2015
01.31

うにゅほとの生活1161

2015年1月31日(土)

「あー……」
デスクに顎を乗せて、うめく。
無為な休日を過ごしてしまった。
思い返すと、本当になにもしていない。
「××、今日なんかしたー?」
「きょう?」
「そう」
「うと、あさおきて、かみとかして、ごはんのてつだいして、ごはんたべて、せんたくして──」
「あ、なんかすいません……」
「?」
母親と家事を分担しているうにゅほに休日はないのだった。
「いやー、今日、だらだらし過ぎたかなーと思って」
「そかな」
「そう」
「──…………」
「……いつもと大して変わらないって思ってる?」
「おも、ってないよ」
何故つっかえた。
「なんかひとつくらいやっとかないと、寝るに寝れない」
「なんかって?」
「なんでもいいんだけど……」
「じゃんけんする?」
「ごめん、もうすこし有意義なことで」
「ゆういぎ……」
「──…………」
「うと……」
真剣に悩んでくれるうにゅほの姿を見て、思いついた。
「××さん、××さん」
「う?」
「いつもお疲れ様です」
うにゅほの背後にまわり、やわやわと肩を揉む。
「ふお」
「どうですか」
「きくわあ……」
ひとつも凝っているように思われないが、気持ちいいことはいいらしい。
「次は背中を揉みましょうねー」
「おう、ねがい、じまー……」
こうして、うにゅほをねぎらいながら一日を終えたのだった。
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2015
01.30

うにゅほとの生活1160

2015年1月30日(金)

金曜ロードショーで「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」が放送されるということで、うにゅほが張り切ってニセコタツを準備していた。※1
「好きだなあ……」
「うん」
いっそ本物のコタツを出してあげようかとも思うが、さすがに置き場所がない。
「はふー……」
天板のないニセコタツに突っ伏し、うにゅほが満足げな吐息を漏らす。
「おちつくー」
「──…………」
そんな様子を見ていたら、ちょっと入りたくなってしまった。
「……××、すこしのあいだ、よけてもらっていいか?」
「いいよー」
うにゅほが十センチほど横にずれる。
「いや、そうじゃなくて」
もともと仕事用の折りたたみテーブルなので、並んで入ると狭すぎるのだ。
「悪いな」
「ううん」
うにゅほと入れ替わりでニセコタツに入る。
「……はー」
たしかに落ち着く。
ちゃちな偽物のはずなのに、それなりにいいかんじ。
「にせこたつ、いいよねー」
「そうだな」
「わたしもはいっていい?」
「あ、うん。ちょっと待って、いま出る──」
そう言って立ち上がりかけたとき、
「よしょ」
うにゅほがニセコタツを前にずらした。
そして、俺の膝の上に我が物顔で腰を下ろし、コタツを元の位置に戻す。
「……うへー」
これで一緒に入れる、ということらしい。
正直なところ高さもギリギリなのだが、そんなことを言うのも野暮である。
それから一時間ほどうにゅほの座椅子に徹していたが、さすがに足が痺れてしまった。
ルパン三世vs名探偵コナンは、けっこう面白かった。

※1 2015年1月11日(日)参照
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2015
01.29

うにゅほとの生活1159

2015年1月29日(木)

「ただいまー……」
玄関の電灯を落とし、階段を上がる。
午後十時半。
思ったより早く帰宅することができた。
「おかえり!」
「ただいま、××」
うにゅほの頭をぽんぽんと撫でる。
「ともだち、どうだった?」
「ああ、ぜんぜん変わってなかった」
ストールを解き、うにゅほの首に巻き直す。
コートをハンガーに掛けて振り返ると、うにゅほがにこにこしていることに気がついた。
「どうした?」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「なんか嬉しそうだから」
「だって、◯◯、たのしそうだから」
「──…………」
自分の頬に手を触れる。
笑っていただろうか。
「……そうだな、うん、楽しかった」
「よかったね」
うにゅほが、ほにゃっとした笑みを浮かべた。
「あ、しごとあるよ」
「今日のぶんは、明日まとめて──」
「はい」
手渡された書類に目を通す。
「──…………」
一瞬で酔いが冷めた。
「……徹夜かも」
「えっ」
「あ、いや、朝までかかるってほどじゃないけど……」
「だいじょぶ?」
「大丈夫、大丈夫」
こればかりは仕方がない。
さっさと終わらせて、気持ちよく眠ることにしよう。
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2015
01.28

