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2015
07.16

うにゅほとの生活1326

2015年7月16日(木)

「××って、果物で言うと桃だよな」
「もも……」
うにゅほが小首をかしげる。
「動物で言うと、犬」
「そかな」
「絶対そう」
「うーん、いぬは、そうかもだけど……」
犬っぽい自覚はあったのか。
「もも、よくわかんない」
「桃はなー……」
なんとなく、である。
うまく説明できないが、そんな感じがするとしか言えない。
「◯◯は、うーと、えと──」
しばし思案し、
「……くり?」
「それ、前も言ってなかったか」
「そだっけ」
「たぶん、桃栗三年柿八年ってことわざに引っ張られてるぞ」
「あー」
うんうんと頷く。
「ま、果物はいいや」
「うん」
「動物で言うと、俺、なんになる?」
「あ、ある!」
「なに?」
「……うと、なまえわかんない」
明確なイメージはあるが、名前が出てこないらしい。
「あんまりメジャーどこの動物じゃないのか」
「たぶん」
「哺乳類?」
「ううん、とり」
「鳥……」
鳥は予想外だった。
「どんな鳥だ?」
「うん、でっかいとり」
うにゅほが両手を駆使して大きさを表現する。
相当でかいぞ。
「……ダチョウ?」
「ううん」
「タカとかワシとか」
「ちがう」
「──……?」
「あんましうごかない」
「あ、ハシビロコウか!」
「それ!」
「……ハシビロコウ、か?」
似てるかなあ。
「かお、にてる」
「顔が」
「あと、あんましうごかないとこもにてる」
「──…………」
嬉しくなかった。
「……よし、コンビニ行くか」
「いく」
「動くぞー」
「?」
小首をかしげるうにゅほを連れ、近所のコンビニまで歩くのだった。
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2015
07.15

うにゅほとの生活1325

2015年7月15日(水)

睡眠時無呼吸症候群の特集を見て、ふと不安に駆られてしまった。
「……××」
「?」
「俺、寝てるとき、いびきかいてる?」
「いびき……」
「そう」
「ぐがーってやつ?」
「ぐがー……」
まあ、間違いではない。
「◯◯、ぐがーってしてないよ」
「そっか」
ほっと胸を撫で下ろしかけ、
「……ずごー、みたいなのは?」
「ずごー?」
「いや、わからんけど」
「ずごー、もしてないよ」
「じゃあ、どんなふうに寝てる?」
「うと──」
しばしの思案ののち、うにゅほが答える。
「……すはー、すこー、すはー、すこー、みたいな」
「うるさくはない?」
「うるさくないよ」
「そっか」
今度こそ胸を撫で下ろす。
とりあえず、いびきらしいいびきはかいていないようだ。
「わたしはー?」
「××も、静かなもんだよ」
「どんなふう?」
「どんな……」
顎先を撫でつけながら、うにゅほの寝息を思い出す。
「……ふすー、ふすー、って感じ」
「しずか?」
「静かだよ」
「よかったー」
ふたりとも、睡眠時無呼吸症候群の恐れはなさそうだ。
「……それにしても、すはー、すこー、か」
「?」
「口呼吸してそうな音だなって」
「うん、くちあいてる」
「そうか……」
軽度のアレルギー性鼻炎だから、仕方ないけど。
「でも、××も開いてるぞ」
「え!」
「半開きだけど」
「えー……」
うにゅほが両手で口元を隠す。
「……あのね」
「うん?」
「ねてるとき、あんましかおみないでね」
恥ずかしくなってしまったらしい。
乙女よのう。
「わかったわかった」
「ほんと?」
嘘だけど。
うにゅほの寝顔は、俺だけの特権である。
そう簡単には捨てられない。
「とりあえず、いびきかくようになったら教えてくれな」
「うん」
自分がいびきをかいているかなんて、自分自身ではなかなかわからない。
うにゅほがいてくれてよかったと思う瞬間である。
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2015
07.14

うにゅほとの生活1324

2015年7月14日(火)

