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2019
10.23

うにゅほとの生活2875

2019年10月23日(水)

「ゔー……」
おなかを押さえながら、うにゅほが苦しげにうめく。
「××さん」
「う」
「おなか、撫でます?」
「なでられます……」
うにゅほが、ふらふらと、俺の膝に腰掛ける。
「では、失礼して」
上着の裾をめくり、手を入れる。
触れるのは、しっとりと湿気を帯びた腹巻きだ。
腹巻きの上からおなかをさすっていると、
「ちょくせつなでてー……」
「わかった」
腹巻きをずり上げ、細いおなかに直接触れる。
汗で濡れたおなかが、手のひらに吸い付くようだった。
なで、なで。
「もっとつよく……」
「はい」
なで、なで。
「もすこしゆっくり……」
「はい」
なで、なで。
「はふー……」
ちょうどいい塩梅になったのか、うにゅほが細く長く息を吐いた。
「すこしは楽になった?」
「うん、ありがと……」
「これくらいしかできないからな」
うにゅほが小さく首を横に振る。
「そんなことない」
「じゃあ、何ができる?」
「うと……」
しばし思案し、
「てーつなぐ……」
「はい」
左手で、うにゅほの左手を取り、指を絡ませる。
「あと、あたまなでる」
「手が足りないんですが……」
「えー……」
「わかってて言ってるだろ」
「うん」
すこし余裕が戻ってきたらしい。
女の子は、本当に大変である。

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2019
10.22

うにゅほとの生活2874

2019年10月22日(火)

あまり使っていなかったMacBookをメルカリに出品し、購入されたのが二日前。
即日発送し、本日の18時に先方へ届くはずだった。
だが、
「MacBook、届いてないみたい……」
「えっ」
「ほら、これ見て」
うにゅほを手招きし、スマホの画面を見せる。
「配送状況のとこ、住所不明、調査中になってるだろ」
「ほんとだ……」
「向こうさん、住所の登録間違ったかな」
「がいじんのひとだっけ」
「たぶん」
「どうしよう……」
「幸い、取引画面でやり取りできるから、ヤマトに電話するよう言ってみよう」
「うん」
「外国人ってだけなら気にしないけど、それに加えて取引経験ゼロのアカウントは警戒すべきだったかもなあ」
「さぎ?」
「詐欺ではないと思う。向こうは間違いなく入金してるわけだし」
「じゃあ、うっかり?」
「うっかりじゃないかな……」
「うっかりさんだね」
「うっかりさんで済めばいいけど」
先方が商品を受け取り、評価をしてくれなければ、こちらに売上金が入らないシステムになっている。
商品が届かないことは、どちらにとっても損でしかないのだ。
しばらくして、先方から返信があった。
「なんて?」
うにゅほがスマホを覗き込む。
「配達店に連絡して、明日の午前中に届くことになったらしい」
「おおー」
「まだわからないけど、一安心かな」
「ななまんえんだもんね……」
「ああ……」
ふいにするには惜しい商談だ。
人と人とのやり取りだから、予測がつかないこともある。
だが、それはそれで面白い。
しばらくメルカリを続けてみようと思った。

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2019
10.21

うにゅほとの生活2873

2019年10月21日(月)

「♪~」
鼻歌を歌いながら、機嫌よく仕事をこなしていく。
「明日休みだと思うと、やる気も違うなあ」
「あした、なんのひだっけ」
「なんだっけ……」
営業日確認用のカレンダーしか見ていなかったため、何故祝日かは認識していなかった。
「そもそも、十月のこのくらいの時期に祝日ってあったっけ」
「うーん……」
うにゅほが首をひねる。
「せっかくだし、何の日か当てっこしてみるか」
「たのしそう」
「じゃあ、××からでいいぞ」
「うと……」
しばし思案したあと、うにゅほが口を開く。
「たいくのひーは、ちがうもんね」
「それは先週かな」
「じゃあ、けいろうのひ!」
「あー」
たしかに、秋のイメージがある。
可能性は高い。
「確認してみるか」
「うん」
「自信ある?」
「ある」
胸を張るうにゅほを横目に、スマホで検索をかける。
「敬老の日はー……」
「──…………」
「9月21日でした!」
「あー……」
「一ヶ月違いだから、わりと惜しかったな」
「くやしい」
「じゃあ、俺の番か」
「◯◯、なんのひだとおもう?」
「勤労感謝の日かなあ」
「ありうる……」
「だろ」
再び、スマホで確認する。
「11月23日……」
「いっかげつちがい」
「俺も、××も、惜しいことは惜しいんだよな」
「ね、こたえなんのひ?」
「ちょっと待って」
明日の日付で検索をかけ、読み上げる。
「即位礼正殿の儀……」
「……?」
「天皇陛下の即位をお祝いする、今年だけの祝日だって」
「ことしだけなんだ」
「そりゃ当たらないわな」
「ね」
だが、祝日は祝日だ。
天皇陛下に感謝しながら、ありがたく休日を満喫させていただこう。