うにゅほとの生活1158

2015年1月28日(水)

「ゆでそば」
「うん?」
作りかけのカップ焼きそばを指さして、うにゅほが口を開いた。
「ゆでそば」
「焼いてないだろ、ってこと?」
「そう」
「まあ、うん……」
議論し尽くされた感のある話題だが、そんなことうにゅほは知らないし、関係もない。
なんと答えるべきか思案に暮れていると、
「やいたらやきそばになるかな」
「……焼く?」
「うん」
「これを?」
「やく」
意外と斬新な解決法ではあるまいか。
フライパンに油を引き、湯切りを済ませた麺を小分けにして投入する。
液体ソースをフライパンの端から流し入れ、麺全体に馴染ませたら──
「……まるくなっちゃった」
ほぐしながら入れたはずの麺が、まるごと一体化してしまった。
「しっぱい……」
料理の腕に自信を持ちつつあったうにゅほが、がっくりと肩を落とす。
「いや、これ、水分が多すぎたんだ」
「ゆきり?」
「というか、戻しすぎたんだな。
 二分くらいでお湯捨ててれば、ちゃんと仕上がったと思う」
「もいっかい」
「……一緒にお湯入れた塩ラーメンのこと、忘れてないか?」
「あっ」
忘れていたらしい。
焼きカップ焼きそばは、モチモチしていて意外に美味しかった。
ソフト麺のマルちゃん焼きそばの味がした。
ちゃんと焼きそばになれたようだ。
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2015
01.27

うにゅほとの生活1157

2015年1月27日(火)

「……ん?」
病院の領収書を整理していると、記憶にないものがあった。
「T病院……」
そんなところ行ったかなあ。
「××、T病院って覚えてる?」
「うーと……」
しばしのち、うにゅほが小首をかしげながら答えた。
「しらない」
うん、あまり期待はしてなかった。
「住所は──、たぶん、道庁の近くかな」
「どうちょう?」
「北海道庁。ヨドバシカメラからもうすこし──」
そこまで口にしたとき、かすかに脳裏をよぎるものがあった。
「……なんか、病院の帰りにヨドバシ寄ったことなかったっけ」
「あー」
「ほら、総合病院で、待合室が広くて、白い長椅子がたくさんあって、」
「……ココアのんだ?」
「飲んだ飲んだ」
「ココア、ちょっとしかでなかった」
「紙コップのやつな」
「うん、やすいやつ」
「それで、俺、どこが悪かったんだっけ」
「──…………」
「──…………」
はて。
「なにか?」
「総合病院だから、何科かわからない」
「うーん」
手詰まりと諦めかけたとき、うにゅほが不意に声を上げた。
「──あ、にっき!」
「それだ!」
まさに起死回生の一手である。
PCを立ち上げ、去年の日記を開く。
「××、領収書の日付は?」
「えと、しちがつ、じゅういちにち」
2014年7月11日は──
「……しゃっくりが止まらなかった、と書いてある」※1
「しゃっくりで」
「まさか」
いちおう病院へ行ったことにも触れているが、理由までは明記されていなかった。
「あーもー、これで本当にお手上げだ」
「なんだろねえ……」
すっきりしないが、仕方ない。
いずれ、ふとした拍子に思い出すか、忘れたことすら忘れてしまうだろう。
記憶なんてそんなものである。

※1 2014年7月11日(金)参照
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2015
01.26

うにゅほとの生活1156

2015年1月26日(月)

