2014
07.31

うにゅほとの生活977

2014年7月31日(木)

夏用ラグの上で足を伸ばしながら、リビングでDVDを鑑賞していた。
うにゅほは、ソファの上で仰向けになって漫画を読んでいる。
あまり興味を引かれなかったらしい。
「といれー」
不要な宣言と共に、うにゅほが漫画を持ったままトイレの扉を閉めた。※1
間違いなく俺と弟の影響である。
「~♪」
しばらくして戻ってきたうにゅほが、俺の右足の向こう脛に腰を下ろした。
随分と細いところに座るものだ。
「おしり痛くないの?」
「ちょっといたい」
「じゃあ──」
両足をピンと揃える。
「この上に乗んなさい」
「ありがと」
うにゅほが両足の向こう脛に腰を下ろす。
ふにっとしたおしりの感触に、なんとなく得をした気分になった。
「──…………」
「──…………」
しばし無言でドラマに集中していると、足先から迫り上がるように暑くなってきた。
真夏日に密着しているのだから、当然と言えば当然である。
ただ退いてもらうのも味気ないので、すこし遊んでみることにした。
「……ッ!」
床に突いた手を支えにして、爪先を徐々に持ち上げていく。
「ぎ、ぎぎぎ……」
「?」
読書に集中していたうにゅほが違和感に気づいた。
「ういてる」
「ぐぎ、ぎ、ぎ」
「おー!」
ちょっと楽しそうなうにゅほを尻目に、
「──ノぅ!」
爪先を限界まで持ち上げる。
「わー!」
うにゅほの体が滑り落ち、すっぽりと胸に収まった。
「あはは、すごい!」
「はー……」
うにゅほは大喜びだが、こちらは息も絶え絶えな上にふとももが攣りそうである。
思ったより体力を消耗してしまった。
「もっかい」
「無理、無理……」
「そっかー」
残念そうに呟き、うにゅほはソファへ戻っていった。
涼しい遊びをしたい。

※1 不要な注釈 ── うにゅほは、小用の場合でもトイレに漫画を持ち込むことがある。
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2014
07.30

うにゅほとの生活976

2014年7月30日(水)

本日の気温は32℃。
寝汗をかく夏こそ布団乾燥機の出番である。
「よいしょっ、と」
乾燥が終わったばかりの掛け布団の端を掴んで波打たせ、熱気を逃がしていたところ、
「うあー!」
傍にいたうにゅほが悲鳴を上げた。
「あつい!」
熱気の煽りを受けたらしい。
「──…………」
にやり。
「おりゃー!」
うにゅほに頭から布団をかぶせてみた。
「なー!」
布団の熱気から逃れようと、うにゅほが必死にもがく。
面白い。
「ふー、はー……」
しゃがみこんだうにゅほから掛け布団を引き剥がすと、息も絶え絶えの様子だった。
「もー!」
「悪い悪い」
乱れた髪を手櫛で直してやる。
「……あ、ちょっとすずしい」
「サウナから出たようなもんだからな」
「◯◯もやる?」
「えー……」
「◯◯もやる!」
「はい」
言われるがまま、掛け布団にくるまる。
「──フワッつ!」
ダニが死滅する温度で延々と温めたものだから、尋常じゃないくらい暑い。
首から下が一瞬にして汗ばんだ気がした。
30秒ほど我慢して、掛け布団を脱いだところ、
「……涼しい」
「でしょ」
うにゅほが得意げに頷いた。
しかし、その涼しさは一分ともたず、
「……暑い」
「あちぃねー……」
扇風機の前に座り込みながら、再び真夏日に苦しめられるのだった。
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2014
07.29

うにゅほとの生活975

2014年7月29日(火)

「あっぢぃー……」
「うー……」
「今日は、土用の丑の日だって」
「うなぎ?」
「そう」
「うなぎかー……」
「××、うなぎあんまりだっけ」
「あんまり」
「俺は、うなぎよりタレのほうが好きだな」
「たれ?」
「あの甘いタレでカルビ丼つくったら、すげえ美味そう」
「ほぁー……」
うにゅほが嘆息を漏らす。
「おいしそうだねえ……」
「だろ?」
なんだか腹が減ってきた。
「あ、そうだ。××、うなぎのゼリー寄せって知ってる?」
「うなぎのゼリー?」
「ロンドンの名物──って、聞いたことがある」
「おいしいの?」
「クソがつくほど不味いらしい」
「えー……」
「テムズ川でとれた泥臭いうなぎをぶつ切りにして煮込むだけの料理だからな」
「ゼリーは?」
「うなぎから出たゼラチンで、勝手に固まる」
「◯◯、たべたことあるの?」
「ないけど、話を聞いたことはある。
 泥臭さを消すためにハーブややレモン汁を入れるから、やたら酸っぱいらしい」
「すっぱいうなぎ……」
「画像見てみる?」
「うん」
うなぎのゼリー寄せで画像検索すると、
「う」
「……Oh」
一瞬で食欲がなくなった。
「……うなぎの蒲焼き、楽しみだな」
「うん、かばやきたべたい」
夕飯のうな丼は、いつもよりずっと美味しく感じられた。
日本人でよかったです。
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2014
07.28