「──……うぅ」
寝苦しさに目を覚まし、這うようにしてリビングの扉を開く。
その瞬間、
「……!」
素晴らしい涼しさが全身を通り抜けた。
「あ、おはよー」
うにゅほの挨拶に手を上げて答える。
「エアコンつけたのか」
「うん、おかあさんがつけていいって」
日記には書いていないと思うが、去年の秋、リビングにのみエアコンを設置していたのだった。
「涼しいなー……」
「エアコン、すごいねえ」
「──…………」
目蓋を閉じ、しばし涼風を肌で楽しむ。
「……つか、寒くないか?」
「そかな」
「設定は?」
「うと、にじゅうろくど」
「26℃……」
って、寒かったっけ。
ぼんやりした頭でちょっと考え、
「……いや、寒くない。26℃は寒くない」
「うん」
「てことは──」
恐る恐る自室を振り返る。
今し方まで眠っていたこの魔窟は、どれほど暑いというのだろうか。
「……しばらくリビングにいよう」
「いっしょにテレビみよ」
「ああ」
ソファに腰を下ろすと、うにゅほがぴたりと身を寄せてきた。
「どした?」
「さむいかなって」
「……汗くさくないか?」
「ちょっと」
すんすんと鼻を鳴らし、うへーと笑う。
そうだ、この子は臭いものを嗅ぐのが好きなのだった。
「──…………」
なんだか複雑な気分だが、臭い臭いと嫌がられるより、ずっとましである。
「このまま扉あけっぱにしといたら、すこしは部屋も涼しくなるかな」
「たぶん」
「……俺、ちょっと寝ていい?」
「いいよー」
うにゅほがぽんぽんと膝を叩く。
ありがたい。
うにゅほの膝枕で小一時間ほど横になると、すっかり気分がよくなった。
しかし、自室は相変わらず蒸し暑いままだった。
さしものエアコンにも限界があるということだろう。
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2015
07.13

うにゅほとの生活1323

2015年7月13日(月)

セブンイレブンの寒天ゼリー(みかん味)が最近のマイブームである。
「~♪」
「美味いなー」
「うん」
「牛乳寒天も美味いけど、夏はこっちかな」※1
「ねー」
うにゅほが寒天ゼリーを半分ほど食べ進めたのを見計らい、話し掛ける。
「××」
「?」
「実は、もっと涼しい食べ方を思いついたんだけど」
「すずしい……」
小首をかしげるうにゅほを横目に、プラスチックスプーンでゼリーをさいの目状に切る。
「××、冷蔵庫からペプシ取って」
「ペプシ?」
「ああ」
「のむの?」
「いや、」
うにゅほが自室の冷蔵庫から取り出したペプシストロングゼロを受け取り、
「こうする」
寒天ゼリーの容器に注いだ。
「え!」
「ふふふ」
「え、あの、いいの?」
「駄目ってことはないだろ」
ゼリーを軽く掻き混ぜ、
「あーん」
「うと、あー……」
躊躇いがちに開いた口に、スプーンをそっと差し入れた。
「──あ、しゅわしゅわする!」
「味は?」
「ふつうだけど、しゅわしゅわする」
「だろー」
残念ながら、味は普通なのだ。
「これ、たのしいねえ」
「こうやって遊んで食べるのも一興ってことだな」
「うん」
「……こないだ、気の抜けたペプシで試したときは、正直微妙だったけどな」
「それは……」
うにゅほが苦笑する。
「こんど、ペプシじゃなくて、みつやサイダーでやってみたい」
「お、いいじゃん。美味しそう」
「でしょー」
この夏のあいだ、食べ飽きるということはなさそうである。

※1 2013年6月26日(水)参照
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2015
07.12

うにゅほとの生活1322

2015年7月12日(日)

「──…………」
「あちーねー……」
「──……」
頭がぼーっとする。
寝不足だ。
暑くて、寝苦しくて、幾度も目を覚ました。
夏の訪れを最悪の形で実感してしまった気がする。
「──…………」
うにゅほの指先が俺の前髪をくしけずる。
心地よさに思わず目を閉じると、うにゅほが心配そうな声音で尋ねた。
「……◯◯、ねむい?」
「眠い……」
「ねる?」
「寝るけど、もうすこし涼しくなってから……」
俺たちの部屋は、南東と南西にそれぞれ窓があり、やたらと日当たりがいい。
冬場はありがたいが、夏場は地獄である。
「せんぷうき」
「出したいけど、もうすこし涼しくなってから……」
動くのも嫌だった。
「あ、ちょっとまってね」
枕元に膝を突いていたうにゅほが立ち上がり、リビングへ姿を消す。
「じゃーん」
そして、うちわを持って帰ってきた。
「──…………」
ぱたぱた。
「すずしい?」
「涼しい……」
無風の室内に、かすかな涼が訪れた。
「──…………」
「──……」
「ふー」
「……疲れた?」
「つかれてないよ」
ぱたぱた。
「もうすこし冷ましてくれたら、動けるかも……」
「そか」
ぱたぱた。
しばらくあおいでもらったところ、すこし元気が湧いてきた。
いまのうちにと車庫の二階から扇風機を引っ張りだし、慌てて自室に設置した。
「──…………」
「すずしいねえ……」
「──……」
「◯◯、ねむい?」
「眠い……」
「ねる?」
「寝る……」
人工の風を一身に浴びながら、目蓋を閉じる。
こうして俺は、ひとまずの安眠を手に入れたのだった。
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