2012
05.31

うにゅほとの生活189

2012年5月31日(木)

作詞した曲がカラオケに入ったと聞いて、久しぶりに行ってみた。
せっかくなので記念写真を撮り、声帯に紙やすりを仕込んだような声で一曲歌い上げた。
喉までなまっている。
そういえば、うにゅほをカラオケに連れてくるのは初めてである。
同時に気がついた。
うにゅほの知っている曲、とは。
この子が歌っているところなど、鼻歌くらいしか覚えがない。
とりあえず確実に覚えているであろう「ドラえもんのうた」を入力し、マイクを手渡した。
新ドラのオープニングテーマのタイトルがわからなかったので、こちらである。
うにゅほは緊張の面持ちで画面を睨み、「こんなこといいな」の最初の「こ」で音を外した。
頬が赤く染まる。
おお、照れている。
すごい珍しい。
口角が上がらないよう唇を内側に巻き込んでいたのだが、いささか不自然であったらしい。
マイクを押し付けられてしまった。
一人で「ドラえもんのうた」を歌い切り、その後はうにゅほの知っている曲探しに終始した。
大長編ドラえもんの武田鉄矢メドレーはそこそこ覚えているようだった。
ジブリはどうかと「紅の豚」のエンディングテーマを入れたが、不思議そうな表情を浮かべるのみだった。
こないだ一緒に見ただろ!
ならばと「となりのトトロ」を送信したあとで気がついた。
うにゅほは、トトロを、見てません。
元ネタのわからない相手の前で成人男子が「となりのトトロ」を熱唱することほど恥ずかしいものはない。
思わずDragon Ashの「Fantasista」を歌ってしまったのも無理からぬことだろう。
というかうにゅほさん。
一曲くらいは歌いませんか。
最初の歌い損ねでイップスになってしまったらしい。
おまけに歌えるほど熟知している曲がほとんどない。
いたずらに時間は過ぎて、結局俺リサイタルのまま幕が下りてしまった。
案外楽しそうだったことだけが救いである。
次の機会までに数曲ほど仕込んでやる。
雪辱に燃えながら家路を辿っていると、カーステレオからある曲が流れた。
カラオケの空気に当てられたのか、うにゅほが鼻歌を歌う。
……この曲はなんなんだよ!
アニソン・ゲーソンを集めた弟の自作CDであることしかわからない。
くそう、次だ!
次こそは!
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2012
05.30

うにゅほとの生活188

2012年5月30日(水)

腰痛が解消されないのは、運動不足が原因である!
すべての問題は筋肉によりたちまちのうちに解決されるであろう!
などと思い立ってみた。
たしかに運動不足は深刻である。
一日一時間わけのわからん強度のトレーニングを繰り返していた時期は、ブルーカラーのアルバイトをばりばりとこなしていた。
でも、よく考えると当時から腰痛はあった。
考えないことにする。
とりあえず、まずは腹筋から始めることにした。
最盛期のトレーニングメニューなどこなした日には、残りの23時間動けない。
床に仰向けに寝そべり、うにゅほをちょいちょいと手招いた。
「足の上に座って、膝のあたり押さえて」
「なにするの?」
「腹筋」
うにゅほに頭突きをしないよう気をつけて、何回できるのか試してみた。
結果、五十五回。
「え、おわり?」
うにゅほが邪気のない、純粋に意外そうな声を上げる。
かちんときた。
「五十回ワンセットじゃ!」
プラス十回で腹筋が攣った。
駄目だ。
なまりきっている。
本格的な肉体改造が必要かもしれぬ。
ちなみにうにゅほは十八回だった。
君も人のことは言えないじゃないか。
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2012
05.29

うにゅほとの生活187

2012年5月29日(火)