うにゅほとの生活974

2014年7月28日(月)

「あぢー……」
「あついねー……」
昨日は寒かったように思うが、俺の記憶違いだろうか。
「アイスなかったっけ」
「アイスない……」
「そっか……」
買いに行こうにも車がない。
母親と弟がそれぞれ外出してしまったのだ。
コンビニまで歩いて行くことも考えたが、アイスが家までもたないだろう。
「なんかこう、涼しげなものを食べたい」
「れいぞうこみる?」
「そうだな」
冷蔵庫を漁ると、スーパーの100円わらびもちが2パック見つかった。
「おー、いいじゃんいいじゃん」
「いいねー」
「どうせだから、最大限に涼しく食べてやろう」

まず、わらびもちを水ですすぐ。
100円わらびもちは一体化していることが多いので、この段階でひとつひとつ千切って分ける。
適当な大きさの容器を用意し、氷水で満たす。
わらびもちを氷水に投入し、十分に冷えたらできあがり。

「──そして、付属のきな粉と黒蜜を別の皿に空けておく」
「おー……、そうめんみたい」
「いただきましょう」
「いただきます」
氷水のなかで涼しげに揺れるわらびもちを箸ですくい取り、黒蜜ときな粉をつけて食べる。
「美味い!」
「つめひゃいねえ……」
「コスパ最高のおやつだな、これは」
「うん」
わらびもちを食べ終えると、アイスはどうでもよくなっていた。
猛暑に備え、どちらも買いだめしておかねば。
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2014
07.27

うにゅほとの生活973

2014年7月27日(日)

横殴りの風雨が窓ガラスを叩き、ぎしぎしと家を揺らす。
「うー……」
うにゅほが不安そうな顔で俺を見上げる。
見上げるのはいいが、丹前を着て足元で丸まっているのはどうなのだ。
「暑くないの?」
「さむい」
うにゅほの言う通り、今日は寒い。
なにも考えず半袖を着てしまって少し後悔しているくらいだ。
面倒だから着替えはしないけど。
「足を掴まれてると動けないんですけど……」
「こわい」
「──…………」
「──…………」
「……本当は、そこまで怖くないだろ」
「こわい」
「怖いのは本当だけど、足に抱きついて一歩も動けないほどじゃないだろ?」
「……?」
「えーと……」
言葉を探す。
「……怖いけど、ちょっと楽しいんだろ」
「うん」
うへー、と笑う。
「よし、まーるくなれ、まーるくなれ」
「?」
膝を抱えたうにゅほを丹前でくるみ、その上に円形のもちもちクッションを置いてみた。
「一発芸、かがみもち!」
「なにー?」
「──…………」
うん、そんなに面白くない。
あんまりかがみもちっぽくもないし。
「……うーん」
クッションの上に、ほとんど体重をかけず形だけ腰を下ろしてみる。
「椅子!」
「おもいー」
「──…………」
うん、そんなに面白くない。
よくよく考えてみると、丹前にくるまって床の上で丸くなっているうにゅほというだけで十分に面白い。
フォアグラにマヨネーズをぶっかけるようなものである。
そのまましばらく放置していると、やがて寝息が聞こえてきた。
体勢的に寝違えそうなので、三十分ほどで起こしてあげた。
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2014
07.26

うにゅほとの生活972

2014年7月26日(土)

今日は、祖父の四十九日法要──だと思っていた。
四十九日法要は、昨日母親らのみで済ませており、今日は納骨と会食だけらしい。
俺がその事実を知ったのは、今朝、出発する直前のことだった。
「……××、知ってた?」
「うん」
こくりと頷く。
「弟は?」
「なんか、兄ちゃんだけ情報遅れるよな」
「昔からそうなんだ……」
この現象は、家族内だけでなく、友人間でも頻繁に起こる。
決してハブられているわけではないのに、何故か情報が回ってこないのだ。
「……よくわからんけど、なんか知ってそうな顔してるらしい」
「あー」
「あー」
うにゅほと弟が同時に頷いた。
「いまいち納得いかないんだけど……」
そんな会話を交わしながら、霊園までの道中を過ごしていた。

