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2018
08.18

うにゅほとの生活2448

2018年8月18日(土)

「××、サン・ジョルディの日って知ってる?」
「あ、きいたことある」
「親しい人に本を贈る日らしい」
「きょう、サン・ジョルディのひ?」
「違うけど」
「ちがうの……」
「サン・ジョルディは、4月23日」
「きょうは?」
「八、十、八で、米の日らしい」
「かんけいないね……」
「関係ないけど、本をあげよう。さっき届いたんだ」
そう言って、Amazonのダンボール箱を取り出す。
「なんだろ。あけていい?」
「いいぞ」
「うーしょ、と」
受け取ったダンボール箱をベッドに置き、不器用に開封していく。
すると、
「──あ、アタゴオルだ!」
「懐かしいだろ」
「うん!」
アタゴオル玉手箱、全九巻。
図書館で借りては読み、借りては読みしてきたものを、ついに購入したのだった。
「◯◯、ありがと!」
「俺も読みたかったからさ」
「でも、ありがと」
真正面から感謝されると、すこしくすぐったい。
「さきよんでいい?」
「いいよ」
「やた」
「そのうち、映画のDVDも欲しいな。レンタルは絶望的だし」
「つたや、なくなっちゃったもんね……」
「ゲオにもなかった気がする」
「うん」
メジャーな作品とは言い難いから、仕方ない。
アタゴオルの他のシリーズも、ちょこちょこ買い揃えていこうと思う。

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2018
08.17

うにゅほとの生活2447

2018年8月17日(金)

「──注文、確定しちゃうぞ」
「うん」
「本当に買っちゃうぞ」
「うん」
「いいんだな!」
「いいよ」
震え出しそうな手でマウスを操り、"注文を確定する"ボタンをクリックする。
「買っちゃった……」
「かっちゃった」
事は、十分前に遡る。

「……ひび割れ、ちょっとひどいな」
購入してから二年弱、パソコンチェアの合皮の劣化が著しい。
「ぱりぱりだねえ……」
「あ、つまむと」
「?」
ぺり。
合皮の一部が剥がれ、うにゅほの指先に黒い欠片が残された。
「あー……」
「だいぶボロボロだからな」
「ごめんなさい」
「気にしなくていいよ」
大勢に影響はない。
「座り心地はいいんだけど……」
「ね」
その座り心地も、座面の合皮と共に損なわれつつあるのだが。
「二万円くらいのパソコンチェアって、こんなもんなのかなあ」
「んー……」
しばし思案し、うにゅほが口を開く。
「たかいのかったほう、いいのかな」
「安物買いの銭失いよりは、高くて良いものを長く使ったほうがいい気はする」
「じゃあ、たかいのかう?」
「……いいの?」
「だって、ぼろぼろだよ」
「まあ、うん……」
「すーごいリクライニングするの、すきだけど……」
うにゅほがチェアの肘掛けを撫でる。
左側の肘掛けは特に劣化がひどく、灰色の地肌が随分と覗いてしまっている。
「……実は、ちょっと欲しいなーって思ってるチェアがあるんですけど」
「どんなの?」
「エルゴヒューマンっていうメーカーの──」

買う前はあんなに悩んでいたのに、買うと決まれば一瞬だ。
というわけで、お値段実に九万円という高級パソコンチェアが、月曜日には我が家に届く。
楽しみではあるのだが、すこし怖くもある。
合わなかったらどうしよう。

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2018
08.16

うにゅほとの生活2446

2018年8月16日(木)

前回までのあらすじ。
行きつけの床屋が店を畳んでしまった。
「──それで、新しい床屋を誰かに紹介してもらうって話だったけどさ」
「うん」
「正直めんどい」
数人に尋ねたが、地理的に少々遠かったり、足を運びにくい店ばかりだった。
車で二十分以内。
通うのであれば、この条件は譲れない。
「じゃあ、のばす?」
「これ以上伸ばしたら、不審者まっしぐらだから」
「そかなあ……」
「××は、補正が入って目が狂っとる。現時点でもだいぶ怪しいからな」
もともと威圧的な外見なのに、それが蓬髪ともなれば、いよいよもって近寄りがたいというものだ。
「とこや、ちかいとこいくの?」
「いっそのこと、1000円カットでいいんじゃないかと思って」
「まえ、しっぱいしてたきーする」※1
「失敗したな、うん」
「いいの?」
「どんなに下手な床屋でも、失敗しないであろう髪型がある」
「!」
うにゅほも、ピンと来たらしい。
「ぼうず!」
「正解。もう丸坊主でいいかと思ってさ」
「いいとおもいます」
「撫でたいだけだろ」
「うん」
こくりと頷く。
素直である。
「と言うわけで、ちょっくら丸刈りにしてきます」
「たのしみ……」
うにゅほは、髪が長い俺と、坊主頭の俺、どちらがいいのだろう。
バリカンで蓬髪を刈られながら、そんな他愛ないことに思いを馳せるのだった。
なお、帰宅したら死ぬほど撫でられた。

