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2019
02.19

うにゅほとの生活2630

2019年2月18日(月)

「ふん、ふん、ふん、ふん、ふんふーふーふーふふー♪」
ダスキンモップを手にしたうにゅほが、鼻歌交じりに本棚のホコリを落としていく。
「──…………」
なんだろう。
聞き覚えのある曲なのだけれど、思い出せない。
「××」
「ふん?」
「それ、なんの歌だっけ」
「うと……」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「わかんない」
「……わからない?」
「たぶん、おとうさんがうたってたやつ」
「あー」
父親の鼻歌が伝染ったのか。
「悪いけど、もっかい歌ってみて。気になる」
「うん」
ふん、ふん、ふんと、うにゅほがたどたどしく鼻歌を口ずさむ。
「──あ、わかった!」
「なんのうた?」
「マル・マル・モリ・モリだ」
「まるまるもりもり」
「芦田愛菜と鈴木福くんがやってたドラマの主題歌」
「へえー」
「知らない?」
「しらない……」
「まあ、俺も見たことないんだけど」
「そなんだ」
「ごめんな、掃除の邪魔した。なんか手伝う?」
「うん、だいじょぶ」
やがて、掃除を終えたうにゅほが、階下へと消えていく。
自室が沈黙に支配され、
「──…………」
脳内で、芦田愛菜と鈴木福がマルモリダンスを踊り始めた。
「がー!」
ぐわんぐわんとかぶりを振る。
しばらくのあいだ、マル・マル・モリ・モリが頭のなかで再生され続けたのだった。

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2019
02.18

うにゅほとの生活2629

2019年2月17日(日)

知人から、遅れて義理チョコをいただいた。
「うーん……」
小箱を前に思案する。
「ダイエット中だし、どうすっかな」
「たべるの?」
「一個だけ食べるか悩み中」
今日のぶんのうにゅチョコは、とっくに俺の胃の中だ。
「……××は、食べていいと思う?」
「いっこなら」
「よし」
"JEWEL"と書かれた小箱を開封し、中身を検める。
「あ、トリュフチョコだ」
「ほんとだ」
「××のと、どっちが美味しいかな」
「うってるほうとおもう……」
「わからないぞ」
俺が毎日の楽しみにするくらいには美味しいのだし。
「いただきます」
艶めいた黒い球体を、口のなかへと放り込む。
「!」
噛んだ瞬間、鼻へ抜けていくウイスキーの香り。
「あー……」
思わず顔をしかめる。
「どしたの?」
「これ、かなりお酒入ってる……」
「ぼんぼん?」
「ウイスキーボンボンってほどじゃないけど、濃い目に練り込んであるみたい」
「◯◯、ぼんぼんあんましすきじゃないもんね」
「そうなんだよな……」
好みで言えば、安い板チョコのほうが好きである。
「……××、食べる?」
「もらったの、◯◯なのに、いいの?」
「いいよ、義理チョコだし」
「じゃ、いっこ」
うにゅほが、明るい茶色をしたチョコレートを半分齧る。
「おいひい」
「あれ、××はウイスキーボンボン大丈夫な人だっけ?」
「おさけのあじ、しないよ?」
「えっ」
「あーんして」
「あー」
うにゅほの食べかけを頬張る。
「……ほんとだ、これは普通に美味しい」
「ね」
洋酒が練り込んであるものと、そうでないものがあるらしい。
「まあ、いいや。そのうち食べよう」
「うん」
冷蔵庫にでも入れておこう、うん。

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2019
02.17

うにゅほとの生活2628

2019年2月16日(土)

