2012
09.30

うにゅほとの生活311

2012年9月30日(日)

「ほあー」
ヤマダ電機へ行き、3Dテレビを観賞した。
「これは、とびでるね」
「飛び出るな」
「あっちもとびでるかな」
「飛び出るだろうな」
3Dテレビは店頭に二台しか置いていなかった。
普及するまでには数十年単位の期間が必要なのではあるまいか。
帰り際、久しぶりにゲオへ寄った。
子供のころに見た記憶のある「アイ・シティ」というアニメ映画を探していたのだが、結局見つからなかった。
1986年に公開された作品だが、2002年にDVD化されているらしい。
いつか見てみたいものである。
代わりに「ドラえもん のび太と夢幻三剣士」を借りて帰宅した。
うにゅほがすぐに見たがったので、早速PCで再生した。
うにゅほはドラえもんが好きである。
テレビ版は新ドラ、大長編は旧ドラのほうがいいらしい。
まあ、旧ドラのテレビ版は数本しか見せたことがないのだけれど。
先入観のないうにゅほから見てもそうなのだから、新ドラの大長編は微妙という結論でよかろう。
再生が終わって面白かったか問うと、満足そうな答えが返ってきた。
七泊八日のあいだに、また幾度か見ることになるだろう。
まあ、それくらいは付き合おうじゃないか。
うにゅほがイヤホンを外し、ソファへと移動する。
スピーカーは結局、使わないまま電源だけ入り続けている。
俺も、トイレへ行こうと立ち上がり、
「うおッ」
何者かによって耳を引っ張られた。
外し忘れたイヤホンだった。
「ぶふ!」
うにゅほが吹き出していた。
このやろう。
「見ぃー……たぁー……なぁー……」
イヤホンをソファに放り投げ、うにゅほに迫る。
「みてない! みてないです!」
「嘘つきには罰を与えなければなるまい」
そっとうにゅほの首筋に触れて、
「──…………」
うにゅほの瞳が期待に輝いていた気がしたので、やっぱりやめた。
「あ……」
と見せかけて、やっぱりくすぐった。
楽しいですよね、人をくすぐるのって。
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2012
09.29

うにゅほとの生活310

2012年9月29日(土)

午睡の最中に見た夢が、淫夢だった。
当然のようにうにゅほが登場した。
当然のように具体的な描写は割愛する。
「おはよー」
体を起こすと、ソファで読書をしていたうにゅほが挨拶をした。
「……ああ、おはよ」
挨拶を返しながら、僅かに罪悪感を抱く。
僅かで済んでしまうあたり、実家住まいだけど郷里の父さん母さん、俺は東京で汚れてしまいました道民だけど。
まあ、あれだ。
うら若き少女と同じ部屋で過ごしていて、一切の劣情を抱かないようであれば、そいつにはちんこがない。
夢など見なかったことにして、うにゅほの隣に座った。
幸いなことに理性は強いほうだ。
「ねぐせ、ついてるよ」
うにゅほの手が、俺の頭頂部に乗せられる。
しかし、剛毛を誇る俺の寝癖が軽く押さえた程度で直るわけがない。
シャワーを浴びるか、すべての髪の毛を濡らしてドライヤーでセットし直すしか道はないのである。
「あ、そだ」
なにかを思いついたらしきうにゅほが、ソファの上に立つ。
そして、俺と背もたれのあいだに体を滑り込ませた。
ああ。
ああ。
どうしてこんな日に限って、こう密着したがるのだ。
うにゅほのアゴが、俺の頭頂部に乗せられる。
手ではなくアゴで押さえることで、頭皮が適度に刺激され、いろいろあって結果的に寝癖が直るともっぱらの噂なのだ!
そんなわけはない。
わかっている。
これは、単に甘えたいだけだ。
「わーれーわーれーはー」
なぜ扇風機。
アゴが動いて微妙に痛いが、逆はよくやるので文句も言えない。※1
「……うーちゅーうーじーんーだー」
とりあえず調子を合わせてみた。
「わーれーわーれーはー」
「どこから来てどこへ行くのか」
「?」
結論。
アゴで寝癖は直らない。