ゲオへ行き、DVDと新刊数冊を購入した。
夕食後、うにゅほが風呂に入っている隙に、箪笥の奥に仕舞ってあった夏用の寝巻きを取り出した。
甚平である。
「ちょっとそこまで」レベルの外出が可能なジャパニーズトラディショナルホームウェアである。
二着を着回すことにより、ずっと甚平のターンも夢ではない。
風呂上がりのうにゅほの前で「どう?」とばかりにポージングを決めてみせると、袖の付け根にあるスリットに指を突っ込まれた。
やめろ、そこは腋だ。
ソファに半分横になってひろなex.4巻を読んでいると、うにゅほがクッションを持ってきた。
どうするのかと横目で見ていると、股のあいだにぽんと置いた。
うにゅほがそこに頭を乗せ、横になる。
上から見ると、俺がうにゅほに肩車されているような体勢である。
お前なにもそんなところに。
なんだか安らいでいるようなので邪魔をする気にもなれず、読書に戻った。
しばらくすると、ふくらはぎにちくりと痛みが走った。
原因はすぐにわかった。
「……スネ毛を引っ張るのはやめなさい」
「きになる」
そんなところに挟まっていたら、そりゃ気にもなろう。
無節操に生やらかしているし。
注意してもやめないので、片膝を倒した。
うにゅほは
「ぎゅ」
と声を上げた。
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2012
05.28

うにゅほとの生活186

2012年5月28日(月)

うにゅほのテンションが低い。
髪の毛を指にくるくると巻きつけて離す行為を繰り返している。
天井の遥か先に焦点を合わせ、小首をかしげたまま動かない。
白状しよう。
その理由に心当たりは、ある。
昨日の時点で気づいてはいたのだ。
しかし、どうすることもできなかった。
雑誌から視線を上げた時点で、伯母のハサミは既に、うにゅほの長髪を切り落としていたのだから。
「やっぱり、切りすぎたな」
「うん……」
それでも、十分なくらいロングヘアなのだけれど。
うにゅほにとって髪の毛とは、俺が思っていた以上に大切なものだったのかもしれない。
よし。
随分とまとめやすくなった髪をポニーテールにすると、俺はうにゅほの手を引いた。
部屋でくさくさしていても仕方がない。
せっかくの晴天なのだからと、座布団ひとつ持って外へ出た。
車庫から自転車を出して、荷台に座布団をくくりつける。
これで尻は痛まないはず。
二人乗りでコンビニへ行き、ジャンプとジュースを購入した。
そのまま森林公園へ向かい、ぐるりと一周したあと、人工池に沿ったベンチでジャンプを読んだ。
風はすこし強めだったが、それが心地よかった。
人工池にはカモがいた。
うにゅほが触ろうとして、逃げられていた。
雑菌とかいるから汚いぞ、カモ。
とりあえず、気分転換にはなったようだった。
「髪の毛なんて、またすぐ伸びるさ」
なんて心ない言葉が、口をついて出なくてよかった。
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2012
05.27

うにゅほとの生活185

2012年5月27日(日)

ふと気がつくと、髪の毛がわっさわさになっていた。
日記で確認したところ、床屋に行ってから既に一ヶ月半経過している。※1
一ヶ月を目安としているため、そりゃあ野放図に伸びまくろうというものである。
「今日はどうする?」
「短めで」
というアバウト極まりない注文を伯父に伝え、三十分も雑談をすれば散髪完了である。
鏡で仕上がりを確認する。
うむ、先月と同じ!
これで親戚価格なのだから、他の床屋に行く理由がない。
毎度のごとく伯母の話に付き合わされていたうにゅほを回収し、帰ろうとしたときだった。
「◯◯ちゃん、髪の毛長すぎるんじゃない?」
伯母がそう言った。
たしかに、長い。
ジーンズのベルトが髪の毛で隠れているくらいだ。
しかし、髪の毛はうにゅほ自慢の逸品である。
手入れだって毎日欠かさない。
「ちょっと切ってきな。わたしやるから」
「はい」
嫌がるかと思いきや、うにゅほはあっさりと理容椅子に腰掛けた。
ちなみに伯母も、理容免許を持っている立派な床屋さんだ。
背中の真ん中あたりからばっさりと切り落とし、生え際のあたりからざっくりすいていく。
数十分後、そこには随分とさっぱりしたうにゅほがいた。
俺が、
「似合ってる似合ってる」
と伝えると、うにゅほは肩のあたりの髪の毛をいじりながら、
「かるい……」
と呟くように言った。
満足なのか不満なのかいまいちよくわからない。
まとめたら小型犬くらいの大きさになった床の髪の毛でひとしきり盛り上がったあと、代金を支払って外へ出た。
当然、二人分請求された。
うん。
まあほら、こないだ自転車に二人乗りしたときとか、スポークに絡みそうで怖かったんだよね。
うにゅほは変わらず可愛いし、親戚価格だし、よし!

