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2018
10.15

うにゅほとの生活2505

2018年10月15日(月)

「──…………」
目を覚ます。
「あ、おきた」
寝顔を見ていたのか、うにゅほがベッドサイドに立っていた。
「いま何時?」
「うーと、はちじ、にじゅうごふん」
「余裕だな」
「はちじはんになったら、おこそうとおもってた」
「ビンタされずに済んだか……」
「しないよー」
うにゅほが苦笑する。
「××」
「?」
「誕生日、おめでとう」
「うん!」
今日は、うにゅほの誕生日である。

「"カメラを止めるな!"、面白かったな!」
「おもしろかった!」
「これはたしかにネタバレ厳禁だわ」
「おかあさんに、どんなえいがかきかれたら、どうしよう」
「父さんと一緒に観に行けって言えばいいよ」
「そか」
「帰り際、喫茶店でも寄ってくか。お昼も食べたいし」
「いつものとこ?」
「いつものとこは逆方向。今日は、別のチェーン店を開拓しよう」
「いいねー」
ケーキ以外の甘いものに舌鼓を打ちながら、一時間ほど映画の話で盛り上がる。

古着屋、本屋、ゲームセンター──
デートをたっぷり楽しんで帰宅すると、既に日が暮れかけていた。
夕飯はカレーだった。
カレーとバースデーケーキの食い合わせはどうなんだろうと思ったが、うにゅほが喜んでいたのでなんだっていいや。
両親からの誕生日プレゼントは、安定の図書カード。
弟からのプレゼントは、ネイルケアセットだった。
「ほんやいくの、あしたにすればよかったね」
「たしかに」
俺からのプレゼントは、
「ちょっとお高めのヘアケアシャンプーと、トリートメントのセットです」
「わあ!」
「弟のネイルケアセットと合わせて、いい女になるがいい」
「うん、いいおんなになる」
うにゅほと出会って、ちょうど七年。
幸せな毎日を過ごしている。

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2018
10.14

うにゅほとの生活2504

2018年10月14日(日)

パワーボールというトレーニング器具を購入した。
「……?」
俺の手に握り込まれたパワーボールを、うにゅほが不思議そうに覗き込む。
「これなに?」
「パワーボール」
「ぱわーぼーる」
「これを使って、前腕部の筋肉を鍛えるのだ」
「……にぎにぎするの?」
「にぎにぎしない」
「どうやるの?」
「見てな」
野球のボールより一回り小さいそれの内部には、更に小さいボールが内蔵されている。
一部露出した内部のボールを、両手の親指を使って矢印の方向にしばらく回し、指を離す。
すると、

ぶいー……

「──まわった!」
内部のボールが回転を始めた。
「そうしたら、手首を使ってパワーボール自体を回転させて──」

ブウゥ──────ン……

内部のボールの回転に合わせて手首を動かすことで、回転数が徐々に上がっていく。
回転数の上昇は、高くなっていく音でも判断することができる。
「おー……」
「とまあ、こんな感じ」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「なんで、うで、きたえれるの?」
「回転数が上がると負荷が上がって──まあいいや。やってみればわかるよ」
パワーボールをうにゅほに手渡す。
「矢印の方向にボールを回して」
「うん」
「止まるまで回して」
「んッ、んッ!」
「回したら、指を離す」

ぶいー……

「まわった!」
「中のボールが回ったら、パワーボールを握り込んで、手首を使って回す」
「んッ! んにッ!」
「──…………」
「んいッ! いッ!」
内部のボールの回転が止まる。
「まわらない……」
「手首、回ってなかったぞ」
「!」
「上下にしか動いてなかった」
「もっかい」
何度やっても回らない。
「つかれた……」
「……まあ、うん」
不器用だなあ、とは言わないでおこう。
「あ、つかれたから、きんにくつくかも」
「そういう道具じゃないです」
「そか……」
まあ、前腕部ムキムキのうにゅほなんて見たくないから、これでよかったと思うことにしよう。

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2018
10.13

うにゅほとの生活2503

2018年10月13日(土)