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2019
10.21

うにゅほとの生活2872

2019年10月20日(日)

「──…………」
不条理な夢を見て、目を覚ました。
嫌な汗が胸元を濡らしている。
大きくかぶりを振ってベッドから抜け出ると、書斎側で読書に勤しんでいたうにゅほと目が合った。
「おはよー」
「ああ、おはよう……」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「もしかして、ぐあいわるい……?」
「いや」
パソコンチェアに腰を下ろし、座椅子に座ったうにゅほを正面に捉える。
「具合というより夢見が悪かった」
「ゆめ……」
「夢」
「どんなゆめ?」
「あー……」
思わず目が泳ぐ。
「……あんま、聞かないほうがいいかも」
「きになる……」
「気にはなるだろうけど……」
「きいたらだめ?」
「うーん……」
ここまで話しておいて、肝心要の内容を教えないのは酷というものだろう。
「……ちょっと刺激が強いから、覚悟するように」
「はい」
こほんと咳払いし、改めて口を開く。
「──高校時代の友達が、自分の足を切断してたんだ」
「!」
うにゅほが目をまるくする。
「ハムみたいに何度もスライスして、どんどん足が短くなっていく」
「──…………」
「両足とも根元から無くなったあと、その友達が言ったんだ」
「……な、なんて?」
「"今度は腕を切ってみようかなあ"」
「ひ」
「不便になるからやめろって言ったんだけど、夢が続けば、たぶん切ってたと思う」
「こわいゆめ、みたねえ……」
「怖いというより、薄気味悪い。なんでこんな夢見るんだか」
猟奇趣味はないはずなのだが。
最悪の寝覚めで始まった休日は、特に何事もなく終わりを迎えた。
あるいはと思っていたが、凶兆ではなかったらしい。
なべて世は事もなし、である。

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2019
10.20

うにゅほとの生活2871

2019年10月19日(土)

ドラッグストアへ立ち寄った際、もののついでにとモンダミン プレミアムケアを購入した。
「これ、なに?」
「歯磨きのあとにうがいして、虫歯を予防するやつ」
「へえー」
助手席のうにゅほが、容器に書かれている文言を読み上げる。
「ななつのこうかで、おくちのけんこうまもる、だって」
「今晩から使うつもりだけど、××も試してみる?」
「うん、やるやる」
興味津々だ。
「どんなあじするのかな」
「経験上、マズいぞ」
「まずいの?」
「たしか、溶剤がアルコールなんだよ」
「おさけなの?」
「飲むものじゃないから、お酒とは言わない気がするけど……」
「そなんだ」
「まあ、試してみればわかるよ」
帰宅し、そして夜、
並んで歯磨きを済ませた俺たちは、モンダミンの封を開けた。
「適量20mlを口に含んで、20~30秒間すすいでから吐き出してください──か」
「しようご、おくちをみずですすぐひつようはありません、だって」
「大きく出たな」
「?」
キャップにモンダミンを注ぎ、口に含む。
「──…………」
口内をすすぎながら胸中で20を数え、洗面台に吐き出した。
そして、コップの水でうがいをする。
「あれ、うがい……」
「……やってみればわかるよ」
キャップにモンダミンを注ぎ、うにゅほに手渡す。
すこし緊張した面持ちで、うにゅほがモンダミンを口に含み、
「──ぶえ」
一秒で洗面台に吐き出した。
「まずい!」
「ほら、水」
「うん……」
うにゅほが、口内のモンダミンを水道水で洗い流す。
「この味で"水ですすぐな"ってのは、ちょっとした拷問だよな……」
「わたし、できないかも……」
「無理はしないように」
「はい……」
俺より舌が敏感なうにゅほだから、余計に耐えられないのだろう。
アルコールを使っていない洗口液にすればよかったかな。

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