※1 2012年4月11日(水)参照
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2012
05.26

うにゅほとの生活184

2012年5月26日(土)

今日は母親の誕生日である。
夕食は行きつけの焼肉屋で済ませることになった。
贅沢と言えば寿司か焼肉な我が家である。
うにゅほは内臓系、なかでもホルモンが好物だが、火の通るタイミングがどうにも掴めないらしい。
たしかに、わかりにくいことはわかりにくい。
薄いホルモンは丸まるが、肉厚のものは経験と観察力とがものを言う。
焼肉と言えばバトルの勃発するような飢えた家族ではないので、うにゅほに肉が当たらないということはない。
隣に座っている俺や母親が、焼けた端からうにゅほの皿に投げ込んでいくからだ。
施しを甘んじて受けながら、うにゅほの視線は七輪へと向けられていた。
人の手を借りずして焼き加減を見極めたいという欲求があるようだ。
自立心である。
しかし、まだ焼けていない豚トロを、噛み切れないままぐにぐにぐにぐに咀嚼したあたりから、諦めムードが漂い始めた。
最後のほうはもうずっと、馬肉ユッケをちょびちょび食べていた。
美味しいけどさ。
夏場になれば庭でも焼肉をやるので、そこで慣れたらいい。
近所の人たちも来るから、ついでにそっちもね。
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2012
05.25

うにゅほとの生活183

2012年5月25日(金)

桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」が流行したことがあった。
あまりの入手困難さに、自家製レシピが広く知れ渡ったことも記憶に新しい。
母親もレシピに頼った口で、流行が過ぎ去った今でもたまに作る。
これが、かなり美味い。
冷奴に食べるラー油と醤油をたっぷりかけていただくと、思わず財布を取り出したくなるくらい美味い。
うにゅほは昨夜、初めて食べたのだが、目を皿のように丸くしていた。
そんな理由から数日でなくなってしまうラー油だが、ある問題を引き起こす材料がひとつ入っている。
ニンニクである。
御丁寧に、揚げたものとすりおろしたものの二通りが、たっぷりとっぷり入っている。
翌日どうなるかは推して知るべし。
シャツの首元を広げ、体臭を確認しては首をかしげていると、ふと趣味の悪いことを思いついた。
はて、うにゅほはどうかしらん。
あれだけラー油をぶっかけていたのだ。
ニンニクの引き起こす宿命から逃れるすべはないはずだ。
ちょいとそこ行くうにゅほの両肩を背後からわっしと掴み、鼻の先で髪の毛を掻き分ける。
……ふむ。
臭くは、ない。
でも、いつもより匂いが濃い。
同じ人間なのに、ここまで体臭が違うのは、常在菌の分布の問題だろうか。
それとも、男女のホルモンの差?
そんなことを考えながらくんかくんかと嗅いでいると、
「なにー」
と、うにゅほが迷惑そうな声を上げた。
ニンニクを摂取すると体臭がきつくなる、という話をすると、うにゅほが俺の胸に顔をうずめた。
「臭い?」
「……くさい!」
ちょっとショック。
離れようとすると、追いすがられた。
おいやめろ。
臭いならもう嗅ぐな!
くさいくさいと笑いながら、うにゅほが俺を追いかけて、外にまで出る羽目になった。
痴漢される女性ってこういう気分なんでしょうか。
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2012
05.24

うにゅほとの生活182

2012年5月24日(木)