※1 2012年8月29日(水)参照
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2012
09.28

うにゅほとの生活309

2012年9月28日(金)

俺は、うにゅほが就寝したあとにシャワーを浴びている。
うにゅほがぐっすりこんと眠りこけているものだから、つい油断してバスタオル一枚で歩き回っている。
自宅なので猥褻物陳列罪には当たらない。
昨夜のことである。
バスいちで廊下を練り歩き、階段に足を掛けたところ、二階のリビングから物音がした。
テレビにしては静かである。
大して疑問も持たずに階段を上がりきると、ソファの上にうにゅほがいた。
「わ」
「おおう」
反射的に半身になり、両手で軽く下半身を隠す。
うにゅほも心なしか視線を逸らしていた。
……あれ?
弟や父親のおかげで男性陣の半裸は見慣れていると思ったが、俺に対してはそうでもないらしい。
あまり脱がないからだろうか。
嬉しいような、こっ恥ずかしいような。
「……どうしたんだ、こんな時間に」
既に日付が変わっている。
「なんか、おきちゃった」
「ふうん」
「おはなしして、いい?」
「ああ、いいよ」
何はともあれ、パンツを穿きたい。
そっと自室の扉を開くと、うにゅほもソファから立ち上がった。
「──…………」
「──…………」
箪笥からパンツを取り出す。
背後から視線を感じる。
さすがにうにゅほの前でパンツを穿くわけにもいかないので、リビングに戻った。
うにゅほも出てきた。
お前はサマルトリアの王子か。
「……あの、とにかく、パンツを穿かせてほしいんだが」
「あ」
うにゅほは途端に赤面し、
「わ、ごめ、あの、きづかなくて──」
と言いながら、自室の奥へとフェードアウトしていった。
本気で気がついていなかったらしい。
ほとんど反射的に俺の後ろをついてまわっていたのだろう。
出会ってもう一年近くになるものなあ。
しみじみ。
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2012
09.27

うにゅほとの生活308

2012年9月27日(木)

リビングへの扉を開くと、なんとも言えず焦げ臭かった。
慌てて一階へ急ぐと、既に鎮火した後だった。
祖母がきんぴらごぼうを温めようとして、火を消し忘れてしまったらしい。
こういうことが時折あるので、油断ならない。
「どうしたの?」
騒ぎに気がついて下りてきたうにゅほに、事の次第を説明する。
「そっかー。きんぴら、もったいないね」
もったいないが、仕方ない。
ボヤ騒ぎに発展しなかったことを喜ぶべきである。
一息ついて喉が乾いたので、無事だった味噌汁をおたまから直接すすった。
祖母の作る味噌汁は、相変わらず美味い。
味噌汁を飲むさまをうにゅほがじっと見つめていたので、
「××も飲むか? 美味いぞ」
と、おたまを手渡そうとした。
「──…………」
すると、うにゅほが下を向いてしまった。
なにか機嫌を損ねるようなことでもしてしまっただろうか。
そう考えてうにゅほの顔を覗き込むと、真っ赤だった。
不意を突かれた。
え、なに、俺なんかした?
「え──あの、なんだ、その」
「……ふふ」
おたまを振りながら慰めの言葉を探していると、うにゅほが笑い声を漏らした。
「みそしる、わたしもつくったの」
「え?」
「おばあちゃんと、わたしで、つくってるの」
「そうなの?」
「そうなの」
祖母が味噌汁を作るのは、まだ朝も早い時分である。
当然、俺は起きていない。
いつの間に料理ができるようになったのだろう。
言ってくれればよかったのに。
いや、本気で教えてくれればよかったのに。
ものすごくもったいないことをしてしまった気がする。
「××は、なにをしたんだ?」
「ほうちょうはだめだから、だしいれて、おみそといて──」
うにゅほが楽しげに調理工程の話をする。
当たり前かもしれないが、ちゃんと料理している。
初めて包丁を握ったとき、派手に指を切らなければ、今ごろはいっぱしの料理人だったかもしれない。
それはそれで、嬉しいような、寂しいような。
「味噌汁、毎日飲もうかな」
俺はそう言って、うにゅほの頭をぐりぐりと撫でた。
うにゅほは、また照れていた。
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2012
09.26