昨夜のことだ。
「──××、××」
「うぶ……」
ほっぺたをぺちぺち叩くと、うにゅほの目蓋が薄く開いた。
「××、××」
「……んーぅ?」
「ジャンプ買いに行くけど」
「!」
あ、起きた。
「おあようごじます……」
「おはようございます」
時刻は午前二時、早いにも程がある。
わざわざこんな時間に出掛けるのは、他でもない。
二日前の罪滅ぼしのつもりだった。※1
「ジャンプかいいくの?」
「とりあえずはな」
「ローソン? セコマ?※2」
「どっちがいい?」
「うーと、じゃあ、ローソン」
「わかった」
うにゅほの用意が整うのを待ち、ミラジーノのキーを手に外へ出た。
「はー……」
白い吐息が立ち上る。
「すぶいねえ……」
なるべく口を開かずに喋ろうとするものだから、なにを言っているのか聞き取りづらい。
「冬の夜だからなあ」
「なんか、くうききれいなきーする」
「わかる」
すう、と。
澄んだ空気を肺いっぱいに満たすと、すこしだけ視野が広がった気がした。
「──よし、さっさとコンビニ行って、とっとと帰ってこよう」
「えー……」
「ご不満ですか」
「せっかくおきたのに」
物足りない様子のうにゅほに、思わず苦笑する。
こうなると思っていたのだ。
しかし、未成年を連れ出して深夜のドライブというのも、いささか非常識である。
「では、深夜の散歩などいかがでしょう」
「はい」
恭しく差し出した右手に、うにゅほの左手が重なった。
冷たい手。
でも、そのうちに暖かくなるだろう。
頑是ない子供のように繋いだ手を振りながら、色のない景色のなかをふたりで歩いて行った。

※1 2015年1月24日(土)参照
※2 セイコーマートの略称
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2015
01.25

うにゅほとの生活1155

2015年1月25日(日)

「ふー……」
帰宅し、寝癖を隠していたワッチキャップをソファに投げ捨てた。
「××、シャワー行くとき洗濯機に入れといて」
「はーい」
うにゅほがキャップを拾い上げ、両手にかぶせた。
「びよん、びよん」
「伸びるから、あんま広げないで」
「ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げる。
実に素直だ。
「ね、かぶっていい?」
「いいけど、ぶかぶかだと思うぞ」
「うん」
ずぼ。
キャップを深くかぶると、うにゅほの頭がすっかり隠れてしまった。
「みえない」
ロングワッチだから、当然そうなる。
「はは、似合う似合う」
「──…………」
反応がない。
顔の前でパタパタと手を振ってみる。
動かない。
「──……?」
不思議に思って近づいてみると、すんすんと鼻を鳴らす音が耳に届いた。
「……におい嗅いでる?」
「うん」
すんすん、はー。
「臭くない?」
「シャンプーと、◯◯のにおいする」
すー、はー。
「あと、チョコのにおいする」
何故。
「──…………」
くんくん、はふー。
「──…………」
「──…………」
だんだん恥ずかしくなってきた。
「はい、もう終わりです」
「あー!」
ワッチキャップを奪い取ると、うにゅほが不満げな声を上げた。
「帽子嗅ぐの禁止」
「えー」
「返事は?」
「はーい」
なんだろう、頭皮を直接嗅がれるより恥ずかしい。
不思議なものである。
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2015
01.24

うにゅほとの生活1154

2015年1月24日(土)

「──…………」
「……はんせいしてますか」
「してます」
「せいざはしなくてもいいです」
「はい」
正座を崩し、あぐらをかく。
「もうしませんか」
「はい」
「つぎ、よるコンビニいくときは、ちゃんとおこしてくれますか」
「……はい」
「ほんと?」
「はい、本当です」
「こっそりおさけかったりしませんか」
「はい」
「こっそりかけいぼにゅうりょくしたりしませんか」
「はい」
「ほかになにかったの?」
「……お菓子」
「こばらすいたの?」
「空いたの……」
「いってくれればいいのに」
「はい……」
「もうしませんか」
「しません」
「よろしい!」
「──……はー」
許しが出たので、そろそろと立ち上がる。
そして、昨夜購入しておいたふわふわ大福(カスタードホイップ)を冷蔵庫から取り出した。
「こちらをお納めください」
恭しく差し出す。
「おー」
「反省のしるしに……」
時系列で言うと明らかに保険だけど。
「ありがと」
うにゅほが頬を緩ませる。
「あ、ちがう、くるしゅうないくるしゅうない」
「そのキャラまだ続けるの?」
「◯◯、あんましおこることしないんだもん」
「いいことじゃん」
「うん、いいこと」
寝癖のついた俺の髪を、うにゅほの指が梳いていく。
「いいこいいこー」
「──…………」
まあ、いいか。
自分のぶんのふわふわ大福に舌鼓を打ちながら、されるがままに撫でられていた。
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2015
01.23

うにゅほとの生活1153

2015年1月23日(金)