※1 2016年5月10日(火)参照

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2018
08.15

うにゅほとの生活2445

2018年8月15日(水)

「んー……」
マウスホイールの隙間から、マウスの内側を覗き込む。
「どしたの?」
「マウスの調子悪いって話しただろ」
「うん」
「この、ホイールの芯の部分に、ゴミが絡まってるのが原因らしい」
「みえる?」
「よく見えない……」
貯金箱の投入口から中身を窺うようなものである。
「分解、あんまりしたくないんだよなあ」
「ぶんかい……」
「さらに壊れる気しかしない」
「そだねえ」
「見えない場所のゴミを取る方法、か……」
「うーん」
ふたり並んで思案する。
「あ、ふーってするとか」
「息で?」
「うん」
「なるほど」
わりと良いアイディアかもしれない。
「でも、隙間が細いからな……」
「あー」
貯金箱の投入口に息を吹き込むようなものである。
「──いや待て。いいものがある」
「?」
本棚の下段の隅を漁り、
「じゃーん、エアダスター!」
「あ、ぷしゅーってするやつ」
「これなら威力もバッチリだろ」
「おー」
「××、やってみるか?」
「いいの?」
「誰がやっても同じだし」
「やる!」
うにゅほが、エアダスターのノズルをマウスホイールの隙間に合わせる。
そして、
「ぷしゅー!」
エアダスターが唸りを上げた瞬間、隙間からぽろりと何かが転げ落ちた。
それは、ほんの小さなホコリの塊だった。
「これ、ひっついてたのかなあ」
「かもしれない」
カリカリとマウスホイールを回し、動作を確認する。
「──あ、直ってる!」
「やた!」
「いえー」
「いえー」
うにゅほとハイタッチを交わす。
愛用のマウスだけに、あと二、三年は頑張ってほしいものだ。

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2018
08.14

うにゅほとの生活2444

2018年8月14日(火)

今日は、父方の墓参りだった。
朝六時起床、六時半出発で、三時間かけて菩提寺へ。
懇意にしているメロン農家でメロンをたらふく食わされたあと、両親の友人宅へ挨拶回りを行った。
最後に焼肉を食べて帰途についたのだが、
「──……すう」
ランクルの後部座席で、俺の膝を枕にうにゅほが寝入ってしまった。
終始楽しそうにしていたのだが、さすがに体力が尽きたらしい。
「ごめんな、父さん。帰り俺が運転するはずだったのに……」
「気にすんな。ちゃめ起こすわけにも行かねえし」※1
「そうそう」
父親の言葉に、母親が頷く。
「それにしても、意地でも(弟)には寄り掛からねえんだな」
「うッ」
うにゅほを挟んで反対側の弟が、痛いところを突かれたという顔をする。
「……俺が××に嫌われてるみたいな言い方やめてくんない?」
「違うのか」
「違うって! ……違うよね?」
同意を求められた。
「俺とお前だから俺に寄り掛かってるのであって、お前と知らん人だったらお前に寄り掛かってるよ」
「知らん人と比べられても……」
そりゃそうか。
「おう、◯◯。俺と(弟)だったら、どっちに来ると思う?」
「父さんと弟か……」
難しい問題だ。
「……父さんと母さんだったら、母さんに行くと思う」
「あら嬉しい」
「弟と母さんでも、母さんかな」
「××、母さんにも懐いてるもんね」
「で、俺と(弟)なら?」
「うーん……」
しばし黙考し、
「……そもそも、寝ないんじゃない?」
「──…………」
「──……」
ずうん。
父親と弟がふたり揃って落ち込むSEが、どこかから聞こえた気がした。
「いや、実際のところはわからんからね。ただの予想だから……」
弁解の言葉が、虚しく車内に響く。
真実を握る少女は、気持ちよさそうに夢の中。
そんなこんなで今年の墓参りは終わりを告げたのだった。
疲れた。

※1 父親はうにゅほのことを「ちゃめ」と呼ぶ。

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