うにゅほとの生活307

2012年9月26日(水)

うにゅほの前髪が長い。
普段はさほど気にならないが、シャワーを浴びた直後は鼻先に届かんばかりの勢いである。
適当に分けている髪の毛が、水を吸ってまっすぐに下りるためであろう。
まるで、厨二病をこじらせかけた高校時代の俺のようである。
「──…………」
ひっそりと心に傷を負った。
「……前髪、ちょっと長過ぎないか?」
「んー?」
「前、見えにくいだろ」
「んー……」
うにゅほは自分の前髪をのれんのように払い、
「たいしょー! やってる?」
と真顔で言った。
誰に教わったんだよ。
「ちょっとじゃまくさいけど、ちょっとだけだよ?」
「なんか、シェルミーみたいだぞ」
「しぇるみー?」
「前髪で目が隠れてるキャラ」
「んー……じゃ、きって」
「誰が?」
「◯◯が」
「なにを?」
「かみを」
「──…………」
「──…………」
規定回数の天丼を行い、さっさとハサミを手に取った。
うにゅほがゴミ箱を抱き、目を閉じる。
この時点で、俺は思い上がっていた。
前髪を切るくらい、なんてことはない。
適当にシャギーでも入れて誤魔化せば、どうとでもなるはずだ。
ショリ。
僅かにハサミを入れて、気がついた。
シャギーってどうすればいいの。
そもそも小学生のときから使っている緑色のハサミで可能なのか?
スキバサミとかじゃないと無理なのでは?
「──…………」
しかし、もう戻れない。
どうしよう。
いや、答えはひとつしかない。
変に冒険して失敗することだけは避けなければならない。
ならば──パッツンしかない!
「……できました」
やった。
やってしまった。
地面と平行に、一筋の歪みもなくパッツンである。
「……姫、どうぞ」
恐る恐るうにゅほに手鏡を渡す。
「おー」
怒るかな。
どうかな。
「きれいになった!」
それはもう、これ以上なく。
「ありがと」
「えっ?」
「え?」
「怒らないの?」
「なんで?」
「いや、なんか……いつもと違う感じになったから」
「これ、かわいたらなおるよ?」
「そうなの?」
「じぶんできるとき、こんなかんじだもん」
ドライヤーをかけると、うにゅほの言葉通りになった。
自分で前髪を切っている光景を幾度も見ていたのだから、過度に気負う必要はなかったのだ。
パッツンもわりと似合っていたので、それだけはすこし残念な気がするけれど。
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2012
09.25

うにゅほとの生活306

2012年9月25日(火)