一昨日、歯ブラシを買ったことは既に書いた。※1
このときうにゅほが選んだのは、毛先まで黒い、巨大な歯ブラシである。
理由は「かっこいいから」だそうだ。
レジを通したとき、あまりの値段に驚いた。
……俺が。
その大きさも、価格に見合って尋常ではなく、洗面所備え付けの歯ブラシ立てに入らないほどだ。
仕方がないので、台所からワンカップ大関のビンを持ってくる羽目になった。
実に厄介な代物である。
午後九時頃、洗面所を通りかかると、うにゅほが歯を磨いていた。
鏡越しに目が合う。
うにゅほは「やべっ!」みたいな表情を浮かべ、ゆっくりと振り返った。
理由はすぐにわかった。
お前それ俺の歯ブラシ!
詰問すると、案の定「みがきにくいから」ときたものだ。
だから普通のにしとけと言ったろう。
しかし、相手がうにゅほとは言え、歯ブラシを共有するのはさすがに抵抗がある。
巨大な歯ブラシは、順当に押し出され、俺のものとなってしまった。
ついでだから、歯を磨いてみた。
でかい。
あ、でも高いだけあって、思ったより磨きやすい。
単純に口の大きさの問題だったのだろう。
そう告げると、うにゅほが得意げに背筋を伸ばしたので、とりあえず頭頂部に一撃くれておいた。

※1 2012年5月22日(火)参照
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2012
05.23

うにゅほとの生活181

2012年5月23日(水)

祖母に頼まれて、近所の金物屋へと連れて行った。
金物屋とはそういうものなのか、それともここが特殊なだけなのか、植物の苗を販売している。
もちろん鍋や包丁も売っている。
何物屋であろう。
祖母は農家の出で、家庭菜園を趣味としている。
野菜も作るし、花も育てる。
祖母が育てたニラだのキュウリだの、食卓に上ることも少なくはない。
唐辛子を始めとした結構な数の苗を、うにゅほと手分けして運んでいると、祖母が言った。
「トマト好きか?」
大嫌いである。
しかし、祖母は俺に尋ねたわけではない。
「? はい」
うにゅほが頷く。
それを嬉しそうに見つめながら、祖母はトマトの苗をうにゅほのカゴへ入れた。
「明日植えるよ」
これは、あれである。
間違いなくあれである。
うにゅほに、家庭菜園を手伝えということだ。
母親もたまに手伝っている。
俺は、畑を耕すときくらいしか頼まれたことがない。
これが「家族の一員として見なす」という遠回しな言葉なら、なんというツンデレ婆さんであろう。
うにゅほと家庭菜園。
なんというか、すごく合う。
家の仕事としてではなく、趣味になったらいいなあと思った。
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2012
05.22

うにゅほとの生活180

2012年5月22日(火)

レンタルした「シャイニング」のDVDにヒビが入っていて見れなかったため、ゲオで返金してもらった。
借り直すつもりだったのだが、貸出中となれば仕方がない。
大長編ドラえもんでも見ようかと専用のコーナーへ行くと、恐ろしいまでのレンタル率だった。
穴空きと言うより、むしろ浮島である。
他に当てもなかったので、目についたインディ・ジョーンズを借りて帰途についた。
ふと思いついてスーパーに寄り、二人分の歯ブラシを買った。
うにゅほの歯ブラシのへたり具合までは知らないが、消耗品は買っておいて損になるものではない。
本人に尋ねても、いまいち要領を得ないし。
まあ、意識していないのだから、歯を磨くのに支障はないのだろうけれど。
ナッツ類の特売が行われていたので、手に取ってみた。
「うわ、バナナチップス入ってるよ」
「? ばなな?」
「ポテチのバナナ版」
「バナナって、ナッツなの?」
「違うと思う……」
アメリカっぽい感じのミックスナッツには、よくジャイアントコーンが入っているが、あれも怪しい。
結局300グラム298円の詰め合わせを購入し、帰宅した。
封を開けてみると、八割くらいピーナッツだった。
でかでかと袋に描かれたくるみは何処へ行ったのだ。
切歯扼腕していると、
「ピーナツ、きらい?」
「好きだけど……」
好き嫌いの問題ではない。
単価の問題なのだ。
でもまあ、うにゅほの言うとおり、嫌いではない。
インディ・ジョーンズを見ながら、二人でぽりぽり食べていた。
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