「ちょ、トイレ」
「んー」
膝の上のうにゅほを抱き下ろし、自室を後にする。
小用を済ませて戻ると、
「◯◯、◯◯」
「はい」
「おしりみして」
「……はい?」
何を言い出したんだ、この子は。
「あ、ちがくて」
うにゅほがパタパタと手を横に振る。
「うしろむいて」
「後ろ……」
言われた通り、背を向ける。
「──…………」
「──……」
「やっぱし」
「どういうこと……?」
「◯◯、ちょっとやせた」
「……たしかに、夕食をプロテインにしてから、1kgちょっと減ったけど」
すぐにわかるものなのだろうか。
「おしり、すこしちいさくなった」
「マジで」
「◯◯、ふとると、おしりからふとるから、すぐわかる」
「そうなんだ……」
知らなかった。
「おしり、あし、さいごにおなか。やせるときも、おしり、あし、さいごにおなか」
「よく見てるなあ」
「いちばんしってるから」
そう言って、うにゅほが胸を張る。
「おしりやせてきてるから、がんばって」
「頑張る……」
なにせ、すこし怠ればすぐにわかってしまうのだ。
うにゅほに良いところを見せたい俺としては、頑張らざるを得ない。
さっさと痩せて、どこか外食にでも連れていってあげよう。

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2019
02.16

うにゅほとの生活2627

2019年2月15日(金)

「◯◯、あーん」
「あー」
口のなかに、うにゅほ謹製のトリュフチョコレートが放り込まれる。
幸せの味だ。
「おいしい?」
「美味しい」
「うへー」
うにゅほが、てれりと笑みを浮かべる。
「ところで、あと何個あるんだ?」
「うーと──」
「あ」
「?」
「いや、言わなくていい。終わりが見えたら寂しい」
「そか」
「──…………」
「──……」
「いや、やっぱ言って! いきなり最後って言われたら悲しい!」
「うーとね」
「待って」
「どっち……?」
「……今月中は、もつ?」
「もつよ」
「けっこう作ったな」
「うん」
「来月の──最初の週に、なくなる?」
「なくなる」
「残り二十個くらいか」
「あたりー」
「えっ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……ちょうど、二十個?」
「そだよ」
「あー……」
終わりが見えてしまった。
「さみしい?」
「寂しい」
「またつくるから……」
「──…………」
ふと気づく。
「よく考えたら、まだ二十個もあるんだよな」
「うん」
「二十日間楽しめると」
「うん」
なんだ、寂しがる必要なんてないじゃないか。
「明日も楽しみだなあ……」
「うへー」
「……もう一個ダメ?」
「だめです」
「はい」
そのあたりは厳しいのだった。

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02.14

うにゅほとの生活2626

2019年2月14日(木)

L字デスクの前に設置したエアロバイクを漕ぎながらYouTubeで動画を見ていたところ、
「──◯◯、◯◯」
俺の名を呼びながら、うにゅほが自室の扉を開けた。
「んー?」
「くちあけて」
「あー」
素直に口を開く。
「はい」
ころん。
舌の上で、何かが転がった。
ほんのり苦い。
ココアパウダーだ。
「──…………」
漕ぐ足を止め、味覚に意識を集中する。
舌と上顎で潰せるほど柔らかく、潰せば香りが鼻へと抜けていく。
甘い。
美味しい。
「これ、トリュフチョコ?」
「あたり」
「なんか手作りっぽいな」
「うん、てづくり」
「──…………」
「──……」
「あ、バレンタイン!」
「そだよ」
完全に忘れていた。
「それでか」
「うん」
「ありがとな。すごい美味しい」
「うへー……」
照れ笑いを浮かべるうにゅほの眼前に、両手を差し出す。
「?」
うにゅほが小首をかしげた。
「残りは?」
「のこり?」
「一個じゃないだろ」
「いっこだよ」
「えっ」
「◯◯、ダイエットちゅうだから、いちにちいっこね」
「……あー」
なるほど。
たしかに、一度にもらうと一度に食べてしまいそうだ。
「俺のことわかってるなあ……」
「いちばんしってる」
うにゅほが胸を張る。
「……もう一個だけ、ダメ?」
「だーめ」
「じゃあ、明日を楽しみにしておこう」
「うん」
バレンタインが毎日来るようなものだと考えれば、それはそれで嬉しいものだ。

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