「──ふぎ!」
思いがけぬ重量に両腕が軋みを上げた。
気温の上昇によって、雪が氷へと変わりつつあるのだ。
「××、今日は俺だけでいいよ」
「えっ」
「硬くて重いけど量は少ないから、パッパと飛ばして終わりにする」
ガリ!
プラスチック製のジョンバが根雪を引っ掻き、その上の雪塊をさらっていく。
「うー……」
うにゅほが不満げに唸る。
「わたし、できるよ?」
「──…………」
できるったって、なあ。
どうしてうにゅほは事あるごとに腕力方面のアピールをしたがるのだろう。
「じゃあ、ちょっとだけな」
「はい!」
目を輝かせたうにゅほにジョンバを渡し、車庫の外壁に寄り掛かる。
「ほっ──」
黄色いジョンバが雪面を削り、
「──……ぬ、ぬ?」
そのまま、持ち上がらなかった。
「おもい」
「な?」
「ふぬ! ぬ! ぬぅー……」
「……おーい」
必死である。
「××、その持ち方じゃ駄目だって」
「ふぐ」
「もっと、ジョンバの根本を掴まないと」
末端のほうを握っていては、俺の膂力でも無理だ。
「お、お──」
ジョンバの先端部が、ゆっくりと持ち上がっていく。
「もてた!」
「おー」
ぼふぼふと拍手を送る。
うにゅほが、左右によろめきながら大きな塊を運んでいき、
「──できたよ!」
んふー、と鼻息荒く振り返った。
「でも、まだまだ半人前だな」
「えー」
「貸してみ」
うにゅほからジョンバを受け取り、軽くまとめた雪塊を次々と跳ね飛ばしていく。
「──よっ、はっ、ほいっと」
「◯◯、ちからもち」
「いや、ただ飛ばすだけなら、腕力は大して必要ないんだよ」
「そなの?」
「こればっかりは慣れだなー」
「わかった、なれる!」
結局ふたりで雪かきをすることになってしまった。
余計に時間が掛かったような気もするが、未来への投資としておこう。
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2015
01.22

うにゅほとの生活1152

2015年1月22日(木)

「……なんか寒い」
全身を震わせる寒気に、半纏の上から両腕を撫でつけた。
「だいじょぶ?」
「これは、二周目かもしれないなあ……」
年始のインフルエンザに唯一かからなかった母親が、いま風邪を引いている。
完治したはずの弟が、また微熱と咳に苦しみ始めた。
「……嫌なスパイラルだ」
「ねたほういいよ」
「そうだな……」
うにゅほに手を引かれるまま、寝床へと潜り込む。
「──…………」
布団が冷たい。
しばらくしても、一向に暖かくなる様子がない。
事ここに至り、発熱しているのではなく、体温が下がっていることに気がついた。
「××、さむい……」
すぐ隣でWORKING!!を読んでいたうにゅほに、弱々しい声で助けを求める。
「さむいの?」
「寒い……」
「おっきいクッション、いる?」
「いる……」
直径50cmのふかふかもちもちクッションが、布団のなかに差し入れられた。
「あったかい?」
「──…………」
邪魔くさい。
「ふとんかんそうきは……」
「いや」
湯たんぽの代用品として優秀な布団乾燥機だが、熱風に晒される感覚がすこし苦手だった。
「じゃ、わたしいっしょにねる」
「それはさすがに──」
やんわりと断ろうとして、ふとあることを思いついた。
「××、布団に足だけ入れてみて」
「あし?」
「そう、頭そっちで、足こっち。仰向けで」
「はい」
そろそろと入ってきた足を引っ張り込み、腹の上に乗せる。
腹筋に効きそうな体勢で、うにゅほが尋ねた。
「……これ、あったかい?」
「──……うーん」
しばしの思案ののち、
「……なんか、思ってたのと違う」
「やっぱし……」
そもそも、うにゅほは冷え性の気があるのだ。
爪先を握ると、冷たいくらいだった。
「××は、どんな感じ?」
「あし、あったかい」
「じゃあ、ちょっとだけこのままで」
うにゅほの足を抱くように横臥し、目蓋を下ろす。
そのうち暖かくなってきて、気持ちよくうとうとしていたら、いつの間にか三十分ほど経っていた。
すこし楽になった。
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