納骨をあっさりと済ませ、やたら豪華な管理事務所で会食と相成った。
「お、売店あるぞ」
「おー」
ぐるりと回ってみる。
「……供物とか、仏花とか、まあ、霊園って感じだな」
「あ、ゆうばりメロン」
「夕張メロンの、なに?」
「……キャラメル?」
「んー」
うにゅほの指さした箱を手に取る。
「キャラメル──じゃ、ない」
「なに?」
「夕張メロン線香……」
「おせんこう?」
なんだこの商品。
身箱をずらすと線香の束が覗いたので、すこし匂いを嗅いでみた。
「うわ、メロンっぽい」
「ほんと?」
すんすん。
「……うぇ」
「ちょっと気持ち悪い甘さだよな」
「うん……」
「隣のミルキーも線香なのかな」
「かぎたい」
すんすん。
「……おぇ」
うえってなるのに嗅ぎたいらしい。
「ちょっと面白そうだし、ミルキー線香ひとつ買って帰ろうか」
「ひーつけたらどんなにおいかな」

──と、購入したミルキー線香(650円)を、管理事務所に置き忘れてきてしまったのだった。
ごめん、うにゅほ。
見かけたら買い直そう。
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2014
07.25

うにゅほとの生活971

2014年7月25日(金)

昨日の日記において、
「網戸に虫コナーズを貼っているにも関わらず、網戸に虫がやってくる」
と書いたが、
調べてみたところ、網戸に貼るタイプのものは、ユスリカとチョウバエにしか対応していないようだった。
「蚊──は、たしかに見てないけど」
「ちょうばえって、なに?」
「検索してみる?」
「してみない」
俺も検索したくない。
「蛾がとまる理由はわかったけど、適用害虫少なすぎるだろ……」
「ね」
ふたりで顔を見合わせる。
「──あ、スプレータイプのやつは蛾も対応してるっぽい」
「あみどにしゅーって?」
「そうそう」
というわけで、虫コナーズに汚名返上のチャンスを与えることにした。

「じゃーん」
うにゅほが、ドラッグストアのレジ袋から虫コナーズ スプレータイプを取り出した。
「しゅーってやろ!」
「クリームパン食ってからにしようぜ」
「はい」
おやつの時間を終えたあと、網戸に防虫処理を施すことにした。
「◯◯、うえたんとう。わたし、したたんとう」
「××じゃ上まで届かないからな」
「うん」
網戸から30cmほど距離を取り、
「縦、縦、縦、縦、横、横、横、横──と」
格子を描くようにスプレーを噴射する。
「ななめは?」
「二回も重ねがけすれば十分だろ」
うにゅほにスプレー缶を手渡す。
「……たて、たて、たて、たて、よこ、よこ、よこ、よこ」
俺の真似をする姿が微笑ましい。
「とりあえず、家にある網戸という網戸にスプレーしまくろう」
「おー!」
自室、リビング、階段ときて、両親の寝室でのことだった。
窓を開けた瞬間、心地よい風が頬を撫でる。
「──……はー」
涼しい。
向かい風だと注意する前に、
「しゅー……、わー!」
うにゅほがスプレーの煽りをモロに受けていた。
「大丈夫かー?」
「……うん、くさくない」
臭くなくても有害なものはいくらでもあるが、この程度なら大丈夫だろう。
寝室の網戸の防虫処理は、風向きの良い日に行うことにした。
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2014
07.24

うにゅほとの生活970

2014年7月24日(木)