「──あ、そうだ」
「?」
「明後日、××の誕生日じゃん」
「うん」
「誕生日デートで、映画観に行こうぜ」
「いく!」
うにゅほが目を輝かせる。
「まえいってたやつ?」
「そう。"カメラを止めるな!"ってやつ」
「ぞんびでるやつだっけ……」
「"ゾンビランド"は面白かっただろ」
「おもしろかった!」
「総製作費300万円だから、出てきても安っぽくて怖くないんじゃないかな」
「それ、おもしろいの?」
「この映画の面白さは、お金をかけられる部分とは関係ない──らしい」
「らしいの」
「だって、まだ観てないもん」
「そだね」
「先にひとりで観たら怒るだろ」
「おこる」
映画を観るだなんて、俺たちにとっては一大イベントだ。
うにゅほを置いてひとりで行くなんて選択肢は、はなから存在しない。
「さて、上映時間は──」
キーボードを叩き、行きつけのシネコンのサイトを開く。
「げ」
「どしたの?」
「朝からと夜からしか上映してない」
「ひるは?」
「すっぽり抜けてる」
「あー……」
「夜だと絶対混むよな」
「こんでるの、やだな……」
「じゃあ、朝一択だ」
「◯◯、おきれる?」
「頑張る」
「そか」
「起きなかったら、叩き起こしていいから。思いきりビンタしていい」
「しないけど……」
「つねってもいいぞ」
「それくらいなら」
「起きれなかったら、絶対後悔するからな……」
「……わかった。ほんきでおこす」
「頼むな」
「うん!」
うにゅほが、覚悟を決めた表情で頷く。
起きなかったら何をされるのか、怖いような、興味があるような。

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2018
10.12

うにゅほとの生活2502

2018年10月12日(金)

「ふー……」
以前に書いた小説の改稿作業を終え、大きく伸びをした。
「おわったの?」
「終わった」
「おつかれさま!」
ここ二週間ほどかかりきりだったのだが、ようやく手が空いた。
もっとも、やるべきことは幾らでもあるのだけれど。
「とりあえず、今日はゆっくりしようかな。読書もいいし、ゲームでも──」
そう言い掛けたとき、
「──うッ」
唐突に、右腕が重くなった。
「どしたの?」
「いや、なんか……」
何が起こったのか、自分でもよくわからなかった。
「右腕が、急にだるくなって」
「きゅうに?」
「ああ」
「みして」
作務衣の右袖をまくり上げ、うにゅほに右腕を差し出す。
もみ、もみ。
うにゅほが俺の右腕を揉んだ。
「うで、ぱんぱん……」
「マジで」
「にのうでも、かたも、すーごいかたい」
「左は?」
「んーと」
もみ、もみ。
「ひだりは、そうでもない」
どうして右腕だけ。
「◯◯、みぎてだけでうでたてふせとか、した?」
「してない。できないし」
「だよねえ……」
「悪いけど、ちょっとマッサージしてくれるか。だるくてつらい……」
「わかった」
うにゅほのふわふわマッサージをしばらく受けていると、だるさがだんだん取れてきた。
「……ありがとな。だいぶよくなった」
「もうだいじょぶ?」
「たぶん」
「つらくなったら、いってね」
「遠慮なく言うぞ」
原因はよくわからなかったが、治ったからいいや。

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2018
10.11

うにゅほとの生活2501

2018年10月11日(木)

「お、おう……」
腹部を強く押さえながら、前傾姿勢で耐える。
「腹が、腹がぐるんぐるん言いよる……」
「だいじょぶ……?」
「……まあ、大丈夫」
「だいじょぶじゃなさそう……」
「完全に下ってますね、これは……」
「といれは?」
「弟が入ってた……」
「いっかいの、といれ」
「いや、ノックしたら、すぐ出るって言うから」
「そか……」
便意は強いが、一刻を争うほどではない。
「なんか、わるいものたべた?」
「皆と一緒のものしか食べてないし、そもそもダイエット中だから量も控えてる……」
「そだよね……」
「うッ」
ぐるぐる。
胃腸が蠕動している。
「やっぱし、いっかいのといれ──」
うにゅほがそう言い掛けたとき、二階のトイレから水を流す音がした。
「行ってきます……!」
「いってらっしゃい」
俺は、うにゅほに敬礼すると、小走りでトイレに駆け込んだ。

しばしののち、
「ふー……」
スッキリ。
洗面所で手を洗っていると、階下からうにゅほが現れた。
「はい、あかだま」
常備薬の、赤玉はら薬だ。
「ありがとな」
うにゅほの頭を撫でようとして、やめる。
ちゃんと手を洗ったとは言え、トイレから出たばかりだ。
「へんなのたべてないなら、おなかだしてねてたのかなあ……」
「可能性はある」
「おなかなでる?」
「お願いします」
どうにも腹の調子が悪い一日だった。

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