母親に臨時収入があったということで、家族で回転寿司を食べに行くことになった。
読者諸兄の感じているそれは、既視感ではない。
数日前にも行きました。※1
困ったなあ。
ダイエット中なのになあ。
太っちゃうなあ。
しかし、食べる手を緩めるつもりはない。
寿司は何よりも優先されるのだ。
「コーンって、しょうゆつけるの?」
「好きなように食べたらいいんじゃないか?
 俺はつけないけど」
うにゅほは先日味を占めたコーン軍艦を中心に攻め、俺はバラエティ豊かに皿を選びながら半貫ずつうにゅほと分けて食べていた。
うにゅほは嫌いな食べ物があまりないわりに偏食の気があるので、放っておくと本当にコーン軍艦とホタテだけで食事が終わりかねない。
外食のときくらい別に構わないのだが、なんとなく味気ないように思えたのだ。
「あんたはなんで箸使わないのよ!」
デザートのタイミングなどは考慮せずミルクレープに舌鼓を打っていると、隣席から怒声が上がった。
隣席は家族連れで、母親が幼稚園児くらいの子供を叱っているようだった。
店内に轟くような大声で叱りつけることもないだろうに。
怒声は人を不快にさせる。
しかし、うにゅほに限っては「不快」では済まない。
そのことを俺はよく知っていた。
震える箸先でコーン軍艦を何度も取り落とすうにゅほの頭を撫でて、軽く抱き寄せた。
家族も、茶化すことはなかった。
やがて怒声も静まり、店内に穏やかな喧騒が戻った。
うにゅほはしばらくのあいだ俺の脇腹のあたりに顔を擦りつけていたが、そのうちむくりと起き上がり、渋い顔でコーン軍艦を口に運んだ。
さらにコーン軍艦を二皿も追加注文するのだから、健啖である。
ふと気がつくと会計という流れになっていて、俺は大して食べたくもないビンチョウマグロを慌てて口内に放り込んだ。
どうにも食べ足りない。
うにゅほが満足げに腹を撫でていたので、横っ腹をつまんでやろうかと思ったら、肉がなかった。
不平等である。

※1 2012年9月19日(水)参照
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2012
09.24

うにゅほとの生活305

2012年9月24日(月)

リビングに3Dテレビがあった。
父親が買ってきたらしい。
弟から3Dメガネを拝借すると、飛び出すぎた国分太一がリビングでせんべいを食べていた。
「──という夢を見たんだ」
父親なら唐突に買ってきてもおかしくはないだけに、妙な現実味のある夢だった。
目を覚ましてしばらくは夢と現実の境目が曖昧だったほどである。
などと心の底からどうでもいい話をうにゅほにしていると、
「……ずるい」
と言われた。
そんなに国分太一が好きだったろうか。
いやまさか。
「最近、夢見が悪いとか?」
「ううん」
首を振る。
「じゃあ、なにがずるいんだ?」
「わたしも3Dのやつ、みたい」
妙なところに食いついたな。
「ヤマダ電機とかヨドバシカメラとかで、さんざ見たじゃない」
「おもしろかったねー」
あ、わかった。
遊園地のアトラクション気分なのだ。
なんというか、ディズニーランドとか連れて行けなくて本当に申し訳ない。
「……じゃ、今度また見に行こうか」
「うん!」
「今日のところは3DSで勘弁してください」
自動車もないし。
「わー……」
洞窟物語3Dをプレイしてみせると、うにゅほはとても満足げだった。
うにゅほでもできるゲームとか、今度探してみようかな。
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2012
09.23

うにゅほとの生活304

2012年9月23日(日)

「ちゃめ、ちょっと醤油取って」
「はーい」
「ちゃめ、八時からなんの番組ある?」
「えーと……」
「ちゃめ、悪いけど背中踏んでくれ」
「うん」
父親は、うにゅほのことを「ちゃめ」と呼ぶ。
最初はちゃんと名前で呼んでいたのだが、かなり早い段階で呼称が変わっていた。
いつからそう呼んでいるのか、俺もよく覚えていない。
うにゅほが我が家に住むようになって二、三ヶ月目には、もう「ちゃめ」だった記憶はある。
「──……◯◯?」
夕食を終えてくつろいでいると、うにゅほが口を開いた。
「ちゃめってなに?」
「ばふう!」
今更!
半年以上経って、今更!
「──…………」
思わず吹き出すと、うにゅほに睨まれた。
申し訳ない。
佇まいを直し、答えた。
「なんだろうな……」
うにゅほがすっと立ち上がる。
「すいません!
 ああいや、おおよその意味はわかるんだけど、たぶん方言かなにかだろうから」
「ほうげん?」
「違うかもしれないけど──まあ、小さいとか、子供とかって意味だと思うよ。
 ほら、父さんが××以外の子供にちゃめちゃめ言ってるの、聞いたことないか?」
「うん……あるー……?」
「いや、ないならいいんだけど」
単に居合わせる機会がなかったのかもしれないし、うにゅほ以外には言わなくなったのかもしれない。
それは、父親のみぞ知るところである。
「こども、かなあ?」
自分の顔をぺたぺたと触りながら、うにゅほが自問する。
まだ子供だよ、とは答えなかった。
子供はみんな、自分のことを大人だと思っているものだ。
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2012
09.22