「──…………」
網戸に虫コナーズを貼っているにも関わらず、網戸に虫がやってくる。
「わー……」
うにゅほが俺の背中に隠れる。
親指ほどもある蛾が、こちらに腹を向けていたからだ。
「……◯◯、へいきなの?」
「俺は、自分の生活スペースに虫が入り込むのが怖いのであって、見るだけなら──」
「すきなの?」
「好きなわけないだろ。多少は平気なだけだよ」
ぺし。
指先で網戸を弾く。
一瞬だけ飛び去った蛾が、ほんの数センチ離れたところに張り付いた。
「……虫コナーズ、効かないんじゃないかな」
「そだね……」
万難を排し上下にひとつずつ設置した網戸でこのざまだ。
網戸一面埋め尽くすように敷き詰めればどんな虫も寄ってこないのだろうが、それはもう網戸ではない。
「◯◯、こいつなんとかしたい……」
背中に隠れたうにゅほが見当違いの方向を指さした。
蛾のことを言っているのはわかる。
「そうだなあ」
思いついたことがあったので、くるりときびすを返した。
「わ」
ぴったりと背中に張り付いたまま、とてとてと歩きづらそうについてくる。
肝試しじゃないんだから。
「ほら、これ」
「きんちょーる?」
「そう。虫が暴れて収拾がつかなくなる使いどころの難しい殺虫剤だが、この場合なら」
蛾の腹をめがけてキンチョール☆を噴射する。
「……うあ、あばれてぅ」
キンチョール☆を真正面から浴びた蛾は、苦しみ暴れ回りながら網戸に幾度も衝突し──
「あ、しんだ」
ベランダの床に、ぽとりと落ちた。
「網戸の外の虫に使えば、いくら暴れても問題ない」
「あんまみたくない……」
苦しみ悶える蛾の姿が、呂律が回らなくなるほど衝撃的だったらしい。
虫コナーズ以外のなんらかの手段を講じるべきだろうか。
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2014
07.23

うにゅほとの生活969

2014年7月23日(水)

セブンイレブンに立ち寄って、シュークリームを買った。
「北大路魯山人いわく、うまいは甘い……」
「だれ?」
「昔の人だよ」
「へえー」
あまり興味はないらしい。
当初の目的を達し、帰宅の途についたとき、
「……なんか、しょっぱいもの食べたくなってきたな」
「うまいはあまい、じゃないの?」
「しょっぱいものが不味いとは言ってない」
「うーん……」
「いいとこがあるのだよ」
そう言って、ある店に車をつけた。
「やきとり?」
「そう。注文してから焼くから、スーパーみたいに冷たくないし、コンビニみたいにぐにゃぐにゃじゃない」
「おー」
豚串を三本、鶏皮を二本、豚トロを一本頼み、五分ほど待ってからふたりで三本ずつ食べた。
「おいしい」
「だろ」
「やきたていいね」
喜んでもらえたようで、なによりである。
「これどうしよう」
空の容器を輪ゴムで留めて、うにゅほが言った。
「家で捨てるとなんか※1言われそうだし、次のコンビニで捨てようか」
「そだね」
ローソンの駐車場に車をとめ、
「──…………」
軽く腹をさする。
「どしたの?」
「……なんか、甘いものが食べたくなってきた」
「もうだめだよ?」
「まあ、キリがないもんな……」
「れいぞうこに、わらびもちあったよ」
「あ、いいじゃん。それ食べよう」
帰宅後、ふたりでわらびもちを食べた。
「……しょっぱいもの食べたくなってきたな」
「もうごはんだよ」
夕飯は、スパゲティナポリタンだった。

※1 なんか ── この場合、おみやげの催促など。
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2014
07.22

うにゅほとの生活968

2014年7月22日(火)

俺の寝床は自室のソファだが、うにゅほ起床後はうにゅほの寝床に移動することが多い。
いくら慣れたと言え、ソファは長椅子であり、寝具ではない。
眠りが浅いのは当然と言える。
「──……う」
アイマスクを外すと、ぼんやりと天井が見えた。
「……あふぁ」
大あくびをしながら起き上がり、カーテンを開けてから自室を出る。
「あ、おはよー」
「おはよ」
うにゅほがテレビを見ていた。
内容は覚えていない。
「なんか食べるもんある?」
「うと、きょうはごはんないから──」
しばし思案し、
「……カップめん?」
「他は?」
「たまごやく?」
「白飯がないとなあ……」
まあ、いいや。
腹は減っているが、空腹には慣れている。
魚肉ソーセージのフィルムを剥き、マヨネーズを垂らして食べることにした。
すると、
「──……ん?」
なにか違和感がある。
ソーセージを咀嚼する顎を止め、舌で口内を探る。
「──…………」
なにか、とても細いものが、口のなかに紛れ込んでいるような──
指先で「それ」をつまみ、引っ張る。
ずる。
ずる。
ずる、ずる、ずる、ずる。
「んお……」
引っ張っても引っ張ってもずるずる出てくる。
それは、うにゅほの髪の毛だった。
「……××、口から××の髪出てきた」
「え!」
「ほら」
「ほんとだ……」
寝ているときに口に入ったのは間違いないが、60cmはあろうかと言うロングヘアが偶然すっぽり収まるはずはない。
たぶん、夢のなかでもぐもぐやっていたのだろう。
口から長い髪の毛が出てくるというのは、もはやちょっとしたホラーである。
飲み込まなくてよかった。
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