うにゅほとの生活303

2012年9月22日(土)

水曜日と土曜日の午前中は、祖母を整形外科へと送迎することになっている。
短距離を二往復することになるため、うにゅほを連れて行くことはあまりない。
ついでに祖母の買い物を済ませてしまうとき、声を掛けるくらいのものだ。
午前十時半に設定した携帯電話のアラームを苦しみながら止め、ソファからずり落ちた。
最悪の目覚めである。
体調が悪いときは、寝ても寝ても寝足りない。
許されるなら夕方まで眠り果てたいが、祖母の膝のためだから仕方がない。
なんとか奮起して顔を洗い、寝癖を軽く整え、普段着へと着替えた。
階段を下り、祖母に声を掛ける。
「病院行くぞー」
祖母はきょとんとした表情で答えた。
「今日は旗日だよ」
旗日。
祝日。
カレンダーを見る。
秋分の日。
「──…………」
やってしまった。
起き損である。
とぼとぼと階段を上がっていると、うにゅほが玄関の扉を開いた。
振り向く間に階段を駆け上がり、元気よく右手を挙げる。
「おはよう!」
こんなときに限ってやたらと元気である。
俺も真似をして右手を挙げ、
「おやすみ!」
ハイタッチを交わした。
「おや、えっ?」
戸惑っているあいだに部屋へ戻り、うにゅほの寝床に潜り込んだ。
それからしばらくうにゅほと会話をしていた気がするのだが、あまりよく覚えていない。
夢かもしれない。
気がついたら午後二時だった。
すこしだけすっきりした。
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2012
09.21

うにゅほとの生活302

2012年9月21日(金)

うにゅほはキレイ好きである。
三日に一度は部屋の掃除をするし、週に一度は本棚の整理をしようとする(あきらめる)。
汚さない代わりに掃除もしない教の信者であった俺も、今ではダスキンでホコリを落とす仕事に従事している。
ただし、本棚の上は除く。
手は届くが、目は届かないので。
パソコンデスク周辺は危険地帯である。
パソコン本体を動かさなければ掃除機のヘッドをねじ込めない場所があるし、パソコンチェアも邪魔くさい。
燃える・燃やせないゴミ箱を動かして、チェアをずらして、掃除機本体を運び入れて、ようやくデスクの下が掃除できるようになる。
大変である。
ダスキンと代わろうかと提案したこともあったのだが、うにゅほの身長では届かない場所が多すぎた。
天井まである本棚の上から三段目あたりを必死にぱたぱたするさまは、眼福でこそあれ掃除の役には立たない。
「あっ」
掃除機をぶおおと鳴動させながら、うにゅほがデスクの下にもぐる。
掃除するのにもぐる必要はないのではないか。
そう思い、うにゅほの傍に近づく。
声を掛ける前に気がついた。
震える肩越しに見えたのは、ぺろんと剥がれたフローリングの表面だった。
「あの、ごめ……ごめな──」
過剰に責任を感じている。
うにゅほの頭にそっと手を乗せて、優しく撫でた。
そして、体重を込めてデスクを大きく動かした。
「このあたり、もうだいぶめくれてるんだよな。古いから」
フローリングの惨状が白日の下に晒された。
過積載のデスクを置いていることも、理由のひとつなのだろうけれど。
うにゅほはあからさまにほっとした表情を浮かべたあと、慌ててそれを取り繕った。
「ごめんなさい!」
べつにいいのに。
掃除の最中に起きた過失くらい、笑って許す度量はあるつもりだ。
しかし、それではうにゅほの気が済まないというのなら、仕方がない。
「じゃ、掃除が終わったら腰でも揉んでくれ」
そのままうとうと昼寝